10/04/14 14:13:25 UAnuK81d
>>220より
さらにバルフーム報道官は「ガザ封鎖は他でもないイスラエルとアメリカによる決定だが、ガザ封鎖の解除は他でもないエジプトとアラブ諸国が
決定することだ」として、「アラブ諸国の首脳や民衆は自分たちの責任をあらためて自覚して、ガザに課されている集団懲罰という政策と不正な
封鎖を終結させるための力強く、効果的な決議や行動を取るべきだ」と求めた。そして、「ガザで我々の民が破壊にさらされ、封鎖のために
緩慢な死を遂げつつあるというのに、イスラーム共同体(ウンマ)がそれを傍観し、アラブ首脳たちが犯されている犯罪に目をつぶって、まるで
恥じらっているかのような言葉を発しているだけだとは、理解しがたいことだ。今のところアラブ諸国が公式に示している姿勢は、封鎖と
破壊のためにガザで行われている人道に反する犯罪行為の規模にまったく釣り合っていない」と語った。
(続く)
222:朝まで名無しさん
10/04/14 14:15:10 UAnuK81d
>>221より
他方、ファタハの軍事部門であるアル=アクサー殉教者軍団は昨日月曜日、ガザ地区南部、ハーン・ユーニス市東部のとある
軍事ポストの近くで、イスラエル兵を狙撃したと発表した。同軍団は声明で、ハーン・ユーニス市東のキスフィーム付近で国境線の
整備にあたっていた工兵部隊のイスラエル兵1名の狙撃に成功したと述べ、「この作戦はガザ地区を占領し、占領下にあるエルサレムを
ユダヤ化し、エルサレムで家屋の破壊を継続している犯罪行為に対する、当然の反撃として行われたものだ」と主張した。
原文をPDFファイルで見る
URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
(翻訳者:香取千晴)
(記事ID:16426)
223:朝まで名無しさん
10/04/14 16:11:55 UAnuK81d
イラン大統領がシリア訪問、大統領およびパレスチナ各派幹部と会談
2009年05月06日付 al-Quds al-Arabi紙
URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
■ シリア・イラン両首脳、抵抗運動支援を強調
■ アフマディーネジャード大統領、ダマスカスでパレスチナ各派幹部らと会合
2009年05月06日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ダマスカス:カーミル・サクル(本紙)】
イランとシリアの関係が強固なものであり、諸々の国際情勢の変化を経た今なお両国の立場が確固たるものであるとの
明確なメッセージを両国の首脳が発した。シリアのバッシャール・アル=アサド大統領は、ダマスカスで昨日、イランの
マフムード・アフマディーネジャード大統領との共同記者会見の席上、シリア・イラン関係は自然なものであり、枢軸を構成すると
いうだけの関係ではないと強調し、イランが平和的な核エネルギーを保有する権利にあらためて支持を示した。また、
アフマディーネジャード大統領は、「イランとシリアの立場は、地域的にも国際的にもますます強力なものとなっており、地域及び
世界の状況は、両国の立場にとって有利な方向へと急速に向かっている」と述べた。
(続く)
224:朝まで名無しさん
10/04/14 16:12:56 UAnuK81d
>>223より
アフマディーネジャード大統領は昨日ダマスカスに到着し、アサド大統領と会談を行った。今回で同大統領のシリア訪問は3回目となる。
アフマディーネジャード大統領は、国際秩序の再構築にイランが寄与する必要性を強調した。また、あらためてイスラエルを非難し、
「シオニストは有害な細菌の温床」であり、シオニズムとは「占領、侵略、大量虐殺」と同義であると述べた。
また、アサド大統領との会談後に行われた共同記者会見で「我々はシオニストを有害な細菌の温床であるとみなしている」と
明らかにし、「このシオニズムは、脅迫と敵意と拷問と大量虐殺のために生み出された。彼らは人種差別を行っている。したがって
パレスチナの抵抗運動を支援することは、人間として、また人民としての義務である」と述べた。また、「幸いにも、シリアとイランは
