09/02/02 20:03:54
話題の小説の魅力を担当編集者が語る「編集部に質問状」。今回は、ファッションモデルを務める美少女ながら
ある“悩み”を抱えた妹と、兄である高校生をコメディータッチで描く「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」
(伏見つかさ、アスキー・メディアワークス)です。担当の三木一馬さんに話を聞きました。
(回答はほぼ原文のまま掲載)
--作品のあらすじについて教えてください
やや小難しい感じで説明してしまうのですが、この作品は、よくある妹モノではありません。僕たちが暮らす
リアル世界の日常に存在するような「妹」を描いたお話です。家ですれちがってもあいさつ程度で、お互いが
やっていることに興味なし。家に居ないほうがほっとする……。既存のゲームやアニメでよくあるような
「妹」なんて存在しないんだ! そんな観点からスタートしています。そして、そんなリアルな妹が、
なぜか冷戦状態の兄に奇妙な「人生相談」を持ちかけてきて……さてどうするよ兄貴!というのがあらすじです。
つまりまとめますと「ファッションモデルを務める美少女ながらアニメやゲームが大好きという妹を
持ってしまった高校生の苦悩をコメディータッチで描く」作品です。
--作品の誕生した経緯は
「十三番目のアリス」の執筆が一段落した伏見さんと次回作を練っているときに、上記のような「妹」像を
テーマにした小説はどうでしょうか? とアイデアを提案したところからです。具体的には「んっふっふ……
俺、チョー面白い企画思いついちゃったァ~ん♪」と電話しました。伏見さんから、かなり嫌そうなリアクション
をされた記憶があります(そういえば、なにか自分から提案したときはよく苦笑いされます)。きっかけは
その電話ではありましたが、それ以降は伏見さんがリードをとり、担当編集二人が脇をかためて作り上げた
モノだと(勝手に)考えております。
--作品の読みどころは何でしょうか?
やはり、イマドキ中学生の高坂桐乃(こうさか・きりの)というキャラクターでしょうか。物語は兄である
京介の一人称で進んでいくのですが、伏見さんによる京介の口語体が非常に読みやすく、かつ桐乃を魅力的に
描いてくれています。オタクネタもふんだんに盛り込まれていて、その面白さはもちろんあるのですが、
そちらはあくまでエッセンス。リアルな「妹」にいじめられたい方はぜひ一読してみてください。
--作者の伏見さん、イラストレーターのかんざきひろさんについて教えてください
作者の伏見さんは、真面目な方です。暴走気味の文章を書いた後、編集部でこっそり反省している姿を何度も
見かけました。打ち合わせ中、過激な発言をするときもあるのですが、それは悪気ない愛情からくる言葉で、
「より良いモノを作るための発言なのだなあ」とよく思います。僕への辛らつなダメ出しも、きっと、
そうですよね……? ともあれ、その姿勢が作品に反映されていて、何度も繰り返す修正の相談にも真剣に
対応してくださってます。もう一人の担当編集含め、良いチームを作れているなと個人的に感じています。
そしてイラストレーターのかんざきさんは、多才すぎる人です。イラストレーターとして魅力的な絵を描く
だけでなく、トランスというジャンルの音楽を自分で作曲したり、そのイメージカットを自分で描いたり、
バリバリアニメをつくったり……いつ寝てるのでしょうか。たぶん寝てません、きっと。そんな中でも、
仕上げるイラストは素敵なものばかりで、大変感謝しております。あと、かんざきさんはすごくきゃしゃ
なので、もっとご飯を食べた方が良いと思います。
--読者にひと言お願いします。
リアルな日常に存在する妹は、生意気でわがままでいうことを聞きません。でも、そんな妹にも良いところが
あって、たまーにですが気をつかってくれたり、むかつくことばっかりするのに危なっかしい一面があったり、
どこかほっておけない存在なのだと思います。そういったなにげない描写に兄妹のきずなというものがあって、
そのきずなをコミカルに描いた作品が「俺の妹」です。もし興味がわいたようなら、よろしくお願いいたします!
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」 アスキー・メディアワークス 599円
まんたんウェブ
URLリンク(mainichi.jp)
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