FFDQバトルロワイヤル PART5at FF
FFDQバトルロワイヤル PART5 - 暇つぶし2ch77:保管庫キャノン
03/03/31 01:51 c+nt7XS+
一方、一人冷静なのがアニーだった。
先程呪文で凍らせた扉を、中にいる者たちが蹴破り始めた事にもいち早く気付いていた。
父は離れにいる者たちを頼むといった。そして氷結の呪文はすでに唱え終わっている。
扉はすぐにでも蹴破られそうだが、呪文を放てば更なる氷が扉を塞ぐだろう。
だが、あえてアニーは呪文を放たなかった。
勿論、命は大切だ。助けられるのなら、そうしたいと思う。
しかし父親と天秤にかければ、どちらに傾くかは言うまでもないことだ。
父が、見ず知らずの少女のために死んでいく…そんな事は、認められない。絶対に。

有頂天のエビルプリースト、泣きじゃくるリディア、怒りのとんぬら、ルーキー。
その裏側でアニーは子供とは思えない…いや子供だからこそなのだろうか…冷静さで隙を突こうとしていた。

78:保管庫キャノン
03/03/31 01:51 c+nt7XS+
【エビルプリースト 
所持武器:危ない水着 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
リディアを捕らえています。

【リディア
所持武器:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:エビルプリーストから逃げる
第二行動方針:祠から逃げてバッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
エビルプリーストに捕まっています。

【エーコ
所持武器:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:バッツたちと合流
第二行動方針:仲間を捜す】
祠から逃げ出す事に成功しましたが、向かっている南の端は落ちています。

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣(捨て)/スナイパーアイ ブーメラン(捨て)/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:エビルプリーストを倒す
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
とんぬら、ルーキーは武器を捨てました。アニーはそのままです。
とんぬらにはマホカンタがかかっています。アニーは氷結の呪文をすぐに撃てます。

【ピピン 死亡】

オルテガたちが出てくるタイミングはお任せです。
エーコについては誰か補完してください。おながいします。

79:保管庫
03/04/01 01:01 s8WvrebR
地下道に響く爆発音は、当然東に向かうデスピサロたちにも聞こえていた。
その音に慌てて引き返そうとするジタンをデスピサロが制止する。

「待て!、サマンサならば大丈夫だろう、あれは引き際をよく心得ている、
 滅多な事で間違いはしまい」
「あいつから仕掛けたかも知れないぜ」
「まさか、ならもっと確実な方法が幾らでもある、魔法使いなのだからな」
そう言ってジタンをなだめるデスピサロだったが、もちろんサマンサの意図は充分理解していた。
(サマンサよ、援護射撃のつもりか、味な事を)

結局、それ以降戦いの物音は一切聞こえる事は無く、ようやく納得したジタンはまた先へ進む。
そしてまたしばらく進んだ時、ジタンはまた足を止め今度は何やら地図を見比べて考え始める。

「おかしいな」
「何がだ?」
「いや、俺としてはこの島にある祠に行きたいんだけど、地下道が通って無いんだ」
デスピサロも地図を確認する、なるほど確かに地下道は祠一帯、北東の湖を避けるように通っている。
引き続きデスピサロは、地下道マップと支給品の地図を見ながら思案をめぐらせる、その結論は。

「地形から考えるにおそらくこの島は浮き島だ…だれかが人工的に作った」

地下道マップは誰が調べたのかは知らないが単にトンネルの通路だけでなく、
その深さや地盤等の状態についても詳しく書きこまれていた。
それが無ければ彼もこの事実に辿りつけなかっただろう。

「人工島?それって何か不味いのか?」
意外な展開について行けず、首をかしげるジタン、デスピサロはできの悪い生徒に補習を行う、
教師のスタイルで続ける。

80:保管庫
03/04/01 01:01 s8WvrebR
「さしあっては不味いわけではない、だがもしその事を知らずに、派手な戦いでもやれば、
 もしかすると、突如として島が沈む、という事もありえないともいい切れんな」

「しかも悪い事にその湖の地下には断層がある…もし島が沈めばそれを引き金にして、
 局地的な地震が起こりうる可能性すらあるが、それでも行ってみるか?」

意地の悪いデスピサロの言葉に、ジタンは苦笑いで応じるのみだった。

【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出

81:保管庫
03/04/02 01:41 x4FJiq0r
一体、何時間ほど歩いただろうか。
「ようやく山岳地帯を抜けられるようでござるな」
ライアンは安堵の息をついた。同時に、見失ってしまった仲間達のことを思う。
特にホイミン……あの不吉な夢は、何を暗示していたというのか。
ライアンは空を見上げた。太陽は既に傾いているが、日没にはまだ時間がありそうだ。
(次の放送を聞けば、あの夢が正夢かどうかもわかるでござる……)

雪山で、長い間気絶していたライアンは知らなかった。
放送回数が増えたこと、正午に流れた放送で禁止魔法が追加されたこと、ホイミンの名前が呼ばれたことを。
最も、戦士のライアンにとって、禁止魔法の追加などなんの意味もないのだが。

「……歩きどおしで疲れたでござるな。少し一休みとするか」
ライアンは岩陰に身を隠した。そして昼食を食べていないことに気付き、
バックから食料を取りだして食べ始める。
「腹が減っては戦ができぬと申すからな」
ツェンの街で果物や瓶詰めを見つけていたこともあり、あと二日は食料の心配もない。
そういう事情もあって、彼は盛大に食事にありついた。

82:保管庫
03/04/02 01:42 x4FJiq0r
そんなライアンを見つめる視線が、二つ。
「(ごくっ)……いいなぁ~、オレなんかちょっとしか食べてないってのに」
「何よ、食料なら私達の分を分けてあげたじゃない」
「あんなちょびっとじゃ、食べた気がしないッスよ」
「だったら、そこらへんの雪でも食べて我慢しなさいよ」
ライアンの隠れている岩とは少し離れた、木の陰で。
ティーダとマリベルは、そっと様子を伺っていた。
目的は、もちろんセフィロス打倒のメンバーを勧誘するためだ。
比較的足が早く、戦闘能力もあるティーダ達が仲間探しをする間に、
エアリスとギルガメッシュとラグナが作戦を立てる……そういう手筈になっている。
「で、どうする?」
ティーダはぱらぱらと、参加者リストのページをめくる。
選ばれし者の一人、バトランドの王宮戦士―この文と本人を見る限り、そう悪い人物とは思えない。
「あのオッサン、見た目も結構強そうだし、オレはいいと思うんだけど」
「見た目だけって可能性もあるけどね」
しかし、ライアンが決して見た目だけの戦士ではないことは、マリベルも察していた。
一見無造作に食事をしているようだが、全く隙がない。
それに脇に置かれたやたらとデカいハンマーからは、並々ならぬ魔力が放たれている。
あの武器だけでも、貴重な戦力となることには間違いない。
とりあえず、どうやって声を掛けるか―二人がそう思った、その時。
「いい加減出てきたらどうでござるか?
 人の食事をジロジロ見るなど、あまりいい趣味とは言えないでござるよ」
「!」
予想だにしなかった一言。
驚きのあまり、ティーダ達は反射的に木陰から飛び出していた。

83:保管庫
03/04/02 01:42 x4FJiq0r
【ライアン 所持武器:大地のハンマー
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
 第一行動方針:食事&休憩
 第二行動方針:はぐれた仲間を探す
 第三行動方針:ホイミンの安否を確かめる
 (正午の放送を聞き逃しています。放送回数が増えたことも知りません)】
【マリベル/ティーダ 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
 所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
 第一行動方針:仲間を集める、
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
【ラグナ(両足欠損)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
 所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
 第一行動方針:作戦会議
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】

84:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/03 01:52 sKGk4cPJ
保守

85:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc
03/04/05 00:02 uLPuoH0F
保守

86:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/06 03:57 Ydf1MJ/a
ほっしゅほっしゅ。

87:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/06 12:46 IJjaM5sZ
保守

88:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/06 15:11 Xj2f544m
ほしゅ

89:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/07 16:02 kJmeo9bL
保守

90:ほしゅ
03/04/07 20:50 ZaPWq3Rl
ほしゅ ほしゅ ほっしゅっしゅ。

91:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/07 21:10 YDZ+snYI
用はドラクエが天野画になり、エフエフは主人公しゃべらなければ双方納得てことでよいですね?

92:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/07 21:36 nUgNUZIM
29

93:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/07 21:51 ntGytMzc
>>91
意義なし男くん

94:不セイン
03/04/07 23:14 Bq/Af7BB
サーバーを接続できマンセー

95:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/08 18:26 uHb2q1ze



96:
03/04/08 19:01 lOU8LlgK
96

97:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/08 21:51 MQoYfluV
顔文字板のDQスレも保守するだけの日々が続いたが
このスレもそうだな

保守ぴたる

98:逆襲の保管庫
03/04/08 23:59 SL5CsYn6
「おい!おい!起きてんのか!」
耳もとの声にギルガメッシュはゆっくりと目を開けて、声の方向を見る、と、そこには、
一匹のカエルがひょこひょこと歩いている。
「作戦会議をしようって言ったのはお前だろ、寝てんじゃねーよ」
さらにカエルは大声を張り上げる、だがギルガメッシュはカエルがしゃべるという異常事態にも、
全く動じず、当たり前のように返答する。

「腹へってんだよ…お前はそんななりだからカロリー少なくって済むんだろうけど、なぁラグナさんよぉ」
「ただ寝てるだけなら別に人間のままでもいいんだけれどな」
そう、このカエルの正体は、ト-ドによって変化したラグナだったのである。
両足を失ったラグナを出来るだけスムーズに連れて歩くための手段であった。

ひょこひょこと自分の周囲をうろつくラグナカエルをギルガメッシュはぼんやり見つめる。
その下あごには超ミニサイズながらも、例の首輪が光っていた。
(カエルになればもしかしてと思ったんだが…無理だったか。)

「なぁ…お前も出来るだけカロリーを消費せずに大人しくしておいた方がいいぞ。人間に戻ったら
 ふらふらで戦えませんじゃ困るからな」

木陰で丸くなって、やはり大人しくしているエアリスの方を見、それから何故か自分のそばから離れない
ラグナカエルを不思議そうに眺める。

「なぁ、なんでエアリスじゃなくって俺なんだ?スケベそうな顔してるくせによ?」

「出来れば俺もお前さんじゃなくって、エアリスの胸の谷間がいいに決まってる…でもな
 さっき忍び込もうとしたらエアリスは俺になんて言ったと思う?」
カエルの姿のラグナはそこでぶるぶると身体を震わせる。
「今度やったら、お尻の穴にストロー刺しこんで、そのままぱぁんってやっちゃうからね…てよ」
「そ…それは怖いな」

99:逆襲の保管庫
03/04/09 00:01 MaTwi+s7
エアリスのその一言はラグナカエルには死にも勝る恐怖だっただろう。その恐怖はもしかすると、
自らの幼き日々を思い出してのことかもしれない。
「きっと子供の頃やってたに違いないぜ」
「人は見掛けによらんな…」

そこまで話すと、またラグナカエルは落ちつき無くひょこひょこと飛びまわる。

ギルガメッシュは今度は灰色の空を見上げると、別のことを考え始める。
自分はあの時爆死したものだとばかり思っていた、今の自分は”おまけ”のようなものだと。
だからこそ、セフィロスを倒そうなどというある意味無謀な計画を企てる事も出来た。
おまけの命を無駄にするつもりは無いのだが、せめて有意義に使いたいというわけだ。
英雄っぽくって2度目の最後を飾るには、なかなかのものだろうと自分では気に入っているつもりなのだが、
なんとなく思うのだ。

爆死した後、まだ何かがあったような気がする…大切な何かを忘れているような…、
ギルガメッシュは珍しく頭をフル回転させ、必死でおぼろげな記憶を呼び戻そうとする。

もやがかかった脳裏にある人物が浮かび上がる、白い髭をたくわえた、いかにも賢者を思わせる、
温和な容貌の老人だ、その隣には雪の結晶を纏った美女もいる。
そこまで思い出したところで、また、もやが深くなってゆく、これ以上は今は無理のようだ。

(そういや爺さん何か言ってたような…新しい仲間だとか何とか、ああ、よくわかんねぇやな)
とにかく空腹で考え事をしても無駄だ、ギルガメッシュは再び目を閉じて丸くなる。

「腹、減ったな…ティーダのやつ、俺がトイレに行っている間に俺の分まで食べやがって…」

100:逆襲の保管庫
03/04/09 00:02 MaTwi+s7

【ラグナ(両足欠損・現在はカエルの姿)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
 所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
 第一行動方針:作戦会議
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】


ギルガメッシュは死亡後、召喚獣となっています。(本人に記憶無し
記憶を全て取り戻すまでは人間として扱う)

老人はラムゥ、美女はシヴァです

101:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/10 01:15 DmHNKJIL
保守

102:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/10 21:00 DfThVge6
ほしゅ!

103:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/12 00:59 XxDcsjCq
ホシュ

104:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/12 23:12 yqQ/aQkx
ほ し ゅ る か ?

105:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/14 01:51 poIMpI8m
ほ し ゅ る ろ う か !

106:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/14 21:03 QZ9nQdmL
あ ぼ ー ん

107:保管庫
03/04/15 01:27 EsGhIdyO
リディアは絶叫していた。エビルプリーストの腕が咽喉に食い込んで
ろくに声も出せなかったが、目から涙がこぼれ、胸の奥がひゅうひゅうと鳴っている。
悲しいこともある。ただ、それ以上に許せなかった。
剣を捨て、すまなさそうに自分を見るピピンの姿が、爆炎に飲み込まれて消えていく姿が瞼に焼き付いて消えない。
ピピンは命をかけて自分たちを救おうとしてくれた。なのに自分はそれに答えられなかった。
だから、自分が許せなかった。
そしてまた、剣を捨てた男性が目の前にいる。自分のせいで、死んでしまう。
そんなことは許せなかった。

もがき、暴れる。だが、エビルプリーストの腕はまったく揺るぐことはない。
自分が身動きするたびに締め付けはきつくなり、意識は遠くなっていくが、
それでもリディアは絶対に諦めるわけには行かなかった。

そんなリディアの精一杯の抵抗も、エビルプリーストは歯牙にとめない。
彼は武よりも文の性質であったが、腐っても魔族である。小娘が暴れたところで動じることなどない。
「さて、先ほどの例をさせてもらおうか。おっと、貴様はマホカンタが効いていたな」
エビルプリーストは邪悪な笑みを浮かべながら、とんぬらが捨てた剣の方へ歩いていく。
ルーキーは悔しげに、とんぬらは静かな怒りを秘めながら、身動きひとつせずそれを見ていた。
そんな二人にエビルプリーストは舌打ちする。剣を拾い上げ、ゆっくりととんぬらに近付いていく。
「その目、気に入らんな。貴様は危険だ」
とんぬらは冷たい目でじっとエビルプリーストを睨みつけていた。
抵抗する様子はない。手をだらりと下げ、無防備な姿で佇んでいる。
一歩、一歩近付くにつれ、リディアの焦燥は積もっていき…
エビルプリーストがとんぬらを切り殺そうと剣を構えた、その時。リディアの中の何かが切れた。

108:保管庫
03/04/15 01:28 EsGhIdyO
刹那。強烈な力が弾けた。
「うおおッ…!?」
リディアの全身から緑色の光が溢れて視界を塗り潰す。
突然生まれた衝撃にエビルプリーストはリディアを投げ捨てる、だが現象は止まらない。
何らかの力が集まって一つの物体として具現化していく。
「ば、馬鹿な…!?」
それはリディアを包んで巨大化していき、遂には巨大なドラゴンを形どった。

音もなく、雪原に突然現われた白いドラゴンは鎌首を下に…エビルプリーストに向ける。
エビルプリーストはパクパクと口を上下させた。何かを言おうとしたが、声にならない。
ドラゴンは口を開いた。咽喉から白い煙が零れる。
熱も冷気も電撃もない霧のブレス。次の瞬間、彼の全身を激しい痛みが襲った。

本来なら、耐え切れた攻撃かもしれない。だが、ゾーマの魔力に包まれたこのフィールドでは、
魔法に制限がかかっているように、耐性にも彼が思っている以上に制限がかかっていた。
こんな筈ではなかった。エビルプリーストは、自分がどこで誤ったかを考えた。
あの小娘を人質に取ったとき、逃げることを考えなかったことか。
いや、そもそもあの小娘を人質にしてしまったことか。
それとも…

そんなエビルプリーストの全身を氷柱が貫き、彼の存在はそこで潰えた。


とんぬらは呆然とその一連を見ていた。
とんぬら自身は、エビルプリーストが攻撃を仕掛ける瞬間を狙っていた。
幸いな事に自分にはマホカンタがかかっている、エビルプリーストは直接的に自分に手を下すだろう。
そこに付け入る隙がある。危険だったがそれしかない、と思っていた。
だが、実際はそれを行う前に、少女が少女自身の力で自分を救った。
自分は…自分が人質になったあの時、自分は見ているだけだったのに。

109:保管庫
03/04/15 01:28 EsGhIdyO
霧のドラゴンは攻撃を終え、存在する所以を失ったそれは静かに消えていく。
現われたとき同様、音もなく消えた後には倒れ伏すリディアの姿があった。
少女の下に駆け寄る。意識を喪失しているようだ、一見して少女の顔色が酷く悪い事が確認できる。
念の為に脈をとってみると、あるにはあるが恐ろしく弱い。
あのドラゴンを呼んだ際に力を使い果たしてしまったのだろう。
このままでは危険かもしれない。

とんぬらはリディアを抱き上げた。少女の軽さに、何ともいえない気分になる。
こんな少女も、この馬鹿げたゲームの参加者なのだ。それがやりきれなかった。
振り向くと、アニーがこちらに歩いてくる。何となく、不機嫌そうだった。
実際、アニーは不機嫌だった。
「お父さん、何で剣を捨てたの?」
「アニー?」
「お父さんは、私よりあの子が大事なの?」
とんぬらが不思議そうに自分を見ている。それがまたアニーの癇に障った。
「お父さんは死なないっていったじゃない!なのにあんな子の為に剣を捨てて!」
「アニー…」
今にも泣き出しそうな娘の前で、困惑する父親。
そんな気が重くて窒息しそうな状況で、ルーキーはかなり控えめに口を出した。
「ねぇ…そろそろ中の人たちが出てきそうなんだけど?」

次の瞬間。
離れの扉が蹴破られ、見るも無残な姿に成り果てた扉が雪原に投げ出される。
扉が地面に倒れた勢いで雪が舞い上がった。
ちらつく雪の影に、男が二人現われる。
オルテガとリバストだった。

110:保管庫
03/04/15 01:31 zwJ8r872
【リディア
所持品:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第二行動方針:仲間(セシル?)を捜す
力を使い果たして昏倒しています。そう簡単には回復しません】

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:リディアとオルテガたちとどう接しよう?
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】

【エビルプリースト 死亡】

111:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/17 02:10 mPTGbc3H
ホシュ?

112:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/17 22:43 JHNCZhup
ホシュ!

113:保管庫
03/04/19 00:32 bowcbfVP
「おい、なんか変な音がするんだけど」
地下道を進んでいたジタンが立ち止まろうとする、背後にいたデスピサロも気がついていたらしい、
すかさずジタンの襟元を掴むと、そのまま踵を返して引き返そうとする。

「振り向くな…走れ!全力で!」
その時岩盤を突き破り、おびただしい量の地下水が通路へと溢れ出す。
まさに濁流とも呼ぶにふさわしい暴力的なまでの水流が2人を飲みこもうと迫っていた。


その変化は地下だけではなく、そこからさほど離れていない祠島にも現れていた。
突如彼らの足元の地面が、ぴしぴしとひび割れたと同時に大量の水が地割れから噴出してくる
これだけでも容易ならざる状況だというのに、さらに空気の流れが急激にささくれだってくる。
これは…間違い無く竜巻の前兆、それに悪い事に巨大な魔力の要素を感じる。

だが、彼らがそれに気がついたときはすでに遅かった、大音響と共に島は竜巻に包まれ、
まずは離れがバラバラに吹き飛び、一匹のチョコボと共に竜巻に巻き上げられたのを皮切りに、
その場に居合わせた者達も、次々とはるか上空へと消えていく。

デスピサロが浮島と表現した、祠島だが、彼を持ってしても見ぬけなかったのは、
この島が単なる浮島ではなく、それその物が魔力を帯びて浮いていたということ。
はるかな昔、この地を築いた先人たち(おそらく地下道を掘ったのも彼らだろう)
によって作られた物であるのだろうが、管理するものも無く、打ち捨てられた状況の中、
老朽化が進み、蓄積された魔力がいつ暴走してもおかしくない状況であったのだろう。

そこに来て、先ほどの戦闘が呼び水となり、ついに風船が破裂するかのごとく、膨張したそれは、
一気に噴出したのであった。


114:保管庫
03/04/19 00:33 bowcbfVP
そのころようやく安全圏へと脱出したデスピサロたちは、その恐るべき様を固唾を飲んで見続けるしかなかった。
妖しく光る巨大な竜巻、それも1つだけではなく、複数の竜巻が重なり合って付近を覆っているのが分かる。

その凄まじい光景を眺めていたデスピサロだが、あることに気がついたようだ。
「あの竜巻…あれはルーラ?、まさか自然発生するとは」
おそらく暴走、噴出した魔力が様々な条件の元、あのようなルーラという形になったのだろう。
もっとも今、目の前で起こっているのはルーラとは逆の作用をもたらす魔法、バシルーラなのだが。

さらに目を凝らすと、竜巻の頂点からいくつかの光が四方へと散っていくのも見える。
すると、そのうちの1つがこちらへと向かってくる。
「気をつけろ、近くに人が降ってくるぞ」
デスピサロがジタンに声をかけるかかけないかの間に、ばしゅんっ!という音がしたかと思うと、
そこには緑の髪の少女が気を失った状態で、雪原に倒れていた。


一方、竜巻に中途半端な形で巻きこまれてしまい、ただ湖に投げ出されてしまっただけの者たちもいた。

投げ出されたショックで気絶したアニーを抱えたとんぬら、それからアーロンの3人だ。
彼らは崩壊したつり橋のロープにつかまり何とか難を逃れてはいたが、
地盤沈下の衝撃で発生した大渦が容赦無く彼らを飲みこもうとしていた。

とんぬらのすぐ後ろでアーロンが叫ぶ。
「俺に構うな、早くロープを切れ」
激流の中、彼らがつかまっているロープは3人分の体重を支えるにはあまりにも細過ぎた。
このままでは3人とも渦の中に飲み込まれてしまうだろう。



115:保管庫
03/04/19 00:39 bowcbfVP
「俺は身体が動かん…頼む」
無言のとんぬらをアーロンはさらに促す。
水面下を見ると彼の身体にロープが絡んでいるのが見える。
だが…それでも、とんぬらには判断がつかなかった、理屈では彼の言葉が正しいのはわかる、
しかし、それでも自分が助かるために他人を見殺しには出来そうになかった、だがしかしその時、
腕の中でアニーが小さな唸り声を上げる。それを聞いたとき、とんぬらの中から迷いが消える。
「すいません!」

とんぬらはさざなみの剣を抜き、素早くロープを切断した。
アーロンの口元が”それでいい”とわずかに微笑んだような気がしたが、
その次の瞬間には、彼の姿は渦の中に消えていった。

こうして渦の中から何とか脱出したとんぬらは、アニーを抱えて島へと戻る。
島は半分以上水没していたが、その頂に位置する祠はまだ無事のようだった。
「とりあえず濡れた身体を乾かさないと…」
自分の中の罪悪感を振り払うように呟くと、とんぬらはそそくさと祠の中へと入っていった。


だが、その一方で隣の島から彼らを睨みつける視線があった。
その視線の主はモニカ、幸か不幸か、彼女も竜巻に巻きこまれたものの、
隣の島に弾き飛ばされただけですんだのである。

だが、そこで彼女が見たものは、無常にもロープを切断されて、
波間に消えていくアーロンの姿だった。

そう、彼女にはとんぬらが救いを求めるアーロンを見捨てたとしか見えなかったのだ。
「許さない…よくもアーロンさんを」


116:保管庫
03/04/19 00:42 bowcbfVP
>>115はミス!修正版を見落としてました。
しかも>>114とかぶってるし
 
とんぬらのすぐ後ろで、麻痺した身体を必死に動かしてアーロンが叫ぶ。
「お、おお、、れれえ…かま、うな、ろろ、ロープ…切れ」
激流の中、彼らがつかまっているロープは3人分の体重を支えるにはあまりにも細過ぎた。
このままでは3人とも渦の中に飲み込まれてしまうだろう。

「かか、からが動か…頼む」
無言のとんぬらをアーロンはさらに促す。
水面下を見ると彼の身体にロープが絡んでいるのが見える。
だが…それでも、とんぬらには判断がつかなかった、理屈では彼の言葉が正しいのはわかる、
しかし、それでも自分が助かるために他人を見殺しには出来そうになかった、だがしかしその時、
腕の中でアニーが小さな唸り声を上げる。それを聞いたとき、とんぬらの中から迷いが消える。
「すいません!」

とんぬらはさざなみの剣を抜き、素早くロープを切断した。
アーロンの口元が”それでいい”とわずかに微笑んだような気がしたが、
その次の瞬間には、彼の姿は渦の中に消えていった。

こうして渦の中から何とか脱出したとんぬらは、アニーを抱えて島へと戻る。
島は半分以上水没していたが、その頂に位置する祠はまだ無事のようだった。
「とりあえず濡れた身体を乾かさないと…」
自分の中の罪悪感を振り払うように呟くと、とんぬらはそそくさと祠の中へと入っていった。



117:保管庫
03/04/19 00:43 bowcbfVP
だが、その一方で隣の島から彼らを睨みつける視線があった。
その視線の主はモニカ、幸か不幸か、彼女も竜巻に巻きこまれたものの、
隣の島に弾き飛ばされただけですんだのである。

だが、そこで彼女が見たものは、無常にもロープを切断されて、
波間に消えていくアーロンの姿だった。

そう、彼女にはとんぬらが救いを求めるアーロンを見捨てたとしか見えなかったのだ。
「許さない…よくもアーロンさんを」

【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:祠の湖南岸の森】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:祠の湖南岸の森】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出

【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の湖南岸の森
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】


118:保管庫
03/04/19 00:48 bowcbfVP
【とんぬら(DQ5主人公)/王女アニー
所持品:さざなみの剣/マインゴーシュ
現在位置:湖の祠
第一行動方針:身体を乾かす
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】

【アーロン(怪我・半冷凍) 
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:不明
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す)  

【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の南の島
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】

