08/12/23 13:10:05
「経験経済」という言葉をご存じだろうか。サービスの提供によって対価を得る第三次産業が,
世界の先進国の中心産業となっているわけだが,そうした状況のなか,最新のマーケティング
研究では,さらにその先の“製品の質や便利さを超えた価値”……つまり,“顧客の経験”に
焦点を当てた産業が注目されているという。
そんななか,2008年9月に一冊の学術書が出版された。「人はなぜ形のないものを買うのか」
と題したこの本は,オンラインゲームを中心に,なぜ人が形のないサービスにお金を払うのか,
お金を払う価値のあるサービスとはなんなのかを,自らの体験と地道な研究をベースに
探求したものだ。
今回4Gamerでは,その著者でもある,成蹊大学の准教授 野島美保氏にインタビューを行い,
なぜプレイヤーがオンラインゲームやそのほかの無形のサービスにお金を払うのか,
その動機,心理について話を聞いてみた。
■ オンラインゲームは「経験経済」の産業モデル?
4Gamer:本著におけるオンラインゲームの価値分析では,「居場所」というのが一つの
キーワードになっていますよね
野島氏:そうです。オンラインゲームの価値を考える……つまり,「なぜオンラインゲームに
お金を払うのか」を説明するには,先ほどもお話したように,物質的な面では決して
語れませんよね。繰り返しになりますけど,なにしろ「物がない」わけですから。
そこで私が注目したのが,「経験経済」という新しいマーケティングコンセプトでした。
“顧客の経験”に焦点を当てた価値を求めるべきだという理論です。
4Gamer:具体的にはどんなものが相当しますか?
野島氏:例えば,ドトールコーヒーやマクドナルドで売られているコーヒーが200円以下で
あるのに対して,なぜスターバックスのコーヒーが4~5割も割高な,場合によっては
500円近くでも売れるのか,という話ですね。そこには,物質的な価値……つまり,味だとか
コーヒー豆の品質だとか,そういうもの以外の価値。スターバックスでコーヒーを飲むことの
心地よさやお店の雰囲気だとか,顧客の経験/体験を含めたトータル的な価値があるから
だという指摘です。
“経験”という無形の価値を商材に付加させることによって,より強い競争力を得ることができる。
価格や品質とは違う面で勝負ができ,結果として,企業に高い収益性をもたらすというわけです。
URLリンク(www.4gamer.net)
4Gamer.net(一部抜粋)
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