FFカップルのエロ小説が読みたいat FF
FFカップルのエロ小説が読みたい - 暇つぶし2ch398:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:22 iosyY5+t
後、先日私の書いた部分に対してファッション関係の
記述があるというレスいただきましたが、私も実は
とても苦手です。
見た物を書く事は出来ても想像では無理なので
通販サイトやヤクオフでイメージに近い写真を探して参考にします。
なので今回はシグネはこちら↓のストールなし。
URLリンク(www.rakuten.co.jp)
アリスのドレスはこちらを参考にしてます。
URLリンク(www.rakuten.co.jp)

399:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:28 iosyY5+t
「シグネってエマ先輩の事知ってるよね?」
買い物に行った週明けから、私は時間があると実習室に篭っていた。
お母さんが作ってくれたお菓子のうち日持ちする物はここに持って来て皆に食べてもらった。
セーラは私に尋ねながら、残りわずかになったクッキーを火薬用に常備してあるはずのシリカゲルの
特大缶から取り出してかじっている。
「知ってるけれど……どうしたの?」
「私、同じクラスなんだけどSeeD試験の事前選考から落ちちゃったみたい」
セーラはSeeD候補生の剣技・特殊武器使用者クラスに所属しているのだ。
「エマさんが?」
「うん。それとあたしも」
セーラはクッキーを食べ終わると指を拭きながら口をちょっと尖らせた。
「あたしはまあ、仕方ないかなとは思うんだよね。最近SeeD資格よりこっちの方に必死になってるから。
エマ先輩は気の毒だったよ。体力測定の基準が今回はいつもより厳しかったみたい」
「基準て、そんなに変わる物なの?」
私の質問にセーラはバンダナをむしりとって頭を掻きながら答えた。
「最低ラインは変わらないんだけど、その時SeeDが不足している分野を埋める感じではあるかな。
今回は作戦能力とか知識よりバトルでの戦闘力重視みたい」
SeeDは様々な能力を必要とするが、個性を重視するガーデンは全てを一定基準の成績でクリアしていれば
苦手分野があってもそれを補って余りある特技があればSeeDとして認める事もあるらしい。
「前回の基準だったら体力測定値はなんとかクリアできたはずだからショックも大きいみたいだった。
オリー先輩がすごく一生懸命慰めてたよ。それでシグがどうとかって、あんたの名前も出てたよ」
だから聞いてみたのだ、という風な様子のセーラにそれ以上質問しても仕方ないような気がしたので私は手を止めたついでに
お茶を淹れようとした。
するとちょうどジョージがやってきた。
「お。今日は早いな」
ジョージが私を見て言う。私は必須の授業が他の人より多い関係でここに顔を出す時間が比較的遅めなのだ。
「コーヒー飲む?」
先輩が先に声をかけてくれたので私はお願いする事にしてクッキーを出すために缶を開けた。

400:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:29 iosyY5+t
「あ、ごめん。クッキーさっき私が食べたのが最後」
セーラの言葉にジョージが即座に反応した。
「ふざけるなよ。俺、今日楽しみにして来たんだぜ?」
ジョージはお母さんがバリバリのキャリアウーマンで、すごく忙しかったためホームメイドのお菓子に
人一倍執着があるのだそうだ。もっともセーラに言わせると「食べ物になら何でもじゃないの?」らしいけれど。
それでもお母さんのクッキーは確かに美味しいし、褒められると私だってうれしい。
お母さんは高級な服やアクセサリーにはさほど興味を示さないけれど新型オーブンとか希少種の小麦粉なんかには
舌なめずりしそうな表情になるので我が家では製菓材料メーカーの最新カタログは危険物と見なされている。
「二人とも、ちょっと待っててくれる?」
私は思いついて寮の部屋に戻った。
フリーザーからワックスペーパーに包んだ生地を出し、スライスして簡易オーブンで10分ほど焼く。
教室に戻ると、まだ険悪な空気が漂っていた。
「これ、お母さんが作ったんじゃないけれど」
ジョージにお皿に載せたクッキーを差し出す。
「え?焼き立て?」
ジョージがびっくりしたようにまだ熱いクッキーを口にする。
「おいしいな、これ」
言うが早いかジョージは立て続けにクッキーを頬張る。
「ずるい。あたしも」
「お前、もう食ったんだろ」
二人が揉めながら食べたのであっという間にお皿は空になった。
「これ、シグネが作ったの?」
セーラが最後の一枚を眺めて言った。
「うん。バター多めの生地を凍らせといて食べるときに切って焼くの。簡単だよ」
このクッキーは見た目は搾り出しクッキーほど綺麗じゃないけど味は負けてない。
「お母さんはもっと凝ったの作るから、私は簡単な奴教えてもらったの」
大した道具がいらないから寮の部屋でも作れて便利だった。
セーラは首を数度振ってからクッキーを食べた。
「シグ、あんた『ウルカヌス』のオペレーターじゃなきゃ、市内のお嬢様学校の方が似合うと思うわ」
良妻賢母の養成を第一義にしているその学校はお母さんの母校だ。

401:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:29 iosyY5+t
「うーん、でも私はクッキーより爆弾の方に興味あるから」
私の言葉にジョージが吹き出した。
「違いない。でなきゃ、このクラスに入れる道理がないな」
ジョージが思い出したように私にコーヒーを淹れてくれた。
「そうそう。今作ってる銃のテストモデル、今月中には出来るだろ?そしたら今度はオリジナルの武器設計が
課題になるからシグネも準備しておいた方がいいぞ」
「一人が一つ作るって事?」
私の質問にジョージは首をふる。
「いや。一応全員が設計プランを上げてクラス内コンペにかけて上位作を数点試作する格好だ」
「じゃあ、あたしはシグと同じ班希望だな。ジョージとじゃ期限内は無理っぽそうだもん」
「うるせえな。俺だってお前と一緒なんてやだよ」
憎まれ口を叩きあいながらもこの二人は仲がいい。
「それって、完全オリジナルじゃないとダメなの?」
私は思うところあって尋ねてみた。
「盗作みたいな事しなきゃ、他人の作品のアレンジでもいいけど?」
ジョージがおや、という顔になる。
「もしかして、なんかいいのがある?」
セーラはセーラで興味津々だ。
「うん。使えるかどうかわからないけれど」
「「何?」」
二人が同時に私に聞いた。本当に、息が合ってると思う。
「今は秘密」
私は唇にそっと指をあてた。
「シグ。いるか?」
突然、教室の前のドアが開いた。
「お兄ちゃん?」
私は驚いて立ち上がった。
私がこの学校に来てまだ日が浅いけれど、お兄ちゃんが私に会いに来た事なんてなかった。

402:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:30 iosyY5+t
「ごめん、ちょっといいか?」
私はパソコンの画面をロックして隠すと廊下に出た。
「作業中なのに悪いな」
ばつの悪そうなお兄ちゃんを見て私はぴんと来た。
「もしかしてエマさんの事?」
お兄ちゃんはえ?という顔で私を見る。どうやら図星だ。
「ああ、そういえばセーラはエマと同じクラスだったな」
私は頷く。
「じゃあ、話が早い。悪いけどちょっと手伝ってくれ」
「何すればいいの?」
お兄ちゃんは首に手をあてて何か考えるようにして言った。
「エマが落ち込んでるんだ。それでつい、SeeD就任パーティーの事でお前が相談に乗って欲しそうだったから頼むって
でまかせを言っちゃったんだよ。悪いけど話合わせてくれないか」
「いいけど。相談って何の事?」
「うーん、俺も適当に言っちゃったんだけど、化粧だとかそういう事で。あいつそういうの好きだから」
私はその点についてはすごく納得できたのでうなずいた。
「わかった。何にも考えてなかったんだけどエマさんにいろいろ教えてもらえばいいんだよね?」
「そういう事」
「んーと、じゃあアリスも誘っていいかな?私よりアリスの方がそういうの好きだし」
「あの子か?そりゃいいや。人数多い方があいつ喜ぶわ。頼むな」
「ところでお兄ちゃんは通ったの?選考」
私の質問に、お兄ちゃんはめちゃくちゃ渋い顔をした。
「ああ」
お兄ちゃんにとってはどうでもいいと思っている自分が通ったのもそれなりに負担なのだと思う。
「これから来週のテストまで勉強漬だな」
「じゃあ、エマさんの事はまかせて。どれくらい役に立てるかわかんないけど」
お兄ちゃんは力なく手を振って戻って行った。
私は教室に戻ってキリのいい所まで入力を済ませると寮に戻った。

403:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/12 23:41 Niny3AJr
オリキャラかよ・・・

404:白@飛空艇掃除中 ◆SIRO/4.i8M
03/05/13 00:21 6IvvMbui
>>388
有難うございます。笑って頂けて幸せでつ。

>>ドリルさん
分りますた。お詫びに「秀樹カンゲキー!」と叫びつつ
ブラックジャック号掃除して来ます。
人来ないし、あのスレdat落ちするのかな…(´・ω・`)ショボーン
ドリルさんの書かれる登場人物は、
落ち着きがあって大人で格好いいです!王様ハァハァ

>>391
そうですね。良く云われているのが、坂口さんがどうとかこうとか(以下略)
親世代リメイク見たい方、7でも8でも10でも多そうです。
リーブとヴィンセントとルクタン活躍するFF7-0.5キボンヌ!

>>姐さん
ドレス素敵ですー!シックだl \ァl \ァ
「ねーちゃん(・∀・)イイ!乳してるね」わ、笑いが止まりません先生。
と云いますか、「資産運用は俺に任せて、実印よこせや奥さん!」みたいな
一行入れるつもりで忘れてました…。
顔文字無しのちゃんとしたSS、いつかやってみたいであります。
勉強キツそうだったり、クッキーを焼きつつ武器の話をしたり、
士官候補生で女の子らしくて、とても(・∀・)イイ!!です。

>>403
そのあたりは最初にきちんと、姐さんが説明なさってまつよー。
オリキャラは人物の説明が必要な分だけ、凄い気がしますです。
モレ カケネー。・゚・(ノД`)・゚・。

405:【大火流る】(1)
03/05/13 00:22 6IvvMbui
 疾駆する銃身。引き金を引く、紅の狙撃手。
それは、一撃で禽獣を消し去る、最強の拳銃。
鍛え込まれた銃砲が、華奢な狙撃手の手に馴染む。
ヴィンセントの、贖罪と魂を取り込んで。

「ム-バーキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!」
「長居し過ぎて、アレが金と経験値に見えてきましたわ…(;´Д`)」
「あああああ!ヴィンセント!リボンに変化させんだから
 マスタートンベリ、一撃で倒さないでよぅ。・゚・(ノД`)・゚・。」
「ああ…すまない」
最後の戦いに向け、武器を、魔晄の結晶を鍛えるメンバー達。
 そこは大空洞の、異境。
湧き水が仄かな光をたたえ、緩やかに流れる。
曲線を描く象牙色の鍾乳石。
無垢な水滴が、濾過され、星の命と溶け合う所。
おぞましき最終決戦の地にあって、その場所は、何故か優しい。

「ぷっはー!やーっぱLv上げ後のビールは旨いねぇ!」
「おう!Σ(゚Д゚|||)…っておいおい!ユフィ、お前さんにゃまだ早ぇぞ!」
「へへっ。嘘だよん。ジンジャーエールさ!」
コスモキャニオンのパブ、スカーレット。
上質なカクテルと、賑やかな声。
「──どうだ?マスターマテリアは、完成したのか?」
「ああ、出来た。全員分には程遠いが、そろそろアイツに逢いに行こう。
 大空洞で、独り待ってる、セフィロスに」
「……最後の戦いか」
「男二人でなに話してんの?」
不意に割り込んで来たユフィに、クラウドが振り向く。
「驚いたな…俺はそろそろ休むよ。又明日宜しく」

406:【大火流る】(2)
03/05/13 00:23 6IvvMbui
 扉の向うに。グレートウォールもかくやと思わせる、濃厚な天満星。
ふと、バレットが口を開いた。
「昔ココで、アバランチが産声を上げた。
 アバランチ創始者も、この星を見たんだろうか?」
「私は、きっと見たと思う。……星を守ろうとするこの地だからこそ
 組織が産まれ、有志が集まったのだろう」
熱い風が、パブの外で唸った。
「こんな夜は。無い筈の腕が痛む」
「…幻肢痛か」
「バレット、かわいそ…(´・ω・`)」
しょんぼりとしたユフィの背中を、バレットが軽く叩く。
ファントムペイン。失われた、幻の肉体の感覚。
「だがよ、悪い事ばっかじゃねぇ。この感覚が有るからこそ、
 銃が自分の手みてぇに思える。此処に手が有る、そう感じるんだ」

──私のこの體は。
何処迄が人で、何処からが人ならぬ身なのか…。

「ヴィンセント?」
ユフィに覗き込まれ、ヴィンセントが素に戻った。
「…バレットの様に思うのが、きっと良い。
 私は今も──再手術の夢を見る。麻酔は、無かった」
「酷え…!」
バレットの顔色が、激昂によって濃くなる。
「あのね。ウータイは戦場だったから、大怪我した仲間は一杯いるんだ。
 一番酷いのは…それは、いいや。又今度!
 痛かったら摩るよ、バレット。そんなんじゃ駄目かもしれないけど」
月の無い夜に。パブのざわめきが風に乗る。

407:【大火流る】(3)
03/05/13 00:25 6IvvMbui
 ユフィの頬は紅潮している。
瑞々しい肢体が、よろよろと倒れ込む。
「えへへ~!ねぇねぇヴィンセント、おんぶ!」
「飲んでいたのは、ジンジャエールでは無かったようだな…」
背負わぬ迄も肩を貸し、パブの目前にある宿に運ぶ。
最早バレットは高鼾だ。
「やー!熱いの!外ぉ!」
ひゆるりら~と云う風を背負い、ついでに大虎と化したユフィも背負って
二人はパブの外へ出た。

 荒野の岩に冷やされた風。無数の風車が旋回し
コスモキャニオンの家々から、灯が零れている。
透明な小瓶を、ユフィに渡す。澄んだ水が、軽い音を立てた。
「…飲みなさい。早く酔いが醒めるだろう」
 
