BL@「学園ヘヴンについて語ろう」Part6at GBOY
BL@「学園ヘヴンについて語ろう」Part6 - 暇つぶし2ch981:いけない名無しさん
04/03/02 05:25
啓「おうわっ!!」
中「……フッ…」
慌てて飛びあがり、頬を押さえて後退りする啓太を眺め、中嶋は薄く笑う。
啓「ぬぁなななななな中嶋さんんんなにををを…」
中「…啓太、何を言ってるのかさっぱりわからないが?」
啓「何するんですかっ!!」
いきなり人前で、頬を舐められた。怒りと恥ずかしさで、耳まで真っ赤に
なって怒鳴る啓太だった。
中「何って…俺は涙を拭っただけだが?あいにく両手が塞がっていてな」啓「~~~~う~~~っで、でもぉ~~?」
もうちょっと普通に、と言ったところでこの男に通用する筈もない。
啓太が、混乱しきった頭で、いろいろと考え込んだのを眺めていた中嶋が
、口調を少し優しくして尋ねた。
中「…泣き止んだか?」啓「えっ……あ、…」
確かに、今のことで、すっかり泣き出したいような気持ちは失せている。
中「お前はこれから会計の手伝いだろう?早く行け」
啓「はいっ!」
中「じゃあな」

(あれっ…中嶋さん、今から俺を学生会室にって…。)
確かに中嶋は『手伝え』と言った筈だった。
(…中嶋さん、もしかして、…俺を慰めるために…)

982:981
04/03/02 05:28
リロードし忘れ。スルーよろスマソm(_ _)m

983:いけない名無しさん
04/03/02 06:10
和「よしっ、啓太!俺が何とかしてみせるよ!」
だーっとどこかへ走っていく和希。
成「お、おい、遠藤っ?!」
何か抜け駆けされるのでは無いかとばかりに一緒に釣られて走っていく成瀬。

丹「啓太、いいからもう泣くなよ…俺はお前の為なら卒業なんざどーだっていい」
まだ啓太の残っている涙を拭ってやる丹羽。
篠「伊藤…さあこれで涙を拭け」
その後、ハンカチを手渡してやる篠宮。

中嶋を退けた丹羽と篠宮、卒業が近いとあってバリバリに積極的だ。

984:いけない名無しさん
04/03/02 11:41
岩井「篠宮?丹羽と…啓太…も…どうしたんだ?」
啓太「あっ、岩井さん…」
岩井「どうかしたのか?俺では…役不足かもしれないが、啓太、悩みがあるなら話してくれないか?」
儚げにそう言う岩井に、篠宮も丹羽も無下にすることが出来ず、そっと二人きりにしてやった。

岩井「泣いていた、のか?目が赤い…」
啓太「あ、…はは。もうすぐ卒業式だなって、ちょっと寂しくなっちゃって」
啓太が心配をかけないように笑顔を作るが、岩井の表情は曇っていた。
岩井「俺も…いや、きっとみんな、寂しいと思う」
啓太「……」
岩井「だから、そんな顔をされると、余計に…寂しくなる…」
啓太「す、すみません…。そうですよね。俺、自分のことばっかで…」
岩井「責めてるんじゃない…ただ、啓太にはいつも笑っていて欲しいから」
啓太「岩井さん…」

ここぞとばかりに積極的になるのは岩井も例外ではないようだった。

985:いけない名無しさん
04/03/02 19:55
啓太「わかりました。俺、もう泣きませんっ」
岩井「啓太…」
にこっと太陽のような微笑みを浮かべ、啓太がまっすぐに岩井を見つめる。
丹羽と篠宮も、(ようやく復活した中嶋も)ホッとした笑みを浮かべた。

和希「けーいたっ。おまたせ!!」
啓太「和希っ。何処行ってたんだよ」
さっき成瀬と一緒に消えた和希が、突然現れました。
和希「んん~っ?ちょっと、な…」
啓太「なんだよー。意味深だなぁ。あ、そう言えば。和希は卒業式に理事長と
して出席するのか?お前、一応学長だもんな」
和希「……(一応は余計だよ。啓太)そうだなぁ。今までは、生徒に姿を見せ
るのがあんまり気が進まなくて出席していなかったけど。今年は出てもいいかな。
なんたって、今年の三年生には啓太がお世話になったからね。俺、自らが感謝の
気持ちを込めて卒業証書(引導)を手渡してもいいかなって思ってるんだ」
爽やかな微笑みを浮かべサラリと和希が言います。
啓太「そうなんだぁ。あ、でも。それじゃ在校生にも正体ばれちゃうね」
和希「ふふっ。大丈夫だよ、啓太。直接渡すのは数人だから」
啓太「そっか」

