08/09/14 03:31:47 tmNbkrW20
小田嶋隆「大日本観察」6(終)
とすると、これは、視聴率がどうしたとか、
スポンサーがどうのといった問題ではない。
野球という文化の、基礎となっているイディオム(慣用句)が、
丸ごと無効化した最終段階にどのような対応をすべきなのかという、
終末医療の問題である。
結局、文化には寿命があるということなのかもしれない。
言い換えれば、ごく一部の例外を除いて、スポーツや音楽の流行は、
ひとつの世代の人間たちの生き死にと運命をともにするものなのだ。
だから、B.B.キングとともにブルースが滅び去り、
マイルスの死にタイミングを合わせてジャズが行き過ぎ、
オレら五十代の人間たちの肉体的摩滅とともに
ロックが滅亡しつつあるのと同じように、
野球もまた、表舞台から去っていく運命にある、と。
ひどい結論になった。
なるほど。
この話題に、誰も触れたがらなかった理由が、
最後になって明らかになった。
要するに、野球について語る人間は、
自分たちが時代遅れであることについて
語ることになるわけだから。