 大きな黒い瞳が、背の高いヴィンセントを見上げる。
「あのね。ウータイにこんな噂があるんだ。
 世界に出現する人形モンスターは、元ウータイ人捕虜だって」
「──!…それは」
「ゴメン。ヴィンセントにも、真相はわかんないよね。でもさ、
 アタシの家族は、死んだ後、神羅本社に居たんだ。
 何千枚もの切片になって…」
ユフィの声が詰まった。
ヴィンセントが、ユフィの肩を抱く。
「ゴメン、こんな…ゴメンね。でも、でもあれ、
 アタシのお母さんなのに…!」
ユフィの小さな肩が、ヴィンセントの腕の中で嗚咽する。
「……戦いが終わったら。フェニックスを持って行こう。
 甦る事を祈って」

408:【大火流る】(4)
03/05/13 00:27 6IvvMbui
 突如、頬に軽い口付けの音がした。
「え?」
「…ありがと、ヴィンセント!
 元気出たよ!
 これでクラウドに続いてチュ-二人目!」
オロオロするヴィンセント(57)を置いて、
忍者娘は、足取りも軽やかに宿に向かう。
くるりと振り返り、破顔一笑。
「──ルクレッツイアさんと、幸せになれよ!」
「………………ハイ」

 完敗です。
何に勝ったり負けたりしたのか、さっぱり分りませんが。
勝った筈の、忍者娘ちゃんが叫びますた。
「マスター!初恋に破れたアタシにお茶気で一杯!」
「ハイハイお茶ですね。って飲み過ぎですよ、お客さん」

 蠍座の心臓、アンタレス。
軍神アレスに対抗する緋色の星。

 荒野の空の元に、漆黒の髪の狙撃手が独り、残される。
「この様なあさましき身であっても
 願わずには居られない…皆が、生きて帰る事を」
彼の流麗な紅い眼が、暗黒の星海を見据え、発砲する。
その標的として天に燃ゆるは──
蠍の心臓であり、龍の心臓でもある、心宿。   END

409:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/13 01:54 GRXzHV52
>405
面白い(・∀・)イイ!!
新鮮ですねー描写もキャラのカップリング?も。
さり気ない会話になごまされました。
ありがとです。続きでも他のでも、また期待しています。


410:road to home-こころの故郷9
03/05/13 01:57 bMCtR4pt
「あ、い、いや……その……」
 ここまで言っておきながら、カイエンは目の前にいる青年が一国の王である事
を思い出し、慌てて弁解の句を繋ごうとする。
「う、上手く言えないでござるが……その」
 必死に言葉を探しているカイエンの姿は微笑ましいとも感じながら、同時に彼
の誠実さの裏返しなのだろう、などと考えを巡らせつつエドガーは次の言葉を待
った。
「……マッシュ殿は決して……」


「ツライわけじゃないよ」
 マッシュに向けられたリルムの笑顔は、どこまでも純粋な少女のそれだった。
「頼りないけどジジイもいるし、みんなといたら楽しいし」
 日々死と隣り合わせの戦場に身を置く少女が屈託のない笑顔で言うのである、
それに反論できるはずがない。
「ただ……ちょっと興味があるじゃん? お父さんが生きているなら、ね?」
「……そうだな」
 父を知らないリルム。父を亡くしたマッシュ。そして、父との再会を果たした
ガウ―それぞれが全く別の思いを抱えながら、それでも今は共に歩む仲間であ
ると、掛け替えのない存在なのだと。
 言いたいはずなのに。
「だーいたい! そんなでっかい図体してるクセに、くよくよ落ち込んでるなん
て似合わないよ!!」
 言いながら、マッシュの背中を思い切り叩いていた。
「ははは。……そうだな!」
 自分が落ち込んだところで何も始まらない。ガウを励ます立場の筈が、逆に励
まされているなんて―何よりリルムの気遣いを感じ取って、少し照れくさい気がして。
「ありがとうな、リルム」
 簡単な礼を告げ、マッシュは立ち上がるとリルムの頭に手をのせながら。
「小っちゃいのに大した嬢ちゃんだ」
 戦いに身を置く少女への、彼なりの敬意を言葉にしたのだった。

411:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/13 02:17 bMCtR4pt
8やろうとしたら手元に無かった事に気付いて(´・ω・`)。

>>399-402
シグネ視点の日常描写も良いですね。情景描写が丁寧語口調なのが面白いです。
本編中では描かれていなかったSeeD試験受ける生徒の裏側…悲喜交々な風景が
なんだか(・∀・)イイ!味出してます。
やっぱり資料が手元にないと書けませんよね……漏れはファッションの描写、資料漁り
すらしないんで、頭が下がります。(そこに労力を費やせよ、と。w)
この話(こころの故郷)で、フィガロ兄弟の父王への思いを描こうと思ったのですが、
書いているうちに思わずカイエンの方へ傾いて、カイエンローラを書いたら
……果てしなく暗い話になっちまった……特に出だしが(汗。
他にもセリス編とかあって、あっちのスレに投下しようと思ったんですが、2ちゃんじゃ
需要なさそうな話なので>家族愛<このスレでヒソーリ・コソーリ・マターリと…。(弱気)

>>405-408
ユフィに対する見方を改めさせられる作品(゚д゚)ウマー!! マジで感激しますた。
KHFMのコロシアムで、数年越しの恨みをソラに晴らしてもらうべく(…板違いにつき略)。
スレの最初の方で出ていたヴィンユフィというヤツですね! 今もの凄い感激してます。
星空の描写、幻想的な中にも色んな角度から見る描写があって良いです。心宿なんて
まさかグレートウォールと一緒に来るとは……! 宇宙の広さと文章の深さ、見事です。

関係ない話かも知れませんが、その昔ルパン三世を見ている時にふと。
「ルパン三世に出てくる次元大介と、冴羽りょう(シティーハンターの。両者とも漢字失念)の
銃の腕はどっちが上なんだろう?」
という疑問を抱いたのですが、7やってても
「バレットとヴィンセントってどっちの方が腕良いんだろう?」
とか思ったり思わなかったり……と、言うわけでこのネタでキボンヌ!!

412:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/13 07:08 sVViiTeW
FF6ってロックとセッツァー以外は全員何らかの形で「家族」関連のイベントがあるんだよなあ。
(擬似家族、血の繋がりのない家族も含めて)
ドリルさんの次回はセリス編と信じて(迷惑?)、楽しみに待ってまつ。

ものすごくどうでも良い話だけど、セリスに関して一言だけ。
シド「セリスは、ワシにとって『娘』のような存在で…」
セリス「『おじいちゃん』って呼ばせて(ハァト)」
シド、哀れ。

413:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 20:51 73zy+ur6
>>403
その件についてはごめんなさいとしか。
一応セリフのあるキャラですが所詮ポリゴンですからね。
専用ブラウザお使いならNG登録していただければ。
ああ、140さんだったらどうしよう…。

>>404
うわ、そのまま素直に読めばよかったんだ……(-_-;)
ピンク鯖に毒されてる……。
てっきり実り良い果樹園→熟れ熟れ未亡人という暗喩かと。
なもんでクラママが切れたのは「葬式の日にヤラセロとはどういう事だ(゚Д゚)ゴルァ!!」
っていう事なんだと思ってました。
そしてユフィカワ(・∀・)イイ!

>>411
セリス編もぜひ!
無骨なカイエンが一生懸命話そうとしている所がいいですね。
マッシュがリルムに優しいのはやっぱりエドガーと双子だからなんでしょうか?

414:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:27 73zy+ur6
部屋に戻るとアリスの部屋に内線をかけてみた。
「はい。シグ?」
運良くアリスは部屋にいた。
事情を簡単に説明して部屋に来てもらうように頼むとアリスはすぐに来てくれた。
「先輩、落ちちゃったんだ」アリスも心配そうな顔になる。
「気晴らしの手伝いをして欲しいって事だと思うんだ。手伝ってくれる?」
「もちろん」
アリスが快諾してくれたので私は先輩の部屋の番号をプッシュした。
「はい」
先輩は部屋にいた。気のせいか、少し声が暗い。
「エマ先輩ですか?私、シグネです。お兄ちゃんがお願いしてくれた事で」
「ああ、パーティーの事ね」
とたんに声が気安い物になる。
「それでもしお願いできるなら、アリスも一緒に」
「もちろんよ。良かったら今から私の部屋に来てくれる?」
私はアリスも連れて行く事を告げて電話を切った。
「私、先輩の部屋とか行くの初めて」
アリスがちょっと緊張したように言う。
図書委員の子の所に行く事は結構あっても皆同級生らしい。
私もちょっと緊張して先輩の部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
部屋に通してもらうと共有スペースのテーブルに鏡が出ていた。
「座って」
先輩は優雅な手つきでお茶を淹れてくれる所だった。
「同室の子、今日は野外訓練で深夜帰りか外泊だから気楽にしててね」
先輩はにっこり笑ってお茶を私達の前に置いてくれた。
「オリーの思いつきでしょ?」
先輩の突然の言葉に私はどきんとした。
どうしよう、という顔の私とアリスを見て先輩はくすくす笑う。

415:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:28 73zy+ur6
「いいの。それでもこうやって協力してくれるんだもん。ありがたいわ」
「すみません」
私は思わず頭を下げた。
「でも、あの、私も声をかけてもらって嬉しかったんです。先輩、お化粧上手だし……」
アリスが一生懸命に先輩に言った。
「あら、そんな反応しないで。好きな事だし、ちゃんと教えるわよ?覚えておいて損はないと思うから」
先輩は大きなお化粧ケースを机の上に載せた。
「さて、今日は基礎化粧について教えるわね」
先輩が楽しそうにケースから綺麗な壜を幾つか取り出した。
私はほっとして先輩の説明を聞いた。

「シグネ?どうしたの?」
食堂で声をかけられ振り向いた。
サラがミゲルとクリスの三人でテーブルを囲んでいた。
私は声をかけられた意味がわかるのでちょっと気恥ずかしく思いながらサラ達のいるテーブルに行った。
「お?なんか違う」
ミゲルがサラの言葉の意味に気付いたらしくまじまじと私を見た。
「お化粧してる?」
サラは女性らしく目敏かった。
私はちょっと戸惑いながら頷いた。
「……なんか、いいな」
クリスがいつもの調子で言う。
「うん、かわいいよね。口紅の色とかすごくぴったり」
「そう、ですか?」
私はどうにも恥ずかしくて思わず持っていたトレーで顔を半分隠してしまった。
「照れる事ないのに」
ちょっと離れた所に視線をやるとアリスも私と似たような事になっている。
図書委員の先輩見つかったみたいだった。
「でも、珍しいね。放課後どこか行ってたの?」
サラの言葉に私は首を振る。

416:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:29 73zy+ur6
「ああ、エマちゃんか。あの子そういうの上手だよね。美人だし」
クリスがうっとりと言う。
「お前、シグの前で兄貴の彼女に色目使うような事言うなよ」
ミゲルが呆れたようにクリスに言う。
「ご飯終わったの?座れば?」
サラに勧められたので私は席に着いた。
「そのトレー、いつまでそうしてるの?」
サラはおかしそうに言うけれど私は恥ずかしくて仕方なかった。
エマさんは基礎化粧と淡い口紅だけにも関わらず照れくさくて仕方のない私達を見て厳命を下した。
「今日はこのままで夕ご飯食べていらっしゃい。21時になったらクレンジングしてあげる」
化粧品を持っていない私達は当然の事ながらメイク落としを持っていない。
「化粧くらいでそんなに照れてどうするの?要は慣れよ、慣れ」
そんな力強い言葉で食堂に送り出された私とアリスは目立たないように別々にご飯を食べて急いで帰るつもりだった。
ガーデンではお化粧については特に規則がないから極端な厚化粧でもなければ問題ない。
現にサラも基本的にはいつも薄くお化粧をしている。
私にしてみればお兄ちゃんからの依頼がなければ特に興味を持つ事のない世界だったのだから
少々気恥ずかしいと思うのは仕方ないと思ってもらいたい。
それでも知っている人達のとの会話で気分がほぐれてきた。その時だった。
「おーい、ニーダ!」
突然、私の向かいに座っていたミゲルが私の背後に向かって手を振った。
私は思わず肩がビクッとなってしまった。
「どうかしたかい、ミゲル」
私の少し後ろからニーダさんの声がする。
「お前、SeeD試験の事前選考通ったらしいな。おめでとう」
「ありがとう」
優しい感じの声でニーダさんが応える。
「おかげでこれから部屋に帰ってオリーと試験勉強だよ」
ニーダさんの口からお兄ちゃんの名前が出たので私はドキドキして来た。
「オリー、エマにきつく言われてたからな」
ミゲル先輩がくっくと笑う。

417:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:30 73zy+ur6
「うん。俺もエマに頼まれたんだ。一緒に勉強しろって」
「『厳命された』の間違いじゃないの?ねえ、シグ」
ニーダさんが自分の事を「俺」と言ったので私はちょっと驚いた。そんな時、突然サラに話を振られて私は動揺した。
「ああ、誰かと思ったら妹さんだったんだ」
ニーダさんが笑いながら私の顔を見ようとした。
信じられない事に私は、とっさにトレーで顔を隠してしまった。
皆が爆笑する。
「え?」
ニーダさんが戸惑った声を上げる。
「だめだよ、ニーダ。シグはシャイだから」
ミゲルがげらげら笑いながら言う。
「そうそう。知らない男には顔は見せない」
クリスが茶化すように言う。
そんな事はない、と言いたかったけれどトレーで顔を隠した事が余計恥ずかしくて私は真っ赤になった顔を隠したまま
うつむくだけで何も言えなかった。
「あんた達、からかうのはそれくらいにしときなさいよ。あのねニーダ、この子今日初めてお化粧したのはいいんだけど
慣れてなくて恥ずかしいのよ。そっとしておいてあげて」
サラが簡単に事情を説明してくれた。
「なんだ。そうか」
ニーダさんが安心したように言う。私は申し訳なくて泣けそうだった。
「でもエマがお化粧指南買って出たからにはどうせ今年のパーティーでもお化粧されちゃうわよ。
だからニーダ、あんた今回の試験に受かってパーティーに出れば見れるわよ」
サラがしれっとして恐ろしい事を言う。
「そんな、わざわざお見せするようなもんじゃないですよぅっ!!」
私はようやくの事で抗議の声を上げた。
ニーダさんが笑いをかみ殺したように軽口を叩く。
「いや、見せてもらうのを楽しみに試験頑張るよ」
私はその一言でなんだか頭の中が真っ白になった。
「いつまでもトレー顔にあてさせるのも悪いから、失礼するよ。じゃあ」
背後から足音が遠ざかって行った。

418:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:47 73zy+ur6
「もう、行っちゃったわよ、シグ」
サラが優しい手つきで私の顔の前のトレーを取った。
「本当、恥ずかしがり屋さんねえ」
サラが優しく笑って私を見た。その目がなんとなく意味あり気で私はこそばゆい感じがした。
その後ようやくエマさんにお化粧を落としてもらって部屋に帰った時、私はもうくたくただった。
正直行って必修の基礎戦闘訓練より疲れた。
シャワーを浴びて早めにベッドに入って日記を広げたものの、何を書けばいいかわからなかった。
『見せてもらうのを楽しみに試験頑張るよ』
ニーダさんの言葉はたぶん冗談だと思う。
それでもすごくうれしかった。
でも、筆記試験に合格すればお兄ちゃんもニーダさんも実地試験のために戦場に派遣される。
先輩達が言うには実地試験での死亡者はここ数年はいないらしい。
けれど重傷者はいないわけじゃない。
それを考えると、すごく怖かった。
私は少し迷ってからペンを動かした。

「スニフへ
 今日は失礼な事してごめんなさい。
 事前選考合格おめでとうございます。
 お兄ちゃんが筆記試験までお世話になります。
 でもできれば実地試験には行って欲しいないなぁ……。」

419:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:48 73zy+ur6
最後誤植ですね。

×欲しいないなぁ
○欲しくないなぁ

420:road to home-こころの故郷10
03/05/13 23:46 wlXGFgxq
 が。
「……うっさいなー! 人がせっかく心配してやってるのに、今日という今日は
ぜったい許さないからな!! 勝負だキンニク男!」
 どうやらその一言がお気に召さなかったようだ。
「お? 相変わらず口は元気だな」
 サマサの村で初めて対面した時の事を、リルムはまだ根に持っているらしく、
“子ども扱い”される事がかんに障ったようだった。
 この辺、女性心理に敏感なエドガーなら簡単に気付いたかも知れないが、
さらに悪いことにマッシュは、大声を張り上げて抗議するリルムをからかってしまう
ものだから、これまでの雰囲気が一気にぶち壊されてしまう。
「だてに1年間絵を描いて歩いてたワケじゃないんだからね!!」
 リルムはすかさず絵筆を取り、マッシュに向かう。こういうところが若さの証
なのだろうとマッシュは羨ましく思ったりしながら。
「よし、相手になってやろう!」
 彼女の挑戦を受けて立つのだった。


 機関室から甲板へ出たカイエンとエドガーは、眼下で繰り広げられている予想
だにしない光景に、半ば唖然と立ち尽くしていた。
「…………」
「元気良すぎたって感じかな……ははっ……」
 レテ川でも同じ様な言葉を呟いた気がする。額に手を当てながら、どう見ても
ケンカしている風にしか見えないその光景を見つめる。
 一体なぜ、こんな夜更けに弟とリルムが相対しているのだろう?
「二人とも、一体どうしたでござるかーっ?」
 カイエンが叫んでみるも、二人からの返答はなく。
「おいマッシュ! いい加減にしないか!!」
 年端もいかぬリルムはまだしも、マッシュは大人なのだからとエドガーは諭し
てみるが、それも効果がない。
「ここは、強行手段と言うことで」
「合点でござる!」
 二人は顔を見合わせて一つ頷くと、甲板から地上へ飛び降り彼らの元へ向かった。

421:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/14 00:08 mqHJgIBK
久々の休みだーーーー! っと、張り切って勢いで馬鹿な事をしてしまった漏れを憎みつつ…。
ど、どうしよう……某所に投下したSS、冷静に考えたらスレ違いなオチになると気付い(悔。

>>412
やはりシドといえど、寄る年波には勝てないのか……?(w
ロックは父親の後を継いで冒険家業に…という話を(本編かネットか分かりませんが)
見たのですが、セッツァーには“家族”って匂いが全く感じられないです。
天涯孤独でああいう生き方(俺の命そっくりチップ発言に端を発する)は憧れます。
そして某所にあんな中途半端な物投下してスマソ。やっぱりまだまだ半端な感は否めません。
だけど漏れ、あそこ好きなんだ~みんなの愛が伝わって来て。。。

>>414-418
初めて化粧を施す時の心理が良く出てます! シグネ萌えというより、その微妙で
繊細なところを描き出す文章に萌え萌えですが何か?(違w
というか、もうなんていうか見習いたいというか盗みたいですそのアビリティ(だから何)
いよいよ実地試験……ドキドキです。
……で、セリス編なんですが、恐る恐るファイルを開いて見たらカイエンローラよりも
  話  が  暗  い  んですよ。もうアフォかとバカかと。
マッシュ…やっぱり兄の固有アビリティには及びませんね>優しさ(w。以降ギャグかも…

422:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/14 00:15 CWqMJ6c6
セッツァーは他のキャラに比べても過去がわかりにくい・想像しにくいんだよね。
飛空挺絡みで無理に出したキャラだからなのか……

423:road to home-こころの故郷11
03/05/15 00:21 znxNUT2Y


 その頃。心地よい眠りの中に弛んでいたセリスは、けれど安息を妨げる小さな
声に名を呼ばれていた。
「……ス、……セリス!」
 眠い目をこすりながら声の方へ顔を向けると、同じく寝ぼけ眼のティナが起き
あがっている姿が映る。
「……ティナ?」
「リルムがいないの」
 メンバーの中で女性は三人しかいなかったため、彼女たちは同じ部屋で寝てい
たのだが、不意に目を覚ましたティナが、隣に寝ていたはずのリルムの姿がない
事に気が付いたのだった。
「一人になりたい時だってあるんじゃないかしら? 心配しなくても大丈……」
 セリスはまだ完全に覚めていない意識の中で思考を巡らせ、ようやく辿り着い
た答えを口にするも、途中で自分の考えが間違っている事に気付いて言葉を切る。
 ―電流のように身の中を走る、その感覚が異変を告げていた。
「な、に……この気配」
「魔導……強い力だわ」
 元帝国の魔導戦士・ルーンナイトという二人の研ぎ澄まされた感覚が、闇の中から
それを捉える。
「まさか……魔物!?」
 つい先程まで微睡みの中にあった事が嘘のように、セリスは機敏な動きでベッド
から飛び起き、傍らにある装備一式を掴むと大股で扉の方へ向かった。
「出るわ!」
「ええ……こんな力、ただ事じゃないわ」
 デスゲイズや八竜と一戦をまみえた時のような魔導の流れを、確かに感じる。
 三闘神の封印を解放した結果、崩壊した世界各地で甦る古の魔物の恐ろしさを
知る二人の胸中に、言いしれぬ不安がよぎる。
 ティナも手早く装備を整えると、セリスの後について扉へ向かった。
「行きましょう!」
「ええ」
 胸の中に渦巻く不安を払底するかのように、彼女たちは扉を開け駆けだした。

424:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/15 00:28 znxNUT2Y
まさかこんなにFF6にハマっているとは思わなかった…。気力が続くって凄いです、はい。

>>422
家族よりもダリル絡みで色々(゚д゚)ウマーな話がありそうなので、漏れは逆に好きなんですが、
どうでしょう?

ダリルの墓イベントを見たとき。
一番の理解者であり友人であり、何よりライバルだったダリルを失った世界で、
ギャンブラーとして生き続けたセッツァーの心情というのは一体どういう物だっただろう?
と思った。
世界最速にこだわっていた彼は、何より「ダリルと共に風を追うこと」が生き甲斐だったん
じゃないか。
ただ独りで飛ぶには広すぎる空。デスゲイズやケフカもいなくなった空に残るのは、
もの凄く虚しい様な気もする。

…なんてネタを考えたりもした。(w

425:ななしッ子
03/05/15 15:49 Q6Q2yXik
これでもやっておちつこうや
URLリンク(www.v-gene.com)

426:road to home-こころの故郷12
03/05/16 00:57 G+H/P324


 セリスやティナの不安をよそに、草原での騒ぎは収まるどころか更なる拡がり
を見せていた。
「今日こそは決着をつけるぞマッシュ!」
「のぞむところだ!!」
 リルムとマッシュの仲裁に入った筈のエドガーが、なぜかマッシュと対峙して
いる。
「お二人とも待つでござる!!」
 カイエンの制止の叫びは、もはや兄弟の耳に届いてはいなかった。
「こらキンニク男っ! こっちの決着だってまだ着いてないんだからな!!」
 火に油を注ぐようなリルムの声が宵闇に沈む草原に響き渡る。まさに三つ巴の
様相を呈してきた。
「一体なにをどうすればこんな事態に……」
 嘆くカイエンをよそに、世界で一番はた迷惑な兄弟喧嘩の火蓋は切って落とさ
れたのだった。


 一方甲板では、未だに仏頂面を下げた二人の男が佇んでいた。
「……なんだ!?」
 沈黙を破って勢い良く反応したのはロックだった。ティナやセリスの様に魔導
の流れを感じているという訳ではないのだろうが、彼は全神経を集中させてその
正体を探ろうとする。
「こんな夜中から客人か? 珍しい事もあるもんだ」
 セッツァーは口にしながら、船の下から僅かに聞こえる物音に気付いて溜息を
つく。
「ただ黙って考えていてもラチがあかん。……一汗かいてみるか?」
「そうだな!」
 二人とも特に血の気が多いという方ではないのだが、考えたところで答えの出
ない問題を抱えているよりは、身体を動かしている方がマシだと言う選択だった。

427:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/16 18:56 em2vJ4vp
御元気ですか?おさしみぶりです。
セブンスヘブンFFDQ板開店記念カキコ
…てか、何故今開店ですか?(汗

>>409
有難うございます。嬉しい…・゚・(つД`*)・゚・
続編、まだ頭の中でもややーんとして形になってません。。。
ネタが纏ったら、コソーリうpしても良いですか?

>>ドリルさん
バレットとヴィンセント…ハァハァ 親父スキーのオイラには
美味し過ぎるネタ、有難うございます!
ティナタンセリスタンキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!
カイエン素敵親父ですね…!なんで、こんな良い父親の家族が~ウワァァン(ノД`)
って云うかリルムタン!どこに?!ハラハラしつつ楽しみです。

>>412
そして、シドじーさんに、まずい魚のお刺身を
セリスさんが毎日(以下略)ですか?(TДT)

>>姐さん
好きな人の前で、生まれて初めてのメイク姿…。ドキドキしますね。
ニーダ優しくて゚+.(・∀・)゚+.゚イイ!です!
でもやっぱ、試験で怪我人出てるのですね。( ´Д⊂ヽ
登場人物全員、応援したくなりますです。

428:ちょっとやってみました。
03/05/16 18:57 em2vJ4vp
>>376ですが、ハァハァ目的も、間違い無く有ったと思います。
大人向け、憧れがありますです。

ティファパパ「貴女の熟れた果実を、この舌で毎日味わってみたいのです」
クラウドママ「ほうかーおめ、収穫手伝ってくれるんだっぺ?
       んじゃぁ、明日っから果樹園来てなぁ」(ニブル弁)
ティファパパ「(;´Д`)…ゲフン。解らない人ですな」ガバッ
クラウドママ「おめー何すんだべや!亭主の命日に接吻か!?
       盗人猛々しいにも程が有るベ!
        裏 超 究 武 神 覇 斬 ! 」

……………かなり色々駄目でした。ガクリ

429:天国のカクテル(1)
03/05/16 18:59 em2vJ4vp
 透き通った、口当たりの良いカクテル。
甘やかで濃厚なジンに、グリーンチェリーが沈む。その名は…

 蒸気と機械、魔法と魔晄の都市、ミッドガル。
酒場の賑わいの内に、硝煙の匂いが混ざる。
「ビッグス!怪我してるじゃない!どうしたの」
「いや、何でもない」
「迂闊ね…今手当てするわ」
ビッグスの逞しい腕に、手際良く包帯が巻かれる。
間近で見るジェシーの指は細く、優しい。
白く抜けるような素肌と、淡い榛色の髪が、甘い香を漂わせる。
「あ、ありがとう。もういいぜ、ジェシー」
「え?どうして?」
己の心音が、ビッグスの耳に反響する。

ふわりと、明るい声がした。
「ただいまー」
「あ、ティファ!調べ付いたわよ」
「ありがとう!どうだった?」
「任せなさい!クラウド・ストライフの経歴でしょ?」

 Jrハイスクール卒業後、神羅軍入隊
 ××年×月 治安維持部隊配属 
 ××年×月 ソルジャー試験に(検閲削除)
 ××年×月 神羅治安維持部隊元帥が(検閲削除)
 ××年×月 魔晄実験t(検閲削除)
 ××年×月 神羅施設より逃(検閲削除)

430:天国のカクテル(2)
03/05/16 19:00 em2vJ4vp
 こんなぁゃιぃ経歴とは思いませんでした。(ウエッジ談)
「………………………………………………?」
「(゚д゚)ポカーン 何だ、それ?」
「って、クラウド?!」
「神羅で何かあったかよ?クラウド!」
バレットに襟元を掴まれ、めし処のラーメンを抱えたクラウドは
ふるふると首を振った。
そこで一同の意見が一致する。
「見なかった事にしよう!」

 怯える(((((((;゚Д゚)))))))クラウドを横目に
ジェシーがディスプレイに向かい直す。
「あ、それとバレット!爆弾、出来たわよ」
「お、サンキュ!」
「本当はね。発電所爆発させるより、ミッドガルの電話不通にして
 停電させたいのよねー」
「……恐いぞお前(;´Д`)」
「でも作戦的にはその方が良いと思う。駄目?バレット」
「ううむ…」
明るい鳶色の瞳が、ディスプレイの光に照らされる。
「出来れば、もう…。人は死なせたくないの」

 カウンターで、ビッグスはネックレスを見せる。
シンプルで上質の、無垢の貴金属で出来たペンダント。
「稼ぐのに戦闘しまくった。ジェシー…受け取るかな?」
「凄いっすね!」
「カクテルグラスに乗せて出そうよ。ビッグス。
 きっとジェシー、喜ぶわ」

431:天国のカクテル(3)
03/05/16 19:04 em2vJ4vp
 ぽつりと、ビッグスが呟く。
「俺さ。以前、皮膚脱色したんだよ。
 薬で皮膚を爛れさせて、其処に劇薬を擦り込むんだ。
 成功したけど、酷い皮膚病に罹っちまって」
「バレットさんに殴られたっすよね」
「そしたらジェシーが、看病してくれた。礼がしたいんだ」
ビッグスがジンを呷り、首を振る。
「──ジェシーみたいに、白い肌になりたかった。
 元に戻せないのに、馬鹿みたいだぜ」
「ううん。元のままが、一番素敵だったけど…。
 あんたが元気になれば良いのよ、ビッグス」

