05/04/18 21:26:42
[夜遊び]サイコロが開く冒険の世界
なんだかイケナイ遊びのようだけど、20年ほど前、夜な夜なサイコロを転がしまくっ
ていたことがあった。
ゲームブックの話だ。
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84年、社会思想社から発売された「火吹き山の魔法使い」(S・ジャクソン&I・リビ
ングストン著、浅羽莢子訳)。「剣と魔法」のファンタジー小説だが、物語は一本
道ではなく、途中、選択肢がいくつも現れる。読み手はサイコロを振って主人公の体力
値などを決め、物語へ突入。選択肢ごとにページを行き来しながら冒険を繰り広げる。
怪物との戦いや運試しなどでは、しばしばサイコロを振るはめになる。
左手に本、右手はシャープペンとサイコロを持ち替えて、机の上の方眼紙に向かう。こ
こに地図などを書きながら読み進むわけだ。でもどうしたことか平仄が合わず、主人
公はもうふらふら。おまけに戦闘やら罠やらで簡単に死ぬ。ズルせず幸福な結末を迎
えた人はどれくらいいたのだろう。
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なんだ小説じゃなくてテレビゲームみたいじゃん。まあ、そうだ。でも、ファミコ
ンはあってもドラクエはまだなく、RPGなんて単語はゲームやマイコンに詳しい好事
家のものだった時代だ。限られた描写から妄想たくましゅうする楽しみは間違いなく読
書と同じだった。
後に知ったのだが、この文庫本、50万部も売れたらしい。当然、続編やら類似本や
らが出たのだが、そのころから、サイコロいらずのテレビゲームが出てきて、めんどく
さいゲームブックは、いつしか忘れられてしまった。
この本が突如、扶桑社から復刊された。懐古ブームかと思ったら同社は「若
い人にもぜひ」。んーむ。今どきのティーンは忙しいそうだし、なによりテレビゲーム
を通過している。どう楽しむのか。気になる。(野波健祐)