03/05/08 00:07 gKQD9Rw2
灰白の月光。その背後に、凍り拡がる藍の闇。
血から湯気が立ち昇り、殲滅したドラゴンの肉体がどろりと崩れた。
英雄は逆光を浴び、凛と立っている。
「はーい、カットー!」
「やべ!俺台詞間違えた!」
「NG集だな…クックック」
此処、黄金円盤第6スタジオでは、お昼の連続ソープオペラ
『魔晄戦記ソルジャ-ドン』の撮影が続いていた。
「ソルジャーの仕事って、色々あんだなぁ!」
「TVに出たがったのはお前位だろう、ザックス。
それとも、幼稚園慰問の仕事でも手伝うか?」
「え、遠慮するっす!」
「ひまわり組の皆さんが、待っているぞ」
「一体全体どうして、一日中上司にくっついての仕事なんだ…」
──真面目に考えるのならば、お前は将来の右腕候補。
恐らく又、未熟であっても基礎能力値の高い若者が
俺の近くに配備される筈──
「ん?何か言った?」
「明日は夜間演習だ。彼女に振られぬ様、注意して措け」
すたたたたっと、AD(22) 君が駆け寄って来た。
「次の衣装なんですが…」