986:いけない名無しさん
04/03/02 21:54
啓「さすがに全校生徒の前で正体バラすわけにはいかないしな」
和「そうだな」
啓「でも、王様たち、和希から卒業証書もらって嬉しいのかなぁ…」
和「……ハハ(ポリポリ)。 あ、そうそう」
啓「何?」
和「なぁ、啓太。3年生が卒業する前に送別会を開かないか?」
啓「送別会…?」
和「ああ。先輩たちが卒業するのが、お前、寂しいんだろ?」
啓「え、どうして…」
和「…涙の跡」
啓「……!」
和「まぁ、俺に任せておけって」
そうして和希は軽くウインクすると、啓太の背中を優しく励ますように叩いた。

987:いけない名無しさん
04/03/03 10:25
海「あ~っ!伊藤君みーっけ!!」
和「あれ?海野先生……」
海「あのねーっ、卒業生送別会、僕も手伝わせてって、西園寺君にお願い
したんだー♪そこまで一緒に行かない?」
啓「はいっ」
和「…海野先生が?」


988:いけない名無しさん
04/03/03 20:16
注:岩井さんお誕生記念に岩啓っぽくしてみました。

海野先生と和希が何か話していたけど、俺の頭には、さっき言われた和希の言葉が奇妙に反芻していた。
『先輩たちが卒業するのが、お前、寂しいんだろ?』
寂しい…だけどそれだけじゃない、この感情は。
ふっとあの儚げな人の横顔が目に浮かんだ。
啓太「…違う」
和希「え?どうした啓太」
海野「なに?どうしたの、伊藤君」
啓太「俺はきっと…あの人のことが、好き、なんだ…」
自然に唇を付いて出た言葉に真っ先に反応したのは海野先生だ。
海野「うっそーーーっ、伊藤君、3年に好きな人がいるんだ?!」
和希「………」
和希は何故か地面に倒れていた。

丹羽「啓太、い、今のセリフは本当か?!も、もしかしてそれは俺の…」
意気込んで王様が駆けつけてくる。
篠宮「あー…伊藤、それはつまり…」
いつの間にか篠宮さんまでが真っ赤な顔をしながら廊下に立っていた。
中嶋「フッ…それならそうと早く言えばいいのに」
中嶋さんまでが自信たっぷりの目で見返してくる。
…っていうかいつの間に皆ここに揃ってるんだよ!!

突然の展開に、俺は頭が真っ白になってしまった。
啓太「え…俺、何か言いましたか?」

989:いけない名無しさん
04/03/04 00:06
啓「和希っ!どうしたんだ?大丈夫か和希?」
和「…だ、だい…じょ…う」
よろめきながら立ち上がろうとする和希。その目には涙がにじみ出ている。
啓「…和希お前…」
和「……う、う…」

啓「お前も、先輩達と別れるのが辛いんだなっ!?」
思わず転げる和希と一同だった。
啓「和希…それなのに俺を一生懸命慰めて…。それなのに俺、自分だけが
  悲しいみたいに……」

 違 う だ ろ そ れ は 。

啓太を除く全員が、心の中でそうツッコんだ。誰も口には出さなかったが。

990:いけない名無しさん
04/03/04 01:00
和「い、いや、そうだな啓太。俺も、先輩方の卒業は寂しくて、さ、ざびしぐで」
啓「和希…お前も意外と涙もろいんだな」
俺の言葉に和希はよろよろと後ずさる。
和「そ、そうなんだ、俺、結構涙もろくて。みっともないよな」
あはははと乾いた笑い声。
中「…ま、遠藤、そういうことだから」
ポンと俺の肩を抱くようにしてきた中嶋さんの間に割り込むように篠宮さんが入り込む。
篠「ここは伊藤の気持ちを尊重して」
反対側の肩を王様が掴む。
丹「安心して俺にまかせな」
中・篠「俺に、だ!」

???

