10/07/15 23:51:54 SnLuvk3B
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***同要塞内・フレデリカの寝室***
夫の無惨な最期を見せられた精神的ショックで、
ここ数日間は寝たきり生活を余儀なくされていたフレデリカであったが、
とりあえず政治的指導者の地位を引き受ける事となった。
地球連邦の有力政治家であったリリーナへの遠慮もあってか、
いずれ然るべき指導者が擁立されるまでの代行という条件付ではあったが。
フレデリカ「私はあの人と12年間付き合ったわ。最初の8年間は単にファンとして、
次の3年間は副官として、次の1年間は妻として、そしてこれから、
未亡人としての何年か何十年かが始まる。月日を自分で培わねば
ならないとしたら、私はあの人の築いた土台に、埃以外のものを
1ミリでもいいから積み上げたいわ。それに、残された者がここで
挫折してしまったら、"テロによって歴史は動かない"というあの人の
主張を、私達の手で覆してしまうことになるわ。だから、分不相応を
承知で、私は義務を果たすつもり。ヤン・ウェンリーを怠け者と言う人が
いたら、私が証言してあげるわ。あの人はあの人にしか果たせない義務を
おろそかにした事は一度だってない、ということを……」
ユリアン「……ご立派です、フレデリカさん」
フレデリカは急に頭を激しく横に振り、泣き崩れた。
フレデリカ「立派ですって! 私は立派なんかじゃないわ! 真実を言うとね、
私は地球なんか滅びてもいいの! 全宇宙が颱宙ジェーンに
飲み込まれたって構わない! あの人が、私の傍で半分眠りながら本を読んでいてくれたら……!!」
どう応じたらいいのか、ユリアンには判断がつかなかった。彼は、つい口を滑らせた自分の未熟さを心から呪った。
886:こんな缶詰は嫌だ
10/07/16 17:19:45 O6cLd0NT
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***惑星ゴロンボ***
惑星ゴロンボは古くから銀河の要衝として栄えた宇宙の波止場町である。
銀河帝国軍、アーヴ星界軍、ガルマン=ガミラス星間帝国等が銀河系の覇を競う中、
完全中立地帯に属し、一切の戦闘が禁止されているため、戦争中と言えども繁栄に翳りはなく、
むしろ銀河全域から集散する物資で常に潤い、フェザーンの貿易商たちが大手を振って
闊歩するその様は、さながら自由貿易都市といったところである。
少女「おじさん。賭けない?」
屋台でおでんを肴にコップ酒を飲んでいた、旅の軽装といった出で立ちのその中年男は、華やいだ声に思わず振り向く
少女「ね、賭けなよ」
中年男「賭ける? 何を?」
少女「ゴロンボに来て賭けるって言ったら、この頃流行りのドッグレースに決まってるじゃない。
それを知らないところを見ると、おじさんゴロンボは初めてだね?」
中年男「実はそうなんだ」
少女「じゃ、なおのこと賭けなきゃね。そのしみったれた顔も、少しは明るくなる事請け合いさ」
中年男「ところで、そのドッグレースっていうのはどんな犬が走るんだい?」
少女「これよ」
犬券売りの少女はポケットから、一枚のチラシを取り出した。
それには今夜出走予定の犬の一覧表と共に、疾走する犬の写真も印刷されていた。男は興味深そうに、その写真を凝視した。
887:こんな 50TA は嫌だ!
10/07/16 23:53:13 bEB5lNQs
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中年男「強化犬(バイオドック)とはな……」
少女「わかる?」
中年男「わかるとも。失業した強化犬が地球連邦軍から民間に払い下げられたという
噂は聞いていたが、こんなところで余生を送っていたのか」
少女「あら、お客さん。詳しいのね」
少女は笑いながら言った。『おじさん』から『お客さん』に格上げである。
中年男「まあな、これでもついこの間まで軍にいたのさ」
少女「じゃあ、地球連邦軍がDショッカーに負けたんで、失業したんだ。
この前もヤン提督っていう、地球連邦軍の偉い人がDショッカーに殺されちゃったんだもんね……」
中年男「(少し寂しそうに)そんなところかな……。オススメはどいつだ?」
少女「どの犬もよく走るよ。でもね、(男の耳にそっと囁いて)すっごい予想屋がいるんだ…」
中年男「予想屋?」
少女「百発百中。それこそ狙った予想は外さないの。しかもそうやって稼いだお金は、
その晩のうちにきれいに使っちゃうの。そりゃ金放れがよくてね、しかも気前が
いいもんだから、このへんじゃ神様で通ってるわ」
中年男「なるほど。要するにそいつの賭けた外馬にのって賭けてりゃいい訳か」
少女「あたりい♪」
中年男「でもそれじゃ、賭けの胴元は商売が成立しないだろう」
少女「(笑いながら)いいのよ。どうせ遊びでやってる胴元だもん。金が使いきれいなのよ。
それに胴元の親分さんまで、あの人の大ファンなんだから! 一目で誰でも好きになると思うよ」
中年男「その予想屋とやらに会ってみたいもんだな……」
888:こんな山小屋は嫌だ!
