10/05/16 20:04:00
アニメ制作の最大手東映アニメーションは、5月13日に平成22年3月期の通期決算を発表した。
連結売上高は前期比3.5%減となったものの209億6000万円と引き続き200億円を超える水準を保った。
一方営業利益は23億2800万円(前期比25.5%減)、経常利益は25億2200万円(同26.1%減)である。
当期純利益は14億4800万円と前期から193.8%増となったが、これは前期には投資有価証券の
評価損を計上した反動である。売上高に比較して営業利益、経常利益は減少傾向となる。
これは急激に変化するアニメーション業界の環境に対応する投資を続けているためと見られる。
業績を支えたのは『ワンピース』と「プリキュア」シリーズである。劇場映画『ONE PIECE FILM Strong World』
の大ヒットと2本の「プリキュア」シリーズ映画の好調で劇場アニメ部門が大幅な増収となった。
版権事業、商品販売部門でも両作品は好調で、「プリキュア」シリーズはさらにイベント部門でも好調であった。
事業別では映像製作・販売事業が売上高97億6200万円(前期比9.7%減)、営業利益が4億8400万円(同60.1%減)
である。劇場映画は好調だったが、テレビアニメ部門が減収となったほかパッケージソフト部門の減収がきつかった。
また「ドラゴンボール」シリーズ、『ワンピース』が中心となった海外部門は、為替変動の影響なども受けて
大きく売上げを落とした。一方、モバイル・インターネット向けの映像配信サービスは好調だった。
2009年4月にスタートした週刊少年ジャンプ原作アニメに特化した「アニメジャン」が好調のためである。
版権事業は売上高67億9400万円(同5.0%減)、営業利益28億2900万円(同1.8%減)。
国内では前期の遊技機向けの売上げがなくなった反動がきついが、北米、フランスで
『ドラゴンボール』のゲーム化権を販売したほか、イタリアでも商品化権を販売し順調に推移した。
関連事業は、商品販売部門、イベント部門の双方が好調だった。売上高は44億3800万円(同17.7%増)、
営業利益は2億6300万円(同13.1%増)である。
また、今期(平成23年3月期)の見通しについては、慎重な数字を挙げている。
売上高は前期比18.4%減の171億円、営業利益は14億円(同39.9%減)、経常利益は15億円(同40.5%減)、
当期純利益は9億円(同37.8%減)である。主力作品は「プリキュア」シリーズ、『ワンピース』、
「ドラゴンボール」シリーズに、この夏にテレビ放映をスタートさせる『デジモンクロスウォーズ』も加える。
アニメをリスクの高い事業と位置づける東映アニメーションは、毎期業績予想を低めに出す傾向が強く、
今回もそうしたかたちとなっている。同社は減収減益予想について、『ONE PIECE FILM Strong World』
と「プリキュア」シリーズ映画の反動、さらに映像パッケージがDVDからBlu‐ray Discへの移行期
にあるためとする。
今後の展開で注目されるのは、映画事業である。同社は2009年3月に映画事業を中心とする映像企画部を設立した。
そのうえで、現在は2DアニメのほかフルCG作品等の複数のプロジェクトが現在進行中、3D(立体視)映像作品も
製作中としている。2009年秋に劇場公開された「とびだす!3D東映アニメまつり」に続く、
3D作品が登場することになりそうだ。
海外事業の共同製作の取り組みでも、平成22年3月に発表した『GAIKING』と『CAPTAIN HARLOCK』の
2つの3DCGアニメーションプロジェクトに言及する。この分野での展開が、中長期的に東映アニメーションの
経営に影響を与えることになりそうだ。
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