09/04/18 13:08:39
アメリカ西部を中心に展開する大手ISPのTime Warner Cableは,2009年4月7日(現地時間),
テキサス州西部のビューモント市などを対象にバンドワイズキャップ制の正式運用を開始した。
これは1か月にダウンロードできるデータ量を制限し,上限を超えると追加料金を徴収するか,
サービスそのものを止めるというものだ。
Eメールのやり取りやインターネットの閲覧をしているだけなら,5GBの制限はたいした問題では
ないだろう。だが,ゲーマーにとっては切実な問題になりうる。
オンラインゲームを楽しむ場合,クライアントのダウンロードが必要になる。ゲームのダウンロード
販売も増えており,Time Warner Cableの5GB/29.95ドルのプランでは心もとない。Xbox 360や
PLAYSTATION 3など向けに配信されるデモ版やDLC(ダウンロードコンテンツ)のデータ量でも
1GBを超える場合があり,コンシューマ機をメインで遊んでいる人も,データ量に気を配る必要が
出てくる。
こういったことが分かっていながら,アメリカの代表的ISPがバンドワイズキャップ制の導入を
推し進めるのには理由がある。BitTorrentなどに代表されるP2Pシステムを利用する,著作権
無視のコンテンツ交換を食い止める最後の手段,と考えているらしいのだ。
ただ,そんな“最終手段”によって,最もとばっちりを受けそうなのが,オンラインゲーマーと,
ゲーム/Web産業かもしれない。違法コピーの氾濫や,中古取引の多いパッケージ商売から
逃れ,デジタル流通やオンラインゲームに活路を見出しつつあるゲーム産業は思わぬ制限を
受けることになる。このバンドワイズキャップ制が全米に広がるかどうかはまだ分からない
ものの,アメリカのゲーム開発者がMMORPGを作らなくなるなどという事態も考えられる。
せっかく花が開いた,新しい産業の息吹をつぶしてしまいかねない制度の導入はいただけない。
ISPもビジネスであり,より利益が多い方向にシフトするというのは理解できるが,インターネット
関連産業の地盤沈下を招きかねない手段ではなく,別の方法を模索すべきだと思う。バンド
ワイズキャップ制の導入は,いまのところアメリカに限った問題だが,オンランゲームやインター
ネット関連のサービスをリードしてきた会社に悪い影響が出れば,それがほかの国々のサービスに
波及することも考えられる。日本に住んでいる人にとっても,決して“対岸の火事”ではないかも
しれない。
ソース:
4Gamer.net ― Access Accepted第214回:オンラインゲームに危機到来か!?
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