 ジェシーが其処に立っていた。
柔らかくビッグスの背中に触れ、席に就く。
「あ、あ、あ、あの~ジェシー!これ!」
琥珀色の光を放つ、無垢の首飾りが、無骨な手で突き出された。
吹き出しながら、ジェシーが寄り掛かる。
「無理しないの。…でも、ありがとう」

 二人の為にそっと席を外し、ジュークボックス型の
エレベーターに乗り込んだ、クラウド。
「俺、郷里で喧嘩ばっかりしてたんだけど。原因の1つが
 しつこく『トウモロコシ頭』ってからかわれた所為なんだよ」
「ぷっ」
ウエッジが吹き出した。

 皆の様子を見て、バレットがティファに頼む。
「ドライジンとマラスキーノのカクテル、全員に頼むぜ!」
「ええ、分ったわ。セブンスヘブンね!」   END

432:road to home-こころの故郷13
03/05/16 23:23 7aHtDSId


 近所迷惑極まりない兄弟喧嘩の会場と化した草原には、戦闘時特有の高揚感が満ちていた。
 彼らが本気である事は、肌に触れる空気から嫌と言うほど伝わってくる。
「マッシュよ、一体何が不満だというのだ!?」
 どこから取り出したのか、オートボウガンを手にエドガーが叫ぶ。
「不満なんか何もないさ!」
 問われたマッシュは負けじと大声で叫び返す。
「ならばどうして……」
 言いかけて、エドガーは一瞬ためらった表情を浮かべて言葉を切った。
「…………」
 ―どうして、マッシュはなにも言わないんだ?
 そんな兄の姿に、些か苛立った様子で今度はマッシュが問う。
「兄貴こそ何が言いたいんだよ!? また余計な心配してるんじゃないのか!?
大体俺だってもう子どもじゃないんだから……」
 ―兄貴に負担をかけさせたくないんだって。
 二人とも似ているのかいないのか。互いを思うあまり口に出さない本音が行き違っていた。
「……歯痒いでござる」
 そんな風に嘆くカイエンをよそに、二人はまるで幼い頃そうしたように思いっ
きり鉾をまみえるのだった。
 もっとも、幼い兄弟の戯れ合いとは違い、周囲に与える桁違いな迫力と圧倒的
な迷惑度はかなりのものだと言うことを、是非とも本人達に自覚して頂きたい。
もはや傍観者となってしまったカイエンは、そう願うのみである。
 しかしそんな希望をうち砕く様に、目の前で繰り広げられる口論は一層熱を帯びていた。
「『余計な心配』だと!? 城を出たきり10年以上も連絡をよこさなかったお前が
何を言うかっ!」
 言葉と共に、オートボウガンから放たれた矢がマッシュを襲う。
「なっ……!?」
 まさか本当に攻撃してくるとは思っていなかったマッシュは、降り注ぐ矢の洗礼を
浴びながら反撃を開始する。
「城を出る前に言っただろう!? 『師の元で拳の修行を積む』って!! 俗世間
とは隔絶された地で己と技に向かい合う、それが修行ってモンだ!」

433:road to home-こころの故郷14
03/05/16 23:26 7aHtDSId
 そしてこれが成果だとばかりにマッシュは拳を繰り出した。
「爆烈拳!!」
「……甘い!」
 身をかがめて拳術をかわしたエドガーは、飛び退いて距離を広げる―モンク
僧であるマッシュと一対一の戦闘になった今、近接戦では分が悪い。
 その思考を読みとったようにマッシュは豪快な笑みを浮かべ、素早く次の攻撃
体勢へと移る。
「そうとも限らないぜ、……鳳凰の舞!」
 軽やかだが力強いステップを刻むと、周囲に灼熱の波が押し寄せる―火属性
の拳術・鳳凰の舞―迫りくる熱波の前に、距離など意味を成さない。
「さすがはマッシュ、そうでなければな!!」
 防御することは叶わないと悟ったエドガーは、左足で勢い良く地を蹴ると、ド
リルを抱えたままマッシュ目がけて炎の中を前進する。
「!!」
 自らのダメージは最初から覚悟の上で、相手の攻撃の隙をついての反撃という
のはリスクを伴う分、それなりの効果があった。
 さすがに双子と言うだけあって、この勝負ほぼ互角である。
 こうしてお互いに手加減なしの攻撃を仕掛ける光景は、もはや正気の沙汰では
ない。
「二人とも、いい加減にするでござる!!」
 遂に一歩踏み出したカイエンは、目の前の二人を止めるべく何やら呪文の詠唱
を始めた。
 が、しかし。
「……まぁ、もう少し待つゾイ」
 やんわりとした声で制したのは、意外にも最年長者のストラゴスである。
「ストラゴス殿!?」
「言葉で語るより、技で語る方が聞き分けが良い事もあるじゃろうて……」
 モンスターの技をその身に受け、彼らと対話し続けてきた青魔導士ストラゴス
の一言は、どんな言葉よりも重みがあった。
「こんなに熱のこもった戦いは、清々しささえ感じるゾイ……のう?」
「……そ、それはそうでござるが……」
 彼ら二人の身の心配をせずにはいられなかった。

434:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/16 23:30 7aHtDSId
FF6のコミカルな戦闘曲風にしたかったのに……描写って難しいなぁと痛感しますた。
長くなってスマソ。

>>429-431
……その後訪れる7番街プレート崩落の事を思うと涙で画面が・゚・(ノД`)・゚・
7のアパランチメンバー。作中ではちょろっとしか描写されなかった人間模様を
色んな角度から見ている感じの作品で(・∀・)イイ!
魔晄炉爆破テロ→プレート崩落→飛空艇。と続く一連のイベントがもの凄い好きな
漏れのツボ、泣けてきます…。
それにしても、検閲は一体誰が…?(w

あのネタ、いつか持ってきてくれると期待してしまって良いのでしょうか?

435:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/17 21:37 aY49E+k5
>>432-433
兄弟喧嘩カコ(・∀・)イイ!!
血が滾る感じで素敵であります。 ギャラリーも楽し気。

ドリルさんは多分御存知の、或る事情により(w
あんましこのスレ、来れなくなっちゃいそうです。。。(´・ω・`) ショボーン
此処来た時は、よろしくです。良かったら又かまって下さい。

>あのネタ、いつか持ってきてくれると期待してしまって良いのでしょうか?
ドリルさんの名文で見たい気も激しくします。ハァハァ/lア/lア/ヽァ/ヽァ
バレットとヴィンセントが、真面目に銃打ちまくるネタなら
「興味無いね(´ _ `* 」の方にはあるのですが…でもアレギャグだし…。
できればこちらで書きた(ry
でも恋愛が無(ry
てかスレ違(ry
…でも最近ちょっと、SS書く時間が減る悪寒。
興味無いねネタ(※(´ _ `; )こちらで書いちゃ駄目でしょうか…。

・゚・(つД`)・゚・

436:日常(1)
03/05/17 21:41 aY49E+k5
 轟々と沈鬱な雲が唸る。
彼方に浮かぶは、時の狭間、とてつも無い未来に誕生した空中城。
「俺式ファイナルヘブン!」
「チョコボックル━━━━!!!!」
「ジ・エーンド!」
ボス戦終了!
世界は色々あって平和になりますた。

 噴水の水が煌めく、穏やかな昼下がり。
アーヴァインの大きな手が、セルフィの耳を優しくなぞる。
柔らかなセルフィの足が、パタパタと暴れる。
「ね、アービン…やっ。くすぐったいよぉ」
「セフィがキスしてくれたら止めるよー」
「もぉ…」
おずおずとセルフィが額に口付け、応えるアーヴァインが
するりと彼女の唇を嘗め…た所、
セルフィに泣きながら蹴られますた。
「Σ(゚Д゚;)」
シコール…じゃなかった、スコール・レオンハート君は
アーヴァインに先を越されました。

437:日常(2)
03/05/17 21:42 aY49E+k5
 漣がひたひたと港を洗う。
風神はサイファーを見つめ、涙を堪える。
サイファーが呟く。
「心配かけたな…」
風神の両腕がサイファーの端正な顔を包んだ。
「…馬鹿」
「……!」
物陰からひっそり見てて聞いてた
生徒会長さんは、風紀委員さんにも先を越されました。

 湯気をたてる、薫り高く柔らかな包み。
「ゼルさん、これ…」
「お!手作りパン!サンキュ!」
「食堂のパン、とはいかないんですが」
ポコは彼女とチューしてました。

 ずしーん。と鬱な空気漂いまくりです。
「どうしたんだぁ?俺の優秀な息子は」
「煩いぞ。政務が忙しいんだったら帰ってくれ」
エプロン姿の大統領が、ねぇママのお八つ出来たわよお、などと云いつつ
ホットケーキを持ってきました。取り敢えず、食べます。

「…キスはしたけど…」
「ん?彼女の事か?悩める青少年」
「どうすれば、Hとかじゃなく…仲良くなれる?」
「黙って傍に居たら良いんじゃねぇの?」
「…あんたに聞いたのが間違いだった」

438:日常(3)
03/05/17 21:42 aY49E+k5
 白熱灯の柔らかな灯。
ゆるやかに波打つ髪が、金の夕日に照らされる。
「俺な、キロス達と約束してんだ」
「何を?」
「もし俺が威張り散らして、人の意見も聞けなくなったら
 又旅に出よう、って」
「……」

「やれ愛だの何だの、そう云うのはわかんね。
 ただ、大切に思うならそれが好きって事だ」
「レインの事は?」
「逢いたかった。帰りたかった。
 だから、子供がいるって聞いて、凄ぇ嬉しかった…
 レインに会いたいよ」

 遠く潮騒が聞こえる。
「…ありがとう」スコールの声が、波の音と溶け合った。

439:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/18 01:35 jnU8XZqm
ある瞬間、入力する手の動きがぴたりと止む。
…描写文や次に繋げる言葉で悩むと、話自体の骨組みができあがっていても先へ進めませんね…。

>>435
特に規制もないし、このスレで投下しても(・∀・)イイ!……むしろ漏れは大歓迎!!
(って、自分が書いてるのも恋愛絡んでない罠。w)
「多分ご存知の、或る事情」って……本気で考えちゃったじゃんかYO!!
お忙しくなるようですが、ストレスとネタが溜まったらまたいつでも遊びに来て
発散して下さい。(注:発散の場になってるのは漏れですw)

>日常
ユフィの話といい、アパランチの話といい、今回の8親子ネタといい、
もの凄く穏やかな…というより切ない雰囲気が(・∀・)イイ! 明るさと切なさが
表裏一体になった話の見せ方が凄く好きです。

440:road to home-こころの故郷15
03/05/19 01:00 y5dIdUa2
「ところでお主、ガウやウーマロを見かけておらんか?」
 不意に尋かれて、カイエンは首を横に振る。
「そうか……そろそろ帰って来ても良い頃だと思うんじゃがのぅ」
 昼間の一件があったせいか、ウーマロとガウが連れ立って飛空艇を離れていた
事に、誰も疑問を抱かなかった。
 しかし、こんな夜更けになっても戻らない二人を、ストラゴスは気にして外へ
様子を見に来たところ、この稀に見る兄弟喧嘩と遭遇したという訳だ。
「育ち盛りの彼らのこと、恐らくまたどこかで暴れているのでござろう……」
 何より気分転換なのだろうとカイエンは付け足す。もちろんそれはストラゴス
も思っていたのだが、それにしては帰りが遅すぎる。
 言われてカイエンは心当たりを思い返すが、それでも辿り着く可能性は獣ヶ原
しかなかった。
「どちらにせよ、腹が空けば帰ってくるでござるよ」
 なぜか、そう確信できるのだ。


 年長者二人が話し込んでいるすぐ先で、闇に沈む草原の空気が一瞬にして流れ
を止めて凍りつく。
 渾身の力を込めて繰り出した真空波が、エアアンカーの放つ姿無き錨を打ち砕
き、直後その強烈な余波が一気に周囲へと広がった。
 耳をつんざくような不快感に思わず表情が歪む。
 互いの放った攻撃は、完全に拮抗していたのだ。
「……さすがでござる」
 共に戦う仲間とはいえ、彼らの強さに思わずカイエンは息を呑む。
「まったく、若いのう」
 呆れているのか見惚れているのか、判断するには微妙な呟きを漏らすストラゴ
ス。
 ―世界が崩壊し、一度は散り散りになった仲間達が再会した。とはいえ強大
な力を秘めた魔法の源流でもある三闘神とその力を利用しているケフカに勝てる
保証などどこにもなかった―それでも、もしかしたら。
 彼らを見て、そんな希望を見出したのはストラゴスだけではないはずだ。

441:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/19 20:59 R9VYXXID
>>ドリルさん
>「どちらにせよ、腹が空けば帰ってくるでござるよ」
モニターに吹きました。
皆がんがれ!と応援したくなりますです。でも、何処行ってるんだろう、と
気になるメンバーが何人も!ハラハラします。戦闘描写カコ良いです!

