09/05/14 13:04:38
まさに「ウソだろっ」だった。はじめて「国立メディア芸術総合センター設立構想」の話を
聞いた感想である。簡単にいえば「117億円の予算で、お国がマンガ・アニメ・ゲームの
施設を建設」で、2009年度補正予算案に建設費が計上されているという。
情報を教えてくれた若い仕事仲間も、「ムダづかいだ」と批判的だったが、ネットアンケートでも
反対が多いようである(参照:「『国立メディア芸術総合センター』設立構想に」 livedoor リスログ)。
もっとも、ネット特有のバイアスもあるので、割り引いて賛否半々というのが実状に
近いのかもしれない。
ただ、なんとなくマスコミの報道は淡白である。たしかに、新インフルエンザで大騒ぎと
いうのもあるが、新聞もテレビも「しょせんは、マンガやアニメとかゲーム」と冷ややかな
ことも手伝ってか、それほど大々的に報道しなかったのかもしれない。
そもそも計画した文化庁にしても、あいもかわらず「メディア芸術」と称しつづけている。
「世界に誇る『メディア芸術』と位置づけ(中略)日本発の新しいアートの旋風を巻き起こす
ねらい(アニメやゲームに国の「殿堂」 東京都内に設立構想 asahi.com 4月9日)」とされると、
どうも気持ちが悪い。やはり「(世界に誇る)マンガはマンガ、アニメはアニメ」だろう。
しかも「延べ床面積約1万平方メートルの4―5階建(お台場にアニメ美術館=11年度完成、
目標は年60万人―文化庁 jijicom 4月28日)」で「年1億5000万円程度の入場料を見込む(同)」
らしい。どう考えても「その試算で大丈夫か?」となるし、「運営は独立行政法人国立美術館が
外部に委託(同)」と聞けば、なんとなく怪しげな外郭団体の匂いもしてくる。
そうはいっても、過半数近く賛成意見があると推定されるのだから、それなりに必要性を
感じている方々もいるのだろう。もしかすると「マンガ・アニメ・ゲームの位置が上がる」とか
「そのような施設がなかった」とするのかもしれない。
しかし、マンガやアニメやゲームに「総合センター」なんて必要なのだろうか。いつもなら
性急な結論は避けるのだが、この構想に限っては、きっぱりと「止めろっ!」である。
けっして、マンガやアニメそしてゲームが嫌いなわけではない。どちらかというとマンガ好きでも
あるし、アニメも好きだしゲームもする(けっしてヲタクではありませんので念のため)。
しかし、だからこそ「メディア芸術」などとひとつにしてほしくない。そして「総合センター」などど、
お国の都合でまとめあげるのには、憤りさえ感じる。
■ つくり手の評価抜きの「国立メディア芸術総合センター」は単なるハコ
いうまでもなく、日本のマンガもアニメもゲームも、世界に誇るべき文化である(ゲームには
議論があるかもしれませんが)。なにも「総合センター」などつくらなくても、作品のひとつひとつが、
日本文化を世界に発信しつづけているし評価も高い。ただ、そこまで到達させたのは作者であり、
読者である。あえていうが、政府や政治家は、なにひとつしていない。
若い世代には信じてもらえないかもしれないが、いまだに「マンガを読むと……」といわれて
いるように、マンガやアニメが(当時はアニメもマンガの範疇でした)、現代の有害サイトなみに
扱われていた時代があった。おそらく、いまの大臣諸氏が10代か20代の頃だろう。
地域や家庭によって違いがあったが、子どもが書店でマンガを買うのは「良くない」とされていた。
まして、オトナがマンガを読むのは「恥ずかしいこと」だった。それに対して、当時の文部省や
政治家なにをしたか記録にはないが、国会で「マンガの功罪」にいて真剣に議論したとは、
とても思いにくい。おそらく、流れに任せていたのだろう。
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