03/11/15 21:15
耳障りなサイレンが鳴った。昼休みだ。疲れ果てた体を引きずりながらフードセンターに向かう。
ここは地下200メートル。一筋の光りさえ届かないここにも吉野家はある。
というより、吉野家しかないのだけれど…
しかも、俺みたいな第三種日本人は地上の方々のように養産牛肉は食べれない。いや、食べたことなどない。合成タンパクの牛肉もどきが当たり前なのだ。
地下廃棄物処理場(通称夢の下)建設現場に来てからはや三年だ。これが完成した時には日本人管理局に掛け合って第二種日本人にしてもらうんだ。
そうすれば地上に上がれるし結婚もできる。はかない夢を抱きながら全てが人工の牛丼を食べる。俺はいつから太陽を見ていないのだろうか?