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「手作りのお菓子を嫌がる人が多くてびっくり。皆さんはいかが?」―こんな話題が、
インターネットの掲示板「発言小町」で注目されている。
手作り歓迎派は3割強と思いのほか少なく、敬遠派からは「褒めなきゃいけないから面倒」
「衛生面が不安」などの声。「手作り」が必ずしも喜ばれる時代ではなくなってきていることを
うかがわせる。
この質問を投げかけたのは30歳代主婦。「高校生の息子は、私が友人から頂いた
手製のお菓子を『手作りは嫌』と言って食べません。そういう反応、普通?」と書き込んだ。
手作りは遠慮したい、という人の多くが、精神的な負担を挙げた。「職場に作って来る人が
いるが、口に合わなくても本人がいるので褒めなければならず、気を使う」。「マナーとして
お礼は言うが、決して『また作ってね』と言わないようにしている」という自衛策も披露された。
衛生面が気になるという人も多い。「もしかしたらクシャミしたかも、手洗いしてないかも、
なめた指やスプーンで調理したかも」と、清潔かどうか分からない状況で調理されたことが
不安だと訴えた。
作る人やモノによる、という意見も。「清潔感が大事。外食も入りたい店と遠慮したい店がある」
「仲の良さにかかわらず、部屋が汚い人の手作りは嫌」。おにぎりやおはぎなど、手で成形する
モノは苦手という人も多かった。
手作りのお菓子や料理はかつて、ぜいたくでオシャレな品として喜ばれたものだ。
バブル崩壊後の1990年代には、栗原はるみさんや藤野真紀子さんなどの料理研究家が
人気を集め、お手製でもてなすことがブームになった。レシピ本を見て作ったお菓子や料理を
美しく包装し、手みやげにする人も多かった。
ところが、今では必ずしも喜ばれなくなってきている。
博報堂生活総合研究所所長の嶋本達嗣さんは「食への不安の高まりが、身近な人の
手作り品にまで及び、過剰な自己防衛、疑心暗鬼になっているのではないか。
また、社会全体のぎすぎすした雰囲気が、手作り品を受け入れる柔和な雰囲気や余裕を
失わせているように思う」と指摘する。
もちろん手作り歓迎派も健在だ。「フルタイムで働く2児の母。市販品を買うばかりの私にとって、
手作りならではの味はうれしい」。「家庭によって味付けや材料の切り方が違うのが面白いのに……」
と残念がる声も。手作り派を自任するひとりは「神経質に考えず、口に合わないものがあっても、
お互いさまの気持ちでおおらかに楽しめる方が幸せです」と書き込んだ。
確かに味や見た目も大事だが、誰かのために作る手間や気持ちをおもんばかる余裕が、
もう少しあってもいいのかもしれない。
読売新聞
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