03/05/16 00:57 G+H/P324
セリスやティナの不安をよそに、草原での騒ぎは収まるどころか更なる拡がり
を見せていた。
「今日こそは決着をつけるぞマッシュ!」
「のぞむところだ!!」
リルムとマッシュの仲裁に入った筈のエドガーが、なぜかマッシュと対峙して
いる。
「お二人とも待つでござる!!」
カイエンの制止の叫びは、もはや兄弟の耳に届いてはいなかった。
「こらキンニク男っ! こっちの決着だってまだ着いてないんだからな!!」
火に油を注ぐようなリルムの声が宵闇に沈む草原に響き渡る。まさに三つ巴の
様相を呈してきた。
「一体なにをどうすればこんな事態に……」
嘆くカイエンをよそに、世界で一番はた迷惑な兄弟喧嘩の火蓋は切って落とさ
れたのだった。
一方甲板では、未だに仏頂面を下げた二人の男が佇んでいた。
「……なんだ!?」
沈黙を破って勢い良く反応したのはロックだった。ティナやセリスの様に魔導
の流れを感じているという訳ではないのだろうが、彼は全神経を集中させてその
正体を探ろうとする。
「こんな夜中から客人か? 珍しい事もあるもんだ」
セッツァーは口にしながら、船の下から僅かに聞こえる物音に気付いて溜息を
つく。
「ただ黙って考えていてもラチがあかん。……一汗かいてみるか?」
「そうだな!」
二人とも特に血の気が多いという方ではないのだが、考えたところで答えの出
ない問題を抱えているよりは、身体を動かしている方がマシだと言う選択だった。
427:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/16 18:56 em2vJ4vp
御元気ですか?おさしみぶりです。
セブンスヘブンFFDQ板開店記念カキコ
…てか、何故今開店ですか?(汗
>>409
有難うございます。嬉しい…・゚・(つД`*)・゚・
続編、まだ頭の中でもややーんとして形になってません。。。
ネタが纏ったら、コソーリうpしても良いですか?
>>ドリルさん
バレットとヴィンセント…ハァハァ 親父スキーのオイラには
美味し過ぎるネタ、有難うございます!
ティナタンセリスタンキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!
カイエン素敵親父ですね…!なんで、こんな良い父親の家族が~ウワァァン(ノД`)
って云うかリルムタン!どこに?!ハラハラしつつ楽しみです。
>>412
そして、シドじーさんに、まずい魚のお刺身を
セリスさんが毎日(以下略)ですか?(TДT)
>>姐さん
好きな人の前で、生まれて初めてのメイク姿…。ドキドキしますね。
ニーダ優しくて゚+.(・∀・)゚+.゚イイ!です!
でもやっぱ、試験で怪我人出てるのですね。( ´Д⊂ヽ
登場人物全員、応援したくなりますです。
428:ちょっとやってみました。
03/05/16 18:57 em2vJ4vp
>>376ですが、ハァハァ目的も、間違い無く有ったと思います。
大人向け、憧れがありますです。
ティファパパ「貴女の熟れた果実を、この舌で毎日味わってみたいのです」
クラウドママ「ほうかーおめ、収穫手伝ってくれるんだっぺ?
んじゃぁ、明日っから果樹園来てなぁ」(ニブル弁)
ティファパパ「(;´Д`)…ゲフン。解らない人ですな」ガバッ
クラウドママ「おめー何すんだべや!亭主の命日に接吻か!?
盗人猛々しいにも程が有るベ!
裏 超 究 武 神 覇 斬 ! 」
……………かなり色々駄目でした。ガクリ
429:天国のカクテル(1)
03/05/16 18:59 em2vJ4vp
透き通った、口当たりの良いカクテル。
甘やかで濃厚なジンに、グリーンチェリーが沈む。その名は…
蒸気と機械、魔法と魔晄の都市、ミッドガル。
酒場の賑わいの内に、硝煙の匂いが混ざる。
「ビッグス!怪我してるじゃない!どうしたの」
「いや、何でもない」
「迂闊ね…今手当てするわ」
ビッグスの逞しい腕に、手際良く包帯が巻かれる。
間近で見るジェシーの指は細く、優しい。
白く抜けるような素肌と、淡い榛色の髪が、甘い香を漂わせる。
「あ、ありがとう。もういいぜ、ジェシー」
「え?どうして?」
己の心音が、ビッグスの耳に反響する。
ふわりと、明るい声がした。
「ただいまー」
「あ、ティファ!調べ付いたわよ」
「ありがとう!どうだった?」
「任せなさい!クラウド・ストライフの経歴でしょ?」
Jrハイスクール卒業後、神羅軍入隊
××年×月 治安維持部隊配属
××年×月 ソルジャー試験に(検閲削除)
××年×月 神羅治安維持部隊元帥が(検閲削除)
××年×月 魔晄実験t(検閲削除)
××年×月 神羅施設より逃(検閲削除)
430:天国のカクテル(2)
03/05/16 19:00 em2vJ4vp
こんなぁゃιぃ経歴とは思いませんでした。(ウエッジ談)
「………………………………………………?」
「(゚д゚)ポカーン 何だ、それ?」
「って、クラウド?!」
「神羅で何かあったかよ?クラウド!」
バレットに襟元を掴まれ、めし処のラーメンを抱えたクラウドは
ふるふると首を振った。
そこで一同の意見が一致する。
「見なかった事にしよう!」
怯える(((((((;゚Д゚)))))))クラウドを横目に
ジェシーがディスプレイに向かい直す。
「あ、それとバレット!爆弾、出来たわよ」
「お、サンキュ!」
「本当はね。発電所爆発させるより、ミッドガルの電話不通にして
停電させたいのよねー」
「……恐いぞお前(;´Д`)」
「でも作戦的にはその方が良いと思う。駄目?バレット」
「ううむ…」
明るい鳶色の瞳が、ディスプレイの光に照らされる。
「出来れば、もう…。人は死なせたくないの」
カウンターで、ビッグスはネックレスを見せる。
シンプルで上質の、無垢の貴金属で出来たペンダント。
「稼ぐのに戦闘しまくった。ジェシー…受け取るかな?」
「凄いっすね!」
「カクテルグラスに乗せて出そうよ。ビッグス。
きっとジェシー、喜ぶわ」
431:天国のカクテル(3)
03/05/16 19:04 em2vJ4vp
ぽつりと、ビッグスが呟く。
「俺さ。以前、皮膚脱色したんだよ。
薬で皮膚を爛れさせて、其処に劇薬を擦り込むんだ。
成功したけど、酷い皮膚病に罹っちまって」
「バレットさんに殴られたっすよね」
「そしたらジェシーが、看病してくれた。礼がしたいんだ」
ビッグスがジンを呷り、首を振る。
「──ジェシーみたいに、白い肌になりたかった。
元に戻せないのに、馬鹿みたいだぜ」
「ううん。元のままが、一番素敵だったけど…。
あんたが元気になれば良いのよ、ビッグス」
ジェシーが其処に立っていた。
柔らかくビッグスの背中に触れ、席に就く。
「あ、あ、あ、あの~ジェシー!これ!」
琥珀色の光を放つ、無垢の首飾りが、無骨な手で突き出された。
吹き出しながら、ジェシーが寄り掛かる。
「無理しないの。…でも、ありがとう」
二人の為にそっと席を外し、ジュークボックス型の
エレベーターに乗り込んだ、クラウド。
「俺、郷里で喧嘩ばっかりしてたんだけど。原因の1つが
しつこく『トウモロコシ頭』ってからかわれた所為なんだよ」
「ぷっ」
ウエッジが吹き出した。
皆の様子を見て、バレットがティファに頼む。
「ドライジンとマラスキーノのカクテル、全員に頼むぜ!」
「ええ、分ったわ。セブンスヘブンね!」 END
432:road to home-こころの故郷13
03/05/16 23:23 7aHtDSId
近所迷惑極まりない兄弟喧嘩の会場と化した草原には、戦闘時特有の高揚感が満ちていた。
彼らが本気である事は、肌に触れる空気から嫌と言うほど伝わってくる。
「マッシュよ、一体何が不満だというのだ!?」
どこから取り出したのか、オートボウガンを手にエドガーが叫ぶ。
「不満なんか何もないさ!」
問われたマッシュは負けじと大声で叫び返す。
「ならばどうして……」
言いかけて、エドガーは一瞬ためらった表情を浮かべて言葉を切った。
「…………」
―どうして、マッシュはなにも言わないんだ?
そんな兄の姿に、些か苛立った様子で今度はマッシュが問う。
「兄貴こそ何が言いたいんだよ!? また余計な心配してるんじゃないのか!?
大体俺だってもう子どもじゃないんだから……」
―兄貴に負担をかけさせたくないんだって。
二人とも似ているのかいないのか。互いを思うあまり口に出さない本音が行き違っていた。
「……歯痒いでござる」
そんな風に嘆くカイエンをよそに、二人はまるで幼い頃そうしたように思いっ
きり鉾をまみえるのだった。
もっとも、幼い兄弟の戯れ合いとは違い、周囲に与える桁違いな迫力と圧倒的
な迷惑度はかなりのものだと言うことを、是非とも本人達に自覚して頂きたい。
もはや傍観者となってしまったカイエンは、そう願うのみである。
しかしそんな希望をうち砕く様に、目の前で繰り広げられる口論は一層熱を帯びていた。
「『余計な心配』だと!? 城を出たきり10年以上も連絡をよこさなかったお前が
何を言うかっ!」
言葉と共に、オートボウガンから放たれた矢がマッシュを襲う。
「なっ……!?」
まさか本当に攻撃してくるとは思っていなかったマッシュは、降り注ぐ矢の洗礼を
浴びながら反撃を開始する。
「城を出る前に言っただろう!? 『師の元で拳の修行を積む』って!! 俗世間
とは隔絶された地で己と技に向かい合う、それが修行ってモンだ!」
433:road to home-こころの故郷14
03/05/16 23:26 7aHtDSId
そしてこれが成果だとばかりにマッシュは拳を繰り出した。
「爆烈拳!!」
「……甘い!」
身をかがめて拳術をかわしたエドガーは、飛び退いて距離を広げる―モンク
僧であるマッシュと一対一の戦闘になった今、近接戦では分が悪い。
その思考を読みとったようにマッシュは豪快な笑みを浮かべ、素早く次の攻撃
体勢へと移る。
「そうとも限らないぜ、……鳳凰の舞!」
軽やかだが力強いステップを刻むと、周囲に灼熱の波が押し寄せる―火属性
の拳術・鳳凰の舞―迫りくる熱波の前に、距離など意味を成さない。
「さすがはマッシュ、そうでなければな!!」
防御することは叶わないと悟ったエドガーは、左足で勢い良く地を蹴ると、ド
リルを抱えたままマッシュ目がけて炎の中を前進する。
「!!」
自らのダメージは最初から覚悟の上で、相手の攻撃の隙をついての反撃という
のはリスクを伴う分、それなりの効果があった。
さすがに双子と言うだけあって、この勝負ほぼ互角である。
こうしてお互いに手加減なしの攻撃を仕掛ける光景は、もはや正気の沙汰では
ない。
「二人とも、いい加減にするでござる!!」
遂に一歩踏み出したカイエンは、目の前の二人を止めるべく何やら呪文の詠唱
を始めた。
が、しかし。
「……まぁ、もう少し待つゾイ」
やんわりとした声で制したのは、意外にも最年長者のストラゴスである。
「ストラゴス殿!?」
「言葉で語るより、技で語る方が聞き分けが良い事もあるじゃろうて……」
モンスターの技をその身に受け、彼らと対話し続けてきた青魔導士ストラゴス
の一言は、どんな言葉よりも重みがあった。
「こんなに熱のこもった戦いは、清々しささえ感じるゾイ……のう?」
「……そ、それはそうでござるが……」
彼ら二人の身の心配をせずにはいられなかった。
434:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/16 23:30 7aHtDSId
FF6のコミカルな戦闘曲風にしたかったのに……描写って難しいなぁと痛感しますた。
長くなってスマソ。
>>429-431
……その後訪れる7番街プレート崩落の事を思うと涙で画面が・゚・(ノД`)・゚・
7のアパランチメンバー。作中ではちょろっとしか描写されなかった人間模様を
色んな角度から見ている感じの作品で(・∀・)イイ!
魔晄炉爆破テロ→プレート崩落→飛空艇。と続く一連のイベントがもの凄い好きな
漏れのツボ、泣けてきます…。
それにしても、検閲は一体誰が…?(w
あのネタ、いつか持ってきてくれると期待してしまって良いのでしょうか?
435:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/17 21:37 aY49E+k5
>>432-433
兄弟喧嘩カコ(・∀・)イイ!!
血が滾る感じで素敵であります。 ギャラリーも楽し気。
ドリルさんは多分御存知の、或る事情により(w
あんましこのスレ、来れなくなっちゃいそうです。。。(´・ω・`) ショボーン
此処来た時は、よろしくです。良かったら又かまって下さい。
>あのネタ、いつか持ってきてくれると期待してしまって良いのでしょうか?
ドリルさんの名文で見たい気も激しくします。ハァハァ/lア/lア/ヽァ/ヽァ
バレットとヴィンセントが、真面目に銃打ちまくるネタなら
「興味無いね(´ _ `* 」の方にはあるのですが…でもアレギャグだし…。
できればこちらで書きた(ry
でも恋愛が無(ry
てかスレ違(ry
…でも最近ちょっと、SS書く時間が減る悪寒。
興味無いねネタ(※(´ _ `; )こちらで書いちゃ駄目でしょうか…。
・゚・(つД`)・゚・
436:日常(1)
03/05/17 21:41 aY49E+k5
轟々と沈鬱な雲が唸る。
彼方に浮かぶは、時の狭間、とてつも無い未来に誕生した空中城。
「俺式ファイナルヘブン!」
「チョコボックル━━━━!!!!」
「ジ・エーンド!」
ボス戦終了!
