03/05/24 13:20 ANO0C7Zr
「こ、今夜こそ言うんだ…そ、そ、そそ、それで、そのあと、あ、あとは…」
アミット祭も宵に向けてたけなわです。女たちは過酷な漁を終えて戻ってきた男たちを
腕によりをかけた料理とエスタード城からふるまわれた酒でねぎらっています。
…が、アルスは女ではなく、父ボルカノと網元アミットにつかまってしまいました。
「ハッハッハ、一漁終えて戻ってくれば立派な一人前の男だ!飲め!飲め!」
「網をアッと言う間に上げたそうじゃないか。さすが魔王を倒した勇者様だ。ささ、飲みなさい!」
二人とも小さい頃はひ弱で頼りなかったあのアルスが、冒険を通してたくましく、立派に
成長したことを、こういった身近な形で実感できたことがうれしくてたまらないようです。
芯まで酒が回っているのか、真っ赤な顔は笑いっぱなしです。
アルスもなかば無理やりに飲まされるなれないお酒に最初は難渋をしましたが
いつの間にやらとっても気分がよくなっていました。へべれけが3人できあがっています。
「時にアルス。おまえもこの通り使えるようになった。…ま、それ以前に世界を救っておるが。
十分に魅力のある大人の男と言っていい。どうだ?村の若い娘たちが放っておかんだろ?」
アミットがにやにや赤い顔を近づけます。
「おお、そうだアルス!おまえももうそろそろ嫁さんをもらってもいい年だなぁ。
なあアミットさん、どこかにいい娘さんがいたらこいつに世話してやってくれませんか?」
ボルカノも冗談とも本気ともとれない笑い声を上げます。