岩「伊藤…?」
その細い声に、俺はカッと頬が熱くなるのが分かった。
俺のその様子に一斉に彼に注がれる目。
状況が分からないと言った不思議そうな顔で、岩井さんが立っていたんだ。

991:いけない名無しさん
04/03/04 03:23
岩「…啓太。おまえたちが、おれたちの送別会を開いてくれるらしい…と、
  海野先生に聞いたんだが…」
啓「あ、え、はい! そうなんです!!」
岩「おれたちの送別会を、3年が手伝っても…意味はないんじゃないか」

それはもっともな指摘であった。
しかし、問題の本質からはいちばん離れた指摘でもあった。
そして、和希をはじめとした追い出し組としては、渡りに船の指摘だった。

和「そうですよ岩井さん!
  啓太は率先して女王様の手伝いを買って出てますからね、
  今とっても忙しくしてるんです」
まるで奪い取るかのように、啓太の腕を掴んで自分の方に引き寄せる和希。
成「そうですよ。僕たちは今がんばって用意をしているところなんです。
  3年生の皆さんは、大人しく準備を待っててくれたらいいんです!」
もう片方の腕を掴んで、成瀬。めずらしく息の合っている二人である。

郁「……やっと私たちのことを思いだして貰えたようだぞ、臣」
七「ええ、郁」

992:いけない名無しさん
04/03/04 03:36
正直、自分達の追い出し会など、どうでもいいと思っていた中嶋、篠宮、丹羽である。
しかし、身内のうちの一人から出た言葉に、
他の3人は見事に足下をすくわれる形になったのである。

岩「さっきそこで、西園寺と話したんだが…その、送別会のことで」
和「え、…でも岩井さん、今、ご自分で、3年生の手伝いは関係ないって」
成「そうですよ。残り少ない時間、どうぞ静かにお過ごしになってくださいよ」
篠「……それはまるで余生を送る人間に向ける言葉だぞ、縁起でもない」

しかしながら、その言葉の相手が岩井では、はまりすぎというもの。
マジメにも、茶化しても、突っ込みようがなく、あたりは微妙な空気に包まれた。

啓「あの、俺たち、がんばって準備しますから。
  きっと楽しかったって言ってくれるように。
  だから…どうか、俺たちのこと見守っててください。ね、皆さん」

邪心の入り込む余地のない啓太の笑みは、破壊力満点である。
なにやら話をしようとしていた筈の岩井を含む3年生、
そして啓太の両腕をわけあいっこしていた和希と成瀬までが、
その笑みになんとなくほだされてしまう。

(啓太が言うこと、啓太が幸せなことが、一番だよな~ヽ( ´ー`)ノ)

MVPからこちの学園生活により、
王様とはひと味違うカリスマを確立している啓太なのだった。

993:いけない名無しさん
04/03/04 03:43
和「じゃあ、これにて一件落着と言うことで」
丹「ああ」
中「そうだな」

みんなが和やかになって、よかった。
啓太は、心の底からにこにこしたまま、和希と成瀬の手によって
その場(飢えた3年生の目の前)から撤収されようとしていた。
七条は、心の底を見せずに、いつものようににこにこしていた。

七「…やれやれ。肝心の話をする前に伊藤くんがいなくなっちゃったら、
  まずいですよね? 郁」
郁「そうだ。…本題がまだだろう。3年生からの記念品の件が」
啓「記念品?」
七「そうです。岩井さんからの申し出で、卒業記念制作を、残してくださると」
郁「送る会の執行部としても、記念品の受け渡しはハイライトにぴったりだからな。
  ありがたく申し出を受けることにしたんだ」
岩「…そういうことなんだ」

どうやら、さっき岩井が言いかけたのは、このことだったらしい。
しかし、肝心なのは次の一言だった。

岩「……その作品のモデルとして、送る会の執行部の方から、
  啓太を借りていいという許可をもらったんだ。…いいだろうか、啓太」

994:いけない名無しさん
04/03/04 04:13
啓「俺…ですか?」
岩「ああ、啓太に頼みたいんだ。モデルになってはくれないだろうか?」

岩井の一言に、沈静化した3年生+αがまた騒ぎ出してしまった。

成「はんたーい!ハニーのヌードなんて、僕が絶対認めないよ!」
西「落ち着け、成瀬。何もヌードなどとは言ってないだろう?」
丹「ヌ、ヌードって…マジか?岩井…」
篠「卓人…何を考えてる…」
遠「王様、鼻血出てますよ…」

しかし、問題は、これだけでは済まなかった。

七「おや、中嶋さんが黙ってらっしゃるのも珍しいですね?」
中「いや。お前達からの記念品、ありがたく貰ってやるよ」
七「おや?まるで、こちらからの記念品が何か、ご存知のような口ぶりですね?」

中「俺は、伊藤を貰えるのだろう?」

中嶋の爆弾発言に、彼らはますますヒートアップするのであった。

995:いけない名無しさん
04/03/04 04:43
七「聞き捨てならないセリフですね。大人しくしているかなおかしいと思えば・・・貴方が、誰をもらうんですか?」
丹「ヒデッ!お前なに馬鹿なこと言ってんだ!啓太はモノじゃねぇぞ!」
篠「そうだ、中嶋。人権侵害も大概にしろ(←論点違わない?)」
成「副会長、啓太を貰うってどういうことですか!」
中「フン、結果として同じことだ。」
和「だから、啓太は誰にも渡さないって!(←え?)」

