09/02/16 20:00:03
米国最大のコミックス、マンガ、グラフィックノベル専門の出版取次ぎ
ダイヤモンド・コミック・ディトリビューター(Diamond Comic Distributors)が、
大手マンガ出版社VIZメディアの商品1000点以上の取り扱いを停止するとして波紋を呼んでいる。
米国のコミックス情報ブログComics212の記事で明らかになった。
Comics212によれば、この情報はダイヤモンド・コミックが同社の取引先に直接伝えたものである。
リストにあがった作品は、現在の在庫がなくなったあとは追加の発注は行なわないという。
取引を停止する作品には『名探偵コナン』や『テニスの王子様』、『金色のガッシュ!』、
『めぞん一刻』といった人気作品が含まれている。さらに『NARUTO』のDVDやムック本なども
リストに挙がるなど、かなり大胆な取り扱作品のリストラである。
ダイヤモンド・コミックは北米最大のコミックス専門の出版取次ぎで、一般書店や書店チェーンではない、
マニア向けのコミックス専門店に特化して商品を販売している。コミックス専門店に対する影響力は大きく、
かつて独占禁止法で調査を受けたこともある。
このため膨大な数の取引がなくなるVIZメディアにとっては、コミックス専門店への流通力の低下は避けられない。
特にVIZメディアは、現在、少年マンガに偏っている自社のファンを青年層へ拡大しようとしている。
青年層に強いコミックス専門店でのプレゼンス低下は、同社のとって辛いところだろう。
それでもVIZメディアの影響は、リストの数ほどには大きくなさそうだ。ひとつはVIZメディアの
マンガの大半は、マニア向けのコミックス専門店でなく一般書店で売られているためである。
もうひとつは、コミックス専門店への流通は、ダイヤモンド・コミック以外の中小の取次店を利用することが
可能だからだ。だから、むしろ重要なのはダイヤモンド・コミックが、なぜ日本のマンガの取り扱い縮小に
動いたかである。
ひとつは、ダイヤモンド・コミックの経営の問題がありそうだ。2008年のコミックス市場の状況は
悪くなかったが、ダイヤモンド・コミックの経済状況は必ずしもよくないようだ。
同社は非上場企業であるため、経営内容は開示されておらず、その経営状況は不明である。
しかし、既にこの1月に、雑誌形態の商品カタログの発行を中止して、ネットカタログへ移行することを
明らかにしている。さらに同じ1月から、小売店が同社へ注文出来る注文価格の最低ラインを
1500ドルから2500ドルに引き上げている。いずれもコスト削減のためとみられる。
そして、顧客のほとんどが20代以上の男性であるコミックス専門店のマーケットの特徴にも理由があるだろう。
こうした顧客層は、子供向けの作品が多いVIZメディアの顧客とずれがある。
さらに近年は、米国のグラフィックノベルの売れ行きも伸びており、それに連れ発売タイトル数も
飛躍的に増えている。一方で、コミックス専門店の棚に置ける作品数には限りがある。さらに作品数の増加は
ダイヤモンド・コミックの在庫を増大させ、在庫リスクも拡大させている。特にダイヤモン・コミックは、
商品は返品不可の買取で行なっているため、在庫の増大は、ビジネス的には痛手だ。
そこで同社はより売れ筋である米国作品に取り扱いを傾斜することで、この在庫リスクを減らそうと
考えているとみられる。マンガは一般の出版取次ぎも扱っているため、ダイヤモンド・コミックにとっては、
ほぼ流通を独占している雑誌タイプのコミックスに較べて、市場支配力が弱く、
ビジネス的にはうまみも少ないジャンルである。
そしてマンガ出版社最大手のVIZメディアの取り扱い作品はかなり多いから、それを減らすだけでも
在庫は相当数減らすことが出来る。そこで今回は、VIZメディアの作品が特に標的になったと考えられる。
>>2へ続く
The Comics212 URLリンク(comics212.net)
ダイヤモンド・コミック・ディトリビューション(Diamond Comic Distributors)
URLリンク(www.diamondcomics.com)
VIZメディア URLリンク(www.viz.com)
animeanime.jp
URLリンク(animeanime.jp)