世界は色々あって平和になりますた。
噴水の水が煌めく、穏やかな昼下がり。
アーヴァインの大きな手が、セルフィの耳を優しくなぞる。
柔らかなセルフィの足が、パタパタと暴れる。
「ね、アービン…やっ。くすぐったいよぉ」
「セフィがキスしてくれたら止めるよー」
「もぉ…」
おずおずとセルフィが額に口付け、応えるアーヴァインが
するりと彼女の唇を嘗め…た所、
セルフィに泣きながら蹴られますた。
「Σ(゚Д゚;)」
シコール…じゃなかった、スコール・レオンハート君は
アーヴァインに先を越されました。
437:日常(2)
03/05/17 21:42 aY49E+k5
漣がひたひたと港を洗う。
風神はサイファーを見つめ、涙を堪える。
サイファーが呟く。
「心配かけたな…」
風神の両腕がサイファーの端正な顔を包んだ。
「…馬鹿」
「……!」
物陰からひっそり見てて聞いてた
生徒会長さんは、風紀委員さんにも先を越されました。
湯気をたてる、薫り高く柔らかな包み。
「ゼルさん、これ…」
「お!手作りパン!サンキュ!」
「食堂のパン、とはいかないんですが」
ポコは彼女とチューしてました。
ずしーん。と鬱な空気漂いまくりです。
「どうしたんだぁ?俺の優秀な息子は」
「煩いぞ。政務が忙しいんだったら帰ってくれ」
エプロン姿の大統領が、ねぇママのお八つ出来たわよお、などと云いつつ
ホットケーキを持ってきました。取り敢えず、食べます。
「…キスはしたけど…」
「ん?彼女の事か?悩める青少年」
「どうすれば、Hとかじゃなく…仲良くなれる?」
「黙って傍に居たら良いんじゃねぇの?」
「…あんたに聞いたのが間違いだった」
438:日常(3)
03/05/17 21:42 aY49E+k5
白熱灯の柔らかな灯。
ゆるやかに波打つ髪が、金の夕日に照らされる。
「俺な、キロス達と約束してんだ」
「何を?」
「もし俺が威張り散らして、人の意見も聞けなくなったら
又旅に出よう、って」
「……」
「やれ愛だの何だの、そう云うのはわかんね。
ただ、大切に思うならそれが好きって事だ」
「レインの事は?」
「逢いたかった。帰りたかった。
だから、子供がいるって聞いて、凄ぇ嬉しかった…
レインに会いたいよ」
遠く潮騒が聞こえる。
「…ありがとう」スコールの声が、波の音と溶け合った。
439:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/18 01:35 jnU8XZqm
ある瞬間、入力する手の動きがぴたりと止む。
…描写文や次に繋げる言葉で悩むと、話自体の骨組みができあがっていても先へ進めませんね…。
>>435
特に規制もないし、このスレで投下しても(・∀・)イイ!……むしろ漏れは大歓迎!!
(って、自分が書いてるのも恋愛絡んでない罠。w)
「多分ご存知の、或る事情」って……本気で考えちゃったじゃんかYO!!
お忙しくなるようですが、ストレスとネタが溜まったらまたいつでも遊びに来て
発散して下さい。(注:発散の場になってるのは漏れですw)
>日常
ユフィの話といい、アパランチの話といい、今回の8親子ネタといい、
もの凄く穏やかな…というより切ない雰囲気が(・∀・)イイ! 明るさと切なさが
表裏一体になった話の見せ方が凄く好きです。
440:road to home-こころの故郷15
03/05/19 01:00 y5dIdUa2
「ところでお主、ガウやウーマロを見かけておらんか?」
不意に尋かれて、カイエンは首を横に振る。
「そうか……そろそろ帰って来ても良い頃だと思うんじゃがのぅ」
昼間の一件があったせいか、ウーマロとガウが連れ立って飛空艇を離れていた
事に、誰も疑問を抱かなかった。
しかし、こんな夜更けになっても戻らない二人を、ストラゴスは気にして外へ
様子を見に来たところ、この稀に見る兄弟喧嘩と遭遇したという訳だ。
「育ち盛りの彼らのこと、恐らくまたどこかで暴れているのでござろう……」
何より気分転換なのだろうとカイエンは付け足す。もちろんそれはストラゴス
も思っていたのだが、それにしては帰りが遅すぎる。
言われてカイエンは心当たりを思い返すが、それでも辿り着く可能性は獣ヶ原
しかなかった。
「どちらにせよ、腹が空けば帰ってくるでござるよ」
なぜか、そう確信できるのだ。
年長者二人が話し込んでいるすぐ先で、闇に沈む草原の空気が一瞬にして流れ
を止めて凍りつく。
渾身の力を込めて繰り出した真空波が、エアアンカーの放つ姿無き錨を打ち砕
き、直後その強烈な余波が一気に周囲へと広がった。
耳をつんざくような不快感に思わず表情が歪む。
互いの放った攻撃は、完全に拮抗していたのだ。
「……さすがでござる」
共に戦う仲間とはいえ、彼らの強さに思わずカイエンは息を呑む。
「まったく、若いのう」
呆れているのか見惚れているのか、判断するには微妙な呟きを漏らすストラゴ
ス。
―世界が崩壊し、一度は散り散りになった仲間達が再会した。とはいえ強大
な力を秘めた魔法の源流でもある三闘神とその力を利用しているケフカに勝てる
保証などどこにもなかった―それでも、もしかしたら。
彼らを見て、そんな希望を見出したのはストラゴスだけではないはずだ。
441:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/19 20:59 R9VYXXID
>>ドリルさん
>「どちらにせよ、腹が空けば帰ってくるでござるよ」
モニターに吹きました。
皆がんがれ!と応援したくなりますです。でも、何処行ってるんだろう、と
気になるメンバーが何人も!ハラハラします。戦闘描写カコ良いです!
某事情、解決しました!お騒がせしました。(汗
哥さん…もとい、ドリルさんありがとうございます。m(>д<。)m
>ある瞬間、入力する手の動きがぴたりと止む。
シリアス書けないけど、ほんのちょっとだけ解りますです。
てか、私も入力して放置したネタが幾つか(w
落描き帳に至っては「ドキッ☆ゾンビだらけの死屍累々」です。
今迄普通に出来たものが、もっと良くしたいな、と
こだわった途端難しくなったり。
肩から力を抜いた途端、ふっと良い着想が出たり。不思議っす。
お言葉に甘えて、マターリ発散させて頂きます。ありがとうです。
442:にわとり。(1)
03/05/19 21:00 R9VYXXID
白銀の騎士が、生贄の血を求め、佇む。
それは、呪われた場所。冷淡な瞳が、獲物に近付いた。
「我が名は、メスドラーマ=エルムドア。
さあ……かかって来い!」
ツンツン頭の風水士が突っ込んだ。
「セフィロスじゃん」とかゆってたら。
1. 風水士は、トードで蛙にされますた。
2. チキン迄使って来やがりました。
3. タコ殴り及び回復の繰り返しで
4. 経験値を稼がれてしまいますた。
屈辱です。あんまりです。しかも主人公のラムタン、遠巻きに見物です。
銀髪鬼の連れた、見目麗しき女性が云いました。
「エルムドア様、そろそろ止めを」
ふっかふかの、ちっこいHP1鶏。その羽毛に頬擦りしつつ
エルムドア侯が厳かに告げる。
「吸血して連れ帰るv」
鶏状態の風水士(クラウド)は、嫌な感じの汗を吹き出しつつ
「た、倒しちゃって良いって!」と必死です。
銀髪鬼により、血の純潔を奪われた風水士。
檻の中、宵の優美な吸血に飼育され続け
やがて、自ら、白き翼を侯の元に休めるのだった。
──…にわとり姿で。
木箱に網貼ってトタン葺いて、「にわとりさんのおうち」と云う
プレートが掛った鳥小屋。雌鳥(本物)が熱い眼差しで見つめたりしてます。
もう、クラウド泣きそうです。
443:にわとり。(2)
03/05/19 21:01 R9VYXXID
多分政治では賢いんだろうけど、イマイチ鳥に詳しく無い侯は
風水士鶏の、背中やお腹を無邪気に撫でまくります。
人なら笑い転げる位で済みますが。
鳥にとってそれは「やらないか」級の、イクナイ行いです。
雌なら(;´Д`)ハァハァした挙げ句、卵を産んでしまいます。
「撫でるなら…撫でるなら耳の後ろをこちょこちょしてくれ!」
しかしコレで気持良い大人鳥は、中耳炎の疑いが。
それはさておき、クラウドの魂の叫びが届いたのか
我らがヒーローラムザタンがエルムドア侯倒して、飛んで来ました。
「クラウド!──勇気をあげよう!」
ズモモモモモモモモモモモモモモモモモモッと、白煙が沸き起こり、無事に
蛙に戻りますた。なんか、お玉杓子な尻尾付いてますけど。
ムスタディオが叫びました。
「後は、乙女のキッスだ!」
「ヨロシク」
「労働八号が志願して来たんだって」
労働八号が頬を赤らめますた。
「…異邦から来て、それは…私がやります」とアルマ。
クラウドは元の姿、元の世界に戻りました。
「ね、クラウド。キスしたことある?」
「厳密には、無い」
そうプリシラに告げるクラウドの背中は、どこか寂し気です。。。
444:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/20 01:04 pPVpwOM8
余りに下がり過ぎてるのでage
445:名無しさん@LV2001
03/05/20 16:59 m+IIMjxZ
うにうに><
446:パイナップル Ver 1.1 ◆yGAhoNiShI
03/05/20 18:40 WH+78ItS
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( ・∀・) ( `ー´) ( ´∀`) ( ゚ ∀゚ ) ( ^∀^)
( つ┳∪━∪━∪━∪━∪━∪━┳⊂ つ
| | | ┃ この糞スレは終了しました .┃ | | |
(__)_) ┻━━━━━━━┻ (__)_)
447:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/20 22:47 hwwxirri
マターリマターリ
448:名無しさん@LV2001
03/05/20 23:10 21khjrow
↑
お前つまんね
YAHOOに帰んな
449:road to home-こころの故郷16
03/05/21 00:30 4HpQlPXt
「……おい、そこの戦闘マニアと機械オタク! いい加減にしやがれ!!」
ようやく静寂を取り戻した闇夜の大地に、セッツァーの怒号が響き渡る。
「誰がオタクだ!!」
「誰がマニアだ!?」
まるで申し合わせたように兄弟が声を揃えて反論するものだから、隣のロック
は笑いを堪えきれないといった様子で口に手を当てた。
「夜中から何やってんだよ!? お前らがケガするのは構わんが、大事なファル
コンに傷つける様なマネはやめろ」
セッツァーにしてみればあくまでも、ケフカ打倒の旅を続ける事が難しくなるだろ、
という意味で言ったはずなのだが。
「なんだセッツァー」
「ファルコン狂か?」
またも図ったような兄弟の連係プレーに、ロックは思わず吹き出す。
そんな三人を目の前に、セッツァーの堪忍袋の緒は音を立ててきれたのだった。
「……てめぇら、ぶっ殺す!!」
声と共に手にしたダーツを素早く投げ放つ。傍らにいたロックは未だに笑いの
波が収まりきらぬまま攻撃を受けたせいか、思わず足元がもつれ倒れそうになる。
「何だよセッツァー! んな事ぐらいでキレるなよ、……大人げないな」
「“んな事ぐらい”とは何だ!! 大体お前はファルコンの整備だってしてない
だろう、あれがどれだけ大変な作業か……」
言い募るセッツァーを前にして、ロックは遂に声を立てて笑い、納得した様に断言
するのだった。
「ああ、やっぱりファルコンフェチだったんだな!」
―ああ、言ってしまった。
ダリルの墓でファルコンを復活させた日の事を知らないとはいえ、ロックは禁句を
口にしてしまった。とエドガーは内心で溜息をつく。
「……お前ら、今日という今日は許しちゃおかねぇ!!」
そう言ってセッツァーは秘技・銭投げを見舞うのだった。
450:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/21 00:51 4HpQlPXt
マターリいきます。というか、この仮名称にしたのは伊達じゃありません。(w
もう“どっぷりFF6ネタ”ですみません。(未プレイの方は読んでも面白くないかも
知れない。いや、プレイした人でも面白いと言える代物じゃないけどナー…w)
とりあえずここまでの粗筋は、
父性復権→兄弟喧嘩→年長者談義→セッツァーご乱心。という話の流れです。(違)
>>441
マターリ発散。待ってました!
文章にしても絵にしても、「もっと良い物を」と思うと空回りしたり、逆に仕事中に妄想する
と良い発想浮かんだり、創作というか脳の構造は奥が深くて不思議です。(単なる怠慢か?w)
# シリアスでもギャグでも、仕事面でさえわりと当てはまってますね、こういうの。
……はい、漏れにギャグは無理ぽ(´・ω・`)。何を真面目に不真面目な事書いてるんだ
ろうと小一時間詰りたい。むしろ詰らせてくれ。(w
とりあえず「腹が空けば」というカイエンのセリフ、この物語のEDのちょっとした伏線だったり
するんです。(w さすが話術士……もとい、ネタ士白さん、めざといですね。
>>442-443
飛空艇墓場での決戦…いや、ディープダンジョンの事を考えたラムザの遠謀が素敵です。(違
それにしても、蛙から復活させるためとはいえ、アルマの申し出にラムザは異を唱えなかった
のでしょか?(もっと違)
…まさか意図的なs(ry…?
