08/10/02 01:00:05
金融危機の元凶はJPモルガンが生み出したモンスター、クレジット・デフォルト・スワップの無節操な濫用だ
マシュー・フィリップス(本誌記者)
それは、米金融業界の大物たちの週末の儀式だった。
太陽のあふれるリゾートで日ごろのストレスを吹き飛ばし、世界の支配者としての成功を盛大に祝う。
ヨットパーティーにビキニ姿のモデルたち、1本1000ドルのシャンパンなどをイメージすればいい。
なかでも、94年にJPモルガン(当時)のバンカーたちがフロリダのボカラトン・リゾート&クラブで過ごした週末は、ウォール街の伝説になっている。
騒々しいパーティーもあったが、それだけではない。
彼らはピンク色の壁のスペイン風リゾートで週末の大半を会議室に引きこもり、銀行業の歴史と同じだけ古い問題の解決に取り組んだ。
誰かにお金を貸したとき、それが返ってこないリスクをいかに軽減するか、というものだ。
当時、JPモルガンの資産は企業向けや外国政府向けの数百億ドルの貸し出しで膨張していた。
問題は、連邦法の定めで、それらの融資の貸し倒れリスクに備える準備金として、巨額の自己資本を積まなければならないことだ。
利益を生まない金である。
バンカーたちが思いついたのは、ある種の保険商品だ。
貸し倒れた場合の元利金の支払いを第三者に保証してもらい、代わりに銀行は保険料を払う。
そうすれば、JPモルガンはリスクをバランスシートから切り離し、準備金を取り崩して商売に回すことができる。
この仕組みが「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」で、デリバティブ(金融派生商品)の一種だ。
CDSのアイデア自体はその2、3年前からあったが、大きな取引をしたのはJPモルガンが最初だった。
同社は90年代半ばに「スワップデスク」を設置、CDSの市場を作るためにマサチューセッツ工科大学(MIT)やケンブリッジ大学から若い数学者や科学者を雇い入れた。
数年後には、安定的な収益を確保しながらリスクを回避する手段として、CDSは最もホットな金融商品になった。
「(原子爆弾開発のための)マンハッタン計画にかかわった人たちの話も聞いたことがあるが」と、
当時JPモルガンの専務取締役をしていたマーク・ブリッケルは言う。
「あのときボカラトンに集まったわれわれにも、何か大変なものの創造に立ち会っているという実感があった」
だが、40年代当時のロバート・オッペンハイマーや部下の核物理学者たちがそうだったように、
ブリッケルと同僚たちも、自分たちが開発しているのがモンスターだとは気づかなかった。
今日、経済がよろめきウォール街が廃墟と化したのは、彼らが14年前に解き放った怪物に大きな責任がある。
>>2に続く
ソース:Yahoo!ニュース 雑誌記事 ニューズウィーク日本版
URLリンク(zasshi.news.yahoo.co.jp)
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