08/11/13 18:23:38 +3iPhV2f0
バフチン『ドストエフスキーの詩学』(ちくま学芸文庫)
読み終わった
ひさしぶりに難しい本を読み通した…
文学者についての単なる評論というよりは、もはや哲学書といったおもむきがある
このスレでもしばしば話題になる『地下室の手記』についての優れた分析(pp.467-493)もあるので、
『地下室』にグッと来た人はここだけでも読む価値あると思う
要は、われわれ孤男も、孤独とは言え常に他者どもの現前に曝されており、
われわれのつぶやきは彼らの声への応答でもあり、先取りでもあり、
闘争でもあり、しかも情けなくも彼らにすがり付いてもいるのだということだ
特徴的な一節を引いておこう。
「彼(主人公)は、自分が他者の意見を恐れていると思われるのではないか、
ということを恐れているのだ。しかし、彼はまさしくこの危惧によって、他者の意識に対する
その依存性を、自分自身の自己規定に安住する能力の欠如を、証明しているのである。彼は
まさしく自らの反駁によって自分が反駁しようとしていた事実を裏付けているのであり、
彼自身そのことを知ってもいる。主人公の自意識と言葉が陥るあの出口のない悪循環は、
ここから生まれてくるのである。」
ちょっと前に集団ストーカー自称被害者みたいなんがいたけど、あいつはこの本をこそ読むべきだったね