某事情、解決しました!お騒がせしました。(汗
哥さん…もとい、ドリルさんありがとうございます。m(>д<。)m

>ある瞬間、入力する手の動きがぴたりと止む。
シリアス書けないけど、ほんのちょっとだけ解りますです。
てか、私も入力して放置したネタが幾つか(w
落描き帳に至っては「ドキッ☆ゾンビだらけの死屍累々」です。
今迄普通に出来たものが、もっと良くしたいな、と
こだわった途端難しくなったり。
肩から力を抜いた途端、ふっと良い着想が出たり。不思議っす。

お言葉に甘えて、マターリ発散させて頂きます。ありがとうです。

442:にわとり。(1)
03/05/19 21:00 R9VYXXID
 白銀の騎士が、生贄の血を求め、佇む。
それは、呪われた場所。冷淡な瞳が、獲物に近付いた。
「我が名は、メスドラーマ=エルムドア。
 さあ……かかって来い!」

 ツンツン頭の風水士が突っ込んだ。
「セフィロスじゃん」とかゆってたら。
1. 風水士は、トードで蛙にされますた。
2. チキン迄使って来やがりました。
3. タコ殴り及び回復の繰り返しで
4. 経験値を稼がれてしまいますた。
屈辱です。あんまりです。しかも主人公のラムタン、遠巻きに見物です。

 銀髪鬼の連れた、見目麗しき女性が云いました。
「エルムドア様、そろそろ止めを」
ふっかふかの、ちっこいHP1鶏。その羽毛に頬擦りしつつ
エルムドア侯が厳かに告げる。
「吸血して連れ帰るv」
鶏状態の風水士(クラウド)は、嫌な感じの汗を吹き出しつつ
「た、倒しちゃって良いって!」と必死です。

 銀髪鬼により、血の純潔を奪われた風水士。
檻の中、宵の優美な吸血に飼育され続け
やがて、自ら、白き翼を侯の元に休めるのだった。
──…にわとり姿で。

 木箱に網貼ってトタン葺いて、「にわとりさんのおうち」と云う
プレートが掛った鳥小屋。雌鳥(本物)が熱い眼差しで見つめたりしてます。
もう、クラウド泣きそうです。

443:にわとり。(2)
03/05/19 21:01 R9VYXXID
 多分政治では賢いんだろうけど、イマイチ鳥に詳しく無い侯は
風水士鶏の、背中やお腹を無邪気に撫でまくります。
人なら笑い転げる位で済みますが。
鳥にとってそれは「やらないか」級の、イクナイ行いです。
雌なら(;´Д`)ハァハァした挙げ句、卵を産んでしまいます。
「撫でるなら…撫でるなら耳の後ろをこちょこちょしてくれ!」
しかしコレで気持良い大人鳥は、中耳炎の疑いが。

 それはさておき、クラウドの魂の叫びが届いたのか
我らがヒーローラムザタンがエルムドア侯倒して、飛んで来ました。
「クラウド!──勇気をあげよう!」
ズモモモモモモモモモモモモモモモモモモッと、白煙が沸き起こり、無事に
蛙に戻りますた。なんか、お玉杓子な尻尾付いてますけど。
ムスタディオが叫びました。
「後は、乙女のキッスだ!」
「ヨロシク」
「労働八号が志願して来たんだって」
労働八号が頬を赤らめますた。
「…異邦から来て、それは…私がやります」とアルマ。
クラウドは元の姿、元の世界に戻りました。

「ね、クラウド。キスしたことある?」
「厳密には、無い」
そうプリシラに告げるクラウドの背中は、どこか寂し気です。。。

444:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/20 01:04 pPVpwOM8
余りに下がり過ぎてるのでage

445:名無しさん@LV2001
03/05/20 16:59 m+IIMjxZ
うにうに><

446:パイナップル Ver 1.1 ◆yGAhoNiShI
03/05/20 18:40 WH+78ItS
  ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧     ∧_∧
 ( ・∀・)   ( `ー´)  ( ´∀`)  ( ゚ ∀゚ )    ( ^∀^)
 (    つ┳∪━∪━∪━∪━∪━∪━┳⊂     つ
 | | |  ┃ この糞スレは終了しました   .┃ | | |
 (__)_) ┻━━━━━━━┻ (__)_)

447:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/20 22:47 hwwxirri
マターリマターリ

448:名無しさん@LV2001
03/05/20 23:10 21khjrow

お前つまんね
YAHOOに帰んな

449:road to home-こころの故郷16
03/05/21 00:30 4HpQlPXt


「……おい、そこの戦闘マニアと機械オタク! いい加減にしやがれ!!」
 ようやく静寂を取り戻した闇夜の大地に、セッツァーの怒号が響き渡る。
「誰がオタクだ!!」
「誰がマニアだ!?」
 まるで申し合わせたように兄弟が声を揃えて反論するものだから、隣のロック
は笑いを堪えきれないといった様子で口に手を当てた。
「夜中から何やってんだよ!? お前らがケガするのは構わんが、大事なファル
コンに傷つける様なマネはやめろ」
 セッツァーにしてみればあくまでも、ケフカ打倒の旅を続ける事が難しくなるだろ、
という意味で言ったはずなのだが。
「なんだセッツァー」
「ファルコン狂か?」
 またも図ったような兄弟の連係プレーに、ロックは思わず吹き出す。
 そんな三人を目の前に、セッツァーの堪忍袋の緒は音を立ててきれたのだった。
「……てめぇら、ぶっ殺す!!」
 声と共に手にしたダーツを素早く投げ放つ。傍らにいたロックは未だに笑いの
波が収まりきらぬまま攻撃を受けたせいか、思わず足元がもつれ倒れそうになる。
「何だよセッツァー! んな事ぐらいでキレるなよ、……大人げないな」
「“んな事ぐらい”とは何だ!! 大体お前はファルコンの整備だってしてない
だろう、あれがどれだけ大変な作業か……」
 言い募るセッツァーを前にして、ロックは遂に声を立てて笑い、納得した様に断言
するのだった。
「ああ、やっぱりファルコンフェチだったんだな!」
 ―ああ、言ってしまった。
 ダリルの墓でファルコンを復活させた日の事を知らないとはいえ、ロックは禁句を
口にしてしまった。とエドガーは内心で溜息をつく。
「……お前ら、今日という今日は許しちゃおかねぇ!!」
 そう言ってセッツァーは秘技・銭投げを見舞うのだった。

450:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/21 00:51 4HpQlPXt
マターリいきます。というか、この仮名称にしたのは伊達じゃありません。(w

もう“どっぷりFF6ネタ”ですみません。(未プレイの方は読んでも面白くないかも
知れない。いや、プレイした人でも面白いと言える代物じゃないけどナー…w)
とりあえずここまでの粗筋は、
父性復権→兄弟喧嘩→年長者談義→セッツァーご乱心。という話の流れです。(違)

>>441
マターリ発散。待ってました!
文章にしても絵にしても、「もっと良い物を」と思うと空回りしたり、逆に仕事中に妄想する
と良い発想浮かんだり、創作というか脳の構造は奥が深くて不思議です。(単なる怠慢か?w)
 # シリアスでもギャグでも、仕事面でさえわりと当てはまってますね、こういうの。
……はい、漏れにギャグは無理ぽ(´・ω・`)。何を真面目に不真面目な事書いてるんだ
ろうと小一時間詰りたい。むしろ詰らせてくれ。(w
とりあえず「腹が空けば」というカイエンのセリフ、この物語のEDのちょっとした伏線だったり
するんです。(w さすが話術士……もとい、ネタ士白さん、めざといですね。

>>442-443
飛空艇墓場での決戦…いや、ディープダンジョンの事を考えたラムザの遠謀が素敵です。(違
それにしても、蛙から復活させるためとはいえ、アルマの申し出にラムザは異を唱えなかった
のでしょか?(もっと違)
…まさか意図的なs(ry…?

451:T.sakura
03/05/21 15:58 jMDWt0Fg
                         .  ) (  、
                       ; (    )  '
               o___, . (、. ' ⌒   `  )
               /      ~ヽ (. : ) ,  ( '  
              /    / ̄ ̄; ) ( . ⌒ )
              /    / FFDQ`‘| ' ` ”, ) 
             /    |   板  /    /  
             /     \__/    /   
    ____   /              /   
  /        \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    
  |           | /  
  |  ()  ()   |/     
  |    ∀    つ     
  |           |     
  |           |    
  └.─.─.─.─.┘

452:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/21 15:58 ISHE1YSW
     __二   /   /  ;:::::<   ::;;;    ;::::: ヾ、,
    -ー-シ/ ::;/  ,、      >;::::;、    ゙i:      ::ミ、
      彡" :ノ゙ ::i" i! ,i゙  ,A;;::::::i,:i  :, ゙i, i,  :  ::,,、ゝ
     /゙  /゙ ,i !" :!゙ !゙ //゙ "゙´゙:i ! ,、i,  ゙ ゙i,  :  ":ミ
   -彡,  ノ/ !i i゙  ",i" /|i゙    ::|,! :i:::| i     ::; ;:: ::|,
  -~彡ノ/ :|:: !i゙ ゙ 彡i"!:/! ~     :リ| ,! :i ハ :i    ::; ;;: ヾ,
   / 彡 :リ i!|i,,  ::!ドミ!i、,_      !ノ,、::!H゙ i! i ::; :: ::; :; i; ミ、
  ‐彡ツ:;;! ! ::i ::i, ::!,シ┼-,ミヾ:::  :::;!シツ千‐ミ] i゙i :: ;: : ::; :; !,iヾゝ
   フ~ ;λ  :i! ::i! :::|~ー~゙‐゙ :::  ::::::: ゙ ー゙~゙ | /:: ;:  :i :i, ヾ,
    彡彡_i!,  !:; !i i゙     ::::::  ::::::::    :| /゙i::::i゙ ; :i ::ヾゞ、
     "~ キ : i !,:|, |     :::::::  ::::::     ノ/,i゙/リ i゙,i,;:、ゞ
        ゙!゙i |゙i      ::;"゛ ::;;;ii:::    " !゙/:! イ;゙ ~ ゙
        ,-i!i:|i゙i,      ~゙'t‐ ‐"    :::::::::/:::| /゙!
       /:::::::::!゙i 〉    ______   ::::::::/゙::: /゙_,、-'"~~
     ,/:::::::::::::::::::ノi\   ~ミ===彡  :::::/゙!、!i゙i::::: ::::::::;;
   /:::::::::::::::::::; ;;;;/゙i::\   ~"''"゙  :::::,/::::: ゙i、,-、_:::;'''
  /゙ :::::;;;::::::::::;/,/ (!/゙  ::゙'-、     :::,、!'゙:::::::::  ゙ !〉く~ーミヽ
 ,/ ::::   ~'' ,/゙"゙ ζi   :::::::::"''ー-‐'"::::::::::::::    :(i!)::::::::゙i, ヾ
/゙ i:::::  :::::  ,i゙   (!i)|:::    ::::::::::::::::::::::::     )〈:::::::::::::) \
  i::::: ::::  :|ii   )i〈ii      :::::::::::::::     (yi゙:::::::::::/
   :::::: :::::::: :|iii   (y)i:::      :::::::::::   :::::::,ノ/:::::::  /
   :::::::::::::::::|iii   !i ::::     ::::::::   :::::::::(y):::::::: /::







453:T.sakura
03/05/21 16:11 jMDWt0Fg
                         .  ) (  、
                       ; (    )  '
               o___, . (、. ' ⌒   `  )
               /      ~ヽ (. : ) ,  ( '  
              /    / ̄ ̄; ) ( . ⌒ )
              /    / FFDQ`‘| ' ` ”, ) 
             /    |   板  /    /  
             /     \__/    /   
    ____   /              /   
  /        \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    
  |           | /  
  |  ()  ()   |/     
  |    ∀    つ     

454:孫悟空 ◆yGAhoNiShI
03/05/21 17:00 3zMaV4vV
ドラゴンボールZ
フジ(関東)で毎週月曜16:30~放送中!!

  ::., :.;;;:: ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::.::;;;;;;;;;;;;;;:;;;:;;;;;;;;;;;;: ...: :: ..: :::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:..:: :;;;;;;;;;;;;;;
  ;;;;::.::;;:::::::::::.::::..::::::::..,:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::.:;;;;;;;;;;;;;;;;;
  ;;;;;;;;;;;;;:::.:::.;;;;;;;;;;;;;;.:::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::...::...,;;;:..:.:::::::: . ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; :;...::.:;;;;;;;
  ::.::..:.:::;;:::;;;;;;;;;;;;::::.;;;;;;;::::::;::.;;;;;;:::..     .::::.,::;;;;;;:::;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::: ::;;;;;;;;;;;;;;
  ;;;;;;;;;;;::: ::::;;;;;;:: ::: ::::...  .: . . _.∩_  ..:;;;:;;;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::: :;;;;;;;;;
  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::...         ヽヘ;;. 人丿ス  :: ::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::;;;; .:;;;;;;;
  : :. :;;;;;;;;;;;;;;;;;;..    从    θ斤:エh u    .:::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;;;;
  ;;;;:;,:.:;;;;;;;;;;;;:::.  __ 《Y》_   ∪レ..... 弋|      :::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;
  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::...  .uヘ人iイ  .  (. .」_ ノ    ...::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:
  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,:..     (∨ヘ      |....|: .)    .:::;;,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::....    .|;|レ'      .(_;);;.| -~、 ..:..:..:,,;,;;;;;;;;;;;;:::::: :::: ::::
  、 ._  _.:;~⌒^^⌒⌒´⌒` ̄ ̄ ....::,...⌒~^⌒ ̄ ̄`~._:::;:..:::
   ⌒ ⌒    ....::::::::::.:::.::;: :::... .:::: :::.  ..::  :::::::: ;::::::;:;.;:;,;,.,,; ...::⌒
  :;;;:::;::;: :::;:;;:::::::..::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::::::::::.  :; ..;::::::;::;: :::;:;;:;:::::;: :::;:;::
と~けたこおりのな~かに~♪恐竜がい~たら~たまのりし~こ~みたいね~♪

455:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/21 23:26 c1cznYdN
>>447
うい。マターリいきませう。
旦~ 旦~ 旦~ 旦~ オチャードゾー
 旦~     旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~  ズドドドドドドドド
     ヽ )ノ     旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~
旦~ ⌒(゚д゚)ノ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ ドドドド
    /. ( ヽ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~ 旦~   ドドドドド ドドド
 旦~     旦~ 旦~ 旦~ 旦~
     旦~ 旦~ 旦~ ドドドド

>>449-450
むちゃくちゃ笑いました!ファルコンフェチ…。。。
ギャグは無理?嘘をつくとリルムタンに変な顔に描かれます、きっと。
硬質で端正なシリアス部分も、賑やかなギャグ部分も楽しいです。

456:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/21 23:27 c1cznYdN
今回、すいませんオイラのギャグ、続きますです。
(;´Д`)一遍に終わらナカターヨ。。。↓

457:火球(1)
03/05/21 23:28 c1cznYdN
 ──かつて、轟音を鳴り渡らせ、天駆ける妖星を天狗と呼んだ。

 荒野へ叩き付けて来る、冬雷。鈍色に、千切れた雲。
王の逃走したその街で。
市民達は、マフィアの武器を手に、神羅軍へ最後の戦いを挑んだ。
水路さえも塞がれ、いずれ全滅する街。
彼等は、仲間の屍骸を楯に前進し、撃たれ、又それを楯にして
じりじりと、神羅兵へ間合いを詰める。
最初に悲鳴を上げたのは、神羅兵の方だった。