10/07/17 07:50:58 jmaOjQKW
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男が5杯の焼酎と2皿のおでんを空にした頃―問題の予想屋が現れた。
少女「来たよ」
中年男「あれがそうか」
男は予想屋を見た。ほどよい酔いもいっぺんに覚めた目だ。
労務者風の男数十人を従えて、予想屋がその先頭を歩いてくる。
特に威張っているとか、威風堂々とした感じではない。だが、
まぎれもない彼は、この裏街の王様であった。
顔中髭だらけで髪は伸び放題。どうやら黄色人種のようだ。
少女「どう、男前でしょう?」
少女は男に囁くが、男はまるきり聞いていない。
少女「どうしたの? 顔色悪いよ」
男は答えず、背広のポケットから何かを取り出した。
携帯通信機であった。スイッチを入れる。
889:『いきものがかり』こんな聖恵はイヤだ!吉岡聖恵7
10/07/19 08:04:12 XmUCG+X2
>>563
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中年男「私だ」
通信機の声「大佐」
中年男「見つけた…ついに見つけたぞ!」
通信機の声「本当ですか!?」
中年男「間違いない。私も信じられんよ。これもきっと天国におられるヤン提督のお導きだろう。
ただ、別人の如く変わってしまっておられるが……」
通信機の声「噂は本当だったのですね!」
中年男「ああ。転送の準備をしておけ。場合によっては強制転送ということもありうる。
Dショッカーに気付かれないように、くれぐれも慎重にな…!」
通信機の声「了解しました!」
男は通信機をポケットに戻した。
少女「なに、いまの?」
不思議に思った少女が喰いついてきたので、その中年男=ヤスダ大佐は答えた。
ヤスダ「スパイごっこさ」
890:こんなマリみては嫌だ バーガー屋で昼58ん
10/07/20 06:54:47 MyrC3Fs7
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「4-5だ!」
「奇跡だ!」
「奇跡を予想しやがった!」
「さすがは大将だ!」
「いや、大統領様だぜ!」
「大将、大将、大将、大将!」
犬券場で怒号と歓声が飛び交う中、周囲からおだてられる例の予想屋を見つめる二人
一人は、生前のヤン・ウェンリーから特命を受け、宇宙各地を旅しながらタイラーを捜しつづけていたヤスダ大佐
そしてもう一人は、タイラー発見の報を受けて、急遽イゼルローンから惑星ゴロンボへと駆けつけて来たユリアン・ミンツ中尉である。
ユリアン「あの人が…ジャスティ・ウエキ・タイラー提督」
ヤスダ「そうだ。かって君の用兵学上の師であり養父でもあったヤン・ウェンリー提督と並び地球連邦軍の双璧と称された御方だ」
891:こんなアカギはいやだ 8局目
10/07/20 15:28:45 XEnXn446
>>152
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ユリアンにはとても目の前の男がそうは見えなかった。
ヤン提督はタイラーなる人物を買かぶっていたのではないかとさえ思えるほどだ。
(尤も…その不信感は、のちにタイラーの実際の実力を戦場で目の当たりにすることで
すぐに払拭されることとなるのだが…)
周囲の歓声に照れる予想屋の前に、人影が立った。ヤスダ大佐である。
ヤスダ「お懐かしゅうございます、提督」
予想屋「ん?」
そう呼ばれ、予想屋は一瞬ヤスダを見た。
ヤスダ「昔とちっとも変わっておられませんなあ……」
予想屋「そういう君は」
ヤスダ「お忘れですか?」
予想屋の男=地球連邦軍退役元帥ジャスティ・ウエキ・タイラーはニッコリ微笑む。
タイラー「ヤスダ~!」
ヤスダ「タイラー閣下!」
感動の再会であった。
892:車屋からの反撃!ウザイ客!はこんな奴 9
10/07/21 03:06:01 ulzKqgvf
>>177
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タイラー「元気だったか、貴様!」
ヤスダ「閣下も元気そうで何より」
タイラー「当たり前だ。僕から元気を取ったら何が残る!」
ヤスダ「無責任が残ります」
タイラー「言ったな、コイツめ!」
その二人をきょとんとした顔で、港湾労働者たちが見つめる。
労働者「大将、その御方は?」
タイラー「こいつか。こいつは昔の部……いや、友達だ。一緒に組んでデカイ仕事をしたこともある」
労働者「では、その方も、大将と同じ予想屋さんで……」
ヤスダ「ま、そんなもんです」
タイラー「どうだヤスダ。ここで会ったのも何かの縁だ。今夜は僕のうちで飲み明かそう」
ユリアン「よろしいのですか?」
タイラー「構わんよ。少々狭いがね」
ヤスダ「では、お邪魔させていただきます」
893:堪忍袋の緒が切れた!こんな純男は嫌だ!
