09/04/03 09:04:59
女性は「何度もお願いしたのに聞いてもらえず、貧乏人は死ねということかと悲しく思っていた。
給付が認められれば安心して治療に専念できる」と話している。
生活保護を受給している北九州市の無職女性(59)が、難病の多発性骨髄腫(しゅ)にかかり、
保険適用外の未承認薬による治療費を払えずに苦しんでいる。
未承認薬の治療は原則、生活保護の給付対象とならないためだ。女性は病院が立て替えた
費用を少しずつ返済しながら治療を続け、5年前から行政に窮状を訴えてきた。事態を受け、
厚生労働省は、命にかかわるなど一定条件を満たせば、未承認薬の治療費を給付対象と
認めることを決めた。
生活保護の受給者が病気になった場合、生活費とは別に医療費が支給されるが、保険が
適用されない治療は給付の対象外。生活保護法の基準では、特別な事情があれば厚労相が
「特別基準」を適用し、例外的に給付を受けることができるが、未承認薬治療で給付が認めら
れたケースは「少なくとも過去20年はない」(厚労省保護課)。
多発性骨髄腫は血液のがんの一種。国内では未承認で保険適用外の薬サリドマイドに
治療効果があるとされる。しかし、未承認薬を使うと診療自体が保険のきかない自由診療と
なり、治療費は全額自己負担。
北九州市の女性は、高額な治療費を自力で払えないため、病院側に立て替えてもらい、少し
ずつ返済しながら闘病中だ。保険適用される他の薬も試したが体質に合わず、主治医からは、
今のところサリドマイド以外に有効な治療法はないと診断されている。
女性は夫と離婚し、働きながら3人の子どもを育てた後、病気がわかった。入退院を繰り返し、
仕事も辞めざるを得なくなった。行政に相談しても聞き入れられなかったという。
こうした事情に対し厚労省は、同省の「未承認薬使用問題検討会議」で承認の必要性が検討
されている医薬品に限り、一定の条件を満たせば生活保護の特別基準を適用することにした。
先月の地方自治体への通知では、適用条件として〈1〉命に直接影響がある〈2〉他に代替する
医薬品がない〈3〉主治医の責任で適切に管理される―を示した。
女性は「何度もお願いしたのに聞いてもらえず、貧乏人は死ねということかと悲しく思っていた。
給付が認められれば安心して治療に専念できる」と話している。
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