西「お前たち、いい加減にしろ。」

場の空気が変わる。すっかり呆れた様子の女王様が収拾がつかなくなった場を一声で沈めた。

西「中嶋、どこでそんな情報を手に入れたかは知らないが、勝手に話を決めるな。
  とにかく啓太、モデルの件はお前に一任する。嫌ならやめてかまわない。」
啓「モデル・・・って絵のモデルですよね・・・?俺でいいんですか?岩井さん。」
岩「ああ、俺は啓太のありのままの姿を残したいと思ったんだ。」

和・成「 あ り の ま ま ?」

二人が同時に声を上げるとまたその場がざわつく。

成「ハニー!絶対だめだよ!やっぱりヌードなんてそんな・・・」
岩「あ・・・服は着たままでいいし、その、自然に・・・啓太が笑ってる姿を残したいんだ。」

( ま ぎ わ ら し い ん だ よ ! とは誰も突っ込めなかった)

岩「・・・だめだろうか?」
少し寂しげな岩井さんの言葉に胸が苦しくなる。
この人のこんな顔はあまり見たくない、そう思っていた。
啓「わかりました、俺、やります。俺で役に立つなら描いてください、岩井さん」
そこでまた飛びっきりの笑顔を見せる啓太に、誰もが反論を唱えることはできなかった。

ただ一人を除いては。
海「伊藤くーん、絵を描いてもらうの?いいなあ、トノサマも描いてほしいって言ってるよ?だめかなあ?」

996:いけない名無しさん
04/03/04 05:03

丹「げっ!海野…」
七「おやおや…中嶋さん、丹羽会長をお願いしますよ」
中「仕方ない…」

急に現れた海野先生とトノサマを真正面から見てしまい、丹羽の顔は一気青ざめるが、
中「丹羽、骨は拾ってやる」
背後からの中嶋の上段後ろ回し蹴りを見事にくらい、誰にも気付かれる前に、丹羽は床に倒れた。

海「うわぁ。中嶋君、すごいねぇ」
篠「中嶋、お前何を考えてる!」
海「よ~しトノサマ。トドメの肉球アタックだ~!」
遠「海野先生…何がしたいんですか?」



七「さ、伊藤君、今のうちに」
啓「岩井さん、今のうちに行きましょう」
岩「あ、ああ…」
七条の言葉とウィンクに見送られ、啓太と岩井は、他の誰にも気付かれないように、その場を離れた。


997:いけない名無しさん
04/03/04 05:40
※岩啓になってしまいますた 誕生日記念ってことでお許しを…

二人は、何とか美術室にたどり着いたが、直に誰かが来てしまうだろう…
啓太は、岩井と二人きりになれるところを考えた。

岩「とりあえず、鍵をかけよう」
岩井は、扉に鍵をかけ、棚からスケッチブックを取り出した。
岩「実は、具体的なことはまだ決めていないんだ。とりあえず、啓太のスケッチをさせてもらえるか?」
啓「じゃあ、じっとしていた方がいいですよね?」
岩「いや、楽にしていてくれていい。とりあえず、窓際に置いてある椅子に座ってくれ」

啓太をじっと見つめ、スケッチをする岩井。
啓太は、それの邪魔にならない程度に体勢を変えながら、窓の外を見ていた。

この一年、何度も見てきた風景が、見える。
岩井さんに会いたいから、何度も訪れた美術室。
来春からは、ここに岩井さんの姿は無いんだと思うと、啓太は目頭が熱くなった。

岩「啓太…すまない」
啓「え?」
岩「こんなふうに啓太を束縛してしまって…」
啓「岩井さん…」
岩「俺は、こんなふうにしか、自分の思っている事を表現できないから…」
啓「岩井さん!俺…」
岩「俺は、啓太の絵を描き続けていきたい。これからも、ずっと…」

啓太は、岩井を抱きしめた。
啓「俺、岩井さんの傍に、ずっと居ます。居させて下さい!」
岩「ああ、俺からも、頼む…俺の傍に、居てくれ」


998:いけない名無しさん
04/03/04 06:21
そうしてしばらく無言でいると、開けていた窓から吹き込んだ風がかたっと戸を揺らした。
その音を合図にするようにゆっくりと二人が見つめあう。