451:T.sakura
03/05/21 15:58 jMDWt0Fg
. ) ( 、
; ( ) '
o___, . (、. ' ⌒ ` )
/ ~ヽ (. : ) , ( '
/ / ̄ ̄; ) ( . ⌒ )
/ / FFDQ`‘| ' ` ”, )
/ | 板 / /
/ \__/ /
____ / /
/ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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| ∀ つ
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| |
└.─.─.─.─.┘
452:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/21 15:58 ISHE1YSW
__二 / / ;:::::< ::;;; ;::::: ヾ、,
-ー-シ/ ::;/ ,、 >;::::;、 ゙i: ::ミ、
彡" :ノ゙ ::i" i! ,i゙ ,A;;::::::i,:i :, ゙i, i, : ::,,、ゝ
/゙ /゙ ,i !" :!゙ !゙ //゙ "゙´゙:i ! ,、i, ゙ ゙i, : ":ミ
-彡, ノ/ !i i゙ ",i" /|i゙ ::|,! :i:::| i ::; ;:: ::|,
-~彡ノ/ :|:: !i゙ ゙ 彡i"!:/! ~ :リ| ,! :i ハ :i ::; ;;: ヾ,
/ 彡 :リ i!|i,, ::!ドミ!i、,_ !ノ,、::!H゙ i! i ::; :: ::; :; i; ミ、
‐彡ツ:;;! ! ::i ::i, ::!,シ┼-,ミヾ::: :::;!シツ千‐ミ] i゙i :: ;: : ::; :; !,iヾゝ
フ~ ;λ :i! ::i! :::|~ー~゙‐゙ ::: ::::::: ゙ ー゙~゙ | /:: ;: :i :i, ヾ,
彡彡_i!, !:; !i i゙ :::::: :::::::: :| /゙i::::i゙ ; :i ::ヾゞ、
"~ キ : i !,:|, | ::::::: :::::: ノ/,i゙/リ i゙,i,;:、ゞ
゙!゙i |゙i ::;"゛ ::;;;ii::: " !゙/:! イ;゙ ~ ゙
,-i!i:|i゙i, ~゙'t‐ ‐" :::::::::/:::| /゙!
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i::::: :::: :|ii )i〈ii ::::::::::::::: (yi゙:::::::::::/
:::::: :::::::: :|iii (y)i::: ::::::::::: :::::::,ノ/::::::: /
:::::::::::::::::|iii !i :::: :::::::: :::::::::(y):::::::: /::
453:T.sakura
03/05/21 16:11 jMDWt0Fg
. ) ( 、
; ( ) '
o___, . (、. ' ⌒ ` )
/ ~ヽ (. : ) , ( '
/ / ̄ ̄; ) ( . ⌒ )
/ / FFDQ`‘| ' ` ”, )
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| ∀ つ
454:孫悟空 ◆yGAhoNiShI
03/05/21 17:00 3zMaV4vV
ドラゴンボールZ
フジ(関東)で毎週月曜16:30~放送中!!
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⌒ ⌒ ....::::::::::.:::.::;: :::... .:::: :::. ..:: :::::::: ;::::::;:;.;:;,;,.,,; ...::⌒
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と~けたこおりのな~かに~♪恐竜がい~たら~たまのりし~こ~みたいね~♪
455:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/21 23:26 c1cznYdN
>>447
うい。マターリいきませう。
旦~ 旦~ 旦~ 旦~ オチャードゾー
旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ ズドドドドドドドド
ヽ )ノ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~
旦~ ⌒(゚д゚)ノ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ ドドドド
/. ( ヽ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ ドドドドド ドドド
旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~
旦~ 旦~ 旦~ ドドドド
>>449-450
むちゃくちゃ笑いました!ファルコンフェチ…。。。
ギャグは無理?嘘をつくとリルムタンに変な顔に描かれます、きっと。
硬質で端正なシリアス部分も、賑やかなギャグ部分も楽しいです。
456:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/21 23:27 c1cznYdN
今回、すいませんオイラのギャグ、続きますです。
(;´Д`)一遍に終わらナカターヨ。。。↓
457:火球(1)
03/05/21 23:28 c1cznYdN
──かつて、轟音を鳴り渡らせ、天駆ける妖星を天狗と呼んだ。
荒野へ叩き付けて来る、冬雷。鈍色に、千切れた雲。
王の逃走したその街で。
市民達は、マフィアの武器を手に、神羅軍へ最後の戦いを挑んだ。
水路さえも塞がれ、いずれ全滅する街。
彼等は、仲間の屍骸を楯に前進し、撃たれ、又それを楯にして
じりじりと、神羅兵へ間合いを詰める。
最初に悲鳴を上げたのは、神羅兵の方だった。
ふっと。空気が止まり、風が凪ぐ。
冥く静かな衝撃波が、ざわざわと、地を揺らし。
最前線の兵士と人々に、喰らいつく。
音も、無く。
凄まじい血飛沫が噴出した。
人々は、鎌鼬に両断され、身肉が地に落ちる。
正宗が鞘に戻る。
大魔導士は、何千と言う人々を「斬って」見せた。
雷鳴は止まず、雹が激しくなってゆく。
不意に、黒衣の英雄は頭を抱え、蹲る。
駆け寄った少年兵が、覗き込む。
「大丈夫だ。クラウド」
「…でも!」
雷の狭間。その闇の中で、セフィロスが
少年兵の襟元を引き寄せ、叫ぶ。
「俺が狂気に陥ったら、その時は…お前が……私を。
その為にこそ──お前は強くあれ!」
458:火球(2)
03/05/21 23:37 c1cznYdN
修道院の地下書庫で。オルランドゥ伯が、禍々しき魔法陣を睨める。
書庫の空気は、冥府の底の匂いがした。
「以前、君は言っていたよね。此処が、君達の世界の未来かも知れないと」
「ラムザ?」
神殿騎士の呪文が、うなりを上げて反響する。
ラムザの世界と、クラウドの世界を繋ぐ、一冊の本。
「繋がりは、無いかも知れない。だけどもし、君達の世界が滅びたら。
今はありえない。そうだろう?」
ラムザの澄んだ眼が、異邦の客人を見る。
ノイズが、クラウドの脳を掻き回す。
「……うぁッ!」
─又頭痛がする。だけど、闘わなくては。
世話になった、この世界の人の為に ─
騎士の呪文に、クラウドの上着が切り裂かれる。
それと同時に、桜花狂咲が敵召喚士に炸裂した。
「ディリータに頼んだ事があるんだ。
この戦いが終わったら。僕達を記録上抹殺して欲しいと」
孤高の覇王、ディリータ・ハイラル。
聖騎士アグリアスが、己の腹を撫でた。凛とした面差しが、微かに笑う。
「Σ(゚Д゚;)…ええっ?!」
「オーラン。また、カードをしよう」
剣聖の養子、占星術士オーラン。彼のカードを
やがてスコールが遊技する事となる。
そうして、僅かに、確かに繋がってゆく世界。
微の間。神殿騎士のデジョンの光が、全ての者を呑込んだ。
459:road to home-こころの故郷17
03/05/22 01:01 lPaxt1G7
「あわわわわ!! せっかくワシらがこつこつ貯めた金を……!!」
荒涼たる草原に降り注ぐ、大量のギルの雨。
その姿に今度こそ狼狽するのはストラゴス。
さらに追い打ちをかけたのは、天より降りたる孫の声だった。
「天空を満たす光、一条に集いて神の裁きとなれ!」
「……リルム!?」
幻獣の背に跨って上空を浮遊するリルムの姿に気付いたエドガーが叫ぶ。
リルムの唱えた魔法・サンダガから放たれた雷光が、セッツァーの投げたギル
めがけて迸る。魔法発動者の魔力の高さと相まって、威力は普段の三割増。
「シャレになんねーー!」
触れれば間違いなく感電死しそうな強烈な稲妻の勢いに、驚きながらも素早く
身を翻すロック。
「ケーツハリーでござるか!」
「……一体いつの間に!?」
カイエンとストラゴスが視線を上空にやりながら同時に叫ぶ。リルムが魔石・
ケーツハリーを装備していた事に、ようやく全員が気付いたのだ。
しかし、このままでは地上にいる六人は皆、多量のギルと共に感電死を免れな
い。どんな手段を使ってでも、この窮地を脱さなくては―彼らに明日はない。
覚悟を決めたその時だった。
「……魔封剣!」
剣を高らかと掲げ、神々しいまでのセリスの声がこだましたかと思うと、周囲
を駆けめぐっていた雷光は、瞬く間に彼女の元に吸い寄せられていく。
「セリス殿!!」
「助かったぜー」
「ありがとう!」
地上にひれ伏す男達は口々に、命の恩人セリスに礼を述べる。
460:road to home-こころの故郷18
03/05/22 01:02 lPaxt1G7
「一体なにがあったの?」
冷静に聞くティナに対し、何かしらの言葉を発そうとした途端。
「……あんた達、頭冷やした方が良さそうね」
安眠を妨害されご立腹のセリス、表情は笑顔だが彼女の瞳は本気である。
「ま、待ってくれセリス……! これには深い事情が」
慌てて弁明しようとするロックの声を後目に、セリスはオペラ公演の時と同じ
透き通るような美しい声で、詩文を詠むようにその句を紡いだ。
「―『大気に潜む無尽の水、光を天に還し形なす静寂を現せ!』」
氷の攻撃魔法・ブリザガ。
感電よりは、せめて楽に……。という、仲間に対するセリスからの最後の慈悲
と言わんばかりに、凍てつく刃が彼らを襲う。
「俺たちが悪かったーー!!」
声にならない叫びを残し、地上にいた男衆六人は倒れた。
こうして詠唱の通り、草原は本当の静寂を取り戻したのである。
461:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/22 01:10 lPaxt1G7
>>457-458
FFTから各シリーズへの密かな伏線が(・∀・)イイ!
むしろラスダンに臨むクラウドの姿が萌え……。(ってギャグなのか?!w)
その昔、ラスボス直後(飛空艇墓場)のクラウド見送りSS(クラウドとアグリアス主体)を
書いたり(挫折)していた漏れには激しく続きが気になります。
…にしても戦地に立つセフィロスさんから漂う雰囲気がなかなか切ないですね…。
そう言えばFFTのラスダンって、境界地下の書庫だったっけか?
(室内なのにジャンプ攻撃を繰り出して、天井に頭を強打している神殿騎士がいたような…)
462:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/22 18:45 2teHi7ma
マニアックなネタが多いが良スレの予感。
463:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/22 23:31 thqZEdwX
>>ドリルさん
お、面白過ぎます!なんて楽し気なのですか!(違
銭投げは困りますね・゚・(つД`)・゚・
女性陣むちゃくちゃ強いです!素敵であります!
>天井に頭を強打している神殿騎士がいたような…
アレですか?「小部屋で大形召喚獣召喚」のような。激しく笑いますた。
>>462
ありがとうです。王道ネタにも挑戦したいです。。。
ENDになってますが、もう一回続きますです。すいません(汗
464:火球(3)
03/05/22 23:32 thqZEdwX
其処に、アルマが居た。飛空艇の、墓場に。
吹き抜ける冷気。幽玄の風が、聖天使アルテマのお尻…
じゃなかった、銀髪を艶かしく揺らす。
「……又銀髪かよ?!」
「えっ!クラウドの所もなの?」
聖天使アルテマさん、怒ってます。なんかばしんばしん攻撃してます。
「──くしゅっ!」
「ん?どうしたのですか?クジャ」
「誰か僕らの噂をしているようだよ、ユウナレスカ」
アルティミシアが、横で紅茶を啜ってます。
某所でそんな会話が交わされましたが、それは置いといて。
聖騎士アグリアスの剣が、聖天使に斬り付ける。
「アグリアスさん、大事な身体なんだから無理しないで!」
「え─wwヘ√レvv~(゚Д゚;)─wwヘ√レvv~─!!!!!!!!?」
戦闘中にも関わらず、一同の眼が、アグリアスに釘付けになった。
「私達は…」
ラムザがはにかみ、耳迄紅く染める。
「言えない。言えません!手を繋いだ、なんて!」
「いやそれ大事な身体とか、ちゃうやん!」
ムスタディオ、何故か似非関西弁です。
りゅうと立った聖騎士。その、優しく応える声。
「でも。夢なのですよ。表舞台から消え、静かに好きな人々と暮らす事。
それが…その為にこそ、私は闘う」
剣が旋舞し、隠された聖石を弾き飛ばす。そして──
465:火球(4)
03/05/22 23:33 thqZEdwX
異邦の剣士が眼を見開く。
其処には、明るい青空が広がっていた。
「……ド…クラウド!」
「…ティファ?皆も」
ライフストリームの暖かな光が、皆の顔に映り込む。
うなりをあげる拳に、ティファは凄まじい力を込め
クラウドの両頬を─世間では往復ビンタと呼ぶ方法で─張り倒した。
レッドは肝を冷やし、顔を臥せる。
「馬鹿ッ!皆に心配かけて!」
彼女の言葉が続かず、その場に座り込む。
「…馬鹿ぁ…」
クラウドは、かなり(*´Д`)ハァハァした。
何があったのか。その南の島は崩壊している。
「なぁ皆、俺が居ない間に、何が?」
「竜巻の迷宮の後に、でっけぇウエポンてぇのが暴れてよう。
お前さんを捜して、ライフストリームの流れを追ったらココに来た。
…呼んだぜ。奴さん、メテオを」
シドの説明に、クラウドは上空を仰ぐ。
「そうか…」
澄んだ空に。血に染まるベルベットの如き星が、炎を滴らせている。
ふと、小さな音がした。
「これは?」
「軍の鑑札じゃねぇか」
クラウドの上着。裂け目から、ドッグタグが光る。
「いろいろ付いてるね。見せてよ!
って、クラスEX-S、セフィロス?!」
466:火球(5)
03/05/22 23:34 thqZEdwX
ユフィの絶叫。その場全体を、衝撃が支配する。
「ザ…ザックスは覚えてる。遺体は持って行けないから、鑑札を」
( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` ) 沈黙。そしてざわめき。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!皆、何だよ!ウワァァン(ノД`)」
「むう。何で又セフィロスのタグが?」
バレットが首を捻った。
魔晄に漬込まれた、神羅屋敷の数年。
古代種の叫びが、体内のジェノバの声と不協和音を醸す。
「そう言えば。なんでザックスはソルジャーになれたんだ?」
シンクロナイズドスイミングのポーズを取りつつ、ザックスが応える。
「お、今日は調子良さそうだな!
