08/12/01 00:00:17
自分が病人であると思い込んでいた健常者や、健常者であると思い込んでいた病人が
それぞれ健常者や病人としての真の身分をわきまえた時、
関係性がそのまま逆転するのではなく、転倒が転倒でなくなるに応じて色々と替わる。
自分が健常者だと思い込んでいた病人は、己の病の苦痛にかられて
本当は健常者である病人もどきを蔑んだり馬鹿にしたりするが、
本当に健常者である健常者が、己の健常を自覚した上で、真に病気である病人に接する時、
本気で哀れむ。冗談ではなく神妙に哀れむ。病を悪化させぬように気遣い、
なるべく快方に向かうよう考慮する。例え蔑まれ続けてきたような相手であっても、
真性の病人だから、苦痛は遥かに病人のほうが上だから、明らかに。
慈悲だの許しだのと大袈裟な寛容ではなく、自分と同じ人間が、自分もかかり得る病気にかかって
苦しんでいるのを、人として当然な程度に哀れんで、できるだけの治療の協力も惜しまない。
ただ後は全ての病人たちが、己の病を十全に自覚して、素直に治療に専念してくれることを願うばかり。