09/08/17 19:59:07 QREkWZ83
俺は、浜松市に生まれ、小学校四年生までそこで育つ。
小学校四年の途中、名古屋市千種区へ引越しすることになる。
そこで、俺は宿敵の「彼」と出逢う。聞けば、銀行員の息子らしい。
そいつは天才肌だった。小学校時代から勉強、いや頭脳を使う物事は抜群に出来た。知能
テストではトップ(彼がトップの成績だったということを担任の教諭が発表した。クラス中
が「やっぱりお前か」「さすが天才」とざわめき、彼をたたえた。…どうでもいいが、知能テスト
の結果をみんなの前で発表するのは教諭の守秘義務違犯でないか?)。中学受験なんてしない
のに小学校時代からかの有名なK塾に通い、もちろん小学校の成績はいつも満点近く取っていた。
小学校の同じクラスに有名私立中学に進学した人間もいたが、「あいつにはかなわんわ」と舌を巻い
ていた。学校で習うような事項以外にも博識で、一丁前に政治経済に関する薀蓄も披露していた。
加えて、運動神経も抜群と言わないまでもかなり良かった。バスケが得意で、勉強の合間にドリブ
ルシュートの練習をするのが息抜きだと語っていた。小学校の卒業文集には「将来の夢は裁判官」と
書いていた。
ただ、手先はそんなに器用でなかったため図画工作は平凡だったのが、彼の唯一凡人らしい一面だった。
対して俺は、全くの凡人だった。小学校時代は人並みに友達の輪に入り屋外遊びや屋内遊びに興じ、塾
など行かずもちろん中学受験など考えず、ただただ過ごす日々。成績も平凡で、小学校のテストは平均
して70点台後半で得意の算数でたまに100点を取ればウキウキしながら親に報告するくらいの、中の上か
上の下といった成績だったと思う。
運動も冴えなかった。近所のサッカークラブに入るが、小学校六年生になっても補欠だった。何をやっても
平凡な、どこにでもいそうな小学生。
彼はなぜか俺を目の敵にしては口喧嘩を挑み、俺もムッとして反論するが頭の差は如何ともし難くいつも言い
負かされた。勉強や運動の成績が劣る事もよく馬鹿にしてきた。今思えば、俺のような凡人に彼のような
天才が能力自慢するのも無駄だと思うのだが。
(つづく)