09/07/30 18:18:21
第1回で紹介したような、手の指の関節のような細やかな駆動部位をどのように
成形しているのか。
「ここは私どものノウハウですから、詳しくは説明できません。ヒントは、射出タイミングと
固まる温度、時間の制御。つまり材料特性と金型の作り方がポイントなんです」と
バンダイ ホビー事業部 製品設計チーム マネージャー 大榎(おおえのき)直哉氏は話す。
それから、4色成形では、どうして色がまざらないのか。これもまた、上記と同様の事情だ。
「4色で打てる成形機は、ここにしかありません。成形技術やノウハウもここだけのものです。
混ざらないようにするのは特許で、金型の構造に工夫があります」(大榎氏)。
量産試作はやらない。簡易型はなく、本型1つのみ。テストトライは4、5回くらい行うのが
標準とのことだ。
■ 解析は、一切やっていません
第1回で、「解析(CAE)は一切やっていません」という大榎氏の大胆発言(?)を紹介した。
あのような複雑な形状をしていれば、当然、樹脂流動解析を行っているだろうと普通は
考えると思うが……同氏の発言はまぎれもない真実だ。
やらない理由は、「解析したくても、解析ができないから」。
「樹脂流動解析ソフトウェアを使うと、こういう形状はNGになってしまうんです。成形できない
レイアウトです、って出てしまいます。夕方に解析をセットし、一晩が経ち、朝オフィスに
やってくると、NGだらけなんです……」(大榎氏)。
「いまの解析技術だと、ガンプラのランナーを正確に解析するには、そこに人工知能でも
組み込まない限り無理でしょうね」(大榎氏)。
しかし、現実に物が出来ているのは、なぜ?
それについては、「成形・金型職人さんの勘と経験で解決している」という単純明快な回答が。
「成形条件のぎりぎりのところを狙っています。ゲート絞り込んだり、止めたりという感じで
トライ&エラーを繰り返します。ガンプラのパーツをよく見ると、少し成形品の事情を知って
いる方なら『なんでランナーがつながってないんだ?』など、ちょっと様子が変な部分に
気付くかもしれません。それは、私たちが苦労した跡だと思ってください(笑)」(大榎氏)。
@IT MONOist(一部略)
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