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オバマ新政権とイラク地方評議会選挙
東京外国語大学 教授 酒井啓子(さかい・けいこ)
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オバマ新政権への期待
2009年1月のオバマ米新政権の成立は、中東諸国のみならずイスラーム諸国
全体で、好感と期待を持って迎えられた。2001年9月11日以降延々と続いたブッシュ政権の
「テロに対する戦い」で、中東、イスラーム諸国は一様に、いつ「テロ支援国」ないし
「民主化の遅れた国」とみなされて、米国の介入を受けることになるかと、萎縮した
状況に置かれていた。米新政権の対中東外交が、中東、イスラーム諸国に対して
好意的とはいわないまでも、正常に機能するであろうことへの期待感は高い。
オバマ大統領は就任一週間後にドバイのアラビーヤ・テレビのインタビューを受け、
イラクからの米軍の撤退や、拷問や裁判なしの拘束で悪名高いグアンタナモ基地の
閉鎖を強調して、アラブ世界の視聴者の好感を得た。また、イラク戦争に賛成したとの
イメージの強いヒラリー・クリントン国務長官も、就任直前の1 月14日に行った
議会証言で外交的解決を訴え、アラブ紙でも「過去8年間続いた対決モードが消えた」、と評価されている。
オバマ政権への中東、イスラーム世界の関心は、なんといってもイラクでの
米軍駐留がどうなるか、にある。イラクでの米軍の存在は、イラク国内にとどまらず、
中東、イスラーム世界全体の反米機運を駆り立ててきた。イラク戦争以降、
サウジアラビアやシリア、イエメンなどから繰り返し反米義勇兵がイラクに入り、
2005-6年にイラク中部での治安を悪化させたことは、よく知られる事実である。
(続く)