んー…俺、魔晄炉事故で魔晄浴びて以来、強くなってさぁ。
闘技場で優勝したら、タークスが来た」
少し間を置いて、更に続ける。
「んで、気が付いたら此処入ってた!うははは!」
「Σ(゚Д゚;)ソレ誘拐だって!」
魔晄の、仄かな緑の光。
ザックスの精悍な横顔は、笑っている。
「──もう出られない、じゃない。俺達が自分の手で此処から出るんだ。
娑婆に戻ったら『俺達は岩窟王だ!』って自慢しようぜ」
神羅屋敷の地下に、甦る記憶。
「この戦いに生き残ったら、お前の家族に届けておくよ…ザックス!」
クラウドは、ザックスの認識標を、堅く握った。
467:火球(6)
03/05/22 23:36 thqZEdwX
セーファセフィロスの翼がもぎ取られ、ついに英雄は地獄に還る。
力尽きた仲間に、クラウドは「帰ろう」と言った。
「最後迄、セフィロスは孤立無援だったな…」
「え?」
勇者の呟きに、皆が振り返る。
突如、クラウドの瞳孔が開く。彼は岩場に倒れ込んだ。
「クラウド!」
遠いトンネルを抜け、深淵へ。懐かしい歌が聴こえる。
其処に、セフィロスは居た。ずっと、恐らく最初から。
心の奥底に潜む、幻影か。体内の厄災の、象徴か。
──今迄のジェノバは全て、肉体を失いし魔王が
勇者に乗り移り、造り出した者なのか。
今更、それはどうでも良い事だ。
確かなのは今、勇者の目前で正宗を携え、微笑む魔王が
本物のセフィロスその人だと言う事だ。
黒マントの男達は、行動を共にしなかった。
結局、セフィロスの為に闘ったのは、母なるジェノバだけだった。
人ならぬ母も既に無く。魔王に只独り、共鳴せし者。
彼は、英雄だった。神に近き者として、実験室で生まれた。
人では無く、武器である存在。
その英雄が、手塩にかけて育て上げた子供。
468:火球(7)
03/05/22 23:40 thqZEdwX
テントの灯の元に。少年兵が呼ばれた。
「御覧、クラウド」
ナイフが、セフィロスの掌を断ち切る。
すうっと、傷口が塞がった。
「!」
「俺は、死ぬ事が無いらしい。
しかし、このままではいつか、世界を殺そうとするだろう。
だからクラウド。
お前が俺を倒すんだ」
「セヒロスさん、何言ってるんすか?(;´Д`)」
ころころと、クラウドが笑う。
「お前は有望な子だ。
ソルジャーの大剣を、軽く持ち上げる少年兵士は、他に居ない。
だから俺は、お前を部下に選んだ」
「冗談きついなー!あははっ…ありゃ?」
幼いクラウドの周りで、風の音がする。
ザックスが寝返りと共に、寝袋の先輩兵士にぶつかり、目覚める。
クラウドの頬が濡れている。
「……?!」
眼に表情は無く、少年兵は不思議そうに、頬の涙に触れる。
英雄は柔らかな仕種で、クラウドに己のタグを掛けてやる。
469:火球(8)
03/05/22 23:41 thqZEdwX
回想から、静かに醒めてゆく。
互いの剣が光る。
セフィロスが笑い、クラウドも又、笑った。
魔王は眼を見開き、正宗を向ける。
クラウドは此処で師に向かい、対等に剣を構える。
金の睫が伏せられ、そのまま正眼に眼差しを交わす。
──かつて、彼に命を救われた。
尊敬し、教わり、憧れた存在。
けれど今は狂気に満たされ、世界を殺そうとしている。
救う為にも、行かなくては…約束の地へ!──
クラウドの武神覇斬が発動する。
剛撃が唸り、火花を散らす。削ぎ、喰らい合う剣。
そして。
セフィロスの紅き魂が、解放される。
それは、ライフストリームに乗って、クラウドの内へと入り込む。
「…今だけだ。約束したから
今だけ少し、俺の命の中で休んで良い。
だけど。捜してやる。あんたの事、甦るまで、絶対に!」
クラウドの足が真直ぐに、仲間の元へと向かった。 END
470:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/23 00:29 Wx1K+0s/
>>464-469
以前、この板の某所で見かけた「宝条博士が実はいい人だった」SS読んだ時以来の
衝撃です。セフィロスは単なるストーカー(違)でも、マザコン(もっと違)でもなかった
んですね!(ひと思いに殴ってやって下さい。)
セフィロスもの凄く切ない。本編でそう言う風に描かれていたら(漏れが解釈を誤った
だけなのか)、間違いなく好きなラスボスになっていたYO!!・゚・(ノД`)・゚・
そしてKHFMをプレイした直後だったりする漏れには、最後の下りがなんだか嬉しい。
(KHへの伏線を意図しているのかと思えて)
それにしてもクジャとユウナレスカの会話を見て『異界放浪記』なるギャグを思いついてしまう漏れ。
・細長い刀ともの凄く太い大剣を抱えながら、互いに
「そんなものは正宗ではない」
と、言い張るセフィロスとアーロン。
・預けに行った思い出に、利息はつかないのか? となぜかガフガリオンに詰め寄るビビ。
・どうしてお前らはそんなに露出度の高い衣装なんだ? とケフカ・セフィロス・クジャに
問うエクスデス。(←実はあんまり知らないですが、ネット回ってなんとなく)
471:R@no-name
03/05/23 01:52 pYw3YGit
(゚Д゚)ノタダイマー
>白殿
雌鳥ナデリ>無精卵マズーをご存知とは
文鳥系HPとかだと「ナデナデしたらまた生んじゃったv」とカキコ
しようものなら物凄い勢いで問い詰められまつね
ところで今のスレタイの「エロ小説」は「エクセレント・ローマンティック小説」
の略ってことにしてよかでしょかといってみるテスト
472:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/23 22:45 cD9v7nbx
>>ドリルさん
KHFMに続く…良いですね!
抵抗するセフィロスを 迷 わ ず お 笑 い に したい。
そんな電波ゆんゆんで、禿如くごめんなさいでした。(汗
『異界放浪記』凄く読みたいであります!
ブラスカとマターリお茶するキロスとか(互いに笑顔で恐い)
喧嘩後酒を酌み交わす、ジェクトとサラマンダーとか
良い匂いがする、キスティスとベアトリクスとルールーとか
リュックとユフィに、溜息をつくシド二人とか居そうですね。
>>R@no-nameさん
お帰りなさいです!
英雄さんみたいな羽根色の鳥を、飼ってみたいであります。
えっと、無精卵産んだ仔は居ないです。雛が孵る迄
オロオロしてた雄鳥は居ま…はわわ!リア話してどうすんだ私。
「エクセレント・ローマンティック小説」素敵です!!
R@no-nameさんの「エクセレント・ローマンティック小説」…よ、読みたい。。。
大火流る→火球→地球照 一応続いてマスです。 。。
473:【地球照】(1)
03/05/23 22:46 cD9v7nbx
ゴールドソーサーの真上に、真昼のペーパームーンが浮かぶ。
レース観戦の人々が、喫茶室で微睡んでいる。
「リクセン?大冒険家リクセンじゃねぇですか!」
何人もの子供を引き連れた男が、泰然自若とした老紳士に声をかける。
「おや?君は…」
喫茶室の壊れたジュークボックスに触れながら
ウェッジがジェシーに電話する。
「あ、ジェシーさん?ビッグスさん、今夜は夕飯作るそうっす!」
金髪の上にゴーグルを載せた男が、眼を輝かせる。
「俺は『空想魔学小説』読んで、飛空艇乗りになりやした!
グローリア号艇長、リクセンさんは憧れです!押忍!」
晴れ渡った空が、テラスの空気を軽くする。
「今日は、何人かの読者さんに会えて嬉しいよ。
君は、ハイウィンド艇長だね?
背中のお子さん、奥さんに似ているよ」
父親似の大雑把…否、鷹揚な質なのか、騒然としたレース場で
子供は安らかに熟睡している。
一生分の運を賭けて、チョコボレースを見つめる男。
その横を、尾羽打ち枯らした「墜落のコルネオ」が通りかかる。
「…頂きッ!」
すんなりと括れた腰。滑らかな肌。
歳の頃なら二十歳位の、若い娘がしなやかに走り去った。
「ほ、ほひ~?!ま、マテリアが無い!」
474:【地球照】(2)
03/05/23 22:48 cD9v7nbx
柔らかな黒髪を切り揃えた、仕立物の背広の男。
一方の肩が下がり、銃を胸元に所持している事が分る。
濃厚な珈琲の芳香が、煙草と硝煙の香に混じり合う。
「──で、どうなんだ?ヴィンセント」
シドの子供達が、周りで転げ回っている。
「…思い切って。彼女に……
暑中見舞いを送ってみた。。。」
「そりゃ大進歩だ!」
地球に映る太陽の光が、月影を明るく照らす。
ルクレッツィアの元に、モーグリの手で一枚の葉書が届いた。
「平素は格別の御愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます…」
美しい人の、針の如き瞳孔が、丸くなる。
彼女の声は怒りでも悲しみでも無い、ナニかを堪え、震えている様だ。
ひとしきり笑い転げた後、ぽつりと呟く。
「漸く連絡して、これ?」
レース場から歓声が上がった。
『さあ、注目のタイシンオー!匿名参加と言う事ですが
はたして猛者相手に、逃げ切れますでしょうか?』
混迷の隙を縫って、タイシンオーが飛び出す。
バレットが頭を抱え込んだ。
「うおおお!俺、レッドセフィロスに賭けちまったぜ!」
「ワイ…ゲフン。僕は最初からタイシンオーです」
レッドXIIIの燃える尾が、オレンジの夕焼けに照らされる。
475:【地球照】(3)
03/05/23 22:50 cD9v7nbx
激しい競り合いに、白チョコボが激突し、騎手のヘルメットが弾け飛ぶ。
十才程の、愛らしい娘が叫んだ。
「父ちゃん、見て!」
赤チョコボの騎手も、己のヘルメットを外す。
風を孕んだ銀髪と、内から煌めくツインテールが、同時に露になった。
「──お花のおねぇちゃんだ!」
『ここっ、これは!大変な事になりました!!
レッドセフィロスの騎手は
セフィロス!失踪した英雄、セフィロスです!』
タイシンオーがレッドセフィロスに追い付く。
タイシンオーの騎手は、落ち着いて手綱を握り
じわりと速度を上げて行く。
間隙を縫い、ティファのチョコボも追い上げて来た。
凄まじい歓声が、会場を包み込んだ。
『きききき、来ました!タイシンオー!万馬券です!!』
この勝負により、逃げた女房に帰って来てもらった
タンゴと言う中年男は、何故かレッドXIIIに抱きつき、
リーブは些か儲かり、バレットは100ギル損をし、
シドは、奥さんの厳命により、券を買えず予想のみ当った。
タイシンオーの騎手が、海チョコボを労う。
騎手、クラウドの髪をチョコボが繕い返した。
クラウドが振り返る。
静かな──穏やかな瞳で、会場全体を見つめながら。 END
476:road to home-こころの故郷19
03/05/23 23:39 zXN91nwQ
「……何も本気で攻撃しなくても……」
「ああでもしないと止めなかったんじゃない?」
ロックの問いを、素っ気なく受け流すセリス。
「あいたたた。年寄りにはもう少し優しくせい」
「大丈夫。私もセリスもアレイズを使えるから」
一見すると道理の通った事を言うティナだが、そう言う問題ではないのだと諭
してやりたい衝動に駆られつつ、治療を受けるストラゴス。
「大体リルム、どうしてマッシュとやり合っていたんだい?」
「だって……」
こちらでは仲良く(?)互いに治癒魔法を唱え合っているエドガーとリルム。
「それより腹減ったよ。大体兄貴がオートボウガンなんてぶっ放すから、余計な
体力を消耗しちまったんだ……」
この期に及んで、さり気なく自分に非はないと主張するマッシュ。
「……お? そう言えば残っていた食料があるでござるよ」
責任の所在を追及するような発言にはあえて触れず、カイエンは携帯用の道具
袋からおもむろに食料を取り出す。
「これが最後の1切れでござる」
念を押すように告げて、マッシュに手渡した。
―それは珍味・干し肉。
「おぉっ!? こりゃ有り難い!!」
マッシュは躊躇いなく、最後の一切れとなった干し肉を口に運ぼうとした。
「……?」
しかし、僅かに伝う振動を感じてその手を止める。
静寂に戻ったはずの大地が、再び唸りをあげたのはそれから間もなくのだった。
477:road to home-こころの故郷20
03/05/23 23:45 zXN91nwQ
「ハラへったー! ほしにくよこせ!!」
マッシュの手に握られた干し肉めがけて、怒濤のスピードで突進してきたのは
ガウ。そして後ろからガウに続くウーマロ。
「ちょっと待て」
感電、凍結、その後はいよいよ物理攻撃かとマッシュのお門違いな心配をよそ
に、猛然たる勢いでガウは接近してくる。
「マッシュ殿、避けるでござる」
「だから待てって!」
既に避難態勢を整えているカイエンの声と、右手に干し肉をぶら下げたままの
無防備な格好で叫ぶマッシュ。二人の明暗ははっきりと分かれた。
「―『大気に満ち、木々を揺らす波動。生命の躍動を刻め! ……リレイズ!』
これで大丈夫よ!」
機転を効かせたティナがとっさに唱えたリレイズの効力がマッシュに及ぶ。
「じゃからティナ……そう言う問題ではないと思うんじゃがのう……」
ストラゴスの溜息のすぐ後ろでは、僅かの土煙をあげて人身事故が発生。
先ほどのティナの行動が功を奏しマッシュは一命を取り留め、ガウは念願の干
し肉を口に頬張りようやく落ち着きを取り戻す。
後から到着したウーマロは、どうやら空腹よりも眠気の方が勝っていたようだ。
478:road to home-こころの故郷21
03/05/23 23:46 zXN91nwQ
「……まったく、とんだ厄日だぜ」
立ち上がり、コートについた埃を払いながらセッツァーが呟く。
「それじゃあ、戻るとしますか?」
続いてロックも飛空艇へ戻ろうと腰を上げた。
「そうだな。レディの夜更かしは感心できる事ではないし」
「ワシももう休むゾイ。年寄りの夜更かしも健康に悪いわ」
とりあえず周囲に散乱しているギルを収集していたストラゴス達も、船へ戻ろ
うと踵を返した。
「……ガウ」
優しいティナの声に、ガウは顔を上げて彼女を見据える。
「おかえり」
とても自然でさり気ない、けれどあたたかなその一言に。
「うー……、ガウ!」
「ほら、食ったら船に帰るぞ」
―この船と、ここに集う者達が、ガウにとってのこころの故郷なのだと気付く頃には
本当の平和が訪れているのだろう。
いつか訪れるその日の為に、今は共に戦おう。
それが、平和という家路への第一歩なのだから。
road to home-こころの故郷<終>
479:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/24 00:01 z+y/QUpy
ここに書かれている方って、SSのタイトルって先に思いつくんでしょうか?