啓「あの、岩井さんが書いたスケッチ、見せてもらえますか?」
岩「ああ、構わない。うまく描けているか、自分でもよくわからないんだ」

そう言って照れたように差し出されたスケッチブックには短時間で描き上げられた
たくさんの自分がいた。
ほんの少し涙目になっていたのも、見られていたんだ。
この学校に来てからのこと、王様たちのこと、岩井さんとのこと。
いろいろなことを思い出していた自分の表情がスケッチの中にいた。

啓「なんだか、やっぱり、・・・恥ずかしいですね、でも俺こんな風に描いてもらえてすごく嬉しいです。」
岩「啓太、ありがとう。俺は、啓太に会えて本当に・・・嬉しいと思ってる。すまない、上手くいえないんだが・・・」
啓「いいんです。俺、このスケッチが岩井さんの気持ちだと思ってます。」
岩「明日はキャンバスに起こすから、また、協力してくれるか?」
啓「もちろんです!俺、岩井さんの側にいるって決めたんですから」

翌日の美術室にはまた二人の姿があった。
大きなキャンバスへ筆が走るたびに、卒業が近づいてくる。
側にいると決めたけれど、寮を離れてしまったら今までのように会うことは難しい。
そんなことばかり考えてしまう。
この作業に取り掛かってからずっと考えていたことをいつ切り出そうか、啓太は迷っていた。

『毎年恒例の行事や。思いを寄せる卒業生と下級生とで、ジャケットのボタンを交換するんや』

(側にいる約束の代わりに、岩井さんのボタンを貰おう・・・)
何度か言いかけて真剣な彼の表情に言葉を飲み込んでいた。

岩「できた・・・」
ふうっと大きく息をついた岩井は、手の甲で額をぬぐった。
啓「あの・・・岩井さんっ!」

そこへ

がちゃがちゃ・・・
篠「卓人、伊藤、おい、大丈夫か?」
成「ハニー!そこにいるんだね?ヌードはダメだよ!」
和「啓太!開けてくれ!啓太ーー!」

啓「あ・・。」
岩「ふ・・・時間切れのようだ。あとはこれを西園寺に預ければ俺の仕事は終わりだ。」

岩「啓太、本当にありがとう。」
にっこりと笑う岩井さんが幸せそうでよかった。でも・・・

(・・・俺、いつ岩井さんに言おう、ボタンのこと・・・)

999:いけない名無しさん
04/03/04 06:50

しかし、啓太は、ボタンのことを言い出せないまま、送別会を迎えてしまった。

和「さすが、王様だよな~」
啓「…うん」

厳かな雰囲気で進んでいた送別会も、お祭り好きな面子が集まったせいで、
とたんに騒がしいものに変わってしまった。
丹羽は、今まで勝負に挑んできた各部の部員をはじめとしたたくさんの人に囲まれていた。
西園寺も七条も、こうなることは予想の範囲内だったのか、
それとも無粋なことはしないと決めたのか、
舞台袖から動こうともしない。

啓太は、舞台袖から裏まで慌しく駆け回っていて、気付いた頃には、記念品の授与式になっていた。

啓「結局、絵、見せてくれなかったな…」

啓太は、壇上の西園寺と丹羽を見上げた。
丹羽から西園寺へ、目録が渡された。
脇に置かれていた絵にかけられた布を丹羽が剥ぎ取り、高く掲げようとした時、
舞台袖に控えていた啓太は、肩を叩かれた。

啓「わぁ!」
岩「すまない、驚かせてしまったか?」
啓「岩井さん…」

急に、辺りが騒がしくなった。
壇上の西園寺は頭を抱え、七条は口元に手を当て笑っている。

啓「何があったんだろ?」
岩「行こう、啓太」
啓「えっ?岩井さん!?」
岩「たとえ絵でも、啓太を誰にも渡したくは無かったんだ」

誰にも気付かれずに外へ出た二人の後ろを、
絵の本当のモデルであるトノサマが、ゆっくりと横切っていった。



1000:いけない名無しさん
04/03/04 06:56
さて、啓太が岩井にボタンの事を言えたかは謎であるが…。

後に気がついた丹羽は中嶋の顔面に見事に正拳付を決めて、廻し蹴りのお礼をお釣りがくるまで支払ったそうである。
さすがの海野先生もトノサマも手が出せなかったそうである。
いつもへタレだの言われているが丹羽が暴れ狂ったらトノサマでも止められないという伝説を残し卒業式は…。

理事長室にて、成瀬はあるものを見つけて途方にくれていた。
成瀬「おい遠藤…何だよ、このサ○エさんマークは?」

卒業証書に一杯にプリントされたサ○エさんの笑顔で終わるのであった。


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