一致団結して抵抗運動を支援しており、これからも常に抵抗運動の味方だ」と付け加えた。
(続く)
225:朝まで名無しさん
10/04/14 16:14:27 UAnuK81d
>>224より
アサド大統領は、近年シリアとイランがとってきた立場におけるヴィジョンの正しさを強調し、イランの核兵器計画の存在をめぐる
疑惑について取り沙汰されていることに言及した。そして、そのような疑惑を提起する勢力に対して、イスラエルの核計画については
自分たちが何をしているのか明らかにするよう求めた。またパレスチナ問題に関してアサド氏は、「安定について語るならば、
パレスチナ問題について、イスラエルの虐待、殺人、テロによるパレスチナ人民の苦しみについて無視することはできない。パレスチナの
抵抗運動や、パレスチナ人民の不屈の闘いを無視することはできない」と強調し、「今日の会談において、パレスチナ人民の不屈の
抵抗運動、名実相伴う真の抵抗運動を支援する方策に議論が集中するのは自明のことだ」と述べた。また最近のイラク情勢、
とりわけ地方選挙ついて「イラク国民がイラクの一体性を欲していることの明確な印である」との見方を示した。一方で
アフマディーネジャード大統領は、「イランとシリアはイラクの安定と安全を歓迎する。統一イラクは、中東の全ての国々の利益だ」と
述べ、治安上の混乱や地域的諸問題は占領の存在に起因するものだとの見解を示した。
(続く)
226:朝まで名無しさん
10/04/14 16:15:29 UAnuK81d
>>225より
パレスチナ抵抗運動諸派最高フォローアップ委員会のハーリド・アブドゥルマジード事務局長が明らかにしたところによると、
アフマディーネジャード大統領はシリア訪問中、ダマスカスに拠点を置くパレスチナ諸組織の幹部らと会合を行った。
アブドゥルマジード事務局長は、会合は「イスラエルの過激派とベンヤミン・ネタニヤフの人種差別政府に対する明確なメッセージとなるだろう」と述べた。
この会合には、ハマースのハーリド・マシュアル政治局長、パレスチナのイスラーム聖戦運動のラマダーン・シャッラハ書記長、
パレスチナ人民解放戦線総司令部派(PFLP-GC)のアフマド・ジブリールしょきちょうなどの要人が参加した。
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URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
(翻訳者:梶田知子)
(記事ID:16457)
227:朝まで名無しさん
10/04/14 16:16:46 UAnuK81d
立候補者の皆さん、抱負を一言!
2009年05月06日付 E'temad-e Melli紙
URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
ハータミーを逮捕するわ
この女性が大統領選に立候補を表明したのは、イスラエルを殲滅させるため。
アフマディーネジャードこそ当選すべき人物と述べる彼女は、「もし私が大統領になったら、ハータミーをスパイ罪で逮捕しちゃうわ」とも。
(中略)
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URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
(翻訳者:斉藤正道)
(記事ID:16422)
228:朝まで名無しさん
10/04/14 16:25:58 UAnuK81d
オバマ大統領との会談に向けてパレスチナ・エジプト両大統領が意見調整、ブレア特使は中東和平交渉の“新たな枠組”に言及
2009年05月07日付 Al-Ahram紙
URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
■ 大幅な内閣改造を発表へ
■ 外交担当者の交代についても協議
■ アッバース大統領、ムバーラク大統領と総合的なアラブ和平プランを協議
■ ブレア元首相、交渉の新しい枠組みを米政府が準備中だと明かす
2009年05月07日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
[ラーマッラー:本紙]