漏れの場合大抵はタイトルから思い浮かぶんですが、この「road to home」は
イラク戦争の従軍カメラマンのドキュメンタリーみてパクリました。(スマソ)
なんか、戦いに身を置く人達の明るさって、常に死と向き合っているからこその
ものなんだろうなー…とか思った事を書いてみたかった。(スレ違いだ)
>>471
オカエリー。それにしても“エクセレント・ローマンティック”小説はウマイ! と思ったりする漏れ。
また新しい作品書いてくれるんでつか? R@no-nameさんの優良耽美小説、待ってます!
(にしても、日本語直訳は嫌だ…)
>>473-475
海チョコボとクラウドの文面を読んでいてふと思い出した事が。FF7のポリゴンだと、
チ ョ コ ボ の 尾 と ク ラ ウ ド の 頭 が よ く 似 て る 。
元ネタはFFTのサウンドノベルでつか? (空想科学小説は挫折しましたが、ウィユベール(・∀・)スキ!)
# 異界放浪記は、舞台が異界なので死人しか出れない罠?(w でも先生、将軍、魔術師
の三人は見てみたいですね…目の保養に。(w
480:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/25 00:15 fvgYT+y8
>>ドリルさん
乙華麗さまです!凄く楽しくて大笑いして、あったかくて
最後にじんわり泣けました。ガウ烈しく萌えです!
タイトルは一各々、ですが…。取り敢えず自分
ネタ→オチ→ギャグ→ツッコミ→ボケ→慌ててタイトル捏造。かなぁ。
他の方は勿論、ドリルさんはどうですか?
従軍カメラマンですか。マグナムとか好きです。(スレ違
ウィユベール、面白かったですね!一応クリアしますたが
まさかあそこ迄、お笑いとは思いませんでした。
例)
「…だから、ルールー!」ガバッ
「やめて!ワッカ!私急いでるの」
いつもこんな感じの、とぼけたお話が、何故FF9では謎のお城に?
481:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/25 23:46 sHCaiUd2
顔を描くとき顔のどのパーツから描く? ってのと同じぐらい興味がある話題ですね、個人的に。(w
>>480
漏れの場合、オチ→ネタ→ボケ→ツッコミという順が多いので、
タイトルはその「オチ」(最後のセリフとか)が多かったりします。
…タイトルを最後の文章に組み込んで締めくくる書き方。という方が正しいかも。
でも、自分の好きなタイトルが思い浮かぶとやる気出ます。50%うp
ウィユベール。あのED全部制覇していないんですが、とりあえず一番最初の選択肢で
「殺る」
を選んだの漏れは逝ってヨシですね。(w 最後まで行くに連れてシリアスの度が増して
いくのも好き…久々にディープダンジョンでアグタンの最強装備を取ろうと思って開いたら、
いつのまにかウィユベールしかやってなかったとか、そんな事も屡々。
上の方で姐さんに言われた「フィガロ兄弟と父親のネタ」で書いてみてるんですが、
父親の設定がイマイチ曖昧なので難しいです…。飛空艇でのセリス博打イベントから
引っ張っていけると思ったんですが…。(あああ、いつも6ネタばっかりごめんなさい)
482:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/26 23:50 YputMOMx
皆様、地震大丈夫ですたか?(((((((;゚Д゚)))))))
>>ドリルさん
タイトルとエンディングが素敵なのは、そう言う理由ですたか!見習わねば。
ヴィユベールは、ヒロインのお母さんのエピソードが面白かったです。
ED全部制覇、一応しましたが「栞機能→セーブ出来る」事に気がついたのは
チャートが完成した後ですた…。
「フィガロ兄弟と父親のネタ」マターリ期待してます。
スレリンク(ff板:231-233番)
スレリンク(ff板:242-245番)
某(´ _ `*スレで、ちょっぴり
バレットとヴィンセントが出て来るギャグかましてきました。
(まだ続くのですが…(;´Д`))
リクエストでサラマンダーとラニキボンヌしたいです。
483:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/27 00:16 UFSRdtAF
御無沙汰しております。
別鯖の話が終わってさてこっちを、と思ったら
所用が立て込んでしまいまして。
生きてはおりますがさてさて…・・・。がんがるぞー。
>>479
以前はまずタイトルありきで書いてましたが最近は逆です。
つーかマンドクセ('A`)って時は昔買ったCD出してきて
使えそうなタイトル使ってます。愛がねえよ洩れ。
(ピンク鯖の連載はまさにそれ)
リクエスト聞いていただけるみたいでウヒャッホーでつ。
>>482
私は大丈夫ですよ~。
時間なくてまだちゃんと読んでないんですが
白さんの作品増えてるので楽しみです。( ´∀`)
484:R@no-name
03/05/27 01:39 OXFJkqBr
>地震
もうちょっとで金魚さんが大海嘯を発動させるとこですた(;´Д`)
>タイトル
最近は決める前にうpしちゃうんで完全に後付ですね
今書いてるサイシヴァはちゃんねらー以前から転がしていたネタなので、
その頃つけたタイトルがあったりします
クジャガネは本家に上げる時悩んだなあ>タイトル
485:作者
03/05/28 19:38 YUTFNaMG
最近地震多いですね。
首都圏直下地震に超ビビって仕事してます。
なんせ高い建物の中には古い建築も多い訳でして・・・。
白さんの作品、短編ものが読みやすくて纏まっていてすごく好きです。
と思ったら、瓶スレ立てた方だったんですね。
さてあのスレで放置気味のヴィンセントのSSですが、もう暫く放置プレイが
続きそうです。
てゆうかやぱスレ違いですかそうですか。
486:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/28 21:11 5t0Jrz51
SSスレで、様々な職人様の意見が聞ける…貴重ですね。
>>姐さん
乙華麗様ですー!CDタイトルのSSはカコ良いです。
姐さんの御作品は、上質の映画のような、洒落た映像が思い浮かんで
うっとりでありまつです。アコガレ(´д`*)ホウー
>>R@no-name さん
Σ(゚Д゚;)うわぁ…金魚さん御無事ですか?
艶やかで優美なサイシヴァ、ホント綺麗です!
絶滅寸前の英雄さん、可愛い面白かったです。撫でたい…l \ァl \ァ
>>作者さん
おお!作者さまキタ━━(゚∀゚)━━!!!!
作者さんの、流麗で愛の有る文章が大好きであります。
Σハッ!!瓶スレ立t…名乗って無いけどバレた…!ガクガクブルブル
アレもコレも、て、てててテンプレとリンクしか作ってません。 (スレ違
URLリンク(www.connect-wired.net)
瓶スレの1さんは、お優しい感じのΣd(・∀・ )様ですね。
よそのスレを見ても、キャラ萌えスレにSS投下は
゚+.大変嬉しくて有り難い゚+.゚です。
マターリガンガってくださいませ。○| ̄|_アリガトウゴザイマス
487:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/29 23:20 2XCEor8P
地震が起きても、会社で嫌な上司と共に生き埋めになる事だけは勘弁して欲しい、と
切に願う今日この頃…。(国王(社長)が地中に埋まった社員を助けに来てくれる訳でもなく。泣)
規模が大きかったのでビクーリしますた。そして進路予想通りだと次は台風の悪寒…。
>>482
あっちのスレでは感想言いづらい(興味ないね、だから。w)のでここに書きますが、白さんの
作品は本当に上手くまとまってますよね。作中の描写(ウェポン覚醒)とか、単なる説明文で
なく「小説」的な書き方されてるところが漏れは凄く好きでつ。見習わねば。
そう言えば、某所では大変お世話になりますた。今更ですがありがとう。
>>483-484
他の方のタイトルつける方法ってあまり見る機会がないもんで、興味深く読んでますた。
だけどやっぱり悩みますよね…(って、え? CDタイトルから引っ張ってくるのって漏れも
良くやるんですが…特にサントラなんか良いネタ。w)愛と修行が足りないのでしょうか。(w
>>485
ヴィンセント…興味があるのでそのスレ探して拝読させていただきますです。
(いや、7のデータ掘り起こしプレイ時にたまたま宝条戦で彼を出して、そのセリフにいたく
感動した覚えがあるもんで)
友人曰く、文章や改行のクセで分かるらしい…ですね。(漏れにそのアビリティはありませんが)
488:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/31 18:44 GhfsLRx8
>>487
ドリルさんキタ━━(゚∀゚)━━!!!!であります。
こちらこそお世話になりますた。気が向かれたら、いつでもマターリどうぞです。
ドリルさんの作品は、構成がしっかりしていて、序破急の動きがカコ良いです。
静動活き活きしていて、お話が深いであります 。
職 人 の 皆 様 、 サ イ ン く だ さ い !
文章と改行のクセ…人各々ありますね。
って、あれ?んじゃオイラも…? カイギョウ ミジカイ オカン
489:興味無いね(´ _ `*と愉快なマターリ旅(仮)
03/05/31 18:44 GhfsLRx8
(´ _ | 誰も居ない…。。。
「興味ないね(´ _ `*」貼るなら今の内…。
(勝手にゴメンなさいです。。。汗)
■今迄の粗筋■
「クラウドってリボン、どこに装備してるの?」
「あ、分った!ツノの中だ!」
「ん?じゃあバレットは??」
「………………………。。。」
「き、き、き、興味ねぇぞ!」
バレット父ちゃん、ちょっと泣いてます。
ってネタはさておき。(;´Д`)
普通に粗筋は…興味ないねって言いながら
FF7ソルジャーさん達が、漫才しつつ旅をしてるであります。
今は皆して、ジュノンでウエポンと遊んでますです。前話は
スレリンク(ff板:242-245番)
にありますでつ。
490:【ウエポン大決戦!】(9)
03/05/31 18:46 GhfsLRx8
軽やかな風が吹き抜けた。シエラの指が、柔らかな花弁を撫でる。
ハーブティーの優しい香が、家中を満たす。されど、彼女の表情は堅い。
「……シド」
ティファの皮膚が青ざめる。毒ガスの成分は、何か?
皮膚を糜爛させ骨を晒し、息の根を止める物なのか。それとも──
華奢な肋骨が、吐き出す事も、吸う事もままならぬ息に蠢く。
スカーレットが嘲笑を含ませ、告げた。
「苦しいの?…その成分はね」
閃光と共に、硝子の向こうのシャッターが跳ね上がる。
「ホ-ッホッホ!この神羅兵達が、涙と共に刻んだ玉葱よ!」
Σ(゜ロ゜*)…それって、神羅兵のダメージの方が大きいんじゃ?
と、ティファは内心突っ込んでみたが。
「はぅうぅうぅうぅうぅうぅ~がんばるです~」
「ティファタンの泣き顔見たい…(;TДT)ハァハァ」
健気なのかハァハァなのか、良く分らない兵士達。
彼等に目前で観察されるのは、何かかなり厭なので
ティファは必死で脱出を決意するのだった。
床に仕掛けられたトラップ。神経を貫く高圧電流。
長身の偉丈夫が、痙攣し倒れ込む。
レッドXIIIが、素早くホワイトウィンドを唱える。
しかし、ヴィンセントは負傷が重いのか、蹲ったままだ。
「──…先に、行け」
不意に、シドがヴィンセントの全身を、肩に担ぎ上げた。
「冗談じゃねぇ!抱えてでも連れて行くぞ!」
シドの指先に、鋭い違和感が走る。
金属質の刃が、ヴィンセントの背に乗っているのだ。
「…違う。此処は私に任せろ、と云っているのだ」
瞳に宿る業火が、熱を放つ。微かに、笑いながら。
491:【ウエポン大決戦!】(10)
03/05/31 18:48 GhfsLRx8
「私は、傷を負うと強くなる。ルクレツィアが、そうしてくれた。
お前は、ケット・シーやクルー達と立てた作戦を、遂行してくれ」
「うし。分った。後で合流しようぜ!」
そう云いながら、ヴィンの頬に『たこやき』しるおっちゃんだった。
「ヴィンセントは、オイラに任せて!」
竜騎士は、飛翔と共に天井を討ち破り
ランスの剛撃が、兵士の群れを掻き分ける。
「さて…」
ふらつく足で狙撃手は立ち上がり、縺れた長髪を振り広げた。
同時に、10mは有ろうかと云う、巨大な翼が姿を表す。
「………うわぁっ!」
正確に、惑う事無く。空中からの銃弾が、敵の手足を打ち抜く。
「神羅兵も質が落ちたな。興味は、無い。が…」
艶やかな黒髪の下で。次から次へと沸き上がる兵士達を、一瞥する瞳。
深き海の底から、太古の巨神がジュノンへ迫る。
「ウエポン襲来!総員戦闘配置!」
「あわわわわ~!サファイアウエポン、来ちゃいました~!
若社長、どうしましょう!」
「…大丈夫だ。落ち着いて行動したまえ」
『皆が生き延びる道は?
最小限の犠牲者で、反乱者達を抑える方法は?』
今や、世界の命運を背負った若き総帥、ルーファウスが
ウエポンが来る迄の短い時間に、多くの事を考える。
「キャノン砲、発射用意!」
──待て。充分近付いていない。無駄撃ちはするな!
「発射━━━━━━ !!!!!」
社長の言葉が出る前に、ハイデッガーの声が響き渡った。
492:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/31 18:52 GhfsLRx8
【ぐげ?って南国!】に興味なく続きまつでつ…。
■次号予告■
皆のアイドル、セクスィーパルマ-総括タン!
