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知子さんは冷めたティーカップに視線を落とした。ショートヘアの
よく似合う健康的な雰囲気の女性だった。
北村とは二度と関わりあいたくない―今もその気持に変りはないという。
「北村は、誰が何を言おうと、もはや心を満足させることはないと思います。
破壊的な人……。自分が罪もない子供二人を殺した事実は変らないのに、
裁判でも不倫で傷ついたという話ばかり。彼女から送られてきた謝罪文も
同じでした。“とても悪いことをした。だけど……。でも、こういう気持に
翻弄されて……”。必ず“だけど”をつけるんです」
逮捕からほぼ二年後の平成八年一月十九日、一審で無期懲役が宣告された。
その六日後に北村は控訴し、翌年十月二日、控訴棄却。
そして四年後の上告棄却へといたる。北村は最後まで殺意を否認し、
裁判の不当性を訴えつづけた。
東京高裁は1審の判決を支持し、北村の控訴を棄却、最高裁は上告を棄却し、
北村有紀恵の無期懲役が確定した。