パレスチナのマフムード・アッバース大統領は、アラブ諸国による総合的な中東和平プランがバラク・オバマ米大統領に手渡されるで
あろうと述べた。その一方で 、中東和平カルテット(=米・国連・EU・露)は、パレスチナ・イスラエル間和平協議のための新しい枠組みについて語った。
カイロで行われたホスニー・ムバーラク大統領との会談後、アッバース大統領は次のように説明した。「オバマ大統領に提出される
解決案は、2002年のベイルートでのアラブサミットで採択された 、アラブ和平提案 の枠組みから外れない内容だ」。その一方で、
中東和平カルテットの特使であるトニー・ブレア元英首相は、パレスチナ・イスラエル間交渉のための新しい枠組みをカルテットが作り出そうとしていると発表した。
(続く)
229:朝まで名無しさん
10/04/14 16:26:49 UAnuK81d
>>228より
ブレア元英首相は昨日(7日)水曜日、ヨルダン川西岸地区の ラーマッラーにおいて記者会見 を開き、「“皆もっと楽観的になるべきだ”
と私が発言したのは、米政権とその他の国際社会との最高レベルにおいて、[パレスチナ・イスラエル交渉の」新しい枠組が準備
されつつあるためだ」と述べた。しかしブレア氏は「現時点ではこの提案の詳細はわからない」と説明し、数週間のうちにさらなる情報が手に入るだろうと指摘した。
他方で パレスチナのアッバース大統領は、自身とムバーラク首相との会談は、ワシントンで数週間のうちに米大統領とそれぞれ
会談するのに備え、立場を調整することに力点を置いたものであったと語り、「アメリカ大統領と彼の新政権に提起する予定の
立場について、アラブ側に完全な一致が生まれるよう、十分な準備が出来た」と続けた。そして、イスラエルはニ国家共存という
構想を受け入れるべきであり、あらゆる入植 活動、特にエルサレムにおける活動を停止し、またエルサレムにおける発掘調査も停止するよう、強調した。
(後略)
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URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
(翻訳者:倉井彩)
(記事ID:16487)
230:朝まで名無しさん
10/04/14 16:27:59 UAnuK81d
米国が初めてイスラエルにNPT加盟を呼びかけるも、イスラエルは拒否
2009年05月07日付 Al-Ahram紙
URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
■アメリカがイスラエルに核不拡散条約加盟を呼びかけるも、イスラエルは拒否
■エジプト:「アメリカの立場は重要な進展を遂げた」「イスラエルに条約加盟を呼びかけたことは前向きな動きだ」
2009年05月07日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【世界各国の首都:諸通信社、カイロ:サラ・ワファイー】
アメリカは昨日イスラエルに対し、初めて核不拡散条約(NPT)への加盟を呼びかけた。米国務省のローズ・ゴットミューラー次官補
が「核不拡散条約の国際的遵守は、米国にとって基本目標である」と発言したのである。しかしイスラエルはこの米による
NPT加盟への呼びかけを即刻拒否し、この条約は無益だとの見方を示した。
アメリカ・イスラエル間でこうしたやりとりが行われていた頃、バラク・オバマ米大統領はイスラエルのシモン・ペレス大統領 と、イランの
脅威について協議する会合をワシントンで行っていた。この呼びかけに対するイスラエルの返答は即時かつ断定的なものであった。
イスラエルのイディオット・アハロノート紙はこの呼びかけについて、「アメリカからの爆弾のようなもの 」だと評し、公的な立場にある
米の高官がイスラエルの核戦力に明確に言及するのはこれが初めてであると指摘した。
(続く)
231:朝まで名無しさん
10/04/14 16:29:00 UAnuK81d
>>230より
イスラエル外務省のある高官は匿名で、「この条約は有益性を欠いていることが証明されている。というのは、この条約はイランと
その核危機は言うに及ばす、インド、パキスタン、北朝鮮のような国が核を保有するのを禁止できていないからだ。現時点では