「ああっ!パルマ-様素敵 v」
「(*´Д`)/lァ/lァ パルマ-たん…」
「パルマーこそが真の勇者!」
豊潤にして血色の良い肉体。ぷるりと、瑞々しく震える顎。
くるくると舞う餅肌。全てが完璧に美しい。
次回「それは兎も角、俺達どーなるの?」「キョウミナイネ(´ _ `*」の2本です。
画像
URLリンク(cgi.2chan.net)
曲
URLリンク(f3.aaacafe.ne.jp)
493:懸想人1
03/06/01 21:51 MiogzVE9
木立の間から差し込む木漏れ日の下で、一家は平和な団らんを過ごしていた。
「パパ! みて見て!!」
嬉しそうに走り回るシュンの姿を見ながら、夫妻は顔を見合わせて微笑む。
「シュンもすっかり大きくなったでござるな」
「元気が良すぎて困るくらいですわ」
ドマ城下町に居を構えるカイエン一家。国王陛下に使える侍であったカイエン
が、こうして家族水入らずで過ごせる時間は滅多にない。妻であるミナは、夫の
勤めを理解し、留守がちだったカイエンに代わって家を守っていた。
決して楽とは言えない生活の中でも不満一つ漏らすことなく、いつも笑顔を
向けてくれるミナと、息子シュンの存在が何よりも自分の支えになっている事を、
カイエン自身よく痛感している。
「……いつも済まない」
だからこそ、感謝の言葉より弁明の句が先に出てしまうのだろうか。
「そんな風に謝られても困ります……。私達は、あなたのお陰で暮らせるんで
すから」
柔らかな日差しに、愛おしい妻の笑顔が重なる。
「パパ! 勝負だーっ!」
久しぶりに一緒にいられる父に、思いっきり甘えようとはしゃぎ回るシュンの
姿は、木立の若葉のような活気に満ちていた。
二人の姿を見やり、カイエンは強く思う。
掛け替えのない大切な家族と共に、幸せになろうと。
この国と共に、末永く―。
494:懸想人2
03/06/01 21:55 MiogzVE9
その日、悲痛な叫び声が城のあちこちであがっていた。
「気を確かに! 一刻も早くここを出るでござる!」
救助に駆けつけたカイエンの呼び掛けに、城の兵達は皆、苦痛と無念の表情を
浮かべながら、彼の前で息を引き取っていった。
声にならない叫びと死の空気に満ちたドマ城の、それでもなんとか中層に辿り着く。
この扉の前へ至る過程で、何人もの仲間の最期を看取ってきたカイエンにとって、
最も恐れていた瞬間に立ち会わねばならない―そんな気がしていた。
扉を開け放ち、広がる光景は予想していた最悪の事態を告げる。
「……ミナ! しっかりするんだ、ミナ!」
まだ温もりのある妻の身体を何度も揺さぶり、ありったけの声でその名を呼ぶも、
彼女が返事をする事はなかった。
意識を失くしたミナの身体が、揺さぶられた拍子にすぐ横のベッドのシーツに触れる。
「シュン!!」
反動で、息子の身体がベッドから転げ落ちた―その様は、まるで無機質な機械
仕掛けのおもちゃのようで。
「あ……、あ……」
カイエンは恐る恐る、床の上に横たわる息子の身体に触れた。
まだ僅かに温もりを感じる、その身体に。
「そ、そんな…バカ…な……」
目の前に広がる惨状を受け入れられず、カイエンは喘いだ。
―幸せになると、誓ったのに……。
「ゆるさん…許さんぞ! 帝国め!!」
絶望と怒りに打ち震えながら、カイエンはサイドテーブルに転がった懐中時計
だけを手にすると、振り返ることなく部屋を後にした。
ドマ王国の―ミナとシュンの仇。
帝国を、滅ぼすために。
何人もの帝国兵の血飛沫を浴びながら、彼は無心に刀を振るっていた。
495:懸想人3
03/06/01 21:57 MiogzVE9
あの時、彼らに出会っていなければ恐らくカイエンは修羅の道を歩んでいたに
違いない。
その後訪れた魔列車で、旅立つ妻と息子を見送った。
『あなた……幸せだったわ……ありがとう』
いつもカイエンに向けられた、柔らかな日差しの様な妻の笑顔。
『パパ! ぼく、がんばって剣のけいこしてママを守るよ!』
その隣で微笑む、若葉のような活気に満ちた息子シュンの姿。
徐々に加速しながら、愛する二人を乗せた魔列車は目の前から去ってゆく。
―拙者だけを、ここに残して。
心に満ちる光を失った事。
それが、何よりも辛かったのだ……。
自らの弱さはケフカへの憎しみに。
故国への想いを、戦うための理由にかえて。
この刃に懸けて、世界を守ると誓ったのだった。
496:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/06/01 22:08 MiogzVE9
暗くてスマソ。そしてフィガロ兄弟ネタではない小ネタで更にスマソ。
それとフィガロ兄弟家族物語を考えているさなか、某所で寄り道してスマンカッタ。。。迷惑おかけします。
で。
FF6作中ではあまり目立たないが、実は無茶苦茶泣けるイベントが多かったカイエンです。
カイエン……ヤパーリ需要ない……か。(w
(いえ、単なるストレス発散という意図で書き込んでしまってますごめんなさい)
>>490-491
作戦になってないシドの古典的な戦法(狭い路地で一対一に持ち込むという)や
常に冷静なのか寝不足なのか微妙に判別しがたいヴィンセントや(失礼)、
意地悪そうなお姐さんスカーレット、脳味噌は贅肉で出来てそうなハイデッカー(失礼すぎ)、
何より「ティファタンの泣き顔見たい」がために必死にがんがる神羅兵。。。
どのキャラクターもツボを心得た描かれ方で(?)激しく面白いです。続くんですよね?
期待sage。
ちなみに漏れの場合、改行は使っているメモ帳とかちゅの書き込みスペース幅に合わせて
いるんですが、一行が結構長いのね……(w。
497:作者
03/06/02 01:07 a7sA+hS3
>>486
にゃ・・・にゃんこキタ━━ !!
ナデナデされてーんか(゚Д゚)ゴルァ━━ !!
にゃんこのおてて(;´Д`)ハァハァ
このスレコテハンだらけですな。
しかもカップルじゃないだろという突っ込みもないんか。
んじゃいっちょうオイラもうpしてみっか。
えーと、エクセレントロマンチック小説?フォラヨ!(゚Д゚)ノ
↓
498:作者
03/06/02 01:11 a7sA+hS3
また瓶ネタかよ>自分
---------- キリトリ -----------
星が、綺麗だった。
雲一つない、満天の星空だった。
辺りはウータイの深い森の中、今宵は新月。
月明かりさえ無い暗闇の中では、普段絶対に見ることの出来ないライフストリ
ームのオーロラのような星の帯でさえ、見る事が出来た。
その日の旅の終わりには、あまりにも贅沢な締めくくりであった。
ヴィンセントは一人、木の上で手足を伸ばし、夜空の星を一人眺めて心象に浸
っていた。
遠くで、暖かなオレンジ色の炎と、中間達の談笑が聞こえる。
そこは、ここから見るとやけに暖かなものに見えた。
一人の時間。
このささやかな時間が、好きだった。
ヴィンセントは、木にもたれかかりながら、ただ虚ろに空を見上げている。
枝や葉の合間を縫って臨む闇空は、崇高な輝きで満たされていた。
煙草でも吸いたい気分だったが、この濃密な森の空気の味はもう二度と逢えな
いような気がして、止めた。
(……不思議だ)
何億年も昔の光を、今見ている。
そこにふと、昔の自分を思い出してみる。
499:作者
03/06/02 01:12 a7sA+hS3
…心を閉ざすようになったのは、いつからだったか。
新羅の諜報部として、あまりにも汚い仕事が多かった。
彼の正義感と精神は、それに堪えられるほど鈍感に出来てはいなかった。
もともと優しい性格だった為、任務に堪えられる残酷さを持っていなかった。
すさんでいく自分に堪えられず、彼は自我と精神の安定のため仕事と割り切る
冷酷さを覚えて、やがて自分を閉ざしていく事に慣れていった。
穏やかだった眼光は殺気を帯びて、日に日に鋭くなって、暗い光が宿るように
なった。
冷酷な仮面は、自分を防御する殻にほかならない。
(……不思議だ)
再び、声にならない呟(ツブヤ)き。
その凍りついた心さえ、この星空の下ではどうでもよくなる。
人知れず、溜め息が漏れた。
500:作者
03/06/02 01:22 a7sA+hS3
この男、タークス時代は、さぞや女にモテただろう。
何せこの甘いマスクである。
しかし本人にその自覚があったのか、疑問であるが。
女にモテるタイプ、いや、女のほうが放っておかないタイプが、彼であると言
える。
……筈であるが。
実のところ人見知りが激しく、恋愛に関してはことさら不器用で、うまくいっ
たためしがない。
恵まれた美貌は、有効活用されていないと見える。
好きになった相手に一途すぎて、何年も平気で夢見枕に抱いて寝ている。
……なんとも報われない。
彼は普段から無口で、何を考えているのかわからない。
女に不自由しなそうで、いつも仕事に忙しそうだから、女性に興味がなさそう
に見える。だから女にとっては近寄りがたい男でもあった。
─打ち解ければ、それが単に誤解であったことがわかるのだが、それは、付
き合った女でなければわからない。
501:作者
03/06/02 01:26 a7sA+hS3
その恋愛貧乏な男の瞳が、一筋の流星をとらえた。
願い事なんか…無い。
あるとすれば、かの女にもう一度逢いたいと願うだろうが、
それは。
(………それは、辛過ぎる)
星はこんなにも近くに見えるというのに、決して手に届きはしない……
(それを望んで、今更……)
今、夜空に輝いている星の瞬きは、遥かなる常しえの時を超えて辿り着いた、
過去のもの。
(あの星の、今の姿が知りたい…)
今見える星の輝きは、過去の偽り。
だが、目に見えるそれが現実。
何億年も昔の光が、ふいに虚しく感じた。
(彼女は……、あれで幸せだったのだろうか)
502:作者
03/06/02 01:29 a7sA+hS3
赤い瞳が、ひときわ輝きを放つ、一つの星に見入った。
ヴィンセントは、ふと、空に手を伸ばしてみた。
勿論、届きはしない。
判っていたが、手を伸ばさずにはおれない。
(……宇宙は、聖域なのかもしれん)
その偽りに満ちた星空の聖域をふいに壊してみたくなって、ヴィンセントは乱
暴に拳銃に片手を伸ばし、握った。
腕を上げ、銃口を空に掲げ。
そこで、意味の無い事に気付く。
気付いたが、しかし。
(偽りの聖域に、死を……)
それで?
撃って、お前は何を?
引き金を引く指が戸惑い、緊張が走る。
まるで、初めて銃を手にして、撃った時のように。
その躊躇に負けまいと、力を込めて。
トリガーを引こうとした時、不意に足元から声がした。
503:作者
03/06/02 01:38 a7sA+hS3
「ばきゅ~ん!」
その黄色い声で、緊張の糸が切れた。
首を起こして、声のした方に視線を落としてみると、ピンク色のワンピースが
よく似合う古代種の娘が、指で作った銃先を上に向けていた。
「うふふ……。星、きれいだねー」
娘は手を後ろに組んで、ゆらゆらと揺れた。
ヴィンセントが木の上で起き上がった。
(エアリスか…)
不発の銃をしまい、再び空を見上げた。
(そうだな……今日は特に星が近い)
「何だか…降ってきそうだねー」
(……ああ。全く)
言葉として返事が全く返って来ないというのに、エアリスは気にせず話し掛け
ていた。
男は無口だが、拒絶を示している訳ではない。
彼女には判っていた。
むしろしっかりと、心では反応している事を。
そういった形で男が答えを返してくる事を、エアリスは感じ取っていた。
だから、皆が彼と馴染めないというのは一体どういう事なのか、仁愛なる古代
種は首を傾げる。
504:作者
03/06/02 01:40 a7sA+hS3
「……ん、しょ…っと!」
エアリスは、木にしがみ付いて足をかけた。
(…おいおい、登る気か?……気をつけろよ)
「…ぅわッ!?」
心配したそばから、ズルッ!と、足を滑らせている。
「危ない、危ない」
ふう、と息を吐くと、娘は力むように唇を結んで、大股で枝に足を掛ける。
(まだ、登る気か?)
