10/03/13 22:54:42
歌手デビュー15年目に入る坂本真綾さん。新曲「マジックナンバー」がヒット中で、声優としては昨年公開の
話題作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版：破」など無数の人気アニメに出演。女優としても７年間、ミュージカル
「レ・ミゼラブル」の舞台に立つなど多方面で活躍してきた。30歳の誕生日である３月31日にはベストアルバムを
発表し、さらに同日、単独では初の武道館ライブを行う。
大いに充実した節目を迎えている坂本さんだが、実は最近までライブに恐怖感を持ち、声優も「向いていないの
では」と悩んでいた、と打ち明けてくれた。
（～略）
子役として活動を始めた坂本さん。演技力にはますます磨きがかかり、舞台女優としては03年からミュージカル
「レ・ミゼラブル」でエポニーヌ役を務めてきた。実写ドラマの日本語吹き替えの仕事も多数こなし、この３月からは
韓国ドラマ「華麗なる遺産」（フジテレビ）でコ・ウンソン（ハン・ヒョジュ）の役を担当する。
しかし、特にファンを広げてきたのは、アニメ声優としての15年を超える活動だろう。「天空のエスカフローネ」など
無数の作品で主役や重要な役を担当。昨年の映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破」では、再構築される物語の
鍵を握る新キャラクター、真希波・マリ・イラストリアス役に抜てきされて注目を集めた。大作ゲーム「ファイナルファン
タジーXIII」でも、りりしい女性キャラクター・ライトニングをクールに演じたのが記憶に新しい。
今春も「荒川アンダーザブリッジ」（４月４日深夜1時35分よりテレビ東京系にて放送予定）のニノ役、「四畳半神
話大系」（同月フジテレビ「ノイタミナ」ほかで放送予定）の明石さん役、劇場アニメ「トライガン‐TRIGUN Badlands
Rumble」（同24日全国公開予定）のアメリア役など注目作への起用が続く。日本アニメ界でも独自の存在感を
見せる代表的声優の一人だと言えるだろう。
坂本さん本人の意識として、表現活動の軸になるのは歌手？それとも声優？
「全部つながっていて一体なんですよ。色んな役を演技していることが作詞の場面にフィードバックしてくることもあれば、
歌っていることが演技に生きたり舞台に生きたり。全部が相互作用でちょっとずつ自分を築き上げてくれた感覚があるので、
どれがなくなってもバランスが崩れる。ただ、演じていて何が快感かって言えば、自分にはない人生を一時的に楽しめる。
私自身からは決して生まれない言葉が出てきたり、現実にはあり得ない設定で生きられたりという時に演技の面白みって
あるんだという気がする。自分にないものになるんですよね。だけど音楽は、やればやるほど自分の奥深くに入っていく感じ。
作詞もそうです。両方あってすごくバランスがいいな、って自分では思います」
「声優が楽しくなったのはここ数年なんです」
明るい女の子からクールな悪役までこなし、ますます声優としての演技は凄（すご）みを増している印象がある。ところが、
本人に声優の仕事について聞くと意外な答えが返ってきた。
「私自身（声優の仕事が）すごく楽しくなったのは、実はここ数年の出来事なんです。初めてテレビアニメのヒロインをやらせ
ていただいた時はすごく難しかったし無我夢中でやっているだけで終わってしまった。それ以降もたくさんやらせていただき
ながらも、なんかいまいち、つかみきれなくて。難しいなあという思いのほうが強かった。自分は声優という仕事には向いて
ないなあと思いながらやっていた時期も実はあったんです。それがある時、今までやったことがない役をポンと振られた時に、
なんだかすごく自由に、急に何か開き直ったんでしょうか。弾けて、すごく楽しくなった。そこから不思議に色んな作品の役を
いただいて、どんどん新しいキャラクターを増やしていけるようになりました」
ターニングポイントとなったのは、主役・藤岡ハルヒ役を務めた06年のテレビアニメ「桜蘭高校ホスト部」という。わずか４年前の
作品だ。端から見れば、それ以前の作品が「声優に向いていないと思いながら」の演技とはとても思えないが、これは坂本さん
の飽くなき向上心による気持ちなのだろう。
「実写の人間に（セリフを）当てる洋画の吹き替えと比べ、アニメというのは独特の技術が必要だと私は思います。
でも（『桜蘭～』では）そのことを頭で考えるよりも前に感覚的に演じられた。自分自身であまり型にはまらなくなったと
言うんでしょうか。とても自由な気持ちで、演じることを心から楽しめたんです」
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