以下、バシルーラに巻きこまれた人々

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:不明 
第一行動方針:アルスを探す】

【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 行動方針:特になし】

【ルーキー 所持品:スナイパーアイ ブーメラン/現在位置:不明
 第一行動方針:クーパー、ライアン、パパスとの合流】

【エーコ 所持武器:なし 現在位置:不明 行動方針:?】

それとチョコボ一匹
また、離れの中にあったであろう品々はロンダルキア全土に降り注ぐでしょう。
祠のある島は現在、南北ともに橋が崩壊し孤立状態です。


119:保管庫
03/04/19 00:48 bowcbfVP
場合によっては巻きこまれた可能性がある人々

【メルビン/ガウ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠から南の島
(バシルーラに巻きこまれているのなら不明)
第一行動方針 アーロンとモニカの救出
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】


120:保管庫
03/04/19 00:53 bowcbfVP
「酷いもんだ。せっかくあんたに直してもらった体をまたこんなにしてしまった。
 バングルさえ身に付けていれば手榴弾ぐらいで、ぐっ、こうやって喋るのも辛いな」
仰向けに横たわるクラウドは体に積もった砂埃や突き刺さった鉄片を感じながら言った。
「うっぅぅぅう」
すぐ近くでアリーナの呻き声が聞こえた。
姿を確認しようと首を動かした途端に激痛が襲い出す。
「ううっ……大丈夫か」
だが返事がない。クラウドは痛みを堪えて出来うる限りの声を出した。
「生きているの、かあっ!」
がたんという音がして一瞬の静寂の後、
「聞こえてるわよ……」
アリーナの小さな抗議の声が聞こえてきた。
「そうか、すまない」
クラウドはそれで心を落ち着かせた。
「しかし、どうしようもないな。今度は二人ともダウン、か」

さっきから喋っている間に聞こえる、滴り落ちる水滴のような音は血なのだろう。
唇からも流れてくる血のおかげで、口の中は鉄分を含んだ味で満たされていた。
「やったのは間違いなくあの二人、それも女の方だ。
 表面は取り繕っていても目に殺気が篭ってた。怖かったな、あれは……」
気力を振り絞ってそんなことを言ってはみたが、何が起こるわけでもない。
だが体を動かせずアリーナの容態もわからない以上、生きていることの確認のためにも
必要なことだと思っていた。それに暗い部屋の中で無音のままでいるのは不安になる。
クラウドはもう一度呼びかけてみた。
「体はどんな具合だ、痛みは耐えられそうか?」
闇の向こうで悲痛な声が聞こえてきた。
「痛いよ、ものすごく痛い……」


121:保管庫
03/04/19 01:01 bowcbfVP
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける

【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
(二人とも重症。しばらく放置されると持ちません)


122:保管庫
03/04/19 01:01 bowcbfVP
「こんなところにいたのか…」
エビルマージは舌を打ちながら、スライムナイト―ピエールに近づいた。
彼の手には、大量の花が抱えられている。おそらくは、フライヤに捧げるための。
雪と氷が支配するこの世界で、これだけの花を集めたことは十分賞賛に値するだろう。
が、エビルマージにとっては、過去の幻影に縋りつく軟弱者の行為としか映らない。
「さすが、人間に仕えていた恥知らずだけはあるな。とんだ役立たずだ」
「………」
「…まぁいい。貴様にラストチャンスをやろう」
黙ったままのピエールを一瞥し、エビルマージは呪文を唱えた。
霧と光が集まり、虚空にとんがり帽子を被った女の姿を描き出す。
「見ての通り、魔法使いだ……名前はサマンサ。
 この女の命を取ってこい」

本当のことを言えば、こんな下等な魔物など捨て置きたかった。
ただ、このままではサマンサはハーゴンに接触し、ゲーム脱出の方法を知るだろう。
魔法使いのサマンサは、使える呪文こそマゴットに劣れど
その魔学の知識と研究心は、仲間をはるかに凌いでいる。
まだこのゲームをぶち壊されるわけにはいかない以上、
早急に手を下さねばならないのだ。彼女がハーゴンと接触する前に。
それができる距離にいて、なおかつ付け込む隙があるのは、ピエールしかいない。
そうでなければ、誰がこんなゴミクズのような魔物を相手にするものか。……

123:保管庫
03/04/19 01:06 bowcbfVP
「まだ迷っているか……なら、一ついいものを見せてやる」
沈黙を続けるピエールに痺れを切らしつつも、エビルマージは再び呪文を唱えた。
今度は静止映像ではなく、動画だ。サマンサが何か喋っているが、声は聞こえない。
その足元には、黒焦げの何かがあった。ピエールはハッと息を呑む。
「わかるか? 貴様と一緒にいた、ビビとか言う魔導師だ」
ビビの手がわずかに動いた。サマンサは冷酷な視線を彼に向けて、手をかざす。
サマンサの口が呪文を紡ぐ。手の平に氷の刃が生まれる。
それが瀕死のビビに向かって降り注ぎ―そこで唐突に、幻影はかき消えた。
「貴様の仲間を殺したのはこの女だ。それなのに、何を悩む必要がある?」
これは嘘だ。サマンサはたしかにヒャドを打ち込んだが、
それはビビの苦痛を和らげるためであって止めを刺すものではなかった。
「こいつさえ殺せば、望む力をくれてやるというのだ。悪い話ではないだろう?」
これも嘘だ。なぜ、ゴミクズの願いをわざわざ叶えてやる必要がある?
まぁ、呪いで狂戦士に変えてやるというのも面白いかもしれないが。
「それとも、貴様は仲間の無念を晴らしてやりたくないのか……?」
ダメ押しの一言に、ピエールがかすかに身を振るわせる。
「……それが本当なら、確かに悪い話ではないな」
かかった! エビルマージはローブの下でほくそ笑んだ。
しかし、ピエールは静かに言葉を続けた。
「だが、断る」
エビルマージがその意味を理解するのに、
そして喉元につきつけられた抜き身の剣に気がつくのに、10秒を要した。

124:保管庫
03/04/19 01:11 bowcbfVP
「ゲスが……全てが貴様の思い通りになると思うな!」
ひっ、とエビルマージは青ざめた声を漏らした。
それだけの気迫が、ピエールから発せられていた。
呪文を唱えることさえ思いつかず、蛇に睨まれたカエルのように、身を震わせる。
「我が剣は守りのためだけではない、それ以上に邪悪を断つために捧げたのだ!
 例え貴様の言うことが真実であったとして、サマンサに罪を犯させたのは誰だ?
 セーラがフローラ様を殺したのは何のためだ?
 ヘンリー様が変わってしまったのは誰のせいだ?!
 ……ゾーマが、貴様らがそのように仕向けたからだろう!
 貴様のような邪悪に屈したとあっては、
 死んでいった人々に、とんぬら様に、そして仲間達に顔向けできぬわ!」
ピエールの言葉を聞きながら、エビルマージは己のミスを後悔していた。
あの時、アークマージを無視してピエールを追い詰めておけばよかったのだ。
フライヤの死に動揺していたピエールならば、容易に堕とすことができたのに。
なまじ、考える時間を与えてしまったせいで―あの因業ジジイが!
だが、エビルマージの命運も完全に尽きたわけではなかった。
「今すぐその首切り落としたいところだが、そういうわけにも行くまい。
 貴様のお陰で思い出したが、私にはまだやるべきことがある。
 消えろ。そして二度と私の前に姿を見せるな」
剣の切っ先が、わずかに離される。
エビルマージは慌ててルーラを唱え、姿を消した。

【ピエール 所持武器;珊瑚の剣 現在位置;神殿の付近 
 第一行動方針:フライヤを弔う
 第二行動方針:とんぬら・クーパー・アニーを探し、守り抜く
 最終行動方針:ゲームを脱出し、諸悪の根源を断つ】


125:保管庫
03/04/20 00:03 gT5QCbTA
本スレ98~100を無効とさせていただきます。

126:保管庫
03/04/20 00:03 gT5QCbTA
ティーダたちを先行させておいて、ラグナたち3人は作戦会議中なのだが、どうも様子がおかしい。

「で、こうやって3人でセフィロスをどうやって倒すかを考えているのだが…」
と、ギルガメッシュ。
「これっぽっちもまともなアイデアが出ないのはどう言う事だ?」
その言葉にラグナが軽口を叩く。
「そりゃ、お前の頭が悪いからじゃないのか?」

「なんだとう、そういうこというやつが1番頭がわるいんだぞ」
自分でも気にしているのか、鼻白んだ表情でラグナに言い返すギルガメッシュ、さらに口撃しょうとする
ラグナをエアリスが止める。
「2人とも小学生みたいなこと言わないでよ、恥ずかしい」

という具合に和気あいあいとした、会議というより団欒のような雰囲気なのである。

「だいたいなぁ…お前らこの俺を舐めている、何を隠そうこの俺は…」
とここらで1つかましておく必要があるかとばかりに、自慢話を始めるギルガメッシュ、
だが話に夢中になりすぎていて、何時の間にかエアリスもラグナも自分のそばから離れているのにも、
背後に迫る気配にも、気がついていない。

そして、ようやく気がついたときにはすでに遅く、振り向いたギルガメッシュの眼前に巨大な蹄、
そして星が瞬いたかと思うと、そこで彼の意識は闇に遠のいた。


闇の中を漂うギルガメッシュの脳裏に、懐かしい光景が甦ってくる。

『バッツ!お前とは一度……1対1で勝負したかったぜ!いい友だちをもったな』
まずはネクロフォビアとの戦いで自爆した自分の姿だ。
(そういや俺ってこの時死んだんだよな…なんで生きてんだろ?)
(でもまぁ、自分が死ぬところなんか見たくても見れるもんじゃないから、ちょっと
 得したような気分だぜ)

127:保管庫
03/04/20 00:04 gT5QCbTA
しばらくすると闇の中から急に白くまぶしい世界へと背景が変わる。
そこにいたのは氷の結晶を纏った美女、それから蛇とも龍ともつかない巨大な長いもの、
包丁を構えたカモノハシもどき…そんな異形たちの姿。
(ここは地獄か天国か…それにしてもなんか忘れているような)

そんな不思議な光景をぼんやりと眺めていたギルガメッシュだったが、そこでまた視界が開けていく、と。
「あ、起きた」
気がつくと上から自分を覗きこむエアリスの顔がある、どうやら夢だったようだ。
(なんかリアリティ溢れる夢だったなぁ)

そう思いながらも身を起こすと、そこにはチョコボを軽々と乗りこなすラグナがいた。
「あのチョコボに正面衝突したのよ、それにしても頑丈ねぇ」
「まぁな」
(なにせ自爆して生きてるんだもんな…我ながら凄いぜ)

一方のラグナはすっかりご機嫌だ。
「こいつはラッキーだぜ、これで俺も遠慮しなくっていいってもんだ」
文字通り手足のようにチョコボを操っている。
今までのお前の態度のどこに遠慮があったよ、とエアリスとギルガメッシュは顔を見合わせたが、
まぁ何も言うまいと溜息をつく。

「あれ?この子…もしかして君は昨日助けてくれたチョコボ君?」
エアリスの問いかけに誇らしげに吠えるチョコボ。
「ご主人様は?もしかしてはぐれちゃったの?」
と、エアリスの頭の中に覆面をかぶり、奇声を上げる男の姿が甦る。
「わかった!いぢめられて逃げ出してきたのね、無理も無いわ、マスクをかぶった変態だったもの」
その言葉にチョコボは声を出して反論するが、もちろんエアリスには通じない。

128:保管庫
03/04/20 00:08 1/jLHEZY
「変態?もしかしてお前の友達じゃないのか?」
ラグナが笑いながらギルガメッシュをちらりと見る。
「俺の何処が変態だ!お前ら俺を何だと思っている!」
エアリスもくすくすと笑いながら追い討ちをかける。
「そりゃ友達を悪く言いたくないのはわかるわ、だけど…」
「だぁかぁらぁ~~、もう勘弁してくれ」

「まぁ…本当にいぢめられていて、しかも変態かはともかく、見つかるまでの間
 俺を乗せてはくれるかい?」
話の流れに困惑していたチョコボだったが、ラグナの言葉に再びくぇ~と元気良く鳴く、
どうやら前の主人同様、ラグナも気に入られたようだ。

「よっしゃ、じゃあ探しにいこうな」



そのころ、彼(もしかすると彼女かもしれないが)の主人たる変態仮面…いやちがう。
勇者?オルテガは、湖のほとりで何やら叫びを上げていた。

「なっ、何も見えん、どうしたというのだ俺の瞳よ!精霊ルビスよ!我に光をぉぉぉぉぉ」
闇に包まれた視界の中、必死で空に手を伸ばし、叫びつづけるオルテガ。
「太陽よ、愛に勇気をあたえてくれぇぇぇぇぇ」

だが彼は知らなかった、自分の覆面が単に前後逆になっているだけだという事を、
そしてそんな彼を虎視眈々と狙う銃口があるということも。

129:保管庫
03/04/20 00:08 1/jLHEZY
【ラグナ(両足欠損・チョコボに騎乗)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
 所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
 第一行動方針:チョコボの主(オルテガ)を探す
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:大陸中央、西の湖のほとり 
第一行動方針:アルスを探す】

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:大陸北部山脈、西の湖のほとり 】
第一行動方針:参加者を殺す(エドガーorハ-ゴンを優先)
第二行動方針:不明
最終行動方針:勝利する

130:保管庫
03/04/21 01:04 q56OKlyu
地下道の中をカインはランプをかざして進んでいた。
彼もまた、地面の陥没にあい、この地下道に迷い込んでいたのだ。
空中戦を得意とするカインにとって、このトンネルは戦いにくい事この上ない、早く抜け出したいが、
肝心の出口が見当たらない。

そんな状況で困惑してたところに、だしぬけに響いた爆発音、もしかすると誰かに出会えるかも。
そう思って先を急ぐカインだった。
「爆発音がしたのはこの当たりだったはず」
わずかだが血の匂いもする…その匂いを辿ってカインはさらに地下道を進む。