お淑(シト)やかそうに見えても、実はお転婆なエアリス。
スカートの切れ目から、柔らかな太ももが露になっている。
(……パンツ見えるぞ)
ボタンとボタンの隙間から、さらにその上まで拝見できてしまう。
仕方なしに手を伸ばしてやると、彼女は白い腕を一生懸命上に伸ばしてきた。
その手を掴んで、上に引き上げてやる。
華奢な体を受け止めて。
バランスを崩し、危うく落ちそうになって。
ふいに二人の視線が交わった。
---------- キリトリ -----------
やべ。そろそろ規制が出そうなヨカーン。それじゃまた。
おやすみなさい。
505:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/06/02 19:39 AdJV+S5F
お久しぶりです。
ついにスレが500突破しましたね。めでたいなっと。
白さん
作品がイパーイで感想が書き切れないのですが
「ティファタンの泣き顔見たい…(;TДT)ハァハァ」
↑この辺りが白さんワールドの真骨頂ですね。激しくワロタ
ドリルさん
シンプルながらキャラの背景がきちんと書き込まれていて未プレイでも
ちゃんとどういう人かわかります。
今となっては短文が書けなくなった私としては羨ましいくらいの
まとめぶりです。家族愛テーマの作品て今まであまり見なかったので
今後も期待しております。
作者さん
コテが殆どでリクの応酬が飛び交うという珍しいスレでつ。
再利用したスレなのでスレタイ無視されっぱなしですよ(藁
久しぶりに続き持ってまいりました。
今までの分はこちらでトゾー↓
URLリンク(ane2ch.hp.infoseek.co.jp)
506:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/06/02 19:41 AdJV+S5F
その部屋には二人いた。
見るからに生真面目そうな男性と、はっきりした性格が顔に出た女性。
「こういうのって、職権濫用って言いません?」
キーボードをパチパチと小気味いい音で叩きながら女性が抗議の声を上げた。
「何がだ」
「だって、これ教官の仕事ですよね」
「実習だ」
「だから、それが」
「嫌ならいいぞ、シュウ」
男性は画面から目を離さずに言った。
「お前はもう俺のクラスの内容の履修は終わっているわけだし。あえてお前のためになる事といえばこれくらいだから
やらせているだけで、無理してする事はない」
シュウは、はーっとため息をついた。
この男、どこまで鈍いんだろう。
シュウはあきらめて画面上の作業に戻った。
現在彼女が向かっているのは、ガーデンの経費についての監査作業だった。
ガーデンの場合、経費の計上が独特なので事務員の作った帳簿を職員の中で経理に明るい者が数人、個別にチェックして
結果を会議にかけるシステムが取られている。
SeeD派遣において動く金額が莫大なのと、その派遣業務の性質上収賄や経費水増しで不正を働く者が出る可能性があるからだ。
シュウが手伝っているのは、座学の教官の中で一番若い、SeeD出身の教師だ。
しかし生徒の間ではガーデンで1、2を争う厳しい教官として恐れられている。
「どうした。疲れたのならもういいぞ」
その声に優しい甘さなどひと欠片も含まれていない。
シュウはふう、とため息をつくだけでキーを叩く手を止めなかった。
「私がこういう作業を途中で止めるのが嫌いだってヤマザキ先生だって御存知でしょう?」
シュウの言葉にヤマザキは答えなかった。
部屋の中はしばらくタイプ音とハードディスクの立てる音しかしなかった。
「先生」
シュウがぽつりとつぶやく。
507:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/06/02 19:41 AdJV+S5F
「なんだ」
「どうして、座学の教官になったんですか?」
「ガーデンの都合だ」
答えに爪の先ほども無駄がない。
シュウはまた、何度目かわからないため息をつく。
シュウがガーデンに入学したての頃、まだSeeDだったヤマザキは年齢にそぐわない落ち着きで、指導補佐をしていた。
格闘技クラスの生徒から尊敬と畏敬に満ちた視線を下級生から浴びていたのだ。
教官になった時、およそ予想もしなかった法曹関係を中心とした座学の担当になったと聞いてひどく驚いた。
元かせ複雑な内容の単元で、加えて講師が単位取得に厳しいとくれば必然的に生徒は敬遠する。
必須の初級内容の授業はともかく、中級以上の授業は教師資格希望者、あるいは指揮官向きと判断されて半ば
強制的にカリキュラムに入れられた生徒のみが受講している。
シュウもその一人で去年上級クラスの内容を一通り履修している。
それなのに何故こうして講師控え室にいるのかと言えば、実際の裁判記録を片手に質問に来たのだった。
しかしそれは単なる口実で、ちょっとした下心がなかった訳ではない。
ところが、結果は見ての通り、実習と称した事務員の粗探しの手伝いである。
覆面をかぶった事務員はうるさい事ばかり言うので気に入らないからミスの一つも見つけてとっちめてやりたい
気持ちがないわけではないが、今は妙齢の美女の訪問に眉一つ動かさない目の前の男の方が小憎たらしい。
「……終了しましたが」
「ああ」
お礼の一つもないのか、とシュウはヤマザキの背後からこっそりべーだ、と舌を出した。
「シュウ」
「はいっ?」
気付かれた?と、どきりとしながらもそれは声に出さない。
SeeDの習性が変な所で役に立った。
「夕食は摂ったか?」
「いいえ」
「そうか。もうすぐ食堂が閉まるから、バラムまで出るか?」
508:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/06/02 19:42 AdJV+S5F
「え?」
思わず耳を疑う。
「お前のお陰で、今日で片付いたからな。バイト代だ」
「いいんですか?」
「ああ。代りに、制服だとまずいから私服に着替えて来い」
「ラッキー!10分で用意します」
シュウはうきうきとした足取りで控え室を出た。
■ ■ ■
「やっぱり、これよくわかんねーわ」
オリーは問題集の隅にぐりぐりと螺旋のような物を落書きしながらつぶやく。
「ひっかけ問題多いからなあ、筆記試験」
ニーダはオリーの詰まっている問題に目を通した。
「この場合、選択はBかEじゃないか?それ以外だと損傷が増える」
「かなあ……」
オリーはノートに顔を突っ伏して嘆く。
「やっぱ無理だって、こんな問題で正答率8割以上って」
「現場では100%じゃないと死人がでるよ」
ニーダはモンスターの特性と弱点及び効果的な攻撃方法の暗記力テストのプリントをめくる。
「落ちるにしてもそこそこの結果じゃないと納得いかないってエマに言われたんだろ?」
オリーはため息をついて席を立つ。
「あいつに怒られると、怖いってわけじゃないけど、なんかヘコむんだよなぁ」
オリーは流しの脇のラックからカップを二つ取り出してコーヒーを淹れた。
「惚気か?」
ニーダが茶化す。
「ばっか。そんなんじゃねえよ」
オリーはカップを一つニーダに渡すと、自分は立ったままそれに口を付けた。
509:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/06/02 19:43 AdJV+S5F
「なあ、ニーダ」
「ん?」
「お前、怖くないか?」
「戦場がかい?」
「つーより……人を傷つける事だな」
ニーダはカップをテーブルに置いてオリーを見た。
「俺たち、もう身体的には大体完成してるだろ。大人の男同士……まあ、女子もいるけど、本気で殴り合ったら、
絶対に死人が出ても不思議じゃない。……むしろ、そのために殴りあうだろ」
オリーはカップを持っていない手を開いて眺めた。
「ためらわずに殴れるか?相手は自分と何の関係もない人間なんだぜ」
「オリー。そういう考えなら、試験は受けるな」
思いがけない、冷たい声にオリーは戸惑いながらニーダを見た。
「君の考えは人間としては何も間違っていない。けれど傭兵としては失格だ」
「ニーダ」
「そう思う事は自由だ。だけど、もしこのまま戦場に出るなら、君は確実に死ぬ」
「大げさだな」
オリーは笑って誤魔化そうとした。けれどニーダはそれを無視した。
「これは冗談なんかじゃないよ、オリー。僕は友人を失いたくない」
ニーダの言葉にオリーは、はっとする。
「悪い……。とっくの昔に、俺が自分で決めた事だったのにな」
510:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/06/02 19:45 AdJV+S5F
気まずい沈黙が流れた。
数分の後、ニーダが書類を手に席を立った。
「これ、教官に出してくる」
「もう、宿舎に帰ってるんじゃないのか?」
「いや、今日は監査だから遅くなっても良いって言われてるから」
その声はいつものニーダの物だったのでオリーはほっとした。
「じゃあ、俺、その間に先にシャワー使っとくわ」
「ああ」
ニーダは寮を出て本館の2階、教室のあるフロアに向かった。
夜の本館にはさすがに人は少ない。
残っているのは各種資格取得のための自習に残っている者と、自分達と同じSeeD試験の受験者だった。
目的の控え室の手前で、控え室のドアが開くのが見えた。
次いで、ご機嫌な様子のシュウが出て来た。
「シュウさん?」
ニーダの声にシュウは、え?という顔をしてこちらを見た。
「あんた、こんな時間に何してる?」
その声に狼狽が含まれている事に、幸いにもニーダは気付かなかった。
「えっと、教官に用が……?」
「こんな時間に、何考えてるんだ?」
シュウの言葉に含まれている棘に、ニーダは戸惑った。
「何だ」
声を聞きつけたのかヤマザキ先生が出てきた。
「いえ、あの……受験対策問題の解答が出来たので、提出に……」
ニーダがシュウの視線に怯えながら用紙を差し出す。
「ああ、もう出来たのか。少し待ってろ。採点してやる」
ヤマザキ先生は腕時計を見て、シュウを振り返った。
「食堂には俺が内線を回しといてやる」
「……わかりました」
シュウは落胆と怒りを必死に抑えて答えた。
「ニーダ、作業は済んだから入れ」
ニーダはシュウからほのかに漂う殺気の意味がわからず、遠慮がちに控え室に入った。
ドアが閉まった後で、シュウは廊下の植木鉢に八つ当たりしたい衝動をぐっとこらえて、食堂に向かった。
511:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/06/02 19:50 AdJV+S5F
本日は以上です。
設定が設定なので石を投げられそうです。
ヤマザキ先生って誰?と思った人は学校の廊下で
魔法を使うような悪い事をしない人ですね。
一応ゲームに出てくる人なのでオリキャラじゃないです。
(もちろん名前も正式名称です)
私は若い先生だと思ってるんですが妄想でしょうか?
512:白 ◆SIRO/4.i8M
03/06/02 19:56 LO3O0/q+
>>ドリルさん
ドリルさんの新作キター⊂(゚∀゚⊂⌒`つ≡(´⌒;;;≡ ズサー!!
カイエン、ホントに幸せそうだっただけに、なんとも無念ですね。
それでも闘うお父さん。切ないです。
。・゜゜・(>_<)・゜゜・。寄り道楽しみです!期待してまつ!!
>>作者さん
深く詩的で美しいです…!うっとり。続編期待してますです!
>カップルじゃないだろという突っ込みもないんか。
カップル…いつか死ぬ前に一度くらい、ギャグ以外の
エクセレントロマンチックな恋愛が描けたら…ウボァー(゚Д゚)
実は一度ピンク鯖移動を、検討しかかった事もありますが。(遠い目)
いや、無理だろう!色香が無いし…つうかギャグ入るし!!
とセルフで突っ込み入れて終わりました。⊂⌒~⊃。Д。)⊃
カップルは書けないオイラ…。。。。。
513:白 ◆SIRO/4.i8M
03/06/02 20:16 LO3O0/q+
>>姐さん
ぬお!リロード忘れてましたー!ゴメンなさい!m(_ _)m
隠れた根強い人気のシュウさんとニ-ダさん、良い感じにリアルですね。
シュウさんさんの晩御飯の運命や如何に?!(違
選考が強制なのがSeeDらしくて切ない…。
感想とかはお気になさらず、マターリのびのびガンガって下さいませ。
続編期待sageです。
約2ヶ月でレス500越えたんですねー。幸せなスレかもです。
514:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/06/02 22:44 W4+mORNt
FF各作品の枠を超えて、このスレに集う方々は「FFの作品と文章をこよなく愛している」
って感じがマターリ滲み出ていて (・∀・)イイ! と思っております。このスレに立ち会えた事
がとっても幸せだと思う今日この頃。……え? 感想長いって?(毎回スマソ)
>>497-504
スレタイ無視した文ばっか投下して正直スマンカッタ....。(どうせエロは書ねーよ・゚・(ノД`)・゚・)
それはさておき、作者さんの作品、もの凄く繊細に描かれる雰囲気が(・∀・)イイ!ですね。
何億年も前に星が放った光を今見ているというヴィンセントの心境、(彼が棺桶内で眠り
続けていた時間と、恒星と自分とを隔てている距離を併せて“偽り”として見せている
ところとか)こういう雰囲気に 萌 え ま す。
>>505-511
ヤマザキ先生なんていたんでつね…(勉強不足スマソ)。それにしてもヤマザキ先生に振り
回されるシュウカワ(・∀・)イイ! 真剣なニーダカコ(・∀・)イイ!
学園の日常生活から運営の裏側まで、こういうシステム的な面を描いた作品大好きです。
なんていうか、燃えますです。(何が)
……関係ありませんが月初には耳慣れた言葉が…作品に一層のリアルさを伴っている気が…(w。
恋愛メインも好きですが、家族愛、友情なんかも大好きなのでつい……。
未プレイなのにお付き合い下さって嬉しいです。ありが㌧
>>512
間違ってもそこに期待してはいけません。いや、漏れも道を誤ったと思いながら書いt(略。
……白さんの作品がピンク鯖? それは 激 し く 興 味 あ り 。(w
ギャグがあっても(・∀・)イイ! むしろあった方が妖艶さが際立つかも知れません(って、エロ書け
ない漏れが言っても説得力がないという罠)
いや、前々から告白(違)している通り、白さんの書かれる言葉はもの凄く綺麗なので、それこそ
耽美に走っても違和感ないと思います。耽美ギャグ小説という新たな分野を開拓s(煩。
515:作者
03/06/03 20:14 fICDSv/o
い、いろいろスイマセン!
前回はかなり酔っ払っていまして(リアル)>497読み返すとかなり厨房爆発です。
題名入れんの忘れてるし。
不快感を持たれた方々、そうじき、スマンかった。
取り合えず厨房板逝ってきます。
>ドリルさん
読込んだ感想、どうもです。このスレに対する愛、
受 け 取 っ た !
