09/06/14 18:08:21
■自主規制は「社会の理解を得るため」
業界側の自主規制などを受け、ネット上では人権団体への反論も相次いだ。
《ポルノは全部悪だっていうのか? 被害者がいないもんを抗議するなよ。拡大解釈し過ぎ》
《表現の自由の侵害だ》
《日本国内でどう売ろうがそれは勝手だし、いやなら自分の国で厳しい法規制をして所持してたら
厳罰にすりゃいいんだろ》
また、「外国からも、殺人など過激な描写の多いゲームソフトが日本へ流入している」という指摘もある。
メーカーはこの件に関して「一切、取材を受けない」と沈黙しているが、ソフ倫側にも言い分はある。
たとえば、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いだ。
ソフ倫によれば、年間に審査するゲームソフトは約950作品。このうち、「凌辱系」と分類される
ソフトのタイトル数は約10%。売り上げで見ると、全体の7%弱にあたる。ただし、レイプレイに比べ
「緩やかな表現のものも含まれている」という。性暴力を想像させるタイトルを謳っていなくても、
ストーリー展開の中に性暴力が取り入れられている場合もあり、担当者は「表現の自由も考えれば、
物語作りという面もある」と規制の難しさを話す。
ソフ倫は審査基準を公表していないが、「児ポ法はもちろん、青少年育成条例など国内の規定に
触れないように配慮した独自の厳しい基準で審査している」(担当者)としている。
ただ、「審査した作品の外国への流通を止めたいが、それも難しい」とも。そのような事情が
ありながらも自主規制に踏み切った背景については、「表現の自由は堅持しつつも、私たちも
社会の理解を得なければならない」と説明した。
■「規制を」「表現は多様にあり得る」…分かれる評価
業界の自主規制にまでつながった「レイプレイ騒動」を、識者はどう見るのか。
日本ユニセフ協会の広報担当者は「(日本の児ポ法が規制対象としていない)バーチャルな作品であっても、
子供を性の対象のように扱うことを社会が認めているというメッセージになりかねない」とした上で、
「世界的な趨勢(すうせい)としては、ネット上のものについても何らかの規制が必要だ、という声が出つつある」と話す。
「表現の自由」への影響を危惧する声もある。
上智大学文学部の田島泰彦教授(メディア法)は「人権団体からの意見はきちんと受け止めるべきだが、
規制は自由な余地を狭めてしまうものでもある。製造自体をやめるのではなく、フィルタリングシステムを
導入するなど、表現の自由をできる限り追求することが大切」と指摘した。
獨協大学法科大学院の右崎正博教授(憲法)も「強姦を疑似体験させるようなゲームは倫理的には
許されないものがあるかもしれず、そのまま放置すれば法的な規制が拡大しかねないため、
その前に作り手側が自主的に対応することは大切。ただ、表現は多様にあり得るわけだし、
ある種のジャンルを一切禁止するのは、少々乱暴ではないか。ジャンルそのものでなく、作品ごとに
個別に対応できるような方法を考えるべきではないか」と話す。