10/07/21 07:27:48 PWR5suLc
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***郊外の老朽したアパート***
本当に狭かった(笑)
タイラー「ま、上がりたまえ。そちらの君も遠慮はいらんよ」
ユリアン「は、はあ…」
タイラー「お~い! ユリコ! 今帰ったぞう!」
ユリコ「おかえりなさい」
洗物をしていたタイラーの妻・ユリコが振り向く。
ヤスダ「お邪魔します。お久しぶりですなあ、奥さん」
ユリコ「まあ、ヤスダ大佐。よくここがわかりましたわね」
ヤスダ「そこはそれ、勘ですよと言いたいのですが、実のところ苦労しました」
ユリコ「でしょうねえ……」
ヤスダの照れ笑いの奥に、ユリコは全てを察した。
ユリコ「まあ、とにかくお掛けになってくださいな。見ての通り、汚いところですけれど。今お茶を入れますから」
ユリアン「あ、お気遣いなく」
ヤスダ「いいから飲んでおきたまえミンツ中尉。ユリコさんのお茶の味は、
軍の秘書官時代に、あの故・ミフネ中将をも感嘆させたものだ」
四畳半の畳の間を、丸い卓袱台をはさんで、かっての上官と部下は向かい合った。
タイラーは、まだ1歳になったばかりの娘のキサラを、胡座をかいた膝に抱え、ヤスダとユリアンは正座である。
894:こんなスフィアは即解散
10/07/21 11:44:38 IW/FaIGR
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タイラー「娘がこれなもんでね、失礼するよ」
ヤスダ「構いませんとも」
ユリアン「可愛いお嬢さんですね」
タイラー「ええ~っと…君は…?」
ユリアン「申し遅れました。地球連邦軍イゼルローン要塞駐留艦隊所属ユリアン・ミンツ中尉であります」
タイラー「イゼルローンというと…ヤン・ウェンリー提督の?」
ヤスダ「ミンツ中尉は今は亡きヤン提督の被保護者にあたります」
タイラー「そうだったのか。ヤン提督には気の毒なことだった……」
どうやらタイラーも、あの時にDショッカーが全宇宙に流した映像を見ていたらしかった。
ヤスダ「ええ、惜しい人を亡くしました……」
タイラー「で、まさか遥々ゴロンボまで、娘の顔を拝みに来た訳じゃないんだろ?」
ユリアン「はい」
ヤスダ「ヤン提督と共に宇宙一と並び称された提督が、2DK住まいですか」
タイラー「そうなんだ。地球連邦政府から軍人恩給が出ていれば、もっといい
マンションも借りられたんだが、Dショッカーに地球が占領されている
今となっては、当然恩給の支給も差し止められてしまっていてね…」
ユリコ「でも今の住まいで充分ですわ。親子三人つつましく暮らすには…」
タイラー「それに、なんだかこれくらいが、僕にとっての分相応という気が
最近してきたよ。軍に入らず、三流会社のサラリーマンにでもなっていたら、
元々このくらいじゃないかな。平和で、幸福だよ」
ヤスダ「勝手にご自分の評価を気安く決めないで頂きたい!」
ユリアン「宇宙にはまだまだ貴方を必要としている人が大勢いるんです!
