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1996年、サッカーの試合中に落雷に遭い、重度の障害を負った高知市の北村光寿さん(28)と家族が、
当時、在籍していた私立土佐高校(高知市)と、開催した大阪府高槻市体育協会に損害賠償を求めた訴訟の
差し戻し控訴審判決が17日、高松高裁で言い渡される。
最高裁は2006年3月、「引率教諭は落雷を予見できた」と、原告敗訴の1、2審判決を破棄し、審理を
同高裁に差し戻した。差し戻し審では、危険を察知後に生徒を避難させ、事故を回避できる方法があったか
などが争点となった。課外のクラブ活動の安全を巡り、学校などが負う責任の程度について、高裁の判断が
注目される。
私立土佐高校1年のサッカー部員だった北村さんは96年8月、同協会が開いた
「高槻ユース・サッカー・サマー・フェスティバル」の試合中、落雷を受けた。
2か月後に意識を取り戻したが、視力を失い、下半身まひなどの障害が残った。
最高裁の判決は、「課外のクラブ活動では、教諭はできる限り事故の危険性を予見し、未然に防止する措置をとり、
生徒を保護する注意義務を負う」と言及。事故当時も暗雲が立ち込め、雷鳴が聞こえるなどの状況からすれば、
危険が迫っていることは予見可能で、教諭が注意義務を怠ったと判断。予見可能性を否定した1、2審を破棄した。
06年7月から始まった差し戻し審で原告側は、「グラウンド外周に約10メートル間隔で立っていた
高さ約8メートルのコンクリート柱付近に避難させれば、事故は防げた」と主張。
被告側は「原告が主張する避難の方法は一般的でなく、生徒の誘導は非現実的」と回避できた可能性を否定した。
北村さんは現在、高知県立盲学校に在籍。寮で暮らし、大学進学に向け、勉強に励んでいる。
リハビリで音声パソコンを操作することができるようになったが、常時介護が必要という。
今月5日、読売新聞の取材に応じた北村さんは「裁判では多くの人に支えられてきた。公正な判決を願っている」と話し、
母みずほさん(56)は「二度と事故が起こらないようにするのが私たちの務め。責任の所在が明らかになり、
光寿が前向きに生きていけるような判決を期待したい」と語った。
(2008年9月14日 読売新聞)
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