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第七章 「絶望の荒野」
美穂子の大切にしていたティカップを割りながら、いけしゃあしゃあと美穂子の生活態度を批判する姑の悪態に美穂子はついに
溜め込んでいた怒りと不満が爆発した。「お義母さん!!いったい私の何が不満なのですか!!」美穂子の高潮した顔色を見て
姑の昌江は余裕を持った態度で美穂子の心臓を鷲づかみにする言葉を返した。「美穂子さん・・・・、あなた女優さんだったのね。」
思いもよらない昌江の言葉に美穂子は動揺を隠し切れなかった。「な、何を言ってるのですか・・・。私は女優なんかじゃありません
よ。」美穂子の精一杯に反論に昌江は勝ち誇ったように言葉を続けた。「そうねぇ、女優といってもいろいろあるものねぇ・・・。美穂子
さんがまさかあんな女優さんだったとは夢にも思いませんでしたわ。」美穂子は目の前が真っ暗になる思いがした。「この女、どこ
まで知っているのかしら・・・。ひょっとしてハッタリ?私の仕事をこの女が知ってるはずが無いわ。そう、ハッタリに決まってる。」美穂
子は主導権を奪い返すつもりで昌江に問い詰めようとした瞬間、昌江の口から死刑宣告に等しい言葉を聞かされた。「『実録 女子
校生制服レイプ』・・・。凄いタイトルね。」美穂子は呆然と立ち尽くすしか術が無かった。「あなたがポルノ女優だったこと、研二は知っ
てるのかしら。テレビのCMでは可愛い奥様で映ってるけど、まさかポルノ女優さんだったとはねぇ。翔の将来がとっても心配ね。」
穏やかな口調の昌江であったが、美穂子の目に映るのは醜く太った醜悪なツラをした悪魔以外の何者でもなかった。
夕刻、昌江は勝ち誇ったような顔で帰っていった。美穂子の眼前に広がるのは絶望という名の荒野だった。「なぜあの女が私の過去
を・・・・。なぜ!!ダメ!ダメよ!!このままでは一生あの女が死ぬまで私は奴隷と同じ・・・。まだ間に合う!殺す!!殺せばいい!!
事故に装って殺せば・・・・。」美穂子は慌ててスニーカを履き、昌江が向かう京急鈴木駅にクルマを走らせた。