やがて彼は、とある部屋の前に辿りつく、血の匂いと火薬の匂いがぷんぷんする。
ここに待ちがいなさそうだ。
扉を開けると、一面瓦礫だらけの中に、1組の男女が倒れ伏していた。

「おい!大丈夫か!?」
闇の中、ランプの光をかざすとわずかに2人のまぶたが動く、意識はほとんど無いが、
まだ死んではいないようだ、早速カインは2人の傷の状態を確認する。
女の方は両手足と肋骨が折れているらしく、出来そこないの人形のような、
奇妙な姿で横たわっている、外傷についてはそれほど多くも無く、出血も少ない。
おそらく爆風を受けて壁にたたきつけられたのだろう。
男の方は女とは逆で、骨折はしていないようだが、その代わり全身にくまなく外傷があり、
おびただしい量の出血が認められる…。

そして2人に共通して言えるのは、このままだと、あと数時間も保たないという事、
傷が傷だけに運び出す事も出来なければ、助けを見つけて戻って来れるかもかなり微妙だ。

彼のバックの中には、この数日間、山野で摘んで歩いた薬草が1通り揃ってはいるのだが
とてもじゃないが今の2人に使ったところで、どうにかなるとは思えなかった。
重苦しい思いでカインは頭を抱える。


131:保管庫
03/04/21 01:05 q56OKlyu
だが……カインの脳裏につい数時間前の光景が甦る。
かなわぬであろうと知りながらも、あの銀髪の剣士に立ち向かっていった少年の姿を。
「そうだな…また逃げるわけにはいかないな」
カインはせっせと薬草を煎じ、すりつぶし、口に含ませ、様々な方法で彼らに処方していく
その甲斐があったか、男の方は意識が戻ったようだ。
しかしクラウドはカインに感謝の言葉を言う前に、床に転がっている槍へと手を伸ばす。

「それを…その槍を貸してくれ」
カインから槍を受け取ると、クラウドはマテリアのはまった槍を自分の身体の前にかざし、
回復呪文の語句をたどたどしくも唱えていく。
「ケアル」
温かい癒しの光が周囲を覆っていく、
だがそれは同時にクラウド自身の命の光を奪う行為でもあった。
「おい!やめておけ!ムチャだ」
だがカインの制止も聞かず、クラウドはさらに2度・3度と魔法を唱える。
しかし…何回目かで、彼はおびただしい量を吐血し、そのまま倒れてしまった。

だが、それでも確かに効果はあったようだ、それからすぐに女の方がゆっくりと目を開いて
きょろきょろと周囲を見渡しはじめている、どうやら彼女も命の危機を脱したようだった

「あなたが助けてくれたの?」
横になったままの姿勢でアリーナはカインに話しかける。
「感謝なら俺じゃなくて、この男に言うべきだな、見ろよ」
カインはランプの向きを変えて、クラウドの傷だらけの身体をアリーナに見せる
「この傷の状態や爆発の状況からみて、多分…爆発から身を呈して君を守ったんだ、それに
 お前がこうしてしゃべれるのも、こいつが回復魔法を唱えたおかげだ」


132:保管庫
03/04/21 01:05 q56OKlyu
「そ…そんな…私っ助けを呼び!あああっ」
立ちあがろうとしたアリーナは、その瞬間身体を走った激痛に身悶えする。
「ムチャだ!重傷であることには変わりは無いんだぞ」
「でもでもっ!私っ、ねぇ助けてよ…出来るんでしょう、お願いよ!」
そのアリーナの涙まじりの視線に絶えられず、カインは顔を逸らす。

「俺は白魔法を使えない…薬草でなんとか傷だけは塞げた、だがもうそれだけではどうしようもない…出血が多すぎる
さらに衰えた体力で魔法まで唱えている、もう俺にはどうしようもない」
ランプの光の下、クラウドの顔は青白く、まるで古ぼけたマネキンのような印象を受ける。
あとわずかの時間で、本当にクラウドは2度と物言わぬ無残な姿に成り果ててしまうのか。
そう思うとアリーナはやりきれなかった。
「私…守られてばかりだ…ごめんね…ごめんね」

どれほどの時間が経過しただろうか?
すすり泣くアリーナの声が聞こえる中、意を決したようにカインが呟く。

「1つだけ…方法がある、この男の生命力に賭けてみるか」
と言うなりカインは自分の手首を切り裂くと、そこから滴る血をクラウドの口へと運ぶ。
「俺の身体にはわすかだが龍の血が流れている、その血をもし受け入れる事が出来れば救えるかもしれん」

だが、そういうカイン自身も半信半疑だ、所詮それは伝承の中の話に過ぎなかったし、
そんなことで命を救えるというのなら、誰一人として彼の仲間は命を落とさなかっただろうし、
それに彼の得意技である超人的な跳躍力にしても、それは血の力だけではなく、凄まじいまでの修練の賜物だし、
何より彼自身の力は通常の人間となんら変わらないのだ。



133:センギアの保管庫
03/04/21 01:06 e5T8r8rP
地下道の中をカインはランプをかざして進んでいた。
彼もまた、地面の陥没にあい、この地下道に迷い込んでいたのだ。
空中戦を得意とするカインにとって、このトンネルは戦いにくい事この上ない、早く抜け出したいが、
肝心の出口が見当たらない。

そんな状況で困惑してたところに、だしぬけに響いた爆発音、もしかすると誰かに出会えるかも。
そう思って先を急ぐカインだった。
「爆発音がしたのはこの当たりだったはず」
わずかだが血の匂いもする…その匂いを辿ってカインはさらに地下道を進む。

やがて彼は、とある部屋の前に辿りつく、血の匂いと火薬の匂いがぷんぷんする。
ここに待ちがいなさそうだ。
扉を開けると、一面瓦礫だらけの中に、1組の男女が倒れ伏していた。

「おい!大丈夫か!?」
闇の中、ランプの光をかざすとわずかに2人のまぶたが動く、意識はほとんど無いが、
まだ死んではいないようだ、早速カインは2人の傷の状態を確認する。
女の方は両手足と肋骨が折れているらしく、出来そこないの人形のような、
奇妙な姿で横たわっている、外傷についてはそれほど多くも無く、出血も少ない。
おそらく爆風を受けて壁にたたきつけられたのだろう。
男の方は女とは逆で、骨折はしていないようだが、その代わり全身にくまなく外傷があり、
おびただしい量の出血が認められる…。

そして2人に共通して言えるのは、このままだと、あと数時間も保たないという事、
傷が傷だけに運び出す事も出来なければ、助けを見つけて戻って来れるかもかなり微妙だ。

彼のバックの中には、この数日間、山野で摘んで歩いた薬草が1通り揃ってはいるのだが
とてもじゃないが今の2人に使ったところで、どうにかなるとは思えなかった。
重苦しい思いでカインは頭を抱える。

134:保管庫
03/04/21 01:09 q56OKlyu
だが、それでも今はその御伽話にすがってみる以外、方法は無い。

ぽたりぽたりとカインの血が流れる音がだけが聞こえる中、時間だけが過ぎていく。
意識が遠のいていく…これ以上は危険だ、だがそれでもカインはその手をクラウドの口から離そうとしない。
その鬼気迫る表情は、ただの善意だけでは無い事は確かだ。

「どうしてそこまでするの?」
アリーナの言葉にカインは即答する。
「償いだよ」

カインは思い出す…あの時、洞窟の入り口で自分は何も出来ず、逃げ出してしまった、
もしわずかでも勇気を振り絞れていれば……。
だから、今度こそ救う、そのためならば…だが、もはや限界のようだった。
へたりこむカインの手首に、アリーナは素早く薬草をあてがい包帯を巻いてやる。
「まだ…だ、まだ」

「もういいわ!そこまでしなくってもいいわ!やるだけのことはやったじゃない!
 後は祈りましょう、出来るのはそれくらいよ」
アリーナは冷え切ったクラウドの手を握り、ひたすら祈りの言葉を口ずさむ。
さらに時間が経過する中。

「見て!」
「おお…」
死人のように青ざめたクラウドの肌に赤みがさしてくる、どうやら奇跡は起こったようだった。
「よかった、本当によかった」
クラウドの胸にすがり付き、嬉し涙を流すアリーナ、その様子をまぶしそうに見つめるカイン、
もしかすると彼は失った恋を思い出しているのかもしれない、事実カインから見た2人の姿は、
仲睦まじい恋人同士のそれに思えた。


135:保管庫
03/04/21 01:10 q56OKlyu
だが、果たして2人は気がついていただろうか?
クラウドの全身から、わずかだが妖しげな光が漏れ出していた事を、そしてその口からは、
聞き取れぬほどの小声で謎の言葉が口ずさまれていた事を。
そう、奇跡にはそれに見合った代償が必ず付きまとうものなのだ。


【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
 行動方針:セシルを止める】  
(セフィロスへの苦手意識あり)
(現在著しく体力を消耗しております、戦闘不能)


【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける

(生命の危機は脱したが重傷、無論戦闘不能)

【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明

(生命の危機は脱したが重傷、無論戦闘不能)
(魔晄中毒の症状が出てきています)

クラウドの回復は、龍の血と魔晄エネルギーとの化合ゆえの回復です、
したがって他のキャラには効果ありません


136:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/23 18:26 CZ/2yu28
URLリンク(www.gcastelo.com)

137:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/04/24 19:01 pmxrhSbS
保守なみんEX タケダ

138:保管庫
03/04/25 01:45 62mvL8y8
「ほら、きれいになったよ」
テリーはソロの服に残っていた粉雪を払いながら言った。
二人の足元には、薄汚れた雪とボロボロになった青い布切れが落ちている。
「……ありがとう」
声が聞こえた方向に、焦点の合わない視線を向けて、ソロはわずかに微笑んだ。
相変わらず、彼の世界は暗闇に包まれたままだ。
それなのに、ソロは確かに、安らぎというものを感じていた。
ずっと、ずっと、自分が生まれる前よりもはるか昔に、どこかで会っていたような…
そんな不思議な懐かしさが、心の中にあった。

(なんでだろ)
テリーもまた、不思議な感覚に囚われていた。
ソロといると、なんとなくだがタイジュの人々を思い出すのだ。
もちろんソロとタイジュの国で出会ったことなど、一度もない。
最初はソロの色鮮やかな緑の髪に、タイジュの木の葉っぱを連想したせいかとも思ったが、
どうもそれとは違うような気がする。
(ほんとうに、なんでだろ?)
テリーはしばらく首を傾げていたが、やがて気を取りなおした。
(……ま、いいか)

139:保管庫
03/04/25 01:46 62mvL8y8
信じるものを失ってしまった苦しみ、信じることができずにいた悲しさ。
同じような心の傷を負った者同士、テリーとソロが惹かれ合ったのは必然なのかもしれない―が。
テリーにとってははるか未来の、そしてソロにとってははるか昔の、
遠い時代の伝説を知る者は、別の考えを抱くかもしれない。
―かつて天空人の先祖を救った英雄の記憶を、その血の中に受け継いでいたとすれば。
夢世界の管理人たちの末裔から、限りなく夢に近い異世界の人々と同じ雰囲気を感じ取っていたとすれば。
少年達の出会いは、因果の糸が手繰りよせた、ゲームマスターの思惑をも超えた偶然だったのかもしれない、と。

今、二人は腰を降ろして、自分達の仲間や故郷、冒険の思い出話に花を咲かせている。
事情を知らない者が見れば、年代を超えた数年来の親友だと思うだろう。
それほどまでに、二人のお互いに対する警戒心はすっかり失せていた。
彼等の胸中にあるのは、なんとも言えぬ懐かしさと、親愛の情と、切な願い……
「―できることならずっと、この『今』が続いてほしい」

ささやかで、どんな夢よりも儚く、そしてあまりにも不相応な願い。
だが冷徹な運命の神が、二人の願いを叶えることはなかった。

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)】

140:保管庫
03/04/25 01:47 62mvL8y8
日が暮れる直前、バーバラは目を疑う光景を目撃した。
雪まじりの荒地に腰を下ろしている二人がいた。
探しものにとんでもない爆弾を結わえ付けられたような気分だった。
バーバラは人間一人分ほどはある岩の陰に隠れて恨めしい視線を送っていた。
―冗談じゃないわよ なんであいつとテリーが一緒なの!?
ソロがいてテリーがいる。悪魔と天使が手をつないでお遊戯している。
言い知れぬ嫌悪感がバーバラの身体を貫いた。
思わず鞭でテリーを絡めとって、強奪してやりたい衝動にかられた。
手にしている武器はナイフと短剣だけなので、それは無理な相談だが。

二人は今向き合って談笑している。
ひとまずテリーに危機はないとわかり安堵した。
しかし心の中の別のところでは憤りが収まらなかった。

惨劇の記憶が甦ってきて、血が滲みそうなほど強く唇を噛み締める。
手が、指が、ぴりぴりと痺れて勝手に動き出しそうになる。
このまま我慢を続ければ、バーバラの精神は限界を超えてしまうかもしれない。

何故ここまで怒りが沸いてくるのだろう。
理由を言葉にしてみればこういうことだった。
「レナお姉ちゃんを殺していながら笑ってる……」

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)

【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
行動方針:テリーを救う

141:保管庫
03/04/25 01:50 qemotjKs
自分の背後の物音にセリスは思わず振り返る、とそこには何故か巨大な樽が落ちていた。
不思議そうに空を見上げるセリスだったが、さらにそれだけではなく、
引き続き幾つか鍋や、農具、さらにはチーズの塊までも空から落ちてきたのである。

「何なのかしら?」
いきなりの不可思議な現象に首をかしげながらも、セリスはチーズの塊だけを拾うと
ゆっくり先へ進む、何者かに後をつけられているような気がしたので、
そのまま西へは向かわずにとりあえず東に戻ったのだ。

おそらくはこの森を抜ければ崖の上から見えた、湖のほとりに出るはず、湖に出たらとりあえず
チーズでも食べよう、そういえば何も食べていないし。
しかし歩く事で不安は幾分まぎれたが、人恋しさは忘れられない、さらにチーズを見て空腹感まで涌いてきた。
自分の肩を抱くような仕草をすると、また再びセリスは歩き出す。

(寂しいのならあの時後をつけてきた人に声でもかければよかったのに…
 記憶は無くしても命は惜しいのかしら)
そう皮肉気に心の中で呟きながらも先を急ぐ。

やがて彼女の目の前にきらきらと光る湖面が現れ、
そして夕暮れの光がこれまで暗い森の中をさまよっていたセリスの身体を包む。
が、セリスは森の出口から1歩も動こうとはしない。
決して夕日に見とれているわけではない、そう、彼女の目の前の岩場に、
1人の巨漢がひっかかるような形で打ち上げられていたのだ。

142:保管庫
03/04/25 01:51 qemotjKs
セリスはこの予想外の展開にすこし慌てながらも男に駆け寄り、その首筋に手を当て、脈の有無を確認する。
どうやら意識は無いが脈はある、少なくともまだ生きているようだ。

しかしセリスはそれ以上は動こうとはせず、考え込んだままだ。
歩きながらも思い出した事が幾つかある…その中の1つに、ここが戦場だという認識も含まれていた。
生きて帰れるのは1人、という声がおぼろげながらもセリスの脳裏に響く…。
ならば彼も敵、なのだろうか?

