08/08/28 23:20:30
★焦点:破たんのアーバン増資に批判、金融庁もパリバをヒアリング
[東京 27日 ロイター] 民事再生法適用を申請したアーバンコーポレイション(8868.T: 株価)が
破たん前に実施した増資に対し、資本市場関係者から批判の声が上がっている。
アーバンは7月、BNPパリバ(BNPP.PA: 株価, 企業情報, レポート)を引き受け先に300億円の
新株予約権付社債(CB)を発行したが、その裏でパリバとスワップ契約を締結。実際には300億円を
調達できていなかったことが破たん後に明らかになったためだ。
一方で、パリバはアーバン株式の売買も行っており「極めて不透明な取引」との指摘も出ている。
金融庁も取引の実態を把握するために、パリバへのヒアリングに乗り出した。
<マーケットに開示されなかったスワップ取引>
「ディスクロージャーの上でかなりおかしいと思う」―。東京証券取引所[TSE.UL]の斉藤惇社長は
26日の定例会見で、今回の増資に関するアーバンの開示姿勢を批判。「株価が動くようなファクターは
全部ディスクローズしなければならない」と述べ、上場企業として適時開示義務の重要性をあらためて
強調した。
今回のアーバン増資をめぐる動きは6月26日に始まった。アーバンは同日、BNPパリバを
引き受け先とするCBの発行を決議。関東財務局に提出した臨時報告書には、調達金額が300億円、
資金使途は債務返済であると記載し、報道機関にも同じ内容を公表した。7月11日には発表通りに
金額が払い込まれ、アーバンの資本増強は完了したかに見えた。
しかし、アーバンとパリバはCB発行に合わせてスワップ契約を締結。この取引を公表しないまま、
同社は7月11日、同契約に基づきパリバに保証金として300億円を支払った。その後は、株価や
出来高に応じてパリバがアーバンに徐々に資金を払い込む仕組みだった。
株価が下がれば実際に手に入る資金は目減りしてしまうデメリットと引き換えに、同社はパリバと
スワップ契約を結ぶことで、目先の数十億円の調達を優先した。アーバンがこのスワップ契約の存在を
公表したのは8月13日夕方。民事再生法申請を発表したのと同時だった。同社経営企画部コーポレート
コミュニケーション部の寺敷信昭氏は「あの時点ではパリバしか選択肢がなかった」と説明する。
一方のパリバにとっては、アーバンの株価が下がっても儲かる仕組みで、アーバンの出来高加重
平均株価(VWAP)の10%はパリバに入る。スワップ契約では指標となる株価の下限が時期によって
3種類(175円、250円、300円)設定されていたが、株価がこれらを下回れば、パリバの支払いは
発生しない。アーバンが破たんすれば両者間の契約は終了するため、パリバが取得し、転換されないまま
手元に残ったCBもアーバンから得た300億円の保証金と相殺され、損失は発生しない。
これらの取引により、最終的にアーバンが調達した資金は株価下落の影響で92億円。加えて、
2008年4─6月期にスワップ契約に関連し営業外損失58億円を計上した。(>>2-5につづく)
江本 恵美記者、勝村 麻利子記者
(ロイターニュース 江本恵美、取材協力:村井令二 編集:田巻 一彦)
ソース:Reuters 2008年 08月 27日 20:21 JST
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