貴方だって、あの映像をご覧になって、ヤン提督の遺言をお聞きになったはずだ!」
ヤスダとユリアンは思わず声を荒げた。
895:こんな喫茶店があったら通いたい
10/07/21 16:31:28 479vEZ9i
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タイラー「おや、いつになく真面目なのねヤスダちゃん。それにユリアン君まで」
ヤスダ「マジにもなります!」
タイラー「確かに今全宇宙はDショッカーに荒らされ、さらにはそれに
反世界の侵略とやらも加わり大変な事態なのは僕にも解かる。しかし、
地球の人類解放軍には倉間鉄山将軍や岡防衛長官、それにイゼルローンには
アッテンボロー提督だっているだろう。今更僕の出番じゃないさ」
ユリアン「宇宙はそれ以上の未曾有の危機を迎えているんです!」
ユリコ「なにかあったんですの? ユリアン君、それにヤスダ大佐」
ユリコが心配そうに傍に座った。
ユリアン「話せば長くなります。それに今の幸福そうな貴方方にこんな話をするのは酷かもしれない……」
ユリコ「そう言われると、ますます聞きたくなるわ」
ヤスダ「このことを民間人に漏らすのは禁じられております。また、私も話の全容を
聞かされている訳ではありませんが、この際お話ししましょう。実は、
反世界軍の支配者・邪帝王ナグツァークの最終作戦により、
ナグツァークの正体でもあると思われる、とにかく回避不能、
とてつもない大きさの暗黒星雲が銀河系に近づきつつあるのです」
ユリコ「まあ……」
ユリアン「ヤン提督は、その暗黒星雲への対策を協議するために、
銀河帝国の皇帝ラインハルトとの会談に向かう途中Dショッカーの手にかかって……!」
ヤスダ「このままではあと数ヶ月足らずで、生命体の住める星は銀河に一つもなくなってしまいます」
ユリコ「つまりは、人類は勿論、宇宙に住む全ての生命体はあと一年足らずで絶滅してしまうと、そういうことなのですね?」
タイラー「それで僕になんとかしろとでも言うのか!」
ようやく話が見えてきたタイラーである。
896:こんなゲキレンジャーは、なんてこった!?
10/07/21 23:45:08 CAnzXG09
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タイラー「だが残念だったな。僕はこの平穏な日々を手放すつもりはないぞ」
ヤスダ「……ですが」
タイラー「僕にヤン提督に代わって、その邪帝王が化けた暗黒星雲を退治しろとでも!?」
ヤスダ「いくら閣下でもそこまでは期待しておりません。ただ……」
タイラー「ただ、なんだ?」
ユリアン「この危機を乗りきれるとしたら、銀河系の全知的生命を一つにまとめて頂ける方がどうしても必要なんです!」
タイラー「それが僕だと言いたいのか!? 銀河帝国の皇帝ラインハルトにでも頼めばいいじゃないか!」
ヤスダ「いいえ。これは少なくともグローバル艦長、古代艦長代理…
金田、中条、嵐山、伊吹、岡、コム長官…
タシロ提督、江戸川総司令、立花会長、ウルトラの父…
お茶の水、光明寺、ギルモア、郷、早乙女、向井博士、弓教授、シーラ王女…
そしてアンダーソン元帥らが熟慮の末に出した一致した見解なのです」
タイラー「よくそこまで名前を挙げられたものだ…」
ヤスダ「それに、このままではあと数ヶ月で、あなたと奥さん、それにキサラちゃんの
平和な日々も終わってしまうのですぞ。それも否応なく」
タイラー「知らなきゃよかった」
897:こんな葬儀屋は嫌だ
10/07/22 16:55:53 vvIx34s+
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タイラーはボサボサの頭をポリポリと掻いた。
タイラー「知らなきゃ最後まで心穏やかに暮らせたものを。怨むぞ、ヤスダ」
ヤスダ「自分など、いくらでも怨んでくださって結構です!」
ヤスダはその場で土下座し、畳に額を擦りつけた。
ヤスダ「どうか宇宙のため、全ての知的生命体のため、力をお貸しいただきたい!」
ユリアン「僕からもお願いします! 貴方にはヤスダ大佐のご苦労に報いる義務があるはずです。
大佐はこの一年、ご自分のご家族のこともそっちのけで閣下のことを捜して捜して、
捜し回っていたんですよ。そろそろ反抗期にさしかかるヤスダ大佐のご子息が
もしグレたとしたら、それは間違いなくタイラー提督、貴方の責任です!」
ヤスダ「こ、こらっ! ミンツ中尉」
タイラー「う~ん、キサラはなんて言うかなあ……」
???「いいでちゅよ」