じっと立ちすくんだままのセリスの足元でぴくりとも動かないアーロン、
その生命はまさに風前の灯であった。

【セリス:記憶喪失 所持武器:ロトの剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
 行動方針:不明】
(思い出したのはスタート時の説明の一部です)

【アーロン(怪我・半冷凍)所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】  

(巨大な樽等は祠の離れにあった物です)

143:保管庫
03/04/26 01:37 /qIZlahO
「おん…おん…」
「?」
アリーナがその声に気がつくか気がつかないかの間に、その唇はクラウドの唇に塞がれていた。
「!!」

そう、カインの与えた龍の血は、確かにクラウドの命を救った、だがそれはクラウドの身体に潜む
魔晄の力を急激に活性化させたゆえのこと、そして彼はその副作用として、
一時的な魔晄中毒による精神錯乱を引き起こしていたのだ。

「お、おい、やめるんだ」
クラウドの異変に気がついたカインがよろめきながらも、制止しようと近寄る。
「があああっ」
「うぷ」
だが、どこにそんな力が残っていたのだろう?錯乱状態ゆえの限界無視の力で放たれた膝蹴りを、
まともにみぞおちに受け、思わずつんのめるカイン、さらに首筋に手刀を受けて、
成す術もなくカインはその場に昏倒してしまった。

こうして邪魔者をいとも簡単に退場させると、クラウドは間髪入れずアリーナを押し倒す。
その瞳は異様に光り、血走っている。
精神錯乱により、本能がむきだしになり、抑制できなくなっているのだ。

今、クラウドは自分の中に潜む忌まわしき獣にいいように操られるままだった、そして
アリーナのレオタードに手をかけたときだった、いきなりクラウドの手が止まる。
どれくらいの間、そのままの姿勢でいただろうか、クラウドの手がぎくしゃくとレオタードから、
離れる、その手の行く先は……。

「おおっ!」
ぶしゃっという妙な音と共に血飛沫が飛ぶ。
クラウドはなんと自分の傷を自分の手でえぐり取り、そして弾けるようにアリーナから離れたのであった。

144:保管庫
03/04/26 01:37 /qIZlahO
呆然としたままのアリーナへと、クラウドは途切れ途切れの言葉を呟く。
「グゲゲ、アリーナ早く逃げ…俺何するか…ガァァァァッ」
さらなる痛みがわずかの時間、クラウドに正気を与えてくれているのだろう。
さらにクラウドは床に頭を打ちつけ、泣きながら己の中の獣欲に抗い続ける。
俺に構うな、逃げろと叫びながら、だがそれでもクラウドの中の獣は目の前の獲物を襲え、喰えと
非常な命令を下しつづける。

「お願いクラウド、自分の中の悪魔に負けないで!」
そうだ、出会ってわずかな間だけど何時だってクラウドは自分を救ってくれた…だから今回も
きっと大丈夫だ、必ず……

再び頭を抱え、悶えるクラウド、そして再び起きあがったとき、その目はまた爛々と輝く、
獣の目になっていた、が、それでも最後の理性を振り絞りクラウドは途切れ途切れの言葉で叫ぶ。
「俺の中の悪魔め…お前の思い通りには決して」
クラウドは震えながら口を開き…舌を伸ばす。そう、彼は舌を噛み切り自ら死を選ぼうとしているのだ

「いけない、クラウド」
アリーナは必死で起きあがり止めようとする。
立ちあがるだけでも激痛が走る身体を引きずり、アリーナはクラウドになんとか飛びつくと
口の中に手を突っ込もうとするが腕が全く動かない、なら。
とっさにアリーナは今度は自分から唇を重ね、クラウドの口を強引に開じさせまいとする。
クラウドの歯がアリーナの唇に、頬に突き立ち、みるみる間にその顔は傷だらけになっていく。

145:保管庫
03/04/26 01:39 /qIZlahO
「がぁぁぁぁっっ!」
その最中再び錯乱したクラウドの貫手がアリーナの片目を貫く、眼球を指先でぐりぐりと掻き回され抉られる激痛に耐え
いや、もう身体中激痛だらけで何処が本当に激痛なんだが分かりゃしない。
それでもアリーナはクラウドから離れようとはしなかった。
「クラウド…負けないで」

「あああっ…助けて助けてくれぇ!」
クラウドはアリーナの身体をさらには自分の身体をも無茶苦茶にかきむしり、その肌を朱に染めていく
「お願いだ、俺をとめてくれよぉ、やっと見つけたのに」

何時の間にか狂乱は終焉し、クラウドはアリーナの胸の中ですすり泣いていた。
「やっと…やっと出会えた…」
「?」
「好きだ…生きて出会えたら必ず伝えようと思ってた、好きなんだぁ」

(そう…出会えたんだね)
アリーナには理解できた、クラウドは今きっと幻の世界にいるのだろう、そしてそこにいるのは。
彼が求めてやまない最愛の人。
「君は…君はどうなの?俺のこと…好き」
アリーナの頬にぽたぽたとクラウドの涙が落ちる、普段なら不快なはずのその感触も何故か今のアリーナには
心地よく感じられた。

アリーナは自分の血に塗れた手を振るえながらも伸ばし、優しく微笑み、ゆっくりとクラウドを抱きしめる。
いや、そうしたかったがやはり腕が全く動かないのだ…。
(ごめんね、腕が動いたらよかったのに)

146:保管庫
03/04/26 01:43 Kkz7DEi0
「うん…クラウド、私もずっとクラウドのこと好きだったよ…」
(この気持ち…なんだろう?とても不思議でそれでいて暖かい)
「うれしいよ…こんなにうれしいのは産まれて始めてだ」
血まみれの笑顔でクラウドはさらに続ける。
「そういえば…君の名前、随分長い間呼んでないような気がするよ、変だね、たったの3日なのに」

(やめて!その先の言葉は聞きたくないの…自分じゃない事なんて分かっているのに、でも聞きたくないの)
クラウドの言葉に、自分でもわからない恐怖を感じ、思わず耳をふさごうとするアリーナ、だがしかし、
やはりそれでも腕はぴくりとも動かない。

そしてクラウドが今まさにその名前を口に出そうとしたとき。
「貴様、何をしている!」
その背後の声に振り向きもできないまま、その瞬間、クラウドは殴り飛ばされていた。
いつのまにかカインが起きていたのである。
「お前のような人間を救けるんじゃなかった、この恥知らずめ」
カインは容赦なくクラウドを殴りつける、彼自身もとてもじゃないが動ける状態ではないのだが
肉体的な限界を凌駕するまでの怒りが彼を動かしていた。

そう、身動きの取れない女性を力ずくでものにする…人の道を外れた外道のやることだ。
カインはなおもクラウドを殴りつづける、彼にとってクラウドの行った行為はとうてい許せるものではなかった。
「お前は人間の屑だ!この卑怯者め、死ね死ね、死んでしまえ!」
が、怒りに任せめちゃくちゃに拳を振るうカインからかばうようにアリーナがクラウドの身体の前へと移動する。

「いいの…私ならいいの…だから、もうこれ以上、クラウドを傷つけないで」
クラウドをかばいながらアリーナはようやく自分の今抱いた感情が何なのか気がついていた。
(そっかぁ、これがこの気持ちがそうなんだ、だから痛いのにこんなに頑張ることができたんだね)

クラウド、その言葉にカインの拳は止まる、こいつが…こんな男がクラウド…あのエアリスが愛している男。
クラウドのことを語っていたエアリスの顔をカインは思い出す、
その笑顔はまさしく一途に人を愛する者の笑顔、いつかローザがセシルのことを話したときに見せた笑顔。

147:保管庫
03/04/26 01:44 Kkz7DEi0
(こんな男に愛される資格なぞあるものか…)
目の前の事実に握った拳がふるふると震える…許せない。
「お前は騙されている…いいかその男は」
そこまで言ってカインはある可能性に気がつく、もしかしてこの女は…。

「お前は全て承知なのか…」
アリーナは、ゆっくりと首を縦に振る。微笑みすら受かべて。
やはりそうだったのかと、思いつつもカインは続ける。
「バカな…お前の進もうとしている道は茨の道だぞ、そこを抜けたところで待っているのは地獄だけだ」
愛するが故の地獄、それはまさにカインならではの、
1人の女性の愛を得るため、悪魔に魂を売り渡し、それでも叶わなかった哀れな男のみに許される表現だった。

その言葉を聞いてなお一層近くへとアリーナはクラウドへと寄りそっていく。激痛に顔をしかめ、
片方の瞳から血の涙を流して。
それでもその笑顔はあくまで美しく、それはまさに慈母と呼ぶにふさわしいものだった。
(お前もまた。俺と同じ道を選ぼうとしているのか…)

力なくへたり込むカイン、微笑みを受かべクラウドを見つめるアリーナ。
そして何も知らずアリーナの肩を枕に寝息を立てるクラウドの息遣いだけが暗闇の中に響いていた。

148:保管庫
03/04/26 01:44 Kkz7DEi0
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
 行動方針:セシルを止める】  
(セフィロスへの苦手意識あり)
(現在著しく体力を消耗しております、戦闘不能)

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける
(重傷、無論戦闘不能・片目失明)

【クラウド(睡眠中):所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
(重傷、戦闘不能、ただし錯乱状態からは回復)


(クラウドが正気を取り戻した際、自分の行動を覚えているか、また忘れている場合
 カインおよびアリーナがクラウドに何が起きたか教えるのかはお任せします)

(アリーナの目はもしかしたら直るかも・・・というレベルの傷です)

149:保管庫
03/04/26 01:48 m99OW0Fo
よかった、目が覚めた
という声で意識が戻った。
「う……ん。誰?」
「心配しなくていいぞ、俺たちはあんたを助けたわけさ。
いやぁ~、なんてついてるんだ俺たちは」

助けた? どういうこと?
そういえば背中が冷たい。雪の上で倒れていたとすれば助けたというのも合点がいく。
あれからしばらく歩いたのだろうか。記憶がはっきりとしなかった。
「豪い美人が倒れててこれは夢かと慌てて駆け寄ったら、本当に吃驚するほど綺麗な人だったから
また驚いて、そらもうびっくり」
見たこともない大きな鳥の上で、長い黒髪を垂らした男が少々大袈裟にミレーユのことを評していた。
ミレーユは面食らって、まだ夢の続きなのかとまぶたを閉じようとする。

「おおっと、せっかく目が覚めたのにまたおねむだなんて勿体無い!
その美しい瞳をもっとよく見せてくれ」
「ちょっと、何わけわかんないこと言ってるの。自己紹介もまだしてないのに。
ほんと二人とも落ち着きがなくて子供みたい。
あ、私エアリスよ」
「説教しなくていい! 俺たちのした事に間違いはない!」
何やら興奮気味の妙な風貌の男は、戦士なのか盗賊なのかよくわからない。
「こちらの熱くなってる人がギルガメッシュで、チョコボの上の人がラグナっていうの」
男二人はにんまりとしながら確かに子供じみた顔向けをしていた。

150:保管庫
03/04/26 01:51 m99OW0Fo
ミレーユは軽く笑ってみせた。
「よく、状況がわからないんだけど、とりあえずお礼は言った方がいいみたいね。
ありがとっうっぐ」
喉のつっかえのせいで咽てしまい、最後のほうは上手く言葉にならなかった。
代わりにとんでもないものが出た。
ゴオオッ!
ついついやってしまう癖だ。
「!!!!!」

ギルガメッシュ、ラグナ、エアリスの順に笑みが消えた。
「ご、ごめん。ちょっと気を抜くとこうなのよ」
口から火を吹いて、それからどうなったか。
見ている三人とも唖然茫然としていた。
―そんなに気になるもの?
ミレーユは小首をかしげながら
「あ、これ火炎の息」
またとぼけたことを言うもので

「ま、魔物さんだったの」
エアリスがこれまた素っ頓狂な声をあげた。
「俺たちは、間違って、いたのか……?」
ピタリと動きが止まったギルガメッシュはそのまま彫刻のようになってしまった。
「いくら何でも美しすぎると思ったよ……。
 ……嘘を嘘と見抜けないと生き延びるのは難しいと言うけれど、あんまりだ」
ラグナが天を見上げて泣き真似をする。

151:保管庫
03/04/26 01:52 m99OW0Fo
ミレーユは頭がくらくらしてきた。
演技派揃いのグループに巻き込まれたのかと目まいを感じた。
どうにも苦手なタイプなのだ。しかも真に迫っている、皆役者の顔をしていた。
とにかく状況がよくわからない、わからないが、多分際どいところに自分はいる。妙な危機を感じる。
何でもいいから適当なことを言ってはぐらかそうと思った。
「スーパースターになってシネマの星を目指したら、どう」
適当すぎて自分でも何を言ってるのかよく理解できない。

ミレーユははっと気がついた。
観察眼をもっと養っておくべきだった。演技などではない!
三人は頷き合って武器を取り出した。
敵意剥き出しで各々違うことを口走っていた。
とりわけ恨めしそうに睨みつけるギルガメッシュの目からは潮の如く溢れ出す涙が。
「この怪物め、男心を弄びやがってー!」
エアリスもラグナも押しのけるようにして暴走を開始した。

泣きながら武器を振りかざすギルガメッシュの異様さには、さしものミレーユも度肝を抜かれた。
「ひっ」
パルプンテの魔人以上のものが迫ってくる。
そう思った。
ミレーユは全速力で逃げだした。

「待てええ!、俺のような不幸な男をこれ以上生み出させはしねえぞ!」
―何がなんだか
「ちっくしょうぉぉぉおっ、俺は、俺は、何でバカなんだあぁぁぁ!!」
―わけがわからない!

