08/09/11 09:42:56 0
(>>1の続き)
では、その力関係を考えると、「グループ会社なのだから、劇場と配給の力関係は対等では?」
と思うかもしれないが、実は劇場のほうが断然上なのである。自社作品に対しては多少の譲歩が
あったとしても、実際に観客の入りを目にし、生の声を聞いているのは現場の人間なのだ。
ヒットしている作品があれば、公開待機中の作品を遅らせ、収入が見込めない自社作品を
かけるよりは、他社の作品でも利益の高いほうを優先する。結果、1館でも多く開けたいという
配給側の想いと、作品数が多く劇場が少ない現実を加味すると、決定権を持つ劇場側が
自然と力を持つ形になってしまう。
例えば、大ヒットが記憶に新しい東映配給の「相棒 劇場版」は、最低限決められた公開期間
である“ファーストラン”を終えた時点で、同規模公開のロングランが決定。その後の東映作品
として控えていた「神様のパズル」に影響を与えたのは言うまでもない。ただ、映画会社が
絡まない単館系の映画館に関しては、チェーン系ほどの厳しさはない。館主の好みで作品を
チョイスすることが大半で、ヒットするにこしたことはないが、さほどヒットだけに捉われても
いないからだ。その裏には、ホラーが強い、B級アクションなら任せろ、といった具合でイメージの
付いている劇場が単館系に多く、馴染みの客が付いているという点も大きいだろう。
ただ、力関係では劇場が上だが、入場料から得た利益を折半する際はそうでもないのである。
一般的に、邦画は50%ずつで分け、洋画は仕入れ値が高いため、配給側が55%、劇場側が
45%で、と業界では言われている。だが、これも場合によりけりで、絶対にヒットすると分かって
いる作品では配給側が70%という割合もあれば、上映期間によって変動していくこともあるのだ。
とはいえ、箱がなければ映画は上映できず、作品がなければ映画館の意味はなしと、結局、
持ちつ持たれつの関係。そんな中でのせめぎ合いが、なんとも面白いのである。