この条約に、世界の核の状況にわずかでも変化をもたらすことができる ような利点はみとめられない」と語った。そして、
ゴットミューラー次官補の声明は、現時点では米国の政策転換を意味するわけではないと指摘した。
一方、本紙との単独会見で、エジプト外務省のフサーム・ザキー公式報道官は以下のように述べた。「米政府高官の声明内容
は、この条約が国際的に受け入れられること の必要性を確認するもので 、米国の立場の重要な進展とみなしうる。しかし同時に、
この件については詳細な検討 が必要だ。というのも、条約の加盟国は5つの核保有国と、残る非保有国とに分けられており、
条約に参加していない国々が加盟するに際しては、法の枠外でそれらの国々が獲得してきた利益が追認されないようにするべきだからだ」。
(続く)
232:朝まで名無しさん
10/04/14 16:31:05 UAnuK81d
>>231より
そして同報道官は、「NPTの国際化とイスラエルの加盟に関する〔米高官の〕発言は、長年にわたって条約に加盟し、その規定を
遵守してきた国々の権利を利するような、あるべき土台の上に成り立っているのであれば、前向きなものだ」と述べた。
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URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
(翻訳者:在間咲野)
(記事ID:16424)
233:朝まで名無しさん
10/04/14 17:08:27 UAnuK81d
モサド長官の任期更新、レバノン国内での諜報活動活発化
2009年05月07日付 al-Hayat紙
URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
■ イスラエル、ナスルッラー暗殺に失敗するも彼を標的とする方針...モサドの前レバノン支部長:「イランとシリアの影響ゆえに
モサド諜報員のリクルートを促進している」
2009年05月07日付アル=ハヤート紙(イギリス)HP1面
【占領下エルサレム:アーマール・シハーダ(本紙)】
レバノン人諜報員ネットワークの摘発についてイスラエルが沈黙を守っているのは、モサドをはじめとする同国の諜報機関が国外、
特にアラブ諸国での活動に対してとっている政策を物語る姿勢である。この諜報員細胞に関する報道が事実であれば、沈黙はモサドに
有利に作用するだろう。また、どのような場合でもそれは、レバノン人同士の間で対立を拡大させる格好の素材になる。それはイスラエルが
再びレバノン国内に入り込むことに成功したことを意味するからだ。
(続く)
234:朝まで名無しさん
10/04/14 17:09:53 UAnuK81d
>>233より
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がモサドのメイール・ダガン長官の8年目の任期更新を決定したのは、レバノン人諜報員の
細胞の存在が明らかになるのと時を同じくしてのことだった。この任期更新には、ヒズブッラーやその軍事力の実状を把握していなかった
ために2006年のレバノン戦争で失敗したモサドが今日では、レバノン国内で諜報員をリクルートすることができるようになり、ヨーロッパの
某国でヒズブッラーが実行を試みたイスラエル関連施設への攻撃を一度ならず阻止することもできるようになった、という明確なメッセージが込められている。
イスラエルの治安関係者によると、レバノンは今日、過去に例を見ないほどイスラエルに対する脅威となっている。というのも、
ヒズブッラーの位置付けが上がり、政治的・軍事的に発展しているうえ、イランからの支援もあるからである。イスラエル軍のレバノン撤退
以前にモサドのレバノン支部長を務めたエリアゼル・ツェヴリールによると、イスラエルの安全保障のためにはモサドが諜報活動を集中的に
展開し、反イスラエル活動の計画について知ることを基本的な任務とする諜報員をリクルートすることが不可欠だという。
(後略)
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URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
