03/08/17 01:57 oHNNe6ba
彼―いや彼女なのか―の声を聞いたのは一度きりかも知れない。
特にこれといって特徴はなく、強いて言えばごく普通の、ありふれた成人男子
の声だと聞こえた……ような気がする。
正直、あまりよく覚えている者はいなかった。
「俺は、ゴゴ。ずっとものまねをして生きてきた」
奇怪な洞窟の奥深く、辿り着いた先に待っていたのは奇妙な格好をした一人の
『ものまね士』だった。
「お前達は、久しぶりの来客だ」
彼が住むのそこは、来る者を拒むように様々な仕掛けの施された洞窟なのだか
ら、自分たちが久しぶりの来客であるのも無理はない。
何者なのか? そう尋ねようとする仲間達の問いかけを避けるように、彼は一方的に
話を進めた。
「そうだ。お前達のものまねをしてやろう。お前達は今なにをしているんだ?」
そんなことを聞かれても、到底一言では語り尽くせない。その場にいた四者四
様―仲間とはいえ、それぞれ抱えている物や目指す場所は違うのだから―の理由がある。
皆、互いに顔を見合わせて何と答えればいいのか回答に窮していたところへ、
納得したようなゴゴの言葉。
「そうか。世界を救おうとしているのか」
何と抽象的で的を射た言葉だろう、と仲間達が感心している最中。
「では、俺も世界を救うというものまねをしてみるとしよう」
こうして、ゴゴが仲間としてファルコンへ招かれた。