私もロマンエロとギャグエロ書きましたが、うpするには
勇気と捨ての覚悟が要りました。
>白さん
ギャグ大好きだー!私の突っ込みはスルーして下さい。
次回予告は、(私の中では)サザエさんのノリで読んでます。
---------- キリトリ -----------
516:作者
03/06/03 20:18 fICDSv/o
二人の距離が近すぎて、一瞬、時間は止まったのかと錯覚した。
凍る炎の紅蓮と、翡翠(ヒスイ)の双眸、赤と緑の、全く反対の色を持つ二人の光が
、同じ一直線上に交わった。
二つの生きる宝石は、まるで宿命のライバルにでも出会ったかのように緊張を
孕(ハラ)んで見つめ合った。
その二つの玉の組み合わせは神秘すぎて、まるで、魔法マテリアと召喚マテリ
アを連結させたようだ。
……その組み合わせは、ありえない訳だが。
「ご…ゴメン」
「いや……」
(ガストの、娘……か)
エアリスは、ドキリとするほど品の良い令嬢のような顔をしている。
何とか冷静さを取り戻して、ヴィンセントは目の前の娘に昔の同僚を思い
出す。
「え、エヘヘ……木登り、あまり上手くないみたい、私」
エアリスは照れ隠しに身を繕う。
「ね、またお父さんの話、しよ」
(博士……ガスト博士…、貴方の娘は、私の知る貴方によく似ている)
そう、彼女はあの忌まわしきジェノバプロジェクトの総指揮者、ガスト・ファ
レミス博士の実の娘だった。
517:聖域の墓標サザンクロス
03/06/03 20:21 fICDSv/o
そう、彼女はあの忌まわしきジェノバプロジェクトの総指揮者、ガスト・ファ
レミス博士の実の娘だった。
神羅がまだ魔晄エネルギーに手をつけ始めた頃だ。
その頃の神羅はまだ軍需産業がピークで、ソルジャーの派遣業務が経理上の大
黒柱になっていた。会社は魔晄の豊富な土地を探す為に、風水を使い龍脈地脈を
追って、魔晄源を探し当てている途中だった。
魔晄=ライフストリーム。万物のもととなる気。
その土地の調査隊の一人が、偶然にもジェノバなる禍々しいモノを発見したの
だ。
神羅は地質学者やら歴史考古学者やら、とにかく専門家達を一堂に集め、分析
を依頼した。それが古代種であるだろうと仮説を説いたのが、ガスト博士…彼は
この時、古代種研究の第一人者だった。
まさかこの時、ジェノバは空から来た厄災で、博士の実子に古代種の娘が生ま
れるとは、ガスト自身、夢にも思わなかっただろう。
古代種の誕生を夢見ていた彼は、とんでもない事をしでかしてくれた。
彼ら研究班がした事は、恐竜を現代に蘇らせた事となんら変わりはない。
そこに、最愛の彼女も関わっていた。
愛しい女のする事だから、認めてやりたい。が、実験には反対だ。
ヴィンセントは彼らに訴えていた。
試験管ベビーやクローニングに代表される生命の人工生産をしてはならない。
人間としての心の牽制が科学者達には働かないのか?
しかし、『生命への冒涜(ボウトク)だ』という言葉は、『進化の過程だ』と言い張
る彼ら科学者には、ついに届かなかった。
意見の違いは衝突し、坂を転げるように二人は別れ道を辿った。
彼女は、同じプロジェクトに参加していた、価値観の合う同僚と、一緒になっ
てしまった。
自分の勝手な正義思想を押し付けるのは束縛だと言い、彼女は縛られることを
望まなかった。
彼らは罪を犯そうとしている。
しかし、未来の夢に顔を嬉々として輝かせている人間を、どう制止したらいい
のか。
518:聖域の墓標サザンクロス
03/06/03 20:22 fICDSv/o
彼らが善しとしてしている事が、己には悪しき行為と感じている。
それは、どうすれば良いのか。
一人、頭を抱えるタークスをよそに、プロジェクトは開始された。
それでもヴィンセントは、凄然としてジェノバプロジェクトの停止を譲らなか
った。
ただ指を咥る傍観者にはなれなかった。
だが、失恋という痛手には勝てない。
加えて、彼らの実験への強い情熱に負けてしまった。
……また、昔を思い出してしまった。
「………過去の苦い記憶ほど…強靭な縄となって心を縛り付けるものは無い」
「え?Σ(゚д゚ )」
彼のポエムはいまいちよく判らない。ふいにそれが始まったた時、何と答えて
いいのか判らない。
相手は自分に何か言葉を返してほしい訳ではなさそうだが。
「えっと……そだ。ねえ、みんなの所に行こうよ」
身の置き場に困ったエアリスは、身を繕いながら、取りあえず話題を変える為
の提案をしてみた。
「ガスト博士の話をしに来たんじゃないのか?」
「……ん~~」
エアリスはクセのある前髪をいじりながら、あいまいな返事をする。
「やっぱお父さんの話、する」
娘は、会った事のない父親の話を聞きたがって、よく話し掛けて来ていた。
一度、ぼそっと昔の思い出話を呟いてから、父親の話を聞きたくてヴィンセン
トの周りをちょろちょろするようになっていたのだ。
それがまた、可愛くて仕方が無い。
父親の話を聞く時、娘はころころと表情を変える。
時には、クラウドさえ見た事ないような表情で、本当に嬉しそうに笑うのだ。
519:聖域の墓標サザンクロス
03/06/03 20:25 fICDSv/o
その笑顔を見るのが好きだった。
この無愛想な男に、よくもまあ、なついたものだ。
彼女は父親を知らないから、唯一父親の顔を知る自分に親近感を持ったのだろ
うか。
だが、それが嬉しい。
博士の、あの人の良い同僚の忘れ形見だと思うと、なにやら切なくもなるが。
彼女の好奇心の旺盛さも、研究熱心の父親譲りだろうか。
「……君を見ると昔を思い出す。エアリス…君のお父さんの事も」
「…ホント?!」
娘の顔が輝いた。
「…私、どっちに似たんだろ?」
「どっちと言われても…お母さんの方は知らない訳だし…」
「あ、そか」
てへっ、と肩をすくめる。
「だが、博士の面影がある」
ガスト・ファレミス…エアリスの実の父。
神羅屋敷の地下で目覚めた時、それが初対面だったが、もしやと思った。
が、間違えなかった。
母親の顔は判らないが、くっきりした二重、唇の形、線が細い所や、しゃべり
方などは父親そっくりだ。
「私の知る限り、父親似…だな。話し方まで似ている」
「ええ?そんなトコまで似てるんだ~!」
エアリスは嬉しそうに両手で口を軽く覆って笑った。
520:聖域の墓標サザンクロス
03/06/03 20:26 fICDSv/o
娘が微笑む。
胸の中が温まって。
ほら、やっぱり嬉しい。
「とても聡明な方だったよ。ジェノバプロジェクトも、彼無しには成り立たなか
った」
結果、博士はとんでもない事態を起こしてくれた訳だが、それをわざわざ娘に
言うことはないのだ。
「博士がいてくれたら…どんなに良かったか。私の体を元に戻す手掛かりが、
あるいは博士なら、判ったかも知れない」
「……そっか…」
エアリスは憂(ウレ)いを帯びた瞳を下げ、背中の太い幹にしどけなくもたれた。
「体…元に戻るといいね」
「……どうかな」
「大丈夫、大丈夫。きっと戻るって」
「…………」
ヴィンセントは濃い睫毛を穏やかに閉じ、少しはにかんだように俯(ウツム)いた。
それは、博士の口癖だった。
実験を止めるべきだと博士に提言した時も、『大丈夫、大丈夫』と言われて、
殺気付いた自分の気負った肩の力までも抜けてしまったのを覚えている。
「やはり、親子だな…」
「だって、パパ似だもんね」
そう言って、互いに少し笑った。
珍しく、笑った。
521:白 ◆SIRO/4.i8M
03/06/03 21:21 Eqt5z1cU
ドリルさん
「その作品を大好きな方々が書いてる文章」激しく萌えであります。
エドリルSS、想いが深く情熱的でエクセレントロマンチックだったです!
耽美ギャグ*目指しガンガりますです。
えーとまずは、思い切って……文通場面とか書いてみま(略
作者さん
え?不快感?とんでもないです!コメントおもろい!と爆笑しますた。
読み易く、瀟洒で豪奢な作者さんの文体大好きであります。
ガスト博士とヴィンセントの関わりに、目から鱗が100枚落ちました。
読み仮名もなる程!であります。続編期待sage
522:興味無いね(´ _ `*と愉快なマターリ旅(仮)
03/06/03 21:22 Eqt5z1cU
■今迄の粗筋■
思い切って、自室の改装に取り組むクラウド。
その額に冷たい汗が浮かぶ。
「──!」
「おや?どうしたんだい?クラウド」
「うち…ワンルームじゃないか!」
「へ?個室が欲しいのかい?なら納屋…」
「興味ないね!。・゚・(`Д´)・゚・。ウワァァァアアァン」
オラこんな村嫌だ。思春期の少年は、ちょっぴし傷心しるのだった。
前話は>>489-492にありますです。
523:【ぐげ?って南国!】(1)
03/06/03 21:23 Eqt5z1cU
ジュノンの軍港を、巨神が屠る。
「ケット・シーからの連絡聞いたか?エアポートで集合だってよ!」
もうちょっとで解剖される所だった青年が、忍者少女に声をかける。
「おろ~? ザックス、無事だったのかい?!
このままの姿はヤバいね。そうだ!ザックスあんた
カメラマンに変装して!アタシ、レポーターやるから」
「(゚∀゚) …………へ?」
其処に我らがアバランチのリーダー、バレットが突進して来た。
そしてふかふかと高速移動するケット・シーも。
「何でこんな所に?」
「そりゃとーぜん!マテリ…おっと!それより移動移動!」
キュピーン*と目を光らせ、サファイアウエポンタンが目前に迫ってます。
攻撃に。赤銅色のジュノン基地が軋み、歪む。
その口から、空間を歪ませ凝縮されたエネルギー弾が叩き込まれる。
灼熱の光線が、処刑室の屋根を直撃した。
焼き切られ、室内へ溶け落ちる処刑室の外壁。
その中で──ティファの白い足がもがき、床を探る。
処刑椅子に拘束された腕が擦れ、腫上がるのも構わずに。
キャノン砲が巨神の顔面を吹き飛ばす。
「…取れた!」
手錠の鍵が、ティファの爪先から跳ね上がった。
リーブ都市開発部門総括。彼はオフィスに座し
己が魂の片割れであるケット・シーの映像に、胃痛心労胸焼け中だった。
処刑室を抜け出した、ティファがキャノン砲の上を駆け抜ける。
遠く。機影がかすかに音を立て、近付いている。
「…走れ。砲の先に向かって走れ!」
突如絶叫するリーブ神羅部長の姿に、驚く女子社員さんがいますた。
524:【ぐげ?って南国!】(2)
03/06/03 21:24 Eqt5z1cU
繚乱たる夕日影。砲口に白金の飛空艇が迫り来る。
猛然と、轟音と共に。
発砲する神羅兵士群。その足下を砲弾が抉った。
バレットの砲弾が敵の動きを止める。
「ティファ!掴まれ!」
飛空艇からのロープに触れた瞬間、突風がティファの手を剥がした。
──その手は諦めず、再び縄を掴む。
「ようこそ!俺様の飛空艇、ハイウインドへ!」
喜色満面の艇長。
「何か、いたら便利な人が消えたねー。エアリスとかセフィロスとか」
「Σ( ̄Д ̄|||)クラウドは?!」
星の胎内を循環する、ライフストリーム。
竜巻の迷宮で、その流れに呑まれたのではないか?
ライフストリームが噴出する、南の島なら、もしかして…とレッドXIIIが云う。
「オイラ…寂しい。ずっと一緒に旅してたのに。また逢いたいよ…」
「会えるさ」
ザックスのオーシャンブルーの瞳が、其処だけは確信を持って応える。
ティファの唇が、言霊を綴る。
「誰が何者でも、興味は無いの。
それよりも重要なのは、大切な人だって事」
「捜しましょう、南の島。きっとどっかにありますさかい!」
飛空艇の見習いパイロットが、悲鳴を上げる。
「((((|||´Д`)))) ………い、いくですか?!ガクガクブルブル」
一同の背中に戦慄が走った!
(-_-;(´Д`(゚ー゚*(・A・);゚д゚)゚∋゚)・ω・)
「このパイロット、大丈夫なのかよ!!」
宵闇の宙を飛空艇は進む。操縦に九分九厘の不安を残して。
525:白 ◆SIRO/4.i8M
03/06/03 21:25 Eqt5z1cU
■次号予告■
宇宙からやって来た、大いなる厄災。
その祖となる者が、星に降り立つ。
「オッス!オラ悟○!」
「Σ…………興味ないっす!」
古代種達が、愕然と立ちすくんだ。。。
次回「クラウドって超○○○人?」「いや寧ろチョコボ」の2本です。
画像と曲はお休みです。。。
526:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/06/04 03:26 Q6qTvhbM
ほっしゅあげー!
sageでも保守できるってホント?
527:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/06/04 03:28 cKXvZgTn
>>526
ホント。
528:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/06/04 19:00 R1EyijAQ
こんだけ書き込みあって保守る必要あんのか?それともスクリプト?
とりあえずいつもありがとうの感謝を込めてさげておこう。
529:白 ◆SIRO/4.i8M
03/06/05 22:55 AP9nTHJw
>526
sageでも勿論大丈夫ですよ。
前の書き込みから1日も過ぎて無いなら、保守しなくても平気であります。
800で圧縮みたいですが。。。((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
>526
御説明感謝致します。○| ̄|_
>528
こちらこそ有難うございます!。゚(゚´Д`゚)゚。嬉しいです…。
530:興味無いね(´ _ `*と愉快なマターリ旅(仮)
03/06/05 22:56 AP9nTHJw
■今迄の粗筋■
神羅医院24時。
「うちのチョコボちゃんが変なんです!」
「むぅ?これは…酒粕で酔ってますな。クァックァックァッ!」
「グェェェ…。。。(*´∋`)☆;:°」
宝条博士は、何だか毎日楽しそうです。
前話は>>522-525になりますです。
531:【ぐげ?って南国!】(3)
03/06/05 22:57 AP9nTHJw
さらりとした風が、煌めく海を吹き抜ける。深く濃密な緑の島。
其処に、クラウドは居た。
「う…ぁぁ」
「!」
虚ろな聲。何も映さない瞳。車椅子の軋む音だけが、生きていると伝える。
酷い魔晄中毒だ。と、治療所の医師が告げた。
ティファは歯を食いしばり、手を握りしめる。
全身を震わせ、嗚咽を堪えているのだ。
クラウドの手が、ゆっくりとティファに触れた。
何かをクラウドが囁く。
「事象変異機関…コスモス…ゼノ…サーガ。
今なら○○で3800円………。。。」
「クラウドの中の人も大変だね!(・◇・)」
「Σ( ̄Д ̄|||)中に人なんざ、居ねぇ!」
それはさておき。
「私、クラウドを介護したい」
そう告げて、ティファは治療所に残った。
「えー( ̄ε ̄)ティファタン居ないのー?」
「エアリスタンに会いたいよー(T_T。)」 と一部のクルーが騒いだが。
だから、捜しに行くんだろうが!とバレットに突っ込まれ凹みました。
「リーダーどうすんの?」
「あみだくじは?」
シドに押し付けました。艇長、愕然としてます。 ウボァー(゚Д゚)