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米国の大手キャラクター企業の4キッズ・エンタテインメント(4Kids Entertainment)の2009年
通期の決算が、4期連続の最終赤字となった。また、最終損失は5250万ドルにも及び
過去最高水準となった。
一方、通期売上は最終損失金額を下回る3680万ドルと前年比37%減であった。この数字は
4年前のおよそ半分の水準となる。昨年暮れに大型の人員整理を行った4キッズの苦境ぶりが
明らかになったかたちだ。
売上高の減少は、同社が独自に開発し力を入れてきたカードゲーム『カオティック:Chaotic』の
苦戦によるところが大きい。トレーディングカード、ゲーム流通部門の売上高は260万ドルと
2008年の1530万ドルから83%減少した。
ライセンス事業は堅調だった。売上高2410万ドルは前年比で41%増である。同事業では、
依然『遊戯王』が、売上の大半を占めている。 4Kidsはもう一つの有力コンテンツである
『ミュータント忍者タートルズ』をニコロデオンへ売却することを決定しており、当面はさらに
『遊戯王』に対する事業依存が増しそうだ。
こうした業績の悪化を受けて4キッズは、2010年から過去数年間に取ってきたビジネスモデルを
大きく変更することを明らかにした。通期決算の発表を受け3月18日に開催された企業説明会の
中で、カーンCEOは、『カオティック』の事業を開始する以前のビジネスモデルに回帰するとした。
日本のアニメ・キャラクターを海外に紹介するライセンスとマーチャンダイジングを2010年の
事業の中核とする方針だ。これは過去4年間力入れてきた自社コンテンツの開発、
カオティック事業の失敗を認めることになる。
さらに近日中に日本からの大型ライセンスの獲得を発表するとし、この作品が今後の同社の
業績に大きな成果をもたらすだろうとする。またさらに日本の有力コンテンツを探している
途中だともしている。
4キッズは2006年以来、日本アニメ・キャラクターの権利を次々に手放してきた。同社が
日本からライセンスを獲得したのは2007年の『恐竜キング』が最後である。そして現在、
展開している日本コンテンツは、この『恐竜キング』と『遊戯王』のふたつだけだ。
新しい事業方針は、これまでとは全く異なるものとなる。
過去4年間は業績不振に悩まされた4キッズだが、もともとは90年代末にいち早く日本の
コンテンツに目をつけて『ポケットモンスター』、『遊戯王』の世界展開で大きな成功を収めた。
さらにカーン氏は、2007年初頭にいち早く、日本アニメビジネスの低迷を指摘した人物でもある。
時代のトレンドを読む確かさは定評のあるところだ。
2009年秋にディズニーXDが『NARUTO 疾風伝』の放映を開始し、今年秋からニックトゥーンが
『ドラゴンボール改』の放映を開始する。実際に日本アニメへの再評価の機運を感じさせる。
米国の日本アニメ市場はマニア向けの市場がDVDを中心に不振に陥る一方で、『NARUTO』、
『ポケットモンスター』、『ドラゴンボール』、『爆丸』などマス向けの作品は堅調だ。
DVD売上高も、売上上位作品は、これらのタイトルで占拠されている。今後、北米でマス向けの
日本アニメが再注目される可能もありそうだ。
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