10/07/24 19:09:01
日本マンガ違法配信最大手のOneMangaは、7月末までに違法コンテンツ提供サービスを停止する。
自社サイトにて告知した。OneMangaの運営側は、この決断はマンガ出版社の違法ファイルに対する
姿勢の変化によるものだとしている。そのうえで出版社の要望により、全ての違法ファイル
を削除するという。ファイルの削除は少しずつ進めるが、7月末までには全てなくなるとしている。
OneMangaの今後のサイトの運営については未定だが、同サイトは新しいビジネスの在り方を探る
としている。特にサイトのフォーラムは、海外のマンガファンのための重要なコミュニティだとし、
今後のプランが決まるまでは現在のかたちで存続させる。
マンガコミュニティを中心としたビジネスも検討されているようだ。
One Mangaは、スキャンレーションと呼ばれる日本マンガファンが自ら翻訳し違法にアップロードした
マンガを集めた大手サイトである。この春には月間11億アクセスを達成し、グーグルのアクセス数
トップ1000にランキングされるほどの人気を集めている。
日米のマンガ出版社、マンガ翻訳出版社はこうしたサイトが違法配信であるだけでなく、
海外のマンガ出版事業に重要な影響を与えているとみている。こうしたことから今年6月に、
日米のマンガ関連企業が、違法配信を行う30以上の主要サイトに違法配信サイトを停止すること
を求める共同声明を発表した。声明では、違法配信を停止しなければ法的執行を行うとしている。
One Mangaの決定は、これを受けてものである。既に別のサイトManga helperもサイトの停止を
決めている。最大手サイトの違法配信からの撤退決定は、他の主要サイトの今後にも影響を与えそうだ。
これまで放置状態とされてきた海外の違法マンガ配信への日米出版社の厳しい姿勢は、
昨今の出版ビジネスの環境変化も理由にありそうだ。ひとつは過去数年のスキャンレーションの急増に
並行して、北米を中心に日本マンガの翻訳出版の売上げが急減していることである。ふたつめは
日本国内の出版社を取り巻く環境が厳しさを増しており、これまで以上に海外市場の開拓が
必要されるようになっていることだ。
さらにマンガのオンライン配信や電子書籍化が、国内外で急激に進んでいることも見逃せない。
今後各社が正規のオンラインビジネスに進出する際に、オンライン上の違法配信がそうした
ビジネスの成長を阻害すると見られるからである。実際に7月22日には、スクウェア・エニックスが
『鋼の錬金術師』などの人気マンガの有料配信を北米、フランスで今秋からスタートすると発表している。
違法配信に対する出版社の姿勢は、今後も強まりそうだ。
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