(翻訳者:梅原春奈)
(記事ID:16416)
235:朝まで名無しさん
10/04/14 17:10:42 UAnuK81d
コラム:エジプトとヒズブッラーの対立に見る中東政治情勢の特質
2009年05月07日付 al-Hayat紙
URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
■ エジプトと「ヒズブッラー」:相反する二つの政治理論
2009年05月07日付アル・ハヤート紙(イギリス)HPコラム面
【アムル・ハムザーウィー(本紙)】
エジプトに存在した「ヒズブッラーの細胞」事件とそれに続く同党とエジプト国家間の問題は、現下の中東政治において二つの相反する
理論がせめぎ合っていることを鋭く我々に示している。国民国家があり、平時であれ戦時下であれ域内紛争の対処についてはその
権力機構に委ねるという理論が、まず一つである。他方、その国家内で国の正当性も主権も認めず越境して活動する組織や運動に
依拠した破壊、分裂的要素が機能している。中東の主だった闘争の場では、国民国家が不在もしくは脆弱な存在であるという事実が、
この矛盾した状況と交錯し、その現象をさらに増大している。また、中東の大国の幾つかと地域の窓口的役割を果たす湾岸諸国が、
自国の利益を守るため、国民国家主権の原則を無視する昨今の趨勢も、その現象の一端と思われる。実際、国家か非国家か、
その二つの理論の矛盾と呼応を深く考察することにより、エジプトとヒズブッラー問題当事者の立場に肉薄し、更に、「ハマース」、
レバノン国家、イスラエル、イランといった関係方面が、目に付かないところで各々どのようにイデオロギーのアピールやメディア・キャンペーンの
応酬を行ったかを探ることが可能である。
(続く)
236:朝まで名無しさん
10/04/14 17:14:50 UAnuK81d
>>235より
エジプト国家、その支配エリートたち、「ムスリム同胞団」を例外として、反体制派も含めた大多数のエジプト世論は、領土内で
ヒズブッラー要員が活動していたことを主権の侵害であり国家の治安に対する脅威とみなしている。ところで、エジプト政府はこの活動に
対処するにあたり国の治安、司法、政治機関を用いたのだが、そうするとエジプト内外で折に触れて行われる公的権力批判と、
この問題についてのエジプト世論はいささか矛盾することになる。ヒズブッラー事件については公的権力が頼られたということは、
国民国家の理論、それが責任ある政治的行動をするという理論が勝利したともいえる。
(続く)
237:朝まで名無しさん
10/04/14 17:16:39 UAnuK81d
>>236より
その他に三つの論点があるのだが、第一点は、ヒズブッラー指導部の発言に代表される。彼らは、ガザのハマースへ物資を
提供することによりイスラエル占領に抵抗するパレスチナを勝利に導くことが、エジプトでの活動の目的であったと主張している。
この言い分は、エジプト国家が行っている支援、交渉を通じてパレスチナ人に正当な権利を回復させようとの動きに対し激しい圧力を
かけるものである。人命においても財産においても多大な犠牲を要した軍事的冒険(先のガザ戦争)へパレスチナ人を追いやった
事だけがエジプトの役割であったと一部では思われている昨今では、なおさらだ。第二点として、レバノンにおけるヒズブッラーの
位置づけがここに絡んでくる。エジプトの公式見解によれば、武装抵抗組織である彼らは、レバノン国家が軍事力を占有することも、
公的機関として尊重される事も妨げてきた。ヒズブッラーは、レバノンにもたらした「無秩序」を中東地域へ輸出しようとしており、
その中に長年の安定を誇るエジプトも含まれているというのがエジプトの見方である。
(続く)
238:朝まで名無しさん
10/04/14 17:17:26 UAnuK81d
>>237より
第三点として、ヒズブッラーの行動と域内国家としてのイランの戦略との間には揺るぎない結びつきがあるという見解がくる。域内での
影響力拡大を図るイランは、アラブ諸国家への内政干渉を政策として確立させている。イラクにおけるイランの役割、バハレーンでの
敵対的立場、アラブ首長国連邦から三島を獲得し、抵抗をお題目に「ヒズブッラー」を通じてレバノンへ、「ハマース」を通じてパレスチナへ
