08/09/14 06:07:34
改正薬事法が2009年4月に施行されることにより、大衆薬の販売方法が変わる。
今回の改正点の目玉のひとつは登録販売者試験制度の導入だ。
これまでの薬事法では、大衆薬の販売は薬剤師が常駐していなければ不可能であった。
が、改正により、登録販売者であれば、主な風邪薬や漢方薬、ビタミン剤、
整腸薬といった大衆薬に対して、専門家としてアドバイスができるようになる(*1)。
これにより、スーパーやホームセンターなどの異業種が大衆薬市場に参入しやすくなった。
すでに8月より、第1回の登録販売者試験が、それぞれの都道府県で始められている。
「合格発表はまだなので不確定な部分はありますが、来年以降、当社の登録販売者が
イトーヨーカ堂で、大衆薬の販売にあたる可能性は高いと思います」
(セブン&アイ・ホールディングス 広報センター)
イトーヨーカ堂などのスーパーでは医薬品を扱う店舗はこれまでにもあったが、
一部の店舗にとどまっていた。今後は医薬品販売を実施する店舗が増え、扱う商品点数も
多くなることが予想される。また、ホームセンター大手のカインズでも「約100人が登録販売者試験を受ける」
(カインズ 広報)という。
この異業種の医薬品販売参入で、今まで以上に厳しい競合環境に置かれるのはドラッグストアだ。
買い物のついでに、スーパーやホームセンターで風邪薬などを購入する消費者が増えることは必至である。
その一方で、大衆薬の販売は難しいので参入すれば成功するとは限らない、という声もある。
薬は専門性が高く、対面販売でないと消費者が購入しにくい商品も少なくない。ドラッグストアの中には、
顧客との対話を通して、症状に適した商品を勧めることで売上を伸ばしてきた店舗もある。
あるドラッグストア幹部は、「ドラッグストアはスーパーにない販売力と専門性が強み」と強気の姿勢を見せる。
スーパーやホームセンターのようなセルフサービス販売が主流の店舗では、自ずと売れる商品は限られ、
売り場効率(売り場の面積あたりの売上高)が悪いのではないか、という見方もあるのだ。
このような状況下、2008年8月、調剤薬局、ドラッグストアを全国展開しているアインファーマシーズと、
セブン&アイ・ホールディングスは業務・資本提携について基本合意した。
これにより、セブン&アイ・ホールディングスの総合スーパーやショッピングモールへのドラッグストア出店が見込まれる。
しかも、アインファーマシーズの構築してきたノウハウを利用することで、専門性に優れた商品、
サービスの提供が可能になる。
スーパーやホームセンターは大衆薬市場への参入で、ドラッグストアを圧倒するのか。
それとも、大手ドラッグストアの持つ販売力は揺るがないのか。業界の再編が進む中で、その答えが見えてくる。
(江口陽子)
(*1)リスクが特に高い一般用医薬品は従来どおり薬剤師のみ
▽ソース:DIAMOND online
URLリンク(diamond.jp)