08/10/13 19:59:05
■富野由悠季:「アニメにだけのめりこんでいてはオタクになるだけだ」
ガンダムシリーズの原作者で監督の富野由悠季は、日本のロボットアニメの生き証人だ。彼は1979年、
当時としては破格的にリアリズムを追求した「機動戦士ガンダム」でセンセーションを巻き起こし、その後
同作品から多くのシリーズ作が生まれるとともに「ガンダムワールド」の父になった。大韓民国コンテンツ
フェア参加のために訪韓した富野由悠季に会った。彼は、良いアニメを作るには多様な人生経験が必要
であり、優れたアニメーターの条件として、アニメ自体を好むよりもその中に込められたメッセージに集中
することを強調した。
Q: ガンダムは、それまでのロボットアニメとは違うリアルなロボット物の嚆矢として知られている。ガンダ
ムを演出するようになった過程、そして作品で訴えたかったことは何か?
-- 単純にSF映画を作りたかっただけだ。作品の意図としては「ファーストガンダム」を登場させて「人類
の革新」を見せようとした。その後、ガンダムのそうしたコンセプトは歳月を経てシリーズとして発展したが、
最近のガンダムシリーズの様子については私が話すべき事柄ではない。
Q: ガンダムの背景を戦争に設定したのは、特別な理由があるのか?
-- 戦争物を作るためにガンダムを作ったのではない。戦争を背景にしたのは玩具会社の要求のため
だ。毎週新しい悪役モビルスーツを生み出せるシステムは国家的規模の戦争しかないから戦争を選んだ
のであって、最初から戦争物として意図したわけではない。
Q: 玩具を作るための手段だと言ったが、作品を製作する際に玩具会社が関与することは多いのか?
-- 玩具会社は直接関与しないが、作品のスポンサーとして参加する。スポンサーが作る玩具を広報せ
ねばならず、戦争を通じて毎回モビルスーツを登場させることは製作時に必ず守らねばならない不文律だ。
ところがガンダムは放映当時10歳以下の子供達がガンダム玩具を買ってくれなかった。そのため投資が
中断したりした。当初のスポンサーは子供向け玩具だけ作っていた会社で、10歳以上をターゲットにした
玩具は作ることができず、結局バンダイがガンダム事業を行なうことになった。
Q: 日本は著作権管理が厳格なことで知られるが、あなたは原作者なのにガンダムに関する権利が無い
と聞いたが。
-- 私はガンダムの原作者ではあるが権利者ではない。別途の著作権管理会社がガンダムシリーズの
製作、商品化事業など全ての部分を管理する。したがって原作者として特段得られる収入は無い。このよ
うに会社が著作権を管理するのは世界で日本が唯一だ。<中略>
Q: 韓国にもファンが相当多い。アニメーターを目指す人への助言は?
-- アニメを絶対好きになってはいけない。アニメが好きだと、その枠の中に閉じこめられてしまう。アニメ
という媒体に他のメッセージを入れることが重要だと思うし、だからこそアニメが嫌いでなければならないと
いうのが私の考えだ。それでこそ多様な技法をアニメに動員することができる。より具体的に言うと、30歳
までは多様な人生経験をしながら他の人に伝えたいことを捜して、それをアニメなり映画なりに投映できる
経験が必要だ。また、そういう人が業界に多くならねばならない。単にアニメにばかりのめりこんでいては、
オタクになるだけだ。アニメがではなく、その中に込められたメッセージが好きでなければならない。
▽ソース:CINE21(韓国語)(2008-10-13 10:00)
URLリンク(www.cine21.com)
URLリンク(news.naver.com)