 ふっと。空気が止まり、風が凪ぐ。
冥く静かな衝撃波が、ざわざわと、地を揺らし。
最前線の兵士と人々に、喰らいつく。
音も、無く。
凄まじい血飛沫が噴出した。
人々は、鎌鼬に両断され、身肉が地に落ちる。
正宗が鞘に戻る。
大魔導士は、何千と言う人々を「斬って」見せた。
雷鳴は止まず、雹が激しくなってゆく。

 不意に、黒衣の英雄は頭を抱え、蹲る。
駆け寄った少年兵が、覗き込む。
「大丈夫だ。クラウド」
「…でも!」
雷の狭間。その闇の中で、セフィロスが
少年兵の襟元を引き寄せ、叫ぶ。
「俺が狂気に陥ったら、その時は…お前が……私を。
 その為にこそ──お前は強くあれ!」

458:火球(2)
03/05/21 23:37 c1cznYdN
 修道院の地下書庫で。オルランドゥ伯が、禍々しき魔法陣を睨める。
書庫の空気は、冥府の底の匂いがした。
「以前、君は言っていたよね。此処が、君達の世界の未来かも知れないと」
「ラムザ?」
神殿騎士の呪文が、うなりを上げて反響する。

 ラムザの世界と、クラウドの世界を繋ぐ、一冊の本。
「繋がりは、無いかも知れない。だけどもし、君達の世界が滅びたら。
 今はありえない。そうだろう?」
ラムザの澄んだ眼が、異邦の客人を見る。

 ノイズが、クラウドの脳を掻き回す。
「……うぁッ!」
─又頭痛がする。だけど、闘わなくては。
世話になった、この世界の人の為に ─

 騎士の呪文に、クラウドの上着が切り裂かれる。
それと同時に、桜花狂咲が敵召喚士に炸裂した。
「ディリータに頼んだ事があるんだ。
 この戦いが終わったら。僕達を記録上抹殺して欲しいと」
孤高の覇王、ディリータ・ハイラル。

 聖騎士アグリアスが、己の腹を撫でた。凛とした面差しが、微かに笑う。
「Σ(゚Д゚;)…ええっ?!」
「オーラン。また、カードをしよう」
剣聖の養子、占星術士オーラン。彼のカードを
やがてスコールが遊技する事となる。
そうして、僅かに、確かに繋がってゆく世界。

 微の間。神殿騎士のデジョンの光が、全ての者を呑込んだ。

459:road to home-こころの故郷17
03/05/22 01:01 lPaxt1G7

「あわわわわ!! せっかくワシらがこつこつ貯めた金を……!!」
 荒涼たる草原に降り注ぐ、大量のギルの雨。
 その姿に今度こそ狼狽するのはストラゴス。
 さらに追い打ちをかけたのは、天より降りたる孫の声だった。
「天空を満たす光、一条に集いて神の裁きとなれ!」
「……リルム!?」
 幻獣の背に跨って上空を浮遊するリルムの姿に気付いたエドガーが叫ぶ。
 リルムの唱えた魔法・サンダガから放たれた雷光が、セッツァーの投げたギル
めがけて迸る。魔法発動者の魔力の高さと相まって、威力は普段の三割増。
「シャレになんねーー!」
 触れれば間違いなく感電死しそうな強烈な稲妻の勢いに、驚きながらも素早く
身を翻すロック。
「ケーツハリーでござるか!」
「……一体いつの間に!?」
 カイエンとストラゴスが視線を上空にやりながら同時に叫ぶ。リルムが魔石・
ケーツハリーを装備していた事に、ようやく全員が気付いたのだ。
 しかし、このままでは地上にいる六人は皆、多量のギルと共に感電死を免れな
い。どんな手段を使ってでも、この窮地を脱さなくては―彼らに明日はない。
 覚悟を決めたその時だった。
「……魔封剣!」
 剣を高らかと掲げ、神々しいまでのセリスの声がこだましたかと思うと、周囲
を駆けめぐっていた雷光は、瞬く間に彼女の元に吸い寄せられていく。
「セリス殿!!」
「助かったぜー」
「ありがとう!」
 地上にひれ伏す男達は口々に、命の恩人セリスに礼を述べる。

460:road to home-こころの故郷18
03/05/22 01:02 lPaxt1G7
「一体なにがあったの?」
 冷静に聞くティナに対し、何かしらの言葉を発そうとした途端。
「……あんた達、頭冷やした方が良さそうね」
 安眠を妨害されご立腹のセリス、表情は笑顔だが彼女の瞳は本気である。
「ま、待ってくれセリス……! これには深い事情が」
 慌てて弁明しようとするロックの声を後目に、セリスはオペラ公演の時と同じ
透き通るような美しい声で、詩文を詠むようにその句を紡いだ。
「―『大気に潜む無尽の水、光を天に還し形なす静寂を現せ!』」
 氷の攻撃魔法・ブリザガ。
 感電よりは、せめて楽に……。という、仲間に対するセリスからの最後の慈悲
と言わんばかりに、凍てつく刃が彼らを襲う。
「俺たちが悪かったーー!!」
 声にならない叫びを残し、地上にいた男衆六人は倒れた。
 こうして詠唱の通り、草原は本当の静寂を取り戻したのである。

461:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/22 01:10 lPaxt1G7
>>457-458
FFTから各シリーズへの密かな伏線が(・∀・)イイ!
むしろラスダンに臨むクラウドの姿が萌え……。(ってギャグなのか?!w)
その昔、ラスボス直後(飛空艇墓場)のクラウド見送りSS(クラウドとアグリアス主体)を
書いたり(挫折)していた漏れには激しく続きが気になります。
…にしても戦地に立つセフィロスさんから漂う雰囲気がなかなか切ないですね…。


そう言えばFFTのラスダンって、境界地下の書庫だったっけか?
(室内なのにジャンプ攻撃を繰り出して、天井に頭を強打している神殿騎士がいたような…)

462:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/22 18:45 2teHi7ma
マニアックなネタが多いが良スレの予感。

463:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/22 23:31 thqZEdwX
>>ドリルさん
お、面白過ぎます!なんて楽し気なのですか!(違
銭投げは困りますね・゚・(つД`)・゚・
女性陣むちゃくちゃ強いです!素敵であります!
>天井に頭を強打している神殿騎士がいたような…
アレですか?「小部屋で大形召喚獣召喚」のような。激しく笑いますた。

>>462
ありがとうです。王道ネタにも挑戦したいです。。。

ENDになってますが、もう一回続きますです。すいません(汗

464:火球(3)
03/05/22 23:32 thqZEdwX
 其処に、アルマが居た。飛空艇の、墓場に。
吹き抜ける冷気。幽玄の風が、聖天使アルテマのお尻…
じゃなかった、銀髪を艶かしく揺らす。
「……又銀髪かよ?!」
「えっ!クラウドの所もなの?」
聖天使アルテマさん、怒ってます。なんかばしんばしん攻撃してます。

「──くしゅっ!」
「ん?どうしたのですか?クジャ」
「誰か僕らの噂をしているようだよ、ユウナレスカ」
アルティミシアが、横で紅茶を啜ってます。
某所でそんな会話が交わされましたが、それは置いといて。

 聖騎士アグリアスの剣が、聖天使に斬り付ける。
「アグリアスさん、大事な身体なんだから無理しないで!」
「え─wwヘ√レvv~(゚Д゚;)─wwヘ√レvv~─!!!!!!!!?」
戦闘中にも関わらず、一同の眼が、アグリアスに釘付けになった。
「私達は…」
ラムザがはにかみ、耳迄紅く染める。
「言えない。言えません!手を繋いだ、なんて!」
「いやそれ大事な身体とか、ちゃうやん!」
ムスタディオ、何故か似非関西弁です。

 りゅうと立った聖騎士。その、優しく応える声。
「でも。夢なのですよ。表舞台から消え、静かに好きな人々と暮らす事。
 それが…その為にこそ、私は闘う」
剣が旋舞し、隠された聖石を弾き飛ばす。そして──

465:火球(4)
03/05/22 23:33 thqZEdwX
 異邦の剣士が眼を見開く。
其処には、明るい青空が広がっていた。
「……ド…クラウド!」
「…ティファ?皆も」
ライフストリームの暖かな光が、皆の顔に映り込む。
うなりをあげる拳に、ティファは凄まじい力を込め
クラウドの両頬を─世間では往復ビンタと呼ぶ方法で─張り倒した。
レッドは肝を冷やし、顔を臥せる。
「馬鹿ッ!皆に心配かけて!」
彼女の言葉が続かず、その場に座り込む。
「…馬鹿ぁ…」
クラウドは、かなり(*´Д`)ハァハァした。

 何があったのか。その南の島は崩壊している。
「なぁ皆、俺が居ない間に、何が?」
「竜巻の迷宮の後に、でっけぇウエポンてぇのが暴れてよう。
 お前さんを捜して、ライフストリームの流れを追ったらココに来た。
 …呼んだぜ。奴さん、メテオを」
シドの説明に、クラウドは上空を仰ぐ。
「そうか…」
澄んだ空に。血に染まるベルベットの如き星が、炎を滴らせている。

 ふと、小さな音がした。
「これは?」
「軍の鑑札じゃねぇか」
クラウドの上着。裂け目から、ドッグタグが光る。
「いろいろ付いてるね。見せてよ!
 って、クラスEX-S、セフィロス?!」

466:火球(5)
03/05/22 23:34 thqZEdwX
 ユフィの絶叫。その場全体を、衝撃が支配する。 
「ザ…ザックスは覚えてる。遺体は持って行けないから、鑑札を」
( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` ) 沈黙。そしてざわめき。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!皆、何だよ!ウワァァン(ノД`)」
「むう。何で又セフィロスのタグが?」
バレットが首を捻った。

 魔晄に漬込まれた、神羅屋敷の数年。
古代種の叫びが、体内のジェノバの声と不協和音を醸す。
「そう言えば。なんでザックスはソルジャーになれたんだ?」
シンクロナイズドスイミングのポーズを取りつつ、ザックスが応える。
「お、今日は調子良さそうだな!
 んー…俺、魔晄炉事故で魔晄浴びて以来、強くなってさぁ。
 闘技場で優勝したら、タークスが来た」
少し間を置いて、更に続ける。
「んで、気が付いたら此処入ってた!うははは!」
「Σ(゚Д゚;)ソレ誘拐だって!」

 魔晄の、仄かな緑の光。
ザックスの精悍な横顔は、笑っている。
「──もう出られない、じゃない。俺達が自分の手で此処から出るんだ。
 娑婆に戻ったら『俺達は岩窟王だ!』って自慢しようぜ」

 神羅屋敷の地下に、甦る記憶。
「この戦いに生き残ったら、お前の家族に届けておくよ…ザックス!」
クラウドは、ザックスの認識標を、堅く握った。

467:火球(6)
03/05/22 23:36 thqZEdwX
 セーファセフィロスの翼がもぎ取られ、ついに英雄は地獄に還る。
力尽きた仲間に、クラウドは「帰ろう」と言った。
「最後迄、セフィロスは孤立無援だったな…」
「え?」
勇者の呟きに、皆が振り返る。
突如、クラウドの瞳孔が開く。彼は岩場に倒れ込んだ。
「クラウド!」

 遠いトンネルを抜け、深淵へ。懐かしい歌が聴こえる。
其処に、セフィロスは居た。ずっと、恐らく最初から。
心の奥底に潜む、幻影か。体内の厄災の、象徴か。
──今迄のジェノバは全て、肉体を失いし魔王が
勇者に乗り移り、造り出した者なのか。

 今更、それはどうでも良い事だ。
確かなのは今、勇者の目前で正宗を携え、微笑む魔王が
本物のセフィロスその人だと言う事だ。

 黒マントの男達は、行動を共にしなかった。
結局、セフィロスの為に闘ったのは、母なるジェノバだけだった。
人ならぬ母も既に無く。魔王に只独り、共鳴せし者。

 彼は、英雄だった。神に近き者として、実験室で生まれた。
人では無く、武器である存在。
その英雄が、手塩にかけて育て上げた子供。

468:火球(7)
03/05/22 23:40 thqZEdwX
 テントの灯の元に。少年兵が呼ばれた。
「御覧、クラウド」
ナイフが、セフィロスの掌を断ち切る。
すうっと、傷口が塞がった。
「!」
「俺は、死ぬ事が無いらしい。
 しかし、このままではいつか、世界を殺そうとするだろう。
 だからクラウド。
 お前が俺を倒すんだ」
「セヒロスさん、何言ってるんすか?(;´Д`)」
ころころと、クラウドが笑う。
「お前は有望な子だ。
 ソルジャーの大剣を、軽く持ち上げる少年兵士は、他に居ない。
 だから俺は、お前を部下に選んだ」
「冗談きついなー!あははっ…ありゃ?」

 幼いクラウドの周りで、風の音がする。
ザックスが寝返りと共に、寝袋の先輩兵士にぶつかり、目覚める。
クラウドの頬が濡れている。
「……?!」
眼に表情は無く、少年兵は不思議そうに、頬の涙に触れる。
英雄は柔らかな仕種で、クラウドに己のタグを掛けてやる。

469:火球(8)
03/05/22 23:41 thqZEdwX
 回想から、静かに醒めてゆく。
互いの剣が光る。
セフィロスが笑い、クラウドも又、笑った。
魔王は眼を見開き、正宗を向ける。
クラウドは此処で師に向かい、対等に剣を構える。

 金の睫が伏せられ、そのまま正眼に眼差しを交わす。
──かつて、彼に命を救われた。
尊敬し、教わり、憧れた存在。
けれど今は狂気に満たされ、世界を殺そうとしている。
救う為にも、行かなくては…約束の地へ!──

 クラウドの武神覇斬が発動する。
剛撃が唸り、火花を散らす。削ぎ、喰らい合う剣。
そして。
セフィロスの紅き魂が、解放される。
それは、ライフストリームに乗って、クラウドの内へと入り込む。

「…今だけだ。約束したから
 今だけ少し、俺の命の中で休んで良い。
 だけど。捜してやる。あんたの事、甦るまで、絶対に!」

クラウドの足が真直ぐに、仲間の元へと向かった。 END

470:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/23 00:29 Wx1K+0s/
>>464-469
以前、この板の某所で見かけた「宝条博士が実はいい人だった」SS読んだ時以来の
衝撃です。セフィロスは単なるストーカー(違)でも、マザコン(もっと違)でもなかった
んですね!(ひと思いに殴ってやって下さい。)
セフィロスもの凄く切ない。本編でそう言う風に描かれていたら(漏れが解釈を誤った
だけなのか)、間違いなく好きなラスボスになっていたYO!!・゚・(ノД`)・゚・