継続的に介入してくることについて、エジプト首脳部は大いに神経質になっている。言い換えれば、ここでのヒズブッラーは、イランの手先として
中東各地で国民国家の安定を揺るがす域内政策に奉仕するものの代名詞でしかない。最後に、エジプトの公的立場を国内へ向けると、
そこには、ヒズブッラーとパレスチナ抵抗支援というその目的の正当性を擁護する声もある。「ムスリム同胞団」関係とそれに思想的に近い人々、
あるいは左翼的ライター達がその立場を礼賛する一方で、公式見解の方は、このようなグループを非国民的とみなす。国家権力に
とって彼らは、国の主権を防衛し治安を守るという神聖な任務と、エリート支配体制に反対することを混同する危険な人々である。
ヒズブッラー事件に関するエジプト国民議会の討議によっても、「国の安全は、抵触してはならないラインである」ということをムスリム同胞団に
納得させることはできなかった。同胞団に対する公の攻撃は少しは緩和されたが、2009年4月22日付の声明で同胞団は、「抵抗支持の
立場を固持する。……エジプト政府は、公正さをもって汚職と闘い抵抗を支援することによって我々の国民としての安全を守ったうえで、
その治安をないがしろにしようとする者と対峙せよ」と述べている。これにより、同胞団が果たしてどの程度、国民国家とその主権を
優先させる用意があるのかが疑わしくなった。
(続く)
239:朝まで名無しさん
10/04/14 17:18:43 UAnuK81d
>>238より
一方、ヒズブッラーは、「抵抗の正当性」並びに「抵抗を支援する正当性」という二つの言い分を組織的に用い、エジプトでの事件に
ついては、国民国家理論では応じてもらえない側を擁護するとの立場を示す。それにより彼らは、パレスチナの人々に正当な権利を
回復させることのできない国民国家の失敗、中東の主立った戦線でそれらが不在もしくは弱い存在であること、たとえ存在してもその
主権は、正当な抵抗運動を敵視する域内外の大国により常に侵害されているという現状を指摘する。
(続く)
240:朝まで名無しさん
10/04/14 17:19:41 UAnuK81d
>>239より
ナスラッラー書記長、シェイク・ヌアイム・カーシミー副書記長等の発言によれば、ヒズブッラーは、パレスチナ独立国家実現に向け
イスラエル・アラブ交渉に携わったエジプト並びにその他のアラブ諸国の国家的不能と、ヒズブッラーのような第三者が、ハマースを
筆頭とするパレスチナ抵抗運動支援において正当性を得たことの間に因果関係があるとみなすに至った。そしてヒズブッラーは、
ガザ封鎖、イスラエルによるガザ戦争におけるエジプトの立場を繰り返し攻撃し、エジプト国家の役割は実際には不在である、イスラエルの
度重なる攻撃からパレスチナ人を守る事もできなかったと宣言する。ヒズブッラーがレバノン国家を破壊し軍事力占有を許さず、
混乱を他国に広めているとのエジプトの嫌疑を前に、ヒズブッラー指導部は伝統的見解を保持する。つまり、レバノン国家の脆弱性、
その国土を防衛することもイスラエル占領から解放することもできない無力さ、それらこそが、ヒズブッラーを抵抗組織として発展させ、
ついにはレバノン国土を解放させるに至った。そして現在、国民国家のない占領地でいかなるアラブ国家の支援もうけず活動する
パレスチナ抵抗を救援しようとしている。この言い分は、治安と主権の神聖さを強調し、そのために闘うことを重要とするエジプトの
立場を過小評価するヒズブッラーの見解と合致している。ヒズブッラーの政治イデオロギーの文脈においては、抵抗活動を敵対視する
イスラエルとその同盟者たちにより治安が乱されている国民国家に優先順位はなく、抵抗の正当性を上回る主権の適用など認められない。
(続く)
241:朝まで名無しさん
10/04/14 17:21:22 UAnuK81d
>>240より
中東政治の展開を実質的、根本的に読む際、我々は、この二つの矛盾する理論を前にすることになる。国家理論と非国家理論の
交錯、各々の背後にある勢力同士の角逐、それらは早々なくなるものではないだろう。
原文をPDFファイルで見る
URLリンク(www.el.tufs.ac.jp)
(翻訳者:十倉桐子)
(記事ID:16385)