08/11/26 02:48:55
2008年
山田にはなにも無かった
毎日、空缶からシールを剥がして集める日々・・・・
「プライドはないのか?」罵声を浴びせかける男がいた
男は見せかけだけのプライドでかろうじて生きていた
山田のブレのない情熱に嫉妬していたのかもしれない
日々集めたシールはついに50000枚を越える
その日からネットカフェのPCで72時間寝ずに数字を打ち込んだ
打ち込み終わってから火曜の朝まで1度も目覚めることはなかった
目が覚めるとドリンクバーのコーラを立て続けに3杯飲み干し
4日間連続でポイントをテレビとブルーレイに注ぎ込んだ
4日間連続でテレビとブルーレイが当たった
全ての景品を現金化しビデオカメラを買い映画を撮り始めた
2年間寝食を忘れ無我夢中になって撮影したのは
真のプライドが感じられるドキュメンタリー映画だった
2型糖尿病患者の映画だった
2011年
オスカー像を片手に山田はインタビューに答える
「この映画を誰に捧げますか?」
昔、缶で切った手の傷を見つめ、静かに一言
「自力で懸賞に挑んだすべての糖尿病の人に・・・・」