そしてKHFMをプレイした直後だったりする漏れには、最後の下りがなんだか嬉しい。
(KHへの伏線を意図しているのかと思えて)


それにしてもクジャとユウナレスカの会話を見て『異界放浪記』なるギャグを思いついてしまう漏れ。
・細長い刀ともの凄く太い大剣を抱えながら、互いに
 「そんなものは正宗ではない」
 と、言い張るセフィロスとアーロン。
・預けに行った思い出に、利息はつかないのか? となぜかガフガリオンに詰め寄るビビ。
・どうしてお前らはそんなに露出度の高い衣装なんだ? とケフカ・セフィロス・クジャに
 問うエクスデス。(←実はあんまり知らないですが、ネット回ってなんとなく)

471:R@no-name
03/05/23 01:52 pYw3YGit
(゚Д゚)ノタダイマー

>白殿
雌鳥ナデリ>無精卵マズーをご存知とは
文鳥系HPとかだと「ナデナデしたらまた生んじゃったv」とカキコ
しようものなら物凄い勢いで問い詰められまつね

ところで今のスレタイの「エロ小説」は「エクセレント・ローマンティック小説」
の略ってことにしてよかでしょかといってみるテスト

472:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/23 22:45 cD9v7nbx
>>ドリルさん
KHFMに続く…良いですね!
抵抗するセフィロスを 迷 わ ず お 笑 い に したい。
そんな電波ゆんゆんで、禿如くごめんなさいでした。(汗

『異界放浪記』凄く読みたいであります!
ブラスカとマターリお茶するキロスとか(互いに笑顔で恐い)
喧嘩後酒を酌み交わす、ジェクトとサラマンダーとか
良い匂いがする、キスティスとベアトリクスとルールーとか
リュックとユフィに、溜息をつくシド二人とか居そうですね。

>>R@no-nameさん
お帰りなさいです!
英雄さんみたいな羽根色の鳥を、飼ってみたいであります。
えっと、無精卵産んだ仔は居ないです。雛が孵る迄
オロオロしてた雄鳥は居ま…はわわ!リア話してどうすんだ私。
「エクセレント・ローマンティック小説」素敵です!!
R@no-nameさんの「エクセレント・ローマンティック小説」…よ、読みたい。。。

大火流る→火球→地球照 一応続いてマスです。 。。

473:【地球照】(1)
03/05/23 22:46 cD9v7nbx
 ゴールドソーサーの真上に、真昼のペーパームーンが浮かぶ。
レース観戦の人々が、喫茶室で微睡んでいる。
「リクセン?大冒険家リクセンじゃねぇですか!」
何人もの子供を引き連れた男が、泰然自若とした老紳士に声をかける。
「おや?君は…」

 喫茶室の壊れたジュークボックスに触れながら
ウェッジがジェシーに電話する。
「あ、ジェシーさん?ビッグスさん、今夜は夕飯作るそうっす!」

 金髪の上にゴーグルを載せた男が、眼を輝かせる。
「俺は『空想魔学小説』読んで、飛空艇乗りになりやした!
 グローリア号艇長、リクセンさんは憧れです!押忍!」
晴れ渡った空が、テラスの空気を軽くする。
「今日は、何人かの読者さんに会えて嬉しいよ。
 君は、ハイウィンド艇長だね?
 背中のお子さん、奥さんに似ているよ」
父親似の大雑把…否、鷹揚な質なのか、騒然としたレース場で
子供は安らかに熟睡している。

 一生分の運を賭けて、チョコボレースを見つめる男。
その横を、尾羽打ち枯らした「墜落のコルネオ」が通りかかる。
「…頂きッ!」
すんなりと括れた腰。滑らかな肌。
歳の頃なら二十歳位の、若い娘がしなやかに走り去った。
「ほ、ほひ~?!ま、マテリアが無い!」

474:【地球照】(2)
03/05/23 22:48 cD9v7nbx
 柔らかな黒髪を切り揃えた、仕立物の背広の男。
一方の肩が下がり、銃を胸元に所持している事が分る。
濃厚な珈琲の芳香が、煙草と硝煙の香に混じり合う。
「──で、どうなんだ?ヴィンセント」
シドの子供達が、周りで転げ回っている。
「…思い切って。彼女に……
 暑中見舞いを送ってみた。。。」
「そりゃ大進歩だ!」

 地球に映る太陽の光が、月影を明るく照らす。
ルクレッツィアの元に、モーグリの手で一枚の葉書が届いた。
「平素は格別の御愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます…」

 美しい人の、針の如き瞳孔が、丸くなる。
彼女の声は怒りでも悲しみでも無い、ナニかを堪え、震えている様だ。
ひとしきり笑い転げた後、ぽつりと呟く。
「漸く連絡して、これ?」

 レース場から歓声が上がった。
『さあ、注目のタイシンオー!匿名参加と言う事ですが
 はたして猛者相手に、逃げ切れますでしょうか?』

 混迷の隙を縫って、タイシンオーが飛び出す。
バレットが頭を抱え込んだ。
「うおおお!俺、レッドセフィロスに賭けちまったぜ!」
「ワイ…ゲフン。僕は最初からタイシンオーです」
レッドXIIIの燃える尾が、オレンジの夕焼けに照らされる。

475:【地球照】(3)
03/05/23 22:50 cD9v7nbx
 激しい競り合いに、白チョコボが激突し、騎手のヘルメットが弾け飛ぶ。
十才程の、愛らしい娘が叫んだ。
「父ちゃん、見て!」
赤チョコボの騎手も、己のヘルメットを外す。

 風を孕んだ銀髪と、内から煌めくツインテールが、同時に露になった。
「──お花のおねぇちゃんだ!」
『ここっ、これは!大変な事になりました!!
 レッドセフィロスの騎手は
 セフィロス!失踪した英雄、セフィロスです!』

 タイシンオーがレッドセフィロスに追い付く。
タイシンオーの騎手は、落ち着いて手綱を握り
じわりと速度を上げて行く。
間隙を縫い、ティファのチョコボも追い上げて来た。

 凄まじい歓声が、会場を包み込んだ。
『きききき、来ました!タイシンオー!万馬券です!!』

 この勝負により、逃げた女房に帰って来てもらった
タンゴと言う中年男は、何故かレッドXIIIに抱きつき、
リーブは些か儲かり、バレットは100ギル損をし、
シドは、奥さんの厳命により、券を買えず予想のみ当った。

 タイシンオーの騎手が、海チョコボを労う。
騎手、クラウドの髪をチョコボが繕い返した。
クラウドが振り返る。
静かな──穏やかな瞳で、会場全体を見つめながら。 END

476:road to home-こころの故郷19
03/05/23 23:39 zXN91nwQ


「……何も本気で攻撃しなくても……」
「ああでもしないと止めなかったんじゃない?」
 ロックの問いを、素っ気なく受け流すセリス。
「あいたたた。年寄りにはもう少し優しくせい」
「大丈夫。私もセリスもアレイズを使えるから」
 一見すると道理の通った事を言うティナだが、そう言う問題ではないのだと諭
してやりたい衝動に駆られつつ、治療を受けるストラゴス。
「大体リルム、どうしてマッシュとやり合っていたんだい?」
「だって……」
 こちらでは仲良く(?)互いに治癒魔法を唱え合っているエドガーとリルム。
「それより腹減ったよ。大体兄貴がオートボウガンなんてぶっ放すから、余計な
体力を消耗しちまったんだ……」
 この期に及んで、さり気なく自分に非はないと主張するマッシュ。
「……お? そう言えば残っていた食料があるでござるよ」
 責任の所在を追及するような発言にはあえて触れず、カイエンは携帯用の道具
袋からおもむろに食料を取り出す。
「これが最後の1切れでござる」
 念を押すように告げて、マッシュに手渡した。
 ―それは珍味・干し肉。
「おぉっ!? こりゃ有り難い!!」
 マッシュは躊躇いなく、最後の一切れとなった干し肉を口に運ぼうとした。
「……?」
 しかし、僅かに伝う振動を感じてその手を止める。
 静寂に戻ったはずの大地が、再び唸りをあげたのはそれから間もなくのだった。




477:road to home-こころの故郷20
03/05/23 23:45 zXN91nwQ
「ハラへったー! ほしにくよこせ!!」
 マッシュの手に握られた干し肉めがけて、怒濤のスピードで突進してきたのは
ガウ。そして後ろからガウに続くウーマロ。
「ちょっと待て」
 感電、凍結、その後はいよいよ物理攻撃かとマッシュのお門違いな心配をよそ
に、猛然たる勢いでガウは接近してくる。
「マッシュ殿、避けるでござる」
「だから待てって!」
 既に避難態勢を整えているカイエンの声と、右手に干し肉をぶら下げたままの
無防備な格好で叫ぶマッシュ。二人の明暗ははっきりと分かれた。
「―『大気に満ち、木々を揺らす波動。生命の躍動を刻め! ……リレイズ!』
これで大丈夫よ!」
 機転を効かせたティナがとっさに唱えたリレイズの効力がマッシュに及ぶ。
「じゃからティナ……そう言う問題ではないと思うんじゃがのう……」
 ストラゴスの溜息のすぐ後ろでは、僅かの土煙をあげて人身事故が発生。
 先ほどのティナの行動が功を奏しマッシュは一命を取り留め、ガウは念願の干
し肉を口に頬張りようやく落ち着きを取り戻す。
 後から到着したウーマロは、どうやら空腹よりも眠気の方が勝っていたようだ。

478:road to home-こころの故郷21
03/05/23 23:46 zXN91nwQ
「……まったく、とんだ厄日だぜ」
 立ち上がり、コートについた埃を払いながらセッツァーが呟く。
「それじゃあ、戻るとしますか?」
 続いてロックも飛空艇へ戻ろうと腰を上げた。
「そうだな。レディの夜更かしは感心できる事ではないし」
「ワシももう休むゾイ。年寄りの夜更かしも健康に悪いわ」
 とりあえず周囲に散乱しているギルを収集していたストラゴス達も、船へ戻ろ
うと踵を返した。

「……ガウ」
 優しいティナの声に、ガウは顔を上げて彼女を見据える。
「おかえり」
 とても自然でさり気ない、けれどあたたかなその一言に。
「うー……、ガウ!」
「ほら、食ったら船に帰るぞ」


 ―この船と、ここに集う者達が、ガウにとってのこころの故郷なのだと気付く頃には
 本当の平和が訪れているのだろう。


 いつか訪れるその日の為に、今は共に戦おう。
 それが、平和という家路への第一歩なのだから。

                                road to home-こころの故郷<終>

479:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/24 00:01 z+y/QUpy
ここに書かれている方って、SSのタイトルって先に思いつくんでしょうか?

漏れの場合大抵はタイトルから思い浮かぶんですが、この「road to home」は
イラク戦争の従軍カメラマンのドキュメンタリーみてパクリました。(スマソ)
なんか、戦いに身を置く人達の明るさって、常に死と向き合っているからこその
ものなんだろうなー…とか思った事を書いてみたかった。(スレ違いだ)

>>471
オカエリー。それにしても“エクセレント・ローマンティック”小説はウマイ! と思ったりする漏れ。
また新しい作品書いてくれるんでつか? R@no-nameさんの優良耽美小説、待ってます!
(にしても、日本語直訳は嫌だ…)

>>473-475
海チョコボとクラウドの文面を読んでいてふと思い出した事が。FF7のポリゴンだと、
チ ョ コ ボ の 尾 と ク ラ ウ ド の 頭 が よ く 似 て る 。
元ネタはFFTのサウンドノベルでつか? (空想科学小説は挫折しましたが、ウィユベール(・∀・)スキ!)
 # 異界放浪記は、舞台が異界なので死人しか出れない罠?(w でも先生、将軍、魔術師
   の三人は見てみたいですね…目の保養に。(w

480:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/25 00:15 fvgYT+y8
>>ドリルさん
乙華麗さまです!凄く楽しくて大笑いして、あったかくて
最後にじんわり泣けました。ガウ烈しく萌えです!

タイトルは一各々、ですが…。取り敢えず自分
ネタ→オチ→ギャグ→ツッコミ→ボケ→慌ててタイトル捏造。かなぁ。
他の方は勿論、ドリルさんはどうですか?

従軍カメラマンですか。マグナムとか好きです。(スレ違

ウィユベール、面白かったですね!一応クリアしますたが
まさかあそこ迄、お笑いとは思いませんでした。
例)
「…だから、ルールー!」ガバッ
「やめて!ワッカ!私急いでるの」
いつもこんな感じの、とぼけたお話が、何故FF9では謎のお城に?

481:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/25 23:46 sHCaiUd2
顔を描くとき顔のどのパーツから描く? ってのと同じぐらい興味がある話題ですね、個人的に。(w

>>480
漏れの場合、オチ→ネタ→ボケ→ツッコミという順が多いので、
タイトルはその「オチ」(最後のセリフとか)が多かったりします。
…タイトルを最後の文章に組み込んで締めくくる書き方。という方が正しいかも。
でも、自分の好きなタイトルが思い浮かぶとやる気出ます。50%うp

ウィユベール。あのED全部制覇していないんですが、とりあえず一番最初の選択肢で
「殺る」
を選んだの漏れは逝ってヨシですね。(w 最後まで行くに連れてシリアスの度が増して
いくのも好き…久々にディープダンジョンでアグタンの最強装備を取ろうと思って開いたら、
いつのまにかウィユベールしかやってなかったとか、そんな事も屡々。


上の方で姐さんに言われた「フィガロ兄弟と父親のネタ」で書いてみてるんですが、
父親の設定がイマイチ曖昧なので難しいです…。飛空艇でのセリス博打イベントから
引っ張っていけると思ったんですが…。(あああ、いつも6ネタばっかりごめんなさい)

482:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/26 23:50 YputMOMx
皆様、地震大丈夫ですたか?(((((((;゚Д゚)))))))

>>ドリルさん
タイトルとエンディングが素敵なのは、そう言う理由ですたか!見習わねば。
ヴィユベールは、ヒロインのお母さんのエピソードが面白かったです。
ED全部制覇、一応しましたが「栞機能→セーブ出来る」事に気がついたのは
チャートが完成した後ですた…。
「フィガロ兄弟と父親のネタ」マターリ期待してます。

スレリンク(ff板:231-233番)
スレリンク(ff板:242-245番)
某(´ _ `*スレで、ちょっぴり
バレットとヴィンセントが出て来るギャグかましてきました。
(まだ続くのですが…(;´Д`))
リクエストでサラマンダーとラニキボンヌしたいです。

483:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/27 00:16 UFSRdtAF
御無沙汰しております。
別鯖の話が終わってさてこっちを、と思ったら
所用が立て込んでしまいまして。
生きてはおりますがさてさて…・・・。がんがるぞー。

>>479
以前はまずタイトルありきで書いてましたが最近は逆です。
つーかマンドクセ('A`)って時は昔買ったCD出してきて
使えそうなタイトル使ってます。愛がねえよ洩れ。
(ピンク鯖の連載はまさにそれ)
リクエスト聞いていただけるみたいでウヒャッホーでつ。

>>482
私は大丈夫ですよ~。
時間なくてまだちゃんと読んでないんですが
白さんの作品増えてるので楽しみです。( ´∀`)

484:R@no-name
03/05/27 01:39 OXFJkqBr
>地震
もうちょっとで金魚さんが大海嘯を発動させるとこですた(;´Д`)

>タイトル
最近は決める前にうpしちゃうんで完全に後付ですね
今書いてるサイシヴァはちゃんねらー以前から転がしていたネタなので、
その頃つけたタイトルがあったりします
クジャガネは本家に上げる時悩んだなあ>タイトル

485:作者
03/05/28 19:38 YUTFNaMG
最近地震多いですね。
首都圏直下地震に超ビビって仕事してます。
なんせ高い建物の中には古い建築も多い訳でして・・・。

白さんの作品、短編ものが読みやすくて纏まっていてすごく好きです。
と思ったら、瓶スレ立てた方だったんですね。
さてあのスレで放置気味のヴィンセントのSSですが、もう暫く放置プレイが
続きそうです。

てゆうかやぱスレ違いですかそうですか。

486:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/28 21:11 5t0Jrz51
SSスレで、様々な職人様の意見が聞ける…貴重ですね。

>>姐さん
乙華麗様ですー!CDタイトルのSSはカコ良いです。
姐さんの御作品は、上質の映画のような、洒落た映像が思い浮かんで
うっとりでありまつです。アコガレ(´д`*)ホウー

>>R@no-name さん
Σ(゚Д゚;)うわぁ…金魚さん御無事ですか?
艶やかで優美なサイシヴァ、ホント綺麗です!
絶滅寸前の英雄さん、可愛い面白かったです。撫でたい…l \ァl \ァ

>>作者さん
おお!作者さまキタ━━(゚∀゚)━━!!!!
作者さんの、流麗で愛の有る文章が大好きであります。
Σハッ!!瓶スレ立t…名乗って無いけどバレた…!ガクガクブルブル
アレもコレも、て、てててテンプレとリンクしか作ってません。 (スレ違
URLリンク(www.connect-wired.net)
瓶スレの1さんは、お優しい感じのΣd(・∀・ )様ですね。
よそのスレを見ても、キャラ萌えスレにSS投下は
゚+.大変嬉しくて有り難い゚+.゚です。
マターリガンガってくださいませ。○| ̄|_アリガトウゴザイマス

487:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/29 23:20 2XCEor8P
地震が起きても、会社で嫌な上司と共に生き埋めになる事だけは勘弁して欲しい、と
切に願う今日この頃…。(国王(社長)が地中に埋まった社員を助けに来てくれる訳でもなく。泣)
規模が大きかったのでビクーリしますた。そして進路予想通りだと次は台風の悪寒…。

>>482
あっちのスレでは感想言いづらい(興味ないね、だから。w)のでここに書きますが、白さんの
作品は本当に上手くまとまってますよね。作中の描写(ウェポン覚醒)とか、単なる説明文で
なく「小説」的な書き方されてるところが漏れは凄く好きでつ。見習わねば。
そう言えば、某所では大変お世話になりますた。今更ですがありがとう。
>>483-484
他の方のタイトルつける方法ってあまり見る機会がないもんで、興味深く読んでますた。
だけどやっぱり悩みますよね…(って、え? CDタイトルから引っ張ってくるのって漏れも
良くやるんですが…特にサントラなんか良いネタ。w)愛と修行が足りないのでしょうか。(w
>>485
ヴィンセント…興味があるのでそのスレ探して拝読させていただきますです。
(いや、7のデータ掘り起こしプレイ時にたまたま宝条戦で彼を出して、そのセリフにいたく
感動した覚えがあるもんで)

友人曰く、文章や改行のクセで分かるらしい…ですね。(漏れにそのアビリティはありませんが)

488:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/31 18:44 GhfsLRx8
>>487
ドリルさんキタ━━(゚∀゚)━━!!!!であります。
こちらこそお世話になりますた。気が向かれたら、いつでもマターリどうぞです。
ドリルさんの作品は、構成がしっかりしていて、序破急の動きがカコ良いです。
静動活き活きしていて、お話が深いであります 。

 職 人 の 皆 様 、 サ イ ン く だ さ い !

文章と改行のクセ…人各々ありますね。
って、あれ?んじゃオイラも…? カイギョウ ミジカイ オカン

489:興味無いね(´ _ `*と愉快なマターリ旅(仮)
03/05/31 18:44 GhfsLRx8
(´ _ | 誰も居ない…。。。
「興味ないね(´ _ `*」貼るなら今の内…。
(勝手にゴメンなさいです。。。汗)

■今迄の粗筋■
「クラウドってリボン、どこに装備してるの?」
「あ、分った!ツノの中だ!」
「ん?じゃあバレットは??」
「………………………。。。」
「き、き、き、興味ねぇぞ!」
バレット父ちゃん、ちょっと泣いてます。

ってネタはさておき。(;´Д`)
普通に粗筋は…興味ないねって言いながら
FF7ソルジャーさん達が、漫才しつつ旅をしてるであります。
今は皆して、ジュノンでウエポンと遊んでますです。前話は
スレリンク(ff板:242-245番)
にありますでつ。

490:【ウエポン大決戦!】(9)
03/05/31 18:46 GhfsLRx8
 軽やかな風が吹き抜けた。シエラの指が、柔らかな花弁を撫でる。
ハーブティーの優しい香が、家中を満たす。されど、彼女の表情は堅い。
「……シド」

 ティファの皮膚が青ざめる。毒ガスの成分は、何か?
皮膚を糜爛させ骨を晒し、息の根を止める物なのか。それとも──
華奢な肋骨が、吐き出す事も、吸う事もままならぬ息に蠢く。
スカーレットが嘲笑を含ませ、告げた。
「苦しいの?…その成分はね」
閃光と共に、硝子の向こうのシャッターが跳ね上がる。
「ホ-ッホッホ!この神羅兵達が、涙と共に刻んだ玉葱よ!」
Σ(゜ロ゜*)…それって、神羅兵のダメージの方が大きいんじゃ?
と、ティファは内心突っ込んでみたが。
「はぅうぅうぅうぅうぅうぅ~がんばるです~」
「ティファタンの泣き顔見たい…(;TДT)ハァハァ」
健気なのかハァハァなのか、良く分らない兵士達。
彼等に目前で観察されるのは、何かかなり厭なので
ティファは必死で脱出を決意するのだった。

 床に仕掛けられたトラップ。神経を貫く高圧電流。
長身の偉丈夫が、痙攣し倒れ込む。
レッドXIIIが、素早くホワイトウィンドを唱える。
しかし、ヴィンセントは負傷が重いのか、蹲ったままだ。
「──…先に、行け」
不意に、シドがヴィンセントの全身を、肩に担ぎ上げた。
「冗談じゃねぇ!抱えてでも連れて行くぞ!」
シドの指先に、鋭い違和感が走る。
金属質の刃が、ヴィンセントの背に乗っているのだ。
「…違う。此処は私に任せろ、と云っているのだ」
瞳に宿る業火が、熱を放つ。微かに、笑いながら。

491:【ウエポン大決戦!】(10)
03/05/31 18:48 GhfsLRx8
「私は、傷を負うと強くなる。ルクレツィアが、そうしてくれた。 
 お前は、ケット・シーやクルー達と立てた作戦を、遂行してくれ」
「うし。分った。後で合流しようぜ!」
そう云いながら、ヴィンの頬に『たこやき』しるおっちゃんだった。
「ヴィンセントは、オイラに任せて!」
竜騎士は、飛翔と共に天井を討ち破り
ランスの剛撃が、兵士の群れを掻き分ける。

「さて…」
ふらつく足で狙撃手は立ち上がり、縺れた長髪を振り広げた。
同時に、10mは有ろうかと云う、巨大な翼が姿を表す。
「………うわぁっ!」
正確に、惑う事無く。空中からの銃弾が、敵の手足を打ち抜く。
「神羅兵も質が落ちたな。興味は、無い。が…」
艶やかな黒髪の下で。次から次へと沸き上がる兵士達を、一瞥する瞳。

 深き海の底から、太古の巨神がジュノンへ迫る。
「ウエポン襲来!総員戦闘配置!」
「あわわわわ~!サファイアウエポン、来ちゃいました~!
 若社長、どうしましょう!」
「…大丈夫だ。落ち着いて行動したまえ」
『皆が生き延びる道は?
 最小限の犠牲者で、反乱者達を抑える方法は?』
今や、世界の命運を背負った若き総帥、ルーファウスが
ウエポンが来る迄の短い時間に、多くの事を考える。
「キャノン砲、発射用意!」

──待て。充分近付いていない。無駄撃ちはするな!

「発射━━━━━━ !!!!!」
社長の言葉が出る前に、ハイデッガーの声が響き渡った。

492:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/31 18:52 GhfsLRx8
【ぐげ?って南国!】に興味なく続きまつでつ…。

■次号予告■
皆のアイドル、セクスィーパルマ-総括タン!
「ああっ!パルマ-様素敵 v」
「(*´Д`)/lァ/lァ パルマ-たん…」
「パルマーこそが真の勇者!」
豊潤にして血色の良い肉体。ぷるりと、瑞々しく震える顎。
くるくると舞う餅肌。全てが完璧に美しい。
次回「それは兎も角、俺達どーなるの?」「キョウミナイネ(´ _ `*」の2本です。

画像
URLリンク(cgi.2chan.net)

URLリンク(f3.aaacafe.ne.jp)

493:懸想人1
03/06/01 21:51 MiogzVE9
 木立の間から差し込む木漏れ日の下で、一家は平和な団らんを過ごしていた。
「パパ! みて見て!!」
 嬉しそうに走り回るシュンの姿を見ながら、夫妻は顔を見合わせて微笑む。
「シュンもすっかり大きくなったでござるな」
「元気が良すぎて困るくらいですわ」
 ドマ城下町に居を構えるカイエン一家。国王陛下に使える侍であったカイエン
が、こうして家族水入らずで過ごせる時間は滅多にない。妻であるミナは、夫の
勤めを理解し、留守がちだったカイエンに代わって家を守っていた。
 決して楽とは言えない生活の中でも不満一つ漏らすことなく、いつも笑顔を
向けてくれるミナと、息子シュンの存在が何よりも自分の支えになっている事を、
カイエン自身よく痛感している。
「……いつも済まない」
 だからこそ、感謝の言葉より弁明の句が先に出てしまうのだろうか。
「そんな風に謝られても困ります……。私達は、あなたのお陰で暮らせるんで
すから」
 柔らかな日差しに、愛おしい妻の笑顔が重なる。
「パパ! 勝負だーっ!」
 久しぶりに一緒にいられる父に、思いっきり甘えようとはしゃぎ回るシュンの
姿は、木立の若葉のような活気に満ちていた。
 二人の姿を見やり、カイエンは強く思う。

 掛け替えのない大切な家族と共に、幸せになろうと。
 この国と共に、末永く―。




494:懸想人2
03/06/01 21:55 MiogzVE9

 その日、悲痛な叫び声が城のあちこちであがっていた。
「気を確かに! 一刻も早くここを出るでござる!」
 救助に駆けつけたカイエンの呼び掛けに、城の兵達は皆、苦痛と無念の表情を
浮かべながら、彼の前で息を引き取っていった。
 声にならない叫びと死の空気に満ちたドマ城の、それでもなんとか中層に辿り着く。
 この扉の前へ至る過程で、何人もの仲間の最期を看取ってきたカイエンにとって、
最も恐れていた瞬間に立ち会わねばならない―そんな気がしていた。
 扉を開け放ち、広がる光景は予想していた最悪の事態を告げる。
「……ミナ! しっかりするんだ、ミナ!」
 まだ温もりのある妻の身体を何度も揺さぶり、ありったけの声でその名を呼ぶも、
彼女が返事をする事はなかった。
 意識を失くしたミナの身体が、揺さぶられた拍子にすぐ横のベッドのシーツに触れる。
「シュン!!」
 反動で、息子の身体がベッドから転げ落ちた―その様は、まるで無機質な機械
仕掛けのおもちゃのようで。
「あ……、あ……」
 カイエンは恐る恐る、床の上に横たわる息子の身体に触れた。
 まだ僅かに温もりを感じる、その身体に。
「そ、そんな…バカ…な……」
 目の前に広がる惨状を受け入れられず、カイエンは喘いだ。
 ―幸せになると、誓ったのに……。
「ゆるさん…許さんぞ! 帝国め!!」
 絶望と怒りに打ち震えながら、カイエンはサイドテーブルに転がった懐中時計
だけを手にすると、振り返ることなく部屋を後にした。

 ドマ王国の―ミナとシュンの仇。
 帝国を、滅ぼすために。

 何人もの帝国兵の血飛沫を浴びながら、彼は無心に刀を振るっていた。



495:懸想人3
03/06/01 21:57 MiogzVE9


 あの時、彼らに出会っていなければ恐らくカイエンは修羅の道を歩んでいたに
違いない。
 その後訪れた魔列車で、旅立つ妻と息子を見送った。
『あなた……幸せだったわ……ありがとう』
 いつもカイエンに向けられた、柔らかな日差しの様な妻の笑顔。
『パパ! ぼく、がんばって剣のけいこしてママを守るよ!』
 その隣で微笑む、若葉のような活気に満ちた息子シュンの姿。
 徐々に加速しながら、愛する二人を乗せた魔列車は目の前から去ってゆく。

 ―拙者だけを、ここに残して。

 心に満ちる光を失った事。
 それが、何よりも辛かったのだ……。


 自らの弱さはケフカへの憎しみに。
 故国への想いを、戦うための理由にかえて。
 この刃に懸けて、世界を守ると誓ったのだった。




次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch