05/10/08 23:23:06 cDzyxsc7
時は春、信長を封じてから最初の花の季節を迎え
時折現れる悪念機に出撃することも有るけれど紐育には概ね平和な日々が訪れていた
「おー、うまいぞこのクッキー」
「リカさん、それはスコーンといってイギリスのお菓子なんですよ」
「そーかー、いぎりすのかー、ムグムグ」
今日は桜の花弁がひらひらと舞い落ちる屋外サロンで午後のお茶を楽しんでいる
欠片ををぽろぽろとこぼしながらリカが口いっぱいスコーンを頬張り
ダイアナが世話を焼きながらその由来を教えていた。
「しかし結構なお手前だね、ダイアナ」
絶妙なタイミングでポットに湯を注ぐ手元を見つめてそう言った
「そう言って頂けると嬉しいですわ、おじ様なんかちっともお茶の事なんか解らないんですもの」
「砂糖は控えめで頼むよ」
「わかりました、昴さん」
ルビーを溶かしたような一杯の香りを楽しんでいると不意に声がする
願わくば 花の下にて春死なむ その如月の望月のころ
桜の下、純白の軍服で身を包み、眩しそうに花を見上げる新次郎がそこにいた・・・