09/04/28 22:49:53
何か人類の運命そのもののような、残酷で予言的なこの伝説。
これをヒトラーはことのほか気に入っていた。
「おお、これがゲルマンだ。未来の真実だ。私が見ている未来と同じだ。
古代ゲルマンの伝説の中に、来たるべき天変地異と復讐の大戦が暗示されているのだ……」
総統本営や山荘のパーティで、たまたまこの伝説(ニーベルンゲン伝説)の話が出ると、
ヒトラーはこううめいて拳を震わせ、側近たちが恐れるほど興奮することがあった。
オペラではもっと興奮した。
彼が好きだったワーグナーのオペラに、
この伝説から取った『ニーベルングの指環』という3部作があるが、
彼はこれを当時のドイツ楽壇のスターたちに命じて何度も上演させ、
全てが滅びる幕切れが来ると必ず叫んだ。
「そうだ、ブラボー、みんな死ね! そして復讐に甦れ!
ナチは不死鳥、私も不死鳥だ!
民族の血の怨みに選ばれた者だけが不死鳥になれるのだ……」