03/05/27 16:32 UvSZj/UO
「だいたいねぇ、言われるまでもなく前からアルスにもちゃんと言ってるのよ。
あたしの気をひきたかったら素敵なプレゼントを用意するなり、身だしなみに
気を使うなり、もっとあたしとつきあうにふさわしい男になりなさい、って」
マリベルは横目でアルスを見ながら言いました。
「その点だけなら」
右手の人差し指を唇に当てます。
「同じバカでもオルカのバカは眼中にはなかったけどまだマシだったわね、マメなだけ。
ま…あたしを欲しがってたくせにちょっとの間でも目の前からいなくなったら
保険で他の女と二股かけても大丈夫、なーんて救いようのないバカさ加減は
無間地獄に落ちて当然だけど」
ぴんっ、と指をはじき、そのままアルスの鼻頭をちょこんとつつきました。
「ま、あんたにはそんな度胸さえない、か」
マリベルは両手を腰に当てて肩の力を落とし、唇で笑いました。
酔いか、別の何かか、火照る頬は火のゆらめきにかき消され、
たいまつの燈と宵のはしりの夕闇に交互に染められています。
「そろそろ…人が、増えてきたわね」