06/10/15 07:17:39 cdQusC9t0
電流が走ったとヴェイグは感じた。この言葉こそが避けていた疑問の鍵だと確信を覚える。
(やはり、おかしい。ティトレイがマーダーに堕ちて人を殺してリバウンドを受けるなら、
‘ルーティを殺した時点で俺もそうなっていないと成立しない’はずだ)
先ほどのティトレイのリバウンド説には絶対的に何かが欠けている物がある、とヴェイグは内心で思う。
思う、というよりも説明が付かない点がある。
(今のティトレイがリバウンドで罰せられるなら、ルーティを殺した時点で俺も罰せられているはずだ…
今こうやって憎悪を撒いたことも十分罰していいはずだ…何が違う?)
そもそも罰する、という概念に引っかかる。
聖獣の判断で有無が違うのか?
それではヒューマ擁護派のシャオルーンが罰さずに
ヒューマ排撃派であるイーフォンが罰するというのは酷く違和感がある。
誰かが、誰かがそれを聞いたからだ。暴走、とかくリバウンドについて彼女が。
彼の脳裏に曙光がかかった。
ヴェイグはカレギアの冒険で既にリバウンドの形を知って、それをこの島で既にカミングアウトしている。
ヴェイグは腕を捲って五指を動かす。
(あの違和感…アガーテの体に入ったクレアを受け入れることが出来なかった俺は腕を凍傷に…)
アガーテの体に入ったクレアはクレアなのか、アガーテなのか、誰なのか。
ガジュマとヒューマの差異を気にして、クレアの心を受け止め切れずに、
素直な感情は理屈に拘束され蓄積したジレンマは腕の凍傷という形で自身を蝕み、暴走という悲劇を引き起こした。
ヴェイグは手にしたチンクエディアで幻龍斬と無影衝の構えを連続して行う。
ヴェイグ単独での最強奥義「崩龍無影剣」は聖獣の力の顕著な例と言える。
(聖獣の試練の時に出した答えは俺にとっては虚構でしかなかった…)
『じゃ何よ?与えられたのはまあともかく聖獣の力と聖獣の心は別物じゃないの。
そのシャオルーンってのは別に助けてくれなかったんでしょ?そんな力捨てたら?』
多分捨てられたらティトレイは捨てているだろう。
『我等聖獣の力はフォルスと源を同じくするもの、心が揺らげば、力もまた揺らぎ、やがて』
イーフォンは確かにそう言った。
(汝を飲み込むであろう…か)
ティトレイに力を与えたイーフォンは確かにそう言った。
揺らぎ、腕の凍傷、あのシャオルーンの問いと回答、ルーティを殺めた事実、点より導かれる形がある。
(…マーダーになることと、リバウンドは無関係…?)
いや、それでは程度が知れている。
答えはもっと具体的なものだ。
「気持ちは、誰にも罰することは出来ない」
それが例え力を与えた者であろうと、聖獣だろうと。
「罰することが出来るのは…自分自身しかいないからだ」
ヴェイグのリバウンドはヴェイグ自身に依って構築されている。
251:名無しさん@お腹いっぱい。
06/10/15 07:21:54 AKP9pk0W0
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252:名無しさん@お腹いっぱい。
06/10/15 18:30:57 Fwz290lE0
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