08/10/14 11:41:24
学歴詐称問題を引き起こした元東国大助教授のシン・ジョンア氏は、韓国社会を映す鏡の
ような存在だ。今回の事件は個人の問題であると同時に、韓国人全体の問題であると見て
間違いない。韓国は今や経済規模で世界第13位に達したとはいうが、その実情は砂上の
楼閣そのものだ。うそや虚勢ばかりが横行する社会の雰囲気を考えたとき、韓国はこれ以上
前進できないだけでなく、いつ崩れ去ってしまうかも分からない。
韓国の大統領はいつも平然とうそをつく。そうしたうその洪水にさらされて生きてきた
国民にとって、シン・ジョンア氏や卞良均(ピョン・ヤンギュン)前大統領府政策室長の
うそなど、さほど驚くべきものではなかったはずだ。
うそをつくのは、何も政治家やエセ博士ばかりではない。13年前の検察の統計によると、
人口10万人あたりの詐欺事件の発生件数は、韓国が日本を35倍も上回っている。次に同じく
うそによる代表的な犯罪のひき逃げを見てみると、当時韓国では年間6855件ものひき逃げ事件が
発生している。一方乗用車の台数が韓国の14倍にもなる日本では、ひき逃げ事件はほとんど
発生しないという。
記者が事件記者だったころ、警察署の調査係には山のように調書が積み上げられているのが
常だった。その中から無作為に書類を取り出して中身を見てみると、たいていは詐欺事件に
関する調書だった。1970年代に若き起業家として台頭し、その後没落したある事業家は回顧録の
中で自身の経験を振り返りながら、「韓国の詐欺師ときたら、ソ連の核兵器でもだまし取れるの
ではないかと思うほど悪らつだ」と書いた。シン・ジョンア事件は、いまだ韓国社会のそうした
陰の部分が変わっていないことを見せつけた。
シン・ジョンア氏は自らを虚構で飾り立てて生きてきた。成功も失敗も、箔(はく)付け次第で
決まると悟ったからだ。努力せずとも、名の通った大学の卒業証書さえあれば、仮に能力が
足らなくても他人より一生有利に生きていけるのが韓国社会の特徴だ。外ではシン・ジョンアの
悪口で盛り上がっても、家に帰れば名門大学に入るよう子どもをけしかけるのが、今の韓国人の
姿だ。韓国で整形手術が普及しているのも、また世界で最も化粧品の売り上げが多い国の一つで
あるのも、決して偶然ではないのだ。
ニューズウィーク社が発行する旅行案内書に、韓国の特徴として「韓国人はよい服を着ている」と
記してあるのを見たことがある。ほかの国について、そうした記述を見た記憶はない。自分が
何者かが重要なのではなく、他人が自分をどのように判断するかという点ばかり気にして
生きているのが韓国人だ。先の説明を書いた人物は、そうした韓国人の特徴を見抜いたのではなかろうか。
(>>2~続きます)
楊相勲(ヤン・サンフン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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