09/01/17 04:58:45 h8gk7ZeB
161 :素敵な旦那様 :2006/03/26(日) 10:58:21
中学生の頃、親と喧嘩し、自転車に乗って家を飛び出した。
60km余り離れた叔母の家に行こうと思い立ち、
道が判らないので、線路伝いの道を走った。
が、川を渡る時に大きく迂回しなければならず、
そこで方向すら判らなくなってしまった。
時間は夜8時を回り、人通りも少なくなっていた。
閉店しようとしているケーキ屋を見付け、そこの小父さんに道を尋ねた。
小父さんは、目的地を告げると、
「え~!そりゃあ自転車じゃ無理やで~」と言い、
「お金出したげる。自転車も預かっといたげるから、電車にしとき」
とまで言ってくれた。
元はと言えば、自分の我侭で親と喧嘩した事が発端だったので、
見ず知らずの人のそんな厚意に甘えるわけには行かなかった。
自転車で行く意志が堅い事を見て取り、
小父さんは「ちょっと待ってな」とシャッターを開けて店の奥に引っ込み、
やがて戻ってくると小さな紙袋を差し出した。
「これを食べながら行きや」
開けると、中は甘い匂いのするクッキーだった。
その日、そのクッキーを頬張りながら3時間走り、
なんとか叔母の家に辿り着く事が出来た。
翌日、自宅に帰ったのだが、親から大目玉を食らった事は言うまでも無い。