152:保管庫
03/04/26 01:56 /iddCCV+
ミレーユは悲鳴と思いつく限りの呪文を後方にぶつけながら走り続けた。
森の中に入ったが、ギルガメッシュはしつこくつきまとっていた。
「マヌーサ!!」
ギルガメッシュは幻影を追っているのか、声を上げながら森から離れていき見えなくなった。
やっとのことで追手を撒くと、一気に疲れが押し寄せてきて
ミレーユは木の陰でうずくまってしまった。

【ラグナ(両足欠損・チョコボに騎乗)/エアリス 現在位置:ロンダルキア南東の森近くの雪原
ギルガメッシュ 南東の森の近くを疾走→エアリスたちと合流するか、どこかへ行くか
 所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
 第一行動方針:チョコボの主(オルテガ)を探す
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・ 現在位置:ロンダルキア
南東の森 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】

153:保管庫
03/04/27 01:35 F3WkoB9w
モニカは平静を取り戻した湖面を、アーロンが落ちていったソコを、
未だに見つめ続けていた。
その瞳には深い絶望と、さらにその奥には激しい憎しみの炎が燃えていた。
彼女の目は既に湖面を見てはいなかった。
体が動かないアーロンを見捨てた男と、激しく荒れ狂う湖面の映像だけが
何度も何度も繰り返されていた。
「モニカ殿!!」
不意にかけられた、とても耳慣れた声にモニカは声の方を振り向いた。
そこには、祠の所で離ればなれになった二人と、青い服を着た青年が立っていた。

「よかった…。モニカ殿は無事だったんでござるな」
メルビンは崖の傍で座り込んでいるモニカの姿を見て安堵の溜息をついた。
「向こうの島から光が見えたんで、様子を見に来たんでござるよ」
「………」
「…? モニカ殿、どうしたんでござるか?」
明らかに様子のおかしいモニカをメルビンは心配そうに覗き込んだ。
「…どうして。…どうしてメルビンさん達はこんな所にいるんですか!!」
激しい怒りのこもったモニカの言葉に、メルビンは何が起こったのか薄々感づいた。

「どうして、ここにいるんですか? どうして祠の所にいなかったんですか?
 外で戦いが始まって、皆さんの声が聞こえなくて、とても心配で、
祠から出たらアーロンさんが倒れてて、体が冷たくなってて、
地震が起きて、メチャクチャになって、アーロンさんが湖に落ちて、
いろいろあって、それなのにどうして…。なんでこんな所にいるんですか!!!」
今、彼女の怒りの矛先は全てメルビンに向けられていた。
自分が、アーロンが祠で沢山酷い目に遭っていたのに、
彼が安全な所で油を売っていた事がとても腹が立つのだろう。
「どうして…、どうして……!!!」
モニカは涙を流しながら、メルビンの胸を叩き続けた。
ガウとロックには、二人を遠巻きに眺めている事しかできなかった

154:保管庫
03/04/27 01:36 F3WkoB9w
「…そうだったんですか。それでこの島に」
「うむ、うかつでござった。あんな罠に引っ掛かってしまうとは…」
泣き疲れて落ち着いたモニカに、メルビンはこの島に来た経緯を説明した。
「それで、こちらの方は?」
モニカはガウと一緒にいる青いバンダナの男を見た。
「ああ、俺はロック。まあ、こいつの保護者みたいなもんだ」
そう言って、ロックはガウの首に腕を回し、頭をワシワシと掻き回した。
ガウはその戒めから容易に抜け出し、お返しとばかりにロックの頭を掻き回した。
「そうですか、ガウ君の…」

「…モニカ殿。ワシらがあの島を離れた後、
あの島で何が起こったのか説明して欲しいでござる」
「…ごめんなさい。まだ整理がつかなくて……」
落ち着いたように見えたが、まだ少し早かったようだ。
無理もない。綺麗だった対岸の島は、とてつもなく凶悪な力で無残にも引き裂かれて
いたのだ。どんな事が起きたのかは押して知るべし、である。

「メルビンさん、先にあの銀髪の男の事を話しておかないか?
 たぶん、これからどうするにしても重要になることだろうから」
「うむ。橋は落としておいたでござるから、アヤツは追って来れないだろうでござるしな」
二人は暗い表情をして頷きあった。
モニカには彼らがどんな目に遭ってきたのかわからなかったが、
おそらく彼等がどうしようもない程の敵に遭遇したのだという事は想像できた。
このゲームの、おそらく最強の殺人鬼に。

155:保管庫
03/04/27 01:37 F3WkoB9w
【メルビン/ガウ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠南の島
第一行動方針:状況説明 
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】

【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の南の島
第一行動方針:心の整理
第二行動方針:仲間を探す】

【ロック 所持武器:吹雪の剣 現在位置:祠南の島
 第一行動方針:状況説明
 第二行動方針:エリアを探す】

祠南の島と台地を結ぶ橋は落とされました。

156:保管庫
03/04/27 01:41 Mm+8gEPH
「くそっ!見失ったか」
ヘンリーとアグリアスは森の中できょろきょろと周囲を見まわす。
尾行はうまく出来ていたと思う、おそらく相手の方が1歩上だったか、何らかのアクシデント的な
事が起きたかのどちらかだろう。

特にアグリアスは悔しそうだ、ここまでの失態の数々は彼女を確実に追い詰め始めている。
何か結果を出さねばという思いが彼女を支配していた。
(相手が…敵が欲しい、でなければ私はもう剣を握れなくなる)

と、ヘンリーがアグリアスの肩を叩いて、右方向を見るように促す。
そこには何時の間に現れたのだろう、壮年の戦士がゆっくりと歩いている。
そのたたずまいから見て、かなり名のある戦士に違いない。

「標的発見だな、俺は左から、お前は背後に回りこんで…」
だが、アグリアスはヘンリーの言葉に首を振る。
「私1人で行かせてくれ、頼む」
いぶかしげなヘンリーへとアグリアスは理由を説明する。
「私は騎士だ、剣の上の屈辱は剣でのみ晴らされる、ここでお前の力を借りてあの男を
倒したところで、それは騎士の勝利ではない」

そう、文字通り彼女は自身の騎士のプライドをかけて、失われた誇りを取り戻すべく、
果し合いを挑もうというのだ。
「お前は決して手を出すな」
苦笑するヘンリーを尻目にそう言い残すと、アグリアスはそのまま男の正面へとゆっくり歩み寄っていった。

リバストは自身の今の状況に明らかに困惑していた。
あの戦いの最中、竜巻に巻き込まれたと思うと、何時の間にかここにいた。
「ここは…何処だ?」
行けども行けども森の中をさまよい、ようやくその出口らしき所に出られたと思った矢先だった。
自分の前方から1人の女性がこちらへと向かって来る、その剣呑な雰囲気からいって、
どうやら彼女はやる気のようだった。

157:保管庫
03/04/27 01:42 Mm+8gEPH
「名のある剣士と見た、勝負を願いたい」
その女性はそう言うなり、自分の握った剣の切っ先を空に向け、自分の胸の前に構える。
それは騎士の礼法で言うところの決闘の儀礼。
剣を天に向け構えるのは、決して卑劣な行為を行わぬという神々への誓いの証。

それを見て、リバストの口から。ほうと感心の嘆息が漏れる。
まさか、このルール無用の戦場でこのような相手に出会えるとは、早速リバストもそれにあわせて
返礼の構えを取る。

「良かろう、ならば戦うとするか、だが決闘における結末はただ一つであることを
 もちろん承知であろうな」
「無論だ、この剣にかけて誓おう」
そして2人は同時に剣を腰で構え、アグリアスは中段から、リバストは下段から、
勢い良く手にした剣を抜き放ったのであった。

そのころ2人の戦いを横目に、ヘンリーはつまらなさそうに呟いていた。
「騎士の誇り…か、下らん」

風をきる刃の音と、それに遅れて火花が散る。
お互いの息使いさえ聞こえてくるようなつばぜり合いの中、先に動いたのはアグリアス、
自分の体重をわずかに横方向にずらし、リバストの身体のバランスを崩そうと試みる。
しかしそれを察知したリバストは、背後に飛び退く、そこを間髪いれずアグリアスは追撃の刃を振るうが、
すでにリバストは間合いの外にいる、さらに踏みこみ剣をなぎ払うアグリアス、しかしそれも紙一重で、
リバストに受けとめられていた、しかしそれでも休むことなくアグリアスは攻勢を続けていた。

一見するとアグリアスが優勢のように思える、だが表情には出さないがリバストには余裕がある。
アグリアスの剣はリバストに言わせるとあまりにも基本に忠実過ぎた。
そう、教科書の模範解答をそのまま繰り返してるかのごとき、ただ相手を効率良く倒すためのみの、
まるで面白みの無い剣術だ。
例えば、わざと小手に隙を見せると、アグリアスはそのまま小手に斬り込んで来る、
ただその太刀筋がすばらしく正確にして、強烈であるために反撃に出れないというだけのことだ。

158:保管庫
03/04/27 01:45 Mm+8gEPH
確かに剣を振るう技術のみなら、彼の倒したレオンハルトよりもアグリアスの方が優れている、
だが、どうしてもリバストにはアグリアスがレオンハルトより強いとは思えなかった。
レオンハルトは、太刀筋こそ荒削りであったが、体術を織り交ぜた傭兵剣術でリバストを散々苦しめた。
出会ったのが戦場でさえなければ、よき剣友となってくれていたであろう。
(あの男のためにも負けるわけにはいかぬな、強敵(とも)なのだから)


(何故だ、これほどまでに攻めているのにどうして勝負がつかない)
一方のアグリアスは自分が攻めているのではなく、攻めさせられているという事に未だ気がついていない。
その時、リバストの胸元のガードがわずかに下がった。
(今だ、ここで決めてやる!聖剣技は使えなくとも)
肘を引き、剣先を相手の心臓に定めると気合と共に突きを繰り出す、スピード、パワーともに申し分が無い。
必殺の突きがリバストの心臓を捉えるはずだった、しかしそれを待っていたかのようにリバストは姿勢はそのままで
軸をずらすように回避する。
結果、剣は虚しく空を切る、何故?と驚愕の表情のアグリアスの額を霞めるように、
リバストの剣が通過する。さらにそれを合図にして、今度はリバストが攻勢を開始した。

急激に静から動へと変化したリバストの剣をアグリアスは完全に捌き切れず、ずるずると後退を始める。
しかしそれでも崩れそうになる体勢を必死で押し止め、アグリアスは反撃を試みる。
アグリアスの剣が円を描くように旋回し、リバストの剣先を巻きこんでその軌道をずらし、カウンターを試みようとする。だが、カウンターは苦し紛れでは意味が無い、これもまた易々と払いのけられてしまう。

最も、アグリアスの技は今となっては全てリバストに予測されていた、先程までの苛烈なまでの攻勢の中で
彼女の剣技は全て丸裸にされてしまった、もはやいかなる大技を、例え聖剣技であろうとも、
もはやリバストにはカスリもしないだろう。
(バカな…)
ようやくアグリアスもそのことに気がついたのだろう…その顔が屈辱で青くなっていく。
だが、その時アグリアスは自分でも予想だにしていていない行動に出た。

159:保管庫
03/04/27 01:49 vS3aKWh7
「それでも私は負けるわけにはいかんのだあぁぁぁぁっ!」
彼女はリバストの両目めがけ自分の足元の土を蹴り上げたのだった。
それはいみじくも騎士を名乗り決闘を挑んだ者ならば決して行ってはいけない、卑劣極まりない行為だった。
断っておくが土を蹴り上げることが卑劣なのではなく、剣を捧げ、正々堂々を天上の神々に誓った、
騎士の行為としての話である。

