08/09/15 09:02:40
■中国産外来種が侵入、日本産は半数以下に激減
世界最大の両生類で、特別天然記念物のオオサンショウウオが「遺伝子汚染」の危機にさらされている。京都・賀茂川に
中国産の外来種が侵入し、繁殖・交雑が進んでいるのだ。流域の日本産はすでに半数以下で、中国産との雑種は約4割に
上ることが京都大の調査で判明した。貴重な日本の固有種を守るため、早急な対策が求められる。
≪44%が雑種≫
「遺伝子汚染は深刻な状況だ。このまま放置すれば、日本産は賀茂川から消えてしまうだろう」。両生類の研究で知られる
京都大大学院の松井正文教授は、今月まとまった分析結果に驚きを隠さない。
賀茂川のオオサンショウウオの系統を調べるため、4年前からミトコンドリアのDNAや酵素を分析。外来種であるチュウゴク
オオサンショウウオの侵入実態を調べてきた。
その結果、分析した111匹のうち13%が中国産で、44%は中国産との雑種と判明した。雑種は幼生の71%を占め、
繁殖地に近い上流ほど比率が高い。在来種が生存競争に敗れ、追いやられている様子がうかがえる。
≪岡山ルート≫
なぜ賀茂川に中国産が入り込んだのか。背景には、かつての食用の歴史がある。松井教授によると、昭和47年に岡山の
業者が中国産800匹を食用に輸入しており、その一部が京都の料亭などに持ち込まれたことが発端らしい。
だが中国産は日本産とよく似ているため、特別天然記念物の密猟につながる恐れがあり、文化庁が自粛を指導。商品価値
を失って賀茂川に捨てられたり、いけすから逃げ出すなどして野生化したようだ。
松井研究室では、日本産と分かった個体は識別用のマイクロチップを埋め込み川に戻している。困るのは中国産や雑種の
扱いだ。
オオサンショウウオ属は、日本と中国の2種しか現存していない世界的な希少動物。日本にとっては厄介者の中国産も、
現在はワシントン条約で取引が規制され、国際的に保護されている。単なる外来種と違って駆除はできない。
研究室だけでは保管できず、動物園などに受け入れを依頼してきたが、両生類の大量絶滅の一因とされるツボカビ症が
思わぬ壁になっている。兵庫県で昨年、ツボカビに感染した個体が見つかったことを受け、感染拡大の懸念から引き取りを断る
動物園が増えているという。
≪遅れる行政対応≫
中国産は賀茂川以外での繁殖は確認されていないが、四国など各地で散発的に個体が見つかっている。人為的に運ばれた
とみられ、このままでは遺伝子汚染が飛び火しかねない。
松井教授は賀茂川の全個体の遺伝情報を調べ、分離して交雑を防ぐよう行政側に提案している。しかし膨大な手間と費用を
誰が負うのか、捕獲した中国産をどこで飼育するのかなど、課題は多い。
外来種は環境省、天然記念物は文化庁、現場の実務は京都府と所管が異なることもあって、行政の腰は重い。文化庁は
「早急に対応すべきだとは思うが、非常に難しい問題。関係機関との調整が必要」(記念物課)と具体策を見いだせないでいる。
ソース(MSN産経ニュース)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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