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人権の話 平易に 金両基さん クラス単位で
【静岡】在日韓国人の金両基さん(75)=評論家、静岡市在住=が15・16の両日、浜松市立神久呂中学校(竹内勉校長、306人)で
社会人活用非常勤講師として「特別道徳」の授業を担当。一人ひとりお互いに違いを受け入れて認め合い、同じ人間、同じ仲間として尊重しあうことの大切さを熱っぽく訴えた。
在日韓国人が義務教育の道徳を講ずるのは全国的にも珍しいケースだ。
「特別道徳」とは民間から人材を講師として招請して行う授業で、神久呂中学としては昨年に続いて2回目の試み。竹内校長は昨年、同校PTAを対象とした研修会で金さんの講演を聞き、
難しく考えがちな人権の話を、身近な親しみやすいものとして子どもたちの心の奥深く送り届けたいという金さんの考えに共鳴したという。
金さんは各クラスごとに8コマに分け、全校生を対象にきめ細かく講話した。
アンデルセン作の「醜いアヒルの子」の話を挿入するなどして強調したのは、人種や民族、国籍などによる差別やいじめのない温もりのある関係づくり。
一人ひとりの顔が違うように、人それぞれ違う条件を持って生まれ育っていること。そして同じ人間、同じ仲間として尊重しあうことが差別をなくす第1歩であることなどだ。
在日韓国人として様々な差別を味わってきた金さん。静岡県ではいち早く文化から人権を考える「人権文化論」を唱えるなど、「人権の語り部」として各種メディアに登場してきた。
だが、中学生を相手の授業はこれが初めて。学年差を考慮して「理性」という難解な単語は2年生から入れたり、「限りなくおかゆにする」など人しれない苦労の跡が感じられた。
それでも「常識が絶対でないこと。常に考えていないと、常識と非常識の区別がつかない」といった中学生には難しいと思われる話が受け入れられたことには、ほっと胸をなで下ろしていた。
竹内校長は「金先生は日常の中の人権、思いやりの心を伝えようと、実生活に即した身近な事例をたくさん取り上げてくれた。
その中から何か一つでもキーワードとなって心の中に残ったらと願っています」と語った。
朝から終始、授業を傍聴していた静岡県人権同和対策室の金原義男係長は、
「生徒さんを一堂に集めてではなく、クラス単位でのきめ細かい授業となり、とても新鮮で貴重。たいへんぜいたくな取り組みですね」と話していた。
今後は「県内の他の学校などにも事例として紹介しながら、人権教育の一つの形として拡大していければ」と意欲を燃やしていた。
ソース:民団新聞
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