08/10/03 03:09:31
通貨オプション損失対策に税金投入へ
韓国政府と銀行業界がついに企業の通貨オプション損失支援に乗り出した。1兆7000億ウォン
(約1520億円)に達する通貨オプション損失で中小企業の連鎖倒産が起き、銀行の不良債権が
発生することを防ぐための苦肉の策だ。
◆銀行と企業の欲が生んだ損失
しかし、損失はもともと為替差損のヘッジ商品を乱用し、もうけようとした一部企業の投機心理と
それに便乗して手数料収入を得ようとした銀行の「欲」から生じたものだ。それを埋め合わせるのに
国民の税金が投入される可能性が高まり、論議を呼んでいる。
通貨オプション取引のうち、今回問題になっているノックイン、ノックアウト(通称KIKO)と呼ばれる
タイプのヘッジ取引は、為替変動が予想されるとき差損発生を防ぐために使われる為替ヘッジ用の
デリバティブ商品だ。通貨オプション取引に手を出す中小企業が増えたのは企業がウォン高に
苦しんでいた昨年下期だった。当時のウォン相場は1ドル=907‐950ウォンで、さらにウォン高が
進むという不安感が高かった
正常な為替ヘッジ目的ならば、実際の輸出額の50%程度を契約するのが一般的だが、通貨オプション
で損失を出した企業の12%は輸出額の平均 167%に達する額の契約を結ぶ「オーバーヘッジ」を
行っていたことが、金融監督院の調べで分かった。代表的な犠牲者として挙げられる泰山LCDは
160%を超えるオーバーヘッジ状態だった。
◆損失穴埋めに公的資金投入?
危険に満ちた投資を助けた銀行も責任を免れないという指摘が多く聞かれる。金融監督院関係者は
「銀行が通貨オプション商品を販売する際、ウォン相場急落時のリスクをしっかり説明していたか
調査している」と話している。市中銀行は企業の外国為替取引量や他行と既に通貨オプション取引
を行っているかなど基本的な状況さえほとんど確認していなかったことが分かっている。
金融監督院のク・ジョンハン研究委員は「銀行が金融商品のリスクを十分に説明するなどの
基本的責務を怠ったとすれば、問題が指摘される可能性がある」と指摘した。
通貨オプションの損失問題は、中小企業の倒産が
銀行資産の不良化を招くため、銀行に被害が跳ね返っている。
既にハナ銀行は2800億ウォン(約250億円)の含み損が生じ、1兆7000億ウォンに上る企業の通貨オプション
損失のうち、7000億‐1兆ウォン(約620億-890億円)が銀行業界の損失になるとの分析も出ている。
事態の深刻化を受け、韓国政府と銀行業界は1日、金融監督院を中心に「KIKO契約銀行協議会」
を設置し、被害企業をA-Dの4等級に分け、支援を行う対策を発表した。
それによると、経営状態が良好なA・Bクラスの企業には新規融資で資金を支援し、
不良債権が発生する恐れがあるものの再建可能なCクラスの企業には企業の
財務構造改善作業(ワークアウト)を通じ、債権の出資転換などの措置が取られる。
再建不可能なDクラスの企業は支援を受けられない。
今回の対策と関連し、金融委員会は信用保証基金と技術保証基金の中小企業に対する融資保証を
約2兆5000億ウォン(約2230億円)増やす方針を明らかにした。銀行が通貨オプション損失を受けた
中小企業に融資を行い損失が生じても、両基金がそれを埋め合わせるという意味だ。結局、
企業救済に国民の税金が投入される可能性が高まった格好だ。
これについて、金融委の林承太(イム・スンテ)事務処長は「銀行は市場原理を適用し、
支援対象を厳格に選別する。支援過程でモラルハザードが発生しないようにしたい」と述べた。
ソース:朝鮮日報 2008/10/02 10:04:08
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