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24日に北京市内の人民大会堂で行われた日中平和友好条約締結30周年の記念
レセプションで麻生首相が行ったスピーチが、中国国内では一部がカットされた形で紹
介された。「愛国教育」などで盛り上がり、いまだに根強い国内の反日感情を警戒す
る、胡錦濤政権の苦肉の策とみることができる。
錦濤政権は発足した2003年、前政権の対日政策を変更する方針で臨んだ。それま
での「歴史問題を極めて重視する」政策を変更だ。「対日新思考」として、◆歴史問
題で、日本はすでに謝罪した。この問題は解決済み◆日本で軍国主義が復活する
可能性はない◆日本という国は「普通の先進国」と認識してつきあうべきだ―などを
主張する研究者が現れたことも、新政権の意向を反映するものと考えられた。
しかしその後、小泉首相が靖国神社参拝を繰り返したことなどにより、胡錦濤主席・
温家宝首相らは、対日強硬路線を主張する派閥から突き上げられ、窮地に立ったと
される。結局、胡錦濤政権が当初の対日協調路線に戻ることができたのは、日本側
の政権交代の後だった。
24日の麻生首相のスピーチの趣旨は、日中両国は「引っ越しができない永遠の隣人」
であり、だからこそ、「戦略的互恵関係」を構築し、開かれて活力あるアジアを築くために
双方が協力したいというもので、中国側の考えと隔たりはない。
一方で、麻生首相は「日中関係に関する世論調査を見てみると、若干の不安を感じざ
るを得ない」、「日中両国とも、互いに多少なりとも肯定的な感情を持っている人は、そ
れぞれ3割にも満たない」、「見解が異なっていても、相手が何を考えているかくらいは、常
に正確に理解しておきたい」などとして、現状には憂慮しているとの内容も、スピーチに盛
り込んだ。
文脈全体から読めば、「だからこそ、対話と交流の積み重ねが大切」、「相互理解が社会
の広い層で深まることが大切」との流れだが、現状認識の部分は中国国内の対日意識に
も触れた格好で、反日感情を強く持つ中国人が麻生首相の「注文」だけに注目した場合、
かえって反発を高めかねないとも考えられる。
胡錦濤政権は現在でも、国内での反日感情が高まることを警戒しているとみられる。麻生
首相のスピーチの内容の一部が中国で紹介されなかったことは、中国当局による、「国内の
反日感情を助長する可能性が高く、両国の協力強化には逆効果」との意向が働いたため
と考えられる。
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