09/03/18 18:53:58
フィギュア「鉄道むすめ」の1人で東武日光線南栗橋駅を由来とするキャラクター「栗橋みなみ」を
活用した地域振興計画が、栗橋町で進んでいる。発起人は、隣町の県立鷲宮高校を卒業した
ばかりの若林福成さん（18）。在学中にアニメ「らき☆すた」の聖地となった鷲宮町のまちおこしを
目の当たりにし、「自分のまちも元気にしたい」と立ち上がった。つまずきながらも熱意と努力で
周囲の大人たちを巻き込み、プロジェクトチームを結成。夢に向かって突き進んでいる。
■「社会の壁」痛感
中学校から六年間剣道部に所属。がっちりした体は「オタク」のイメージからは程遠い。
そんな若林さんが胸に秘めていた思い。「高校に通いながら、鷲宮町が『らき☆すた』で
活気づいていく様子を見てきた。うらやましかった」
昨年十月、行動に出た。サークルに入るほど好きだった鉄道むすめ。その一人「栗橋みなみ」を
活用し、町を鉄道むすめの聖地にできないか。「合併を控え、慣れ親しんだ栗橋町の名前を
残したいという思いもあった」という。
まちおこしに使うグッズやイベントの開催には、企業の協力が欠かせない。それも鷲宮町の
取り組みから学んだ。鉄道むすめを製造するトミーテックと、東武鉄道に電話した。
いずれも「高校生じゃ話にならない」と門前払い。「社会の壁」を痛感した。
■心つかんだ企画書
「話を聞いた時はピンとこなかったけど、気持ちだけは伝わってきた」。町内で酒店を営む
井上武利さん(64)は、若林さんから相談を受けた時の印象をこう語る。面識はなかったが、
五十歳近く年の離れた若者の熱意に感動。商工会や町に掛け合い、企業との直接交渉にも
同行した。
熱意のほかに井上さんが驚いたことがもう一つある。若林さんが立案した企画書だ。
活動概要から成功要因の分析、静御前の墓やハクレン産卵地といった地域の特色を生かした
戦略展開まで詳細に記している。「プロ顔負けの内容。これを見て大人が応えなければ
恥ずかしいと思った」
企業なども「活性化のアイデアが豊富だった」（鉄道むすめを販売するトミーテック）と、
この企画書が決め手となって協力を了承したという。「高校生が口で何を言っても駄目。
文書という形で伝えなければいけないと実感した」と若林さん。井上さんから「学業を
おろそかにしないように」と注意されていたが、その表現力で大学入試も自己推薦で
立正大学に合格した。
■鉄道学校設立へ
今年一月、ついにプロジェクトチームが発足した。井上さんの人脈を生かし、石材店や
和菓子店、洋品店などから約十人。賛同者も増えてきた。栗橋駅前で飲食店を営む
春山光男さん(58)は「不景気の中で商店が生き残るためには新しい試みが必要。
協力できることがあれば何でもしたい」とエールを送る。
イベント企画は、今秋の商工祭や南栗橋駅近くで行われる東武ファンフェスタでのタイアップ。
グッズでは駅弁や酒の販売などを予定している。中でも力を入れているのが、交流施設
「鉄道学校」の設立だ。旧栗橋北小学校跡地を借り「栗橋みなみ」の母校として一時的に
ファンに開放する計画で、若林さんは「将来的には鉄道サミットの会場にしたい」と夢を膨らませる。
鉄道むすめの認知度向上など課題も多く、実現への道のりは平たんではない。
それでも、一人の若者と地域の期待を乗せた列車は、終着駅を目指し全力で走り続けている。
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