04/03/07 11:30
ピーッ、指令卓の警報が鳴ると同時に拡声器から出動要請が聞こえた。
「吉野家台場227号店ニテ状況305発生。継続中。緊急出動、送レ」
305だと。武装襲撃か。私は待機室に連絡を入れると部屋を出た。
階下の駐車場に着いたのは部下とほぼ同じだった。
「隊長!現場までの緊急走行許可申請中、あと15秒!」
「よし、全員乗車。装備は4番、急げ」
車内で4番装備 ー対テロリスト用ー の銃から弾倉をはずすと徹甲弾の黒く
光る弾頭を確認した。
「隊長、相手はどこでしょう?洋食?中華?」
「おそらくはMcだろう。有明の奴らの巣が一風堂原理主義者の自爆テロに
やられたのを俺たち和食業界の陰謀だとわめいてたからな」
部下のざわめきが止まった。Mc…背後に在亜細亜米軍がいると噂される
洋食業界きっての武闘派だ。手ごわいかも知れない。
だが、こちらも日本の食を立ち食い蕎麦連合、回転寿司同盟と並んで
背負う最大手だ。負けるわけにはいかない。
2104年、政府が経団連に国家経営を譲り渡してから30年。
企業間の争いは国家を巻き込んで血で血を洗う戦国時代の様相を呈していた。
外食業界などは「食い物の恨み」が反映される分、より生々しい。
100年前の中華と欧米のマフィアのウィルスのばらまきあいから始まった
だけに終わりが見えない戦いでもある。