「卑劣な!」
体勢を崩したリバストの言葉に一瞬アグリアスの動きが止まったかのように見えたが、次の瞬間には剣を構えなおし、
今、自分が持てる限りの力を投入し、最後の大技を試みる。
しかし、その最後の技は発動することは無かった、瞬間、彼女の懐に飛びこんだリバストの怒りの一撃、
そう、彼はアグリアスの踏みこみの癖を見抜ていた、が、
アグリアスの剣を弾き飛ばし、その手を深く傷つけていたのだ。

まさに鮮やかな逆転勝利、しかし、その行動も前半自重し、反撃の機会を待ち、
相手の癖を見抜いたがゆえのこと、まさに冷静沈着が呼びこんだ勝利といえるだろう。

さて、アグリアスだが自身の敗北が未だに認められず、地面に落ちた剣を拾おうとするが、
おそらく筋を傷つけられたのだろう、手が思うように動かない。
と、そこにリバストの剣の切っ先がアグリアスの喉元に向けられる。
「わ、私は本調子ではない…武器が…武器が短剣だったから、そ、そうだ…マトモな剣ならばっ」
「ほう…敗れた理由を得物のせいにするとは、とんだ騎士もいたものだな」
リバストの鋭い眼光に威圧され、そこから先は言葉にならなかった。
じりじりと後ろずさろうとするが、身体が動かない、蛇ににらまれたカエルのようだ。
(これが私の器なのか…)
「殺せ…」
やっとの思いでアグリアスは口を開く、その一言は彼女に出来る精一杯の虚勢だった、しかし。

リバストは表情を変えることなく無常にも言い放つ。
「騎士を騙る薄汚い野盗の類を斬るような刃は持ち合わせてはおらぬ、ましてこの剣は
 わが強敵(とも)を斬った剣、ゆえに貴様ごときの卑しい血で汚すわけにはいかぬわ!」
その言葉を聞いた、アグリアスの顔面が屈辱とさらに恥辱で蒼白になる。
しかしそれには構わずリバストは悠然とその場を立ち去る。

160:保管庫
03/04/27 01:50 vS3aKWh7
その無防備な背中を睨みつけるアグリアス…握った拳がふるふると震える…そして。
その時であった、瞬間的だがまばゆい閃光と爆発がリバストを包み込む。
それを鮮やかに回避したリバストではあったが、予想外の攻撃にわずかに動きが鈍ったその瞬間、
リバストの肩にヘンリーの投じた斧が喰いこんでいた。
「ぐっ…」
それは決して致命の一撃ではなかったが、リバストはもんどりうって地面に倒れ、
肩の傷を押さえてはぁはぁと喘いでいた。

一方ではアグリアスがヘンリーにくってかかる。
「貴様ぁ!どうして手をだした!」
「おいおい、命の恩人に随分失礼な言葉だな」
「私は名誉ある騎士だ、命を拾おうとは思わぬわ」

「騎士?騎士だと!?…ふふふふ、ふふっ、ははははっ」
騎士、という言葉がアグリアスの口から出た瞬間、ヘンリーは笑った、
それはまるで、茶番劇を演じる道化を見ているかのような嘲り笑いだった。
「ほう、それならこちらから聞くが、何故あのような真似をした?」
そう、ヘンリーはしっかりと先ほどのアグリアスの行った行為を目の当たりにしていたのである。
どうやら他にも覚えがあるらしい、アグリアスは力なくうつむく。
「あの男の言うとおり、もうお前は騎士ではない、俺と同じ、薄汚れた狩人だ」

ヘンリーはゆっくりとアグリアスにマンイーターを手渡す。
「選べ、誇りとやらに最後までしがみつくか、それとも堕ちて汚く生を求めるか」

アグリアスは喘ぎながら、剣を構える…。
目の前には丸腰のヘンリー、そして右手には手負いのリバスト。
「私、私っ…わたしはあっ!」
果たして彼女が刃を向けた先は…

161:保管庫
03/04/27 01:50 vS3aKWh7
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×2 現在位置:大陸中央北西の湖よりの森】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:マリアの元へ逝く
(現在ミスリルアクスは手放しております)

【リバスト(負傷) 所持武器:まどろみの剣 現在位置:大陸中央北西の湖よりの森 行動方針:特になし】

【アグリアス(負傷)ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法  装備武器:スリングショット
 なべのふた マンイーター  現在位置:大陸中央北西の湖よりの森】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:ティファを倒す
最終行動方針:元の世界に帰還する

162:保管庫
03/04/28 00:24 +x2j9wdM
(どうしてこうなっちゃうのよ……っ)
エーコは走る。後ろを振り向かず、必死の形相で、前だけを見つめて。
ついさっきまで、ピピンとリディアと一緒にお喋りしていたはずなのに。
彼女の隣に二人はいない。誰も、いない。
変わりに、後ろの方からリディアの悲鳴と爆音が聞こえた。
眩し過ぎる光と、命の灯さえ消し飛ばしてしまいそうな熱風と共に。

「……ピピンのばかっ」
たった一言に様々な想いを乗せ、溢れる涙を拭い。
エーコは、それでも振り返らなかった。
振り返ってしまったら、ピピンを裏切ることになってしまうと思ったから。
だからエーコはリボンを握り締めて、走り続けた。
そして―
「!?」
唐突に、大地が揺れた。
木々がざわめき、風が走り、雪が、石が、岩が舞いあがる。
「た、助けて!」
エーコは必死に祈った。フェンリル、カーバンクル、フェニックス―
心を繋いだ召喚獣たちに。手のひらの中のリボンに。
けれどエーコの軽く小さな体は、呆気なく宙に浮いてしまう。
吹き上がる風……否、今や竜巻へと変化した、あまりにも強大すぎる魔力によって。
「やだ、やだ、助けて! 助けてよ、―!」
その想いが通じたのか。小さなリボンから、純白の光が放たれた。
零れ出た光は魔力と混ざり合いながら、一つの形を取る。
そう、エーコにとって、一番身近だった存在へ。
「……モ、グ?」
クポー、と耳慣れた声が響いた。そこで、エーコの意識はぷっつりと途絶えた。

【エーコ(気絶) 所持武器:なし 現在位置:不明
第一行動方針:バッツたちと合流/ジタンを捜す】
(リボンからモーグリのモグ(FF9ver)が召喚されました。
ただし真の力を開放することは、今の段階では不可能です)

163:保管庫
03/04/28 02:09 pE7+LW3o
スコールとリノアが逃走してから暫くの間、ザックスは床に寝そべって天井を見ていた。
よく見ると天井や壁の岩肌はぼんやりと光っている。
暗いことに変わりはないが、視界がある程度保てるのはそのおかげだろう。
「…とまぁ、そんなことを今になって気付いている、ワケ、だが」
ザックスは独り言を呟いてから、ひょいと身を起こした。
激しくやるせない気分で一杯なのだが、何時までもここで腐っているわけにもいかない。
生きるためにやるべきことを済ませておくのが一級のソルジャーというものだ。
バスタードソードを拾い上げると、背中に収めると。
「さて、と。洞窟内の探索をさくっとやっちゃいますか」
ザックスは洞窟の奥へと歩き出した。

またまた暫くして。
あまりの人の気配のなさにザックスは溜息をついた。
洞窟に女の子と二人きりならいい。女の子が可愛かったらむしろ万々歳だ。
なのに現実は女の子どころか人っ子一人いないのである。
「なんか寂しくなってきた。何やってんだ俺は」
そう言えば、ここに来てから女の子と何人か出会ったが、
一番最初のフィールドで最初に会った子は相手持ち。
その次は黒尽くめの騎士に襲われている最中に出会って、うち一人はドラゴンに変身した。
ここで出会ったあの子は彼氏持ちの上、その彼氏はゲームに乗っている。
「何つーか…幾ら頑張っても、ステキな出会いなんてありえない気がしてきたなぁ、おい!」
誰に言うともなく声を張り上げる。声は洞窟内に響いて、すぐに消えた。

164:保管庫
03/04/28 02:09 pE7+LW3o
激しく虚しくなり、ザックスは壁にもたれかかって座り込もうとして…

「ワン!!」
「だひゃぁ!!」

声を上げてから思った、前にもこんな事あったなぁ、と。

視線を向けると、尻尾を盛んにふる犬がいる。見たことがある。
「お前、前の旅の扉のトコにいた…」
わん、と小さく吼える。そうだと言いたいらしい、頭のよい犬だ。
「って、ことはだ」
立ち上がり、耳を澄ます。微かな足音。それが段々と近付いてくる。
そして、闇の中からその男は現れた。
「久しいな。以前は面と向かわなかったが」
「ああ。なんつーか妙なめぐり合わせがあるようだな、おっさんとは」
こうして、パパスはザックスとあっさり出会うことができた。
パパスの足元で、功労者のトーマスがくるくる回る。パパスはトーマスの頭を撫でて功を労った。

それから、パパスとザックスは簡単に情報交換を行った。
以前のステージで一瞬だけ双子とであったが、不可思議なトラブルが発生してすぐに別れてしまったこと。
「その、バッツって奴は一緒にいたな。後二人ほど女の子がいたけど」
「母親ではないだろうな。その時点ではまだ親と再会できていなかったか」
攻撃を仕掛けてきたスコールを素手で叩きのめしたこと。
「暫くは悪さできぬようにしておいた。外ならとにかく、洞窟内にいれば命に別状はあるまい」
「…どっかイカレてるとは思ってたけど、おっさんに襲い掛かるとは本気でトんでる奴だったんだな」

165:保管庫
03/04/28 02:10 pE7+LW3o
などなど。一通り話を終えるとパパスは一つうなずく。
「そうか、人の気配はないか…ならば、今日の探索はこれまでにしておくか」
「ああ、そうしときなよ。虚しいだけだ」
「君も少し休んでおいたほうがいい。もうじき、日が暮れる。そうなれば、ここも煩くなるやもしれん」
「?…なんで?」
「夜になれば外の気温は急激に下がる。下手に出歩くと凍死するほどにな。
だから、日が落ちるまでに雨風の防げる場所を確保しようとするだろう」
「なるほどね、洞窟内にいれば少なくとも凍死する可能性は減るもんな。
そっか、じゃあ俺も休むか」
ザックスはあらためて座りなおすと、目を閉じた。数秒数えるころには規則的な吐息が聞こえてくる。
(この青年、何かの訓練を受けているな…暗殺者、ではないと思うが)
パパスはザックスのいる位置から少し離れた程よい場所を見つけると、そこに座り込む。
すぐ側に控えるトーマスに、何かあったら知らせてくれというと、パパスも休息を取ることにした。

【ザックス 武器:バスタードソード
 現在位置:ロンダルキアの洞窟3F(休憩中)
 第一行動方針:体力回復】
 第二行動方針:エアリス・ティファの捜索】

【パパス 所持:アイスブランド 
 現在位置:ロンダルキアの洞窟3F(休憩中)
 第一行動方針:体力回復
 第二行動方針:バッツと双子を捜す。
 第三行動方針:ゲームを抜ける】

【トーマス 所持:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい)
 現在位置:ロンダルキアの洞窟3F(休憩中)
 第一行動方針:パパスについていこうと思っている】

三者とも寝ています。誰かが近寄ってくるだけで起きますが、
何もなければ、朝まで起きません。

166:保管庫
03/04/28 23:56 H6vQOCds
日が沈んで暗くなると、昼間とは比べ物にならないほど静かに思えてくる。
もっとも波打つ音だけは健在だ。湖はまだ荒れている。
ジタンは飛んできた少女の具合を確かめようと近寄ったところだ。
「妙だな、放送がない」
「え?」
少女の一歩手前でジタンは振り返る。
「定刻は過ぎたというのに。ゾーマ奴、気の迷いか?」
ピサロはここではない、何処か遠くを見ているようだった。

「そんなことより手を貸してくれ、魔法が使えるんだろ。
 この子目を覚まさないんだ」
ジタンは少女の小さな手を握り、ほのかに体温を感じて希望を持った。
よかったな、オレみたいな奴が丁度通りかかって。
どんな悪人がか弱い子供を餌食にしようと目を光らせてることか……
後ろから雪を踏みしめるピサロの足音が聞こえてきて、ジタンはもう大丈夫だと思った。

後ろから長い腕が、奪い取るように少女の首根っこを掴み上げた。
「おい!?」
「余分な荷物を抱えていてはそれだけ時間の無駄になる」
聞き間違いなのかと思う隙もなく、ジタンの手から少女が引き剥がされた。
ピサロはジタンに一瞥をくれたあと、無情にも少女を冷たい雪の上に放り投げた。
今そこに倒れていた正に同じ場所に。
「何するんだ!」
ジタンは激昂してピサロに詰め寄ろうとする。
「何もせん、小娘など放っておけ。
 運が良ければ死なんだろうし、悪ければ死ぬだけのことだ」

167:保管庫
03/04/28 23:56 H6vQOCds
【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:祠の湖南岸】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:祠の湖南岸】
第1行動方針:リディアを救う、魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出

【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の湖南岸
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】

168:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/02 19:29 8GJqeB/C
保守。

169:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/03 12:38 eP+NUrt3
保守して1000万円獲得だ!

170:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/03 21:49 Q4WCk0Mf
保守し続けるか? それともドロップアウトするか?

171:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/03 22:13 JPbXGJDi
ファイナルアンサー!

172:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/04 16:40 zMTJTOqZ
1…保守    2…放置
3…荒らす   4…吉野家で牛丼大盛りねぎだくギョクを(ry

173:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/04 22:36 ZyZbfXxg
「1」でファイナルアンサー!

174:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/04 22:43 gjumX2mk

 ~    ∧_∧___     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      (´∀` ) / |    あなたの人生を変えるかもしれない,クイズ・ミリモネア。
  ~ ⊂ へ  ∩)/ .|     \_____ まずは10,000モナーからです。
   i'''(_) i'''i ̄,,,,,,/
    ̄ (_)|| ̄ ̄


175:保管庫
03/05/05 01:14 kQDYJhQA
「ぬああっ!」
アグリアスはヘンリーに向かって剣を振り落とした、
空を切る音がして服の袖だけを斬っていた。ヘンリーは咄嗟に身をかわしたのだ。
「はあっ、はあ……やかましい」
心よりも先に体が動いたような感覚だった。自分自身をコントロールしての行動とは思えなかった。
今手にしたマンイーターを手の上で返してぐっと力強く握り直したのは戦闘者としての本能ゆえか、
と自己に問わねばならないのはどういう精神状態なのか。

状況は把握できてもどう動くべきかアグリアスは決断できない。
まだヘンリーを斬ろうと思えばできる位置にいる。
リバストは苦悶の表情を浮かべながら斧を肩から抜こうとしている。
感情を爆発させても良い結果を生むはずがないとわかっている。

―けれどもヘンリーの言ったことは私を暴走させるに足りるもの
そう考えている間にも、咎めるように剣の切っ先をヘンリーに向けるアグリアス。

「……まだしがみつく気か? 意地を張ってるとしか思えん」
ヘンリーが苦々しそうに言い放った時、

リバストが動いた。肩から溢れる血が体を濡らしていたがまるで気にかけてもいない。
「許せっ、この剣を汚すことを!」
誰に向かっての言葉なのか、わからずともアグリアスは咄嗟に身構えた。
脇を覗くとヘンリーが素早く逃げるように身を離していたのに愕然とする。
リバストはヘンリーに目をくれず自分に向かって一直線に迫ってくる。
「それほどに許せんのだっ!」
渦巻いた剣を、突くのではなく叩き落す。
「ぬっああっ!」
アグリアスはマンイーターで受け止めたが、尋常ではない力がどっと押し寄せてきた。
深手を負った者の力ではなかった。
激しい怒りがリバストに限界以上の力を発揮させたのだろう。

176:保管庫
03/05/05 01:16 kQDYJhQA
―何故受け止めた、何故私はまだ生きようとする、
額から流れる汗を感じながらまたも自己に問いかけるアグリアス。
騎士の誇りなどもう無い。
卑劣に走ったあの瞬間に、騎士である自分は終わりを告げていた。
それでも、誇りと呼べるものはまだ残っていた。
騎士でなくとも備わっている、卑劣な真似を決して快く思わない、自分としての……

後ろでチラチラと動く陰が見える。
ヘンリーが捨てられた斧を拾いに走っていた。
―あいつだ、あいつが私を惑わす!
ヘンリーの姿は戦場を逃げ回る小兵のように見える。小賢しい、と

「そのままやられるつもりはないんだろ!」
アグリアスがもう一度横目で見たヘンリーの姿は、斧を握った右手を大きく振りかぶっているところだった。
「俺はどっちでもいいんだぞ」
「なにいっ」

リバストの押さえこむ力が更に増し、アグリアスは観念しそうになる。
このまま力を緩めれば己に殉じることができる。
だがそれにしても! 許せないのはヘンリーだ。
アグリアスは今のヘンリーの言葉が誘導にしか聞こえなかった。
―何がどちらでも良いだ!
生きるべきか、死ぬべきか、どちらが本心かわかっているのに体だけは抵抗を続ける。
―もう止めろ! 何も言うなぁぁっ
ヘンリーの声が体の中に響き渡り、薄汚い生を掴もうとさせるのだ。
体も精神も限界を迎えていた。
ついに体は耐え切れず雪の上に膝をつき、自分の領域である肉体を守る最後の砦も崩れ落ちようとしていた。
上からのしかかる圧倒的な力で、蹂躙され、自分が侵される。
それは屈辱だが、これ以上の卑劣を重ねるのは……また声が聞こえた
潔く負けを認めるしかないと、今、、また声が聞こえた
手を貸して欲しいんだろと、声が聞こえた。

177:保管庫
03/05/05 01:17 kQDYJhQA
  だが許せないのはヘンリーだ!!
アグリアスは限界を超えた。
「自分の誇りまで捨てろと言うかァァァァァ!!」
想像もできない怒りが信じられない力を生み出した。

大きく目を見開かすリバスト。アグリアスが短剣で長剣を押し返した。
リバストの背中が一気に後退して、横になる。雪煙が舞って二人の剣士は上下逆に、
今度はアグリアスがリバストの領域を、しかも完全に制圧した。
「ぐはあっ!」
リバストは口から血を吐き出した。渦巻いた剣がリバストの胸を潰していた。
凄まじい血の勢いは何かを叫びたかったからなのか。
雪の上で、アグリアスの下になって、強者の名を呼ぶこともできず自らの剣で体を切り裂き、
リバストは死んだ。

「ああああぁぁぁぁっ!!」
血塗られた顔を上げ、もう動かないリバストの上で絶叫するアグリアスはヘンリーしか見ていない―

【リバスト 死亡】

【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×2 現在位置:大陸中央北西の湖よりの森】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:マリアの元へ逝く

【アグリアス(負傷)ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法  装備武器:スリングショット
 なべのふた マンイーター  現在位置:大陸中央北西の湖よりの森】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:ティファを倒す
最終行動方針:元の世界に帰還する


178:保管庫
03/05/05 01:24 nZjGJQrP
セシルは銃の照準を湖のほとりで蠢いている男に合わせながら、
ゆっくりと自分の位置を有利な場所へと移動していく。
あの程度の相手なら、わざわざ銃を使う必要は無いかもしれない。
セシルはふとそう思った。
それもそのはず、怪しい覆面とアホな格闘している男が、
参加者の中でもトップクラスの実力を持っているなど想像もつかないだろう。

そして、オルテガまで10メートルの位置に来た時、
やはり接近戦で殺してしまおうと決意した。
標的の傍に落ちている道具袋から大量の食料が見え隠れしていたからだ。
この数日間、食料の補給はできなかったので既に手持ちの食料は尽きようとしていたのだ。
それにぎりぎりまで食料を節約しながら食べていたので、
我慢していた飢えが大量の食料を前にして耐え難い物になってしまったのだ。
銃や弓矢を使って万が一返り血が大事な食料にかかってしまったらと考えると、
やはりより慎重にできる接近戦でやってしまえば、という考えだった。

標的に体当たりをして、倒れた所に頭へ銃を一発。
それで食料を無傷で回収できるはずだ。
そしてまだ覆面と格闘しているオルテガに十分近づいた所で、
セシルはオルテガに攻撃を仕掛けた。
―セシルは気がつかなかっただろう。覆面と格闘しているオルテガを見てしまった時から、彼の術中にはまってしまったという事を。
彼はもう、己の滅びの運命を変えることはできないのだ。

179:保管庫
03/05/05 01:25 nZjGJQrP
そして、セシルの作戦はあっけなく成功した。
雪原に突っ伏したオルテガはまったく動かない。
頭に被っていた覆面に、間違いなく銃弾があたったはずだ。
念のためもう二、三発銃を撃ち込む。心臓と腹部。どれも致命傷になりうるはずだ。
不意に粉雪を伴った一陣の風がオルテガの姿を掻き消す。
そして再び彼の姿が現れた時には…
「なにっ!? 丸太だと?!」
オルテガの倒れていたはずのそこには、いくつか弾痕のついた丸太が転がっていた。
もちろんオルテガの姿はどこにも見当たらない。
慌てて辺りを見回すセシルを嘲笑うかの様に、オルテガの高笑いが雪原に響き渡った。

「フハハハハハハハハハハハハハッ! フハハハハハハハハハハハハハハハハハ
 ハハハハゲホゲホフハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアッッッ!」
「なっ!? どこだっ!? どこにいるっっっ!!??」
セシルは慌てて辺りを見回した。しかし、どこにも声の主の姿は見えない。
響き渡る声は反響しているかのように全方向から聞こえてくる。
果てしなく嫌な予感に、セシルは思わず二歩三歩後退した。
「どこを見ている! 私はここだ!!」
セシルははっきりと聞こえた声の方向を振り向いた。
そこには一本の巨木、そしてその枝に覆面を正確に装着した男が立っていた。

「クロスッ! アウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッツ(脱衣)!!!」
オルテガは空高く飛び上がり、着ていた服を撒き散らし、
回転しながら着地しようとした。
しかし、そのまま腰の所まで雪に埋まってしまった。
「ぬ、抜けない……」
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「すまん、ちょっと引っ張ってくれないか?」
「あ、はい」
セシルはオルテガの両手を掴むと、全力でオルテガを引っ張った。
そしてなんとかオルテガは雪の中から脱出できたのだ。

180:保管庫
03/05/05 01:27 nZjGJQrP
「ふう、助かった。礼を言う」
(…何をやっているんだ? 僕は…)
肩で息をしながらセシルは何故この男を助けてしまったのか考えていた。
「着地の事など考えておらんかったしな。だから雪国はダメなのだ」
(僕はこの男を殺すんだぞ。僕は…、僕は……!!)
そこまで考えて、セシルは剣を抜き放ちオルテガに斬りかかった。
オルテガはその一撃を軽々と避けると、セシルの腹部に蹴りを放ち、距離を取った。
着ている鎧のせいか、セシルにほとんどダメージは無いようだ。

「そういえば先程斬りかかってきたのは貴様だったな。
というと、私は貴様の敵だという事か」
セシルはその問いに答えず、続けてオルテガに切りかかる。
オルテガは剣を抜かず、体術のみでセシルの攻撃をいなす。
「しかし、わざわざ敵を助けるとは…。一体なにを考えている!?」
「うるさい! 僕だってわからないんだ!!」
セシルは怒声をあげながら、オルテガに向かってあんこくを放った。

セシルは自分の勝利を確信した。その次の瞬間、突如生まれた爆風に
セシルの体は大きく弾き飛ばされた。
「――自分の視界を塞ぐような攻撃はあまり有効とは言えないな」
近くの木の幹に叩きつけられたセシルは、何とか顔を上げ声の方を見る。
そこには少しもダメージをくらったようには見えないオルテガが立っていた。

「な…なぜだ……」
「ふっ。あの程度の攻撃で私の正義を打ち砕く事などできないということだ」
セシルの問いに、オルテガは朗々と言い放つ。
種明かしをしたらどうということは無い。
あんこくに飲み込まれる直前にイオラを放ち、吹き飛ばしたのだ。
さすがのリフレクトリングも二次的な爆風を跳ね返す事はできない。

181:保管庫
03/05/05 01:33 OK3KAvsb
「くそっ! これなら!!!」
セシルは気合を奮い立たせ、取り出したギガスマッシャーを連射した。
圧倒的な破壊力を持つ銃弾がオルテガに迫り、しかしオルテガはその全てを見切り、避けた。
「そんな! 銃弾を避けるなんて!」
「始点、射線軸、速度を見切ればフェイントも無い射撃を避ける事など造作も無い事だ」
オルテガは銃を撃つ格好で呆然としているセシルにそう言い放つと、
ゆっくりとセシルに向かって歩き出した。

(僕は…この男に…勝てないのか)
剣技も、必殺技も、銃すらも効かなかったのだ。不意打ちをしても倒せなかった。
今のセシルにはオルテガを倒せるすべが無かったのだ。
(こんなところで…死ぬわけには……!!)
ローザの為にも、自分が殺したエッジの為にもこんな所で死ぬわけにはいかない。
落とした剣を拾い上げると、セシルはオルテガに背を向けて迷わず逃げ出した。
森の中に入れば逃げ切れるかもしれない。そう思ってまっすぐ森に向かって走った。
しかしセシルの願いは叶う事は無かった。
走り出して数歩、不意に足元の感触が変わり、腰まで雪の中に埋まってしまったのだ。

182:保管庫
03/05/05 01:34 OK3KAvsb
「なに! なんでこんなところに!!」
セシルは抜け出そうともがいた。背後から男が近づいてくる事がわかる。
もがいて、もがいて、ようやくセシルはなぜここに落とし穴があったのか気づいた。
最初にオルテガのいた位置と、次に彼の立っていた巨木。
この二点を弧を描いて結ぶ、盛り上がった雪。
まるで、もぐらの掘ったトンネルのような……。
「そうか! 地中を掘ってあそこまで行ったのか!!」
いまそんな事がわかっても事態は好転しない。
オルテガはゆっくりと、セシルの正面に回りこんだ。
「もはやこれまでのようだな」
「…僕を…殺すのか?」
セシルはあきらめた声でオルテガに話しかけた。
持っていた武器は転んだ拍子に手放してしまった。
まして、自分はこの男を殺そうとしたのだ。それにこのゲームのルール。
この男に自分を生かしておく理由は無い。
「僕を殺すんだろ!? 早く殺せよ!!」
「いや、私は貴様を殺さない」
オルテガの言葉に、セシルははっとオルテガを見上げた。

「…なぜ……?」
「貴様には借りがあるからな。それに、貴様の心にはまだ正義と、そして愛が残っている。
 私には貴様を見捨てることなどできない」
「………」
「だから、この私が貴様の荒んだ心を癒してくれよう!!!」
オルテガはそう言い放つと再び天高く飛び上がった。
「ドレェェェェェェェス! チェェェェェェェェェェェェェェェンジ!!!!」
彼方から飛来した光とオルテガが跳躍の頂点でぶつかった。
セシルは眩しさに思わず目を瞑った。
そして光が収まったのを感じて、恐る恐る目を開き……。
「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」
事態は、最悪の方向へと転がり始めてしまったのだ。


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