タイラー「えっ!?」
タイラーは驚いて振り向いた。娘に代わってそう言ったのは他ならぬ妻のユリコであったからだ。
898:こんなおばさん面白い
10/07/23 07:03:41 msJYDm0Q
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ユリコ「いいでちゅよ。そう言ったのよねえ、キサラちゃん」
タイラー「僕はそんなこと、許可しないぞ!」
ユリコ「ヤスダ大佐、それにユリアン君もお顔を上げてくださいな」
ヤスダ「では!」
ユリアン「お力を貸して頂けるのですか!」
タイラー「ちょっと待て…」
ユリコ「こんな亭主でよかったら、銀河のために扱き使ってくださいな。あなたもそう言いたいのよねえ、キサラちゃん」
ユリコは、タイラーの膝からひょいとキサラを抱き上げた。
幼いキサラは一瞬、こくんとうなずいたかのようにユリアンの目には見えた。ヤスダは喜色を満面に湛えている。
ヤスダ「では」
ユリアン「決まりですね」
タイラー「ちょ、ちょ、ちょっと待って……」
ヤスダ「実はもう迎えをよこしてあるのです」
そう言ってヤスダは立ち上がり、部屋のカーテンを開けた。地球連邦軍の標識をつけた内火艇が、そこにはあった。
反重力エンジンで、2DKのアパートの、窓の外に浮いていたのである。そのハッチが音もなく開いた。
899:こんな運用設計はいらない
10/07/23 17:45:26 dX0H19IN
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キョンファ「ユリコ!」
ユリコ「キョンファ!」
地球連邦軍の制服を着た、若い女性士官が身を乗り出さんばかりに叫ぶ。
キョンファ・キム中佐であった。そして操縦装置の前に座っていた金髪のハンサムな士官が声をかけた。
カトリ「や、提督。お久しぶりです」
タイラー「カトリ大佐」
カトリ「ちっちっち」
ハロルド・カトリは顔の前で人差し指をちらつかせ
カトリ「今は准将ですよ。お忘れなく」
ミン「本当は、いやがる閣下をアパートごと衛星軌道上の戦艦まで
無理やり転送しようという案もあったんですがね」
もう一人、眼鏡をかけた浅黒い士官が言った。グエン・ホー・ミン少佐である。
900:こんな宇宙戦艦ヤマトは嫌だII
10/07/24 00:16:40 mts+uRMh
>>201
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ユリコ「(涙ぐんで)みんな……」
タイラー「で、どうせその戦艦では、例によってあいつが待っているんだろう?」
ヤスダ「当たりです。元帥閣下」
ユリアン「ヤマモト中将が首を長くしてお待ちですよ」
タイラー「やれやれ、そこまで頼りにされては、行かなきゃ男がすたるなあ…」
ユリコ「それ以前に銀河でしょう。(タイラーの頭を小突きながら)この宿六」
???「やれやれ、これでまた昔のように、賑やかになるのう」
内火艇の床に寝そべっていた白衣の男が、のっそりと立ち上がった。
タイラー「ドクター!」
???「いかにも」
ヒデサブロー・キタグチ軍医少将であった。相変わらず酒瓶とはねんごろな仲である。
キタグチ「人類が滅ぶかどうかは別にして、少なくとも退屈だけはせずにすみそうじゃわい」
ユリコ「みなさん……」
キサラを抱いたまま、ユリコは一同に向かって頭を下げた。
ユリコ「どうも長いこと、ご迷惑をおかけしました。主人を、ジャスティを、お返しいたします」
901:こんな橘朔也の体はボロボロだ!【25リエースハオレノ物ダ!】
10/07/24 07:19:06 7SCyvCVu
>>222
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***イゼルローン要塞***
ヤン提督の死亡という悲しみに包まれた中、ジャミルらの乗ったシャトルは到着した。
***宇宙船ドッグ***
ガロード「ようみんな!ひぃっさぶりだなぁ!」
ウイッツ「へっ、能天気なこって」
ロアビィ「よう嬢ちゃん、元気だったか?」
ティファ「・・・うん」
ガロード「そうだ、ジャミルは?」
トニヤ「一足先に行ったよ。なんかいろいろ大変らしいからね・・・」
ティファ「ジャミル・・・かわいそう」
ガロード「あぁ、友達があんなことになったからな・・・」
***イゼルローン要塞 葬儀場***
暗く重い不陰気の中、一人の男が悲しみに暮れていた・・・
ジャミル「・・・」
ジャミル「ヤン・・・お前はいったい何がしたかったんだ?この俺に、何を託したんだ?
平和か?自由か?未来?夢?・・・俺には・・・わからん・・・だが、俺ができることはやるつもりだ。ヤン、また来る・・・」
902:こんなゴジラは焼肉にしろ
10/07/24 16:22:24 QLSbCqGT
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***フレデリカの私室***
ベッドの上で電話中のフレデリカ
フレデリカ「そう……タイラー提督が……分かりました、
それまでは私も努力します。明日にでも司令室に復帰するつもり、それじゃあね……お休みなさい」
電話を終え、力なくベッドに身を横たえる。
フレデリカ(……タイラー提督にも奥さんとお子さんがいる……
もし、タイラー提督があの人のようになってしまったら私はユリコさんに何と……)
???「……失礼してよろしいかな、マダム?」
フレデリカ「……誰っ!?」
903:こんな北島康介は嫌だ!
10/07/25 00:11:49 E0GHRURc
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飛び起きたフレデリカの眼前で、壁のモニターが独りでにONになる。
そこに映ったのは─猫科の動物を思わせる異形の姿!!
フレデリカ「……メフィラス星人!!」
メフィラス星人「フフフ……ご安心を。こちらから
貴女のご様子は見えません。淑女の寝室を覗くなど無粋の極みですからな」
フレデリカ「……い、一体何の用なの?」
メフィラス星人「本日はマダムにいいお話をお持ちしたのですよ。
……貴女のご主人、ヤン=ウェンリー提督を我々の技術で蘇生することが出来ます、とね」
フレデリカ「……!!」
メフィラス星人「ウルトラ族をご存知ですね? 一度死んだ生命を
復活させられる技術と同等のものを、我々も持っている」
フレデリカ「……」
メフィラス星人「無論、それなりの対価はいただきますが……何、
簡単なことです。貴女が一言、私におっしゃって下さればいい。『あなたがたに、銀河をあげます』とね」
フレデリカ「……お断りよ! そんなことで生き返っても、あの人は
……ヤン=ウェンリーは喜びません!!」
メフィラス星人「『地球なんか滅びてもいい』『全宇宙が颱宙ジェーンに
飲み込まれたって構わない』 『あの人が、私の傍で
半分眠りながら本を読んでいてくれたら』…そう仰ったのはあなたですよ、マダム?」
フレデリカ「く……っ」
904:こんな西村京太郎は嫌だ!
10/07/25 19:31:16 yVpVlNBd
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その時、イゼルローンを大きな揺れが襲った!!
フレデリカ「きゃ……っ!! な、何が起こったの!?」
メフィラス星人「……フン、我慢を知らぬ連中だ……ああ失礼、
私の同僚には血の気の多い者がおりましてね、交渉や取引の
何たるかを知らず、すぐに力押しや流血で解決しようとするのですよ」
***イゼルローン要塞・外側***
要塞に取り付いて揺さぶっている巨大なクラゲ状生物……かつて
MACを壊滅させたブラックスターの円盤生物・シルバーブルーメの超巨大版だ!!
905:こんなジョンスコはいやだ(gt;_lt;)
10/07/25 23:49:22 BWA2+ayw
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???「そこまでだぜ、メフィラス星人!」
唐突にフレデリカの私室に響く声。私室の入り口には人影があった。
誰あろう、そいつこそ“世界一の超かっこいい私立探偵(自称)”涼村暁だ!
暁「話は全部聞かせてもらったぜ!いいか、きれいな女性をたぶらかす野郎は俺の敵だ!」
こう文章にすると何だかかっこいいが、実は暁は
暁「そう言や、ヤン提督には奥さんがいたよな……
美しい未亡人との道ならぬ展開……アリだな~!」
と、あろうことかフレデリカをナンパしようと、彼女の私室の前に張り込んでいたのだ。
そして図らずも,メフィラス星人とのやり取りを聞いてしまっていたのである。
暁「 燦 然 !! 」
変身ワードと共に、暁の体に光が凝集し、クリスタルな装甲を形成する。
そう、彼こそがスーパーヒーロー(一応)シャンゼリオンなのだ!
市山貴章@NR:「燦然。それは涼村暁がクリスタルパワーを発現させ、超光戦士シャンゼリオンとなる現象である」
シャンゼリオンはフレデリカに手を差し伸べて促した。
シャンゼリオン「今のうちに逃げるんだ、奥さん!!」
そして、シャンゼリオンはメフィラス星人に向き直る。
シャンゼリオン「行くぞ、女の敵!!お